連載
インディーズゲームの小部屋:Room#119「GENETOS」
進化といえば,4Gamer編集部には一人,間違った方向に進化してしまった人物がいる。この人物は,自分のことを「オレは世界中で誰よりも歯医者が嫌いな人類に進化したのだ!」と言い張って,一向に虫歯を治療する気がないダメな大人だ。しかし,本人がどう言いつくろってみてもやっぱり奥歯が痛むらしく,昨年末からしきりと歯痛を訴えてくるので,隣で相手をするのもいい加減疲れてきた。いいから早く歯医者に行ってきてくださいよ,松本さん!
だが本作は,進化を言い訳にして歯医者から逃れようとする松本とは違う。まったく違う。そもそもそれ,進化じゃないし。ところが本作では,ゲームを進めるにつれて「シューティングゲームの歴史を辿るように」ゲームシステムそのものが文字どおりの意味で進化していくのだ。
まずステージ1は懐かしの「スペースインベーダー」風で,自機は左右にしか動けず,弾は一画面に2発までしか撃てない。ステージ2になると,ゲームシステムがちょっと進化して,初期のファミコン風シューティングに,ステージ3になると,まあそれなりの(といっても,まだファミコン風だが)シューティングに……と,見た目も音楽もゲームシステムも大きく変っていく。スクリーンショットを並べてみても,とても同じゲームとは思えないほどだ。
そして自機もまた,敵を破壊したときに出現する緑色のアイテムを一定数集めるたびに,一段階ずつ進化していく(ちなみに,青色は得点アイテム)。自機が進化すると,初めは一画面に2発しか撃てなかったショットが無制限に撃てるようになったり,ボムが使えるようになったり,ホーミングレーザーを撃てるようになったりと,徐々に性能もアップする。
標準難度の「Standard user」だと,最初から自機のストック数が15と多く,エクステンドも発生しやすいため,初回プレイでもほとんどの人がクリアできるのではないかと思う。今回のプレイムービーでもドカドカと撃墜されているが,ちょっとやそっとやられたくらいでは痛くもかゆくもない。難度を上げると,スペースインベーダー風のステージ1ですら雨あられと敵弾が降りそそいでくるので,腕に自信のある人はそちらをどうぞ。
本作は初心者から上級者まで楽しめる懐の広さはもちろんのこと,自機だけでなくゲームシステムそのものが進化していくというアイデアが秀逸で,しかもフリーで公開されているとくれば,これはもう一度プレイしてみるしかないだろう。最終ステージのステージ演出における“進化”に対する問いかけも,なかなかに考えさせられるものがある。本作に興味を持った人は,さっそく公式サイトをチェックしておこう。
■「GENETOS」公式サイト
http://www.tatsuya-koyama.com/software/wg002_genetos.htmlステージ4 | |
ステージ5 |
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