連載
インディーズゲームの小部屋:Room#239「九十九神」
さて,本作の舞台となるのは,妖怪が跋扈する中世の京。母親を妖怪に殺された主人公・英(はなぶさ)は,かたきを討つため,都を荒らす物の怪・九十九神(つくもがみ)を追い払う日々を送っていた。九十九神とは,ひと言で言ってしまえば古くなった道具が妖怪化したものだ。そしてある日,英は山神の使いと名乗る白狐・狐宮(こみや)と出会い,母から託されたという霊刀・五魂刀(ごこんとう)を渡される……。
それまで,通常の攻撃では倒せない九十九神を追い払うことしかできなかった英だが,五魂刀にはその名のとおり5つの宝玉が埋め込まれており,その力によって妖怪の正体を見破り,退治できるようになる。ただし,ゲーム開始時に使えるのは,5つの力のうち,「一の玉・魂分つ」と「二の玉・魂縛り」の2つのみ。残り3つの宝玉の力は,ゲームを進めることで解放されていく。そして,本作最大の特徴は,これらの力を使った“正体当てバトル”にあるのだ。
ゲームは,町で情報を集めたり,道具を買い揃えたりするパートと,フィールドを探索しながら敵との戦闘をこなしていくパートの大きく2つに分けられる。町とフィールドはどちらも碁盤のような簡易マップで表示され,お店や町人,イベント発生ポイントなどのシンボルが置かれている。フィールド上の敵シンボルは青いもやのような姿になっており,これに接触すると戦闘開始だ。
本作の戦闘で重要になるのは,上述したとおり,敵の正体を見破ること。戦闘開始時の敵の姿はもやに隠されており,この状態ではダメージを与えられない。そこで,まずは一の玉・魂分つを使って敵の正体を探っていくことになる。魂分つは敵を攻撃することで溜まっていくゲージが満タンになると使用できる技で,この攻撃によって敵の正体に関するヒントが1文字だけ表示される。
ヒントは,その妖怪の素材や性質,名前の一部になっており,例えば「紙」「扉」「し」といったヒントが出た場合……なるほど,分からん。まあ正解を言ってしまうと,答は「しょうじ」だろうと推測できる。敵の正体に当たりをつけたら,お次は二の玉・魂縛りでその名前を入力しよう。魂縛りは,魂分つとは反対に敵の攻撃を防御することで溜まるゲージがいっぱいになると使用可能だ。入力した名前が正解なら,敵を覆っていたもやが晴れ,正体が判明してダメージを与えられるようになる。引き続き攻撃し,妖怪を退治するのだ。
もちろん,この間も敵は攻撃をしてくるので,いかに短いターンで敵の正体を暴き,退治するかが重要になる。ボキャブラリーの貧困さに定評のある筆者なので,初めての相手にはやや苦戦ぎみだが,クイズのようなスリルがあって非常に新鮮な気持ちで楽しめる,よく練られた戦闘システムとなっている。さらに,ゲームを進めると残りの3つの宝玉の力で妖怪を捕らえて育成し,そのスキルを使用できるようになるなど,戦術の幅も広がってくる。
そんな本作は,公式サイトで体験版が公開されているので,いっちょ妖怪の正体を暴いてやろうという人は,まずはそちらからお試しを。また,製品ダウンロード版は1575円(税込)にて発売中だ。
なお,製品パッケージ版は8月11日にコミックマーケットにて発売予定となっており,同日よりショップでの委託販売も行われるとのこと。詳しくは,公式サイトでの告知をお待ちあれ。
■TORaIKI公式サイト
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