連載
インディーズゲームの小部屋:Room#212「ヒツジシツジ」
あけましておめでとうございます。皆さんは良い年末年始をお過ごしになったでしょうか。筆者は都市伝説級の魔窟と化していた我が家に対してこれまでで最大規模の攻勢(大掃除)をかけ,人類として初めて“開かずの戸棚”や“人跡未踏のスチールラック”を攻略するなど,一定の成果を上げました。
しかし,そうした成果に対し,専門家の間では「それは縦のものを横にしただけで,問題の先送りに過ぎない」とする見方も出ており,これ以上の異界化を食い止められるかどうか,依然として予断を許さぬ状況です。
まあ,そんなことはさておき,2012年最初となる「インディーズゲームの小部屋」の第212回では,トッパツプランのアクションゲーム「ヒツジシツジ」を取り上げよう。今年の干支は辰だが,本作の主人公はその名のとおり,2015年の干支であるヒツジだ。早々に今年はあきらめて,3年後から頑張るという前向きな決意を込めて本作を紹介したい。ということで,今日はもう帰ってもいいですか? ダメですね。すみません。
ゲームの舞台となるのは,ここではないどこかにある,ヒツジ達が住むヒツジの王国“アリエース”。イオンパワーとダブルポリマーの効果で驚きの白さに仕上がる洗剤に似ているが,もちろんそれとは関係ない。隣国との平和協定が結ばれて数百年,まったりと平和を満喫してきたアリエース王国だったが,そんな毎日に飽き飽きしていたお姫様・メリーノが,退屈しのぎに家来のヒツジ執事を“試練のほこら”に放り込んでしまったから,さあ大変。すべての宝玉を集めなければ外に出られないという試練のほこらから,ヒツジ執事は無事脱出できるのだろうか……。
こうして,不幸にも姫の気まぐれに巻き込まれてしまったヒツジ執事を操作し,ほこらから脱出するのがゲームの目的。キャラクターの操作は方向キーでの移動と,Zキーでのジャンプのみと,非常に簡単だ。また,ヒツジ執事は壁に接触すると頑張って張り付き,ゆっくり滑り降りたり,壁から壁へとジャンプでよじ登ったりもできる。そして,明らかにヤル気満々のトラップが仕掛けられたステージのどこかにある宝玉を入手し,ゴールに辿り着けばステージクリアだ。
本作にはゲームオーバーが存在しない代わりに,ほこらの中は触れただけで一発死してしまうトラップが満載となっている。とにもかくにも,宝玉を取ってゴールに飛び込めばクリアとなるが,クリアにかかった時間が短いほど高ランク評価を得られるので,いかに素早くステージを突破するかがポイントだ。本作では,ノンストップで一気に駆け抜けたほうがクリアしやすいトラップ配置が多く,狙いどおりのアクションが決まったときの爽快感はなかなかのもの。ただし,タイミングはシビアなので,健気なヒツジ執事はメェメェ言いながら何度もリトライすることになるだろう。
また,本作に用意されたリプレイ機能では,クリアまでの全履歴が一斉に再生されるのが特徴だ。つまりどういうことかというと,例えば10回リトライしてクリアした場合,リプレイを再生すると10匹のヒツジ執事が一斉にわらわらと走り出し,途中で次々と脱落していく様子が見られるのだ。リトライ回数が多くなるほど,リプレイに登場するヒツジ執事の数も増えるので,見た目のインパクトもあって楽しい機能となっている。
このほかにも,ノーマルモードクリアや“ヒツジメダル”の全回収で新たなゲームモードが開放されるなど,じっくり楽しめる良質のアクションゲームに仕上がっている本作。トッパツプランの公式サイトでは本作の体験版が公開されているので,興味を持った人はまずはそちらをお試しあれ。また,製品版は1365円(税込)にて発売中だ。
なおトッパツプランでは,今後,ですのや☆とのコラボレーションで「不思議な月の夜のとばり」の雰囲気を取り入れたステージ追加などを予定しているとのこと。「不思議な月の夜のとばり」は次回紹介する予定なので,こちらもお楽しみに。
■トッパツプラン公式サイト
http://totupura.sakura.ne.jp/- この記事のURL:
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