連載
インディーズゲームの小部屋:Room#12「トラブル☆ウィッチーズ」
青い海と白い雲に囲まれた半島の国エイヘムランドの港町。ある日この港町で,一つの事件が起こった。古くから伝わる強い魔力を持った黄金のリング“ドラウプニール”が,「アマルガムの娘」と名乗る正体不明の魔法使い達に,幾重もの結界を破って盗まれてしまったのだ。奪われたドラウプニールを取り戻すべく,3人の魔法使いの少女達が,それぞれの思いを抱いて冒険へと旅立った……。
本作は,ステージの途中に現れるショップでパワーアップアイテムを購入しながら進んでいく横スクロールシューティングだ……と書くと,古くからのゲーマーは往年の名作「ファンタジーゾーン」を思い出すかもしれない。しかし,ゲームシステム的に見ると左右任意スクロールだったファンタジーゾーンよりは,これまた懐かしの名作「オーダイン」や「マジカルチェイス」に近い,右から左への強制スクロールタイプだ。まあ,主人公が魔女っこであるという点を見れば,後者により近いと言えるかもしれない。
ゲームは,それぞれ移動速度やショットの性能が異なる3人の魔女っこ(プラス隠しキャラ1人)の中から,1人を選んでプレイする。本作のメインであるストーリーモードでは,例えば魔法使い見習いのプリルの場合,お師匠様から出された魔女試験のためにドラウプニールのかけらを取り戻しに行くといった具合に三者三様のストーリーが用意されており,ゲーム開始時やボス戦前に挿入されるイベントシーンでストーリーが展開していく。
本作の魅力は,何といってもそのポップでカラフルなグラフィックスにある。とくに,多重スクロールを利用し,これでもかとばかりに描きこまれた背景グラフィックスは魅力的で,一体一体のキャラクターも丁寧に描かれている。全体的に明るい雰囲気のグラフィックスは見た目にも楽しく,撃ち落とされた敵がコインをジャンジャンとばら撒いて景気よく爆発するなど,シューティングゲームとしての爽快感も十分。このコインを集めて,ショップで買い物するというのはご想像のとおりだ。
主人公が魔女っこである本作には,いかにもそれらしいシステムが用意されている。その一つが「魔法陣システム」だ。これは,それぞれのキャラクターが連れている使い魔に命じて一定時間魔法陣を展開できるというもので,魔法陣に触れた敵弾の動きをスローにさせられる。スローになった敵弾はピンク色になり,この状態で弾を撃ってきた敵をやっつけると,ピンク色の敵弾がコインに変換される。魔法陣の展開は,敵弾回避の切り札であると同時にお金稼ぎの手段でもあり,うまく使いこなさなければゲーム後半を切り抜けるのは難しいだろう。
そしてもう一つの魔女っこらしいシステムに,“ミスティックカード”を用いた魔法がある。ミスティックカードは全部で10種類あり,一度に3枚まで所持できる。ミスティックカードの効果は,広範囲を一気に攻撃できるものが多く,ステージの途中でたびたび現れるパンプキンショップで購入できる。カードは購入するごとに値段が上がっていくが,本作ではお金は残しておくより使ってしまったほうが高得点になるので,ケチケチしないでどんどんカードを使用したほうがゲームを有利に展開できる。
ゲームの難度は当初,可愛い見た目に反してかなり高めに設定されていたが,その後のパッチによってだいぶ引き下げられており,現在は魔法陣とミスティックカードを使ってピンチを切り抜ける,ほどよいスリルが味わえるバランスに落ち着いている。バランス調整パッチは,スタジオシエスタの公式サイトからダウンロードできるので,プレイを始める前に忘れずに適用しておこう。また,難易度自体も,初心者向け,易しめ,標準の3段階が用意されているので,自分の腕前に応じた難度でのプレイが楽しめる。
本作は,グラフィックス,ゲームバランス共に,非常に高いレベルでまとまっており,万人にオススメできるゲームだ。スタジオシエスタでは,細かいバグ修正を行ったのち,1〜2種類のミスティックカードの追加やプラクティスモードの実装など,ゲーム自体の大幅なアップデートを予定しているとのこと。スタジオシエスタの公式サイトからは,使用できるキャラクターが1体のみで,2面までプレイできる体験版がダウンロードできるので,興味を引かれた人はぜひプレイしてみよう。また,製品版は2100円(税込)で発売中。体験版をプレイして気に入った人は,公式サイトで取り扱いショップを確認してほしい。
■スタジオシエスタ公式サイト
http://members3.jcom.home.ne.jp/studio-siesta/- この記事のURL:
キーワード