連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第133回「携帯電話のゲイムにはまった件」
……はい,微妙に「スクール☆ウォーズ」を見ていた世代ではない34歳男色ディーノよ。そもそもスクール☆ウォーズと言ったところで,知らない読者のほうが多いかもしれないこのジェネレーションギャップったら。
えっと,スクール☆ウォーズって学園モノのドラマなんだけどね,冒頭のセリフは,確かラグビーの試合で109対0で負けたあと,熱血教師が生徒達に激怒して言ったものなのよ。
負けたことに怒っているんじゃない,同じ高校生相手になんでこんなに差がつくんだ,と。ラグビーを舐めるな,人生を舐めるな,と。今,自分がやっていることに一生懸命にならないで,この短い人生で一体何ができるんだ,と。お前らゼロの人間なのか,と。このままゼロの人間で終わるのか,と。悔しくないのか? と。で,殴るくだりに入るわけね。
ウン,いいことを言ってはいるものの,まずまず無茶苦茶な展開ね。ま,生徒達も「悔しいです!」みたいになるからいいんだろうけど。きっと昔は,こういう教育が行われていたわけね。今だったら暴力教師として訴えられるだろうし,そもそもドラマを作る側が生徒を殴るという描写を避けるんでしょうけど。
これを教育においていいことと捉えるか,悪いことと捉えるか。正直,私には分からないわ。ただ,教師に殴られたことを,生徒は絶対に覚えている。問題は,なぜ殴られたか。明らかに自分が悪いことをした時ならば,それを含めて覚えているし,単に教師が怒ったから殴っただけじゃないかという時も,しっかりと覚えている。暴力か愛の鞭か。そこの差を考えることもせずに一律で線を引いてしまうような今の教育は,ちょっとおおざっぱすぎんじゃないかな? と思う時もあるわね,正直。ま,教育評論家ってわけでもないから,これ以上のことは分からないけど。
ただ! 今のプロレス界は,1月から12月はおろか,日曜日から土曜日までを英語で言えない若手が増えているという問題に直面しているのよ。日曜日を「holiday」と言ってしまう若手,そして笑いながら「入江君,それじゃ『毎日』になっちゃうよ〜」とツッコむ石井。彼らを見れば,日本の教育が一時期停滞していたであろうことを実感せざるを得ないわ。とか言いながら,かく言う私も干支を全部は覚えられてないんだけどな。
109対0とは言わないまでも,家庭用ゲイムは携帯電話のゲイムに確実に負けている部分があるわ。そして,たぶん家庭用のゲイムメーカーが気付いているであろうことを,今さら私が気づいてしまったというこの間抜けさ。どちらかというと,殴られてしかるべきなのは私かもしれないわ。
ともかく,今さらながら携帯ゲイムをプレイしたよって話。私がプレイしたのは「モバゲー」で提供されているいくつかのシミュレーションゲイム(ええ,「100万人の信長の野望」なんかよ? 悪い?)なんだけど,まず私が脅威に感じたのは,ゲイム性がさほど無いにも関わらず,十分ゲイムをプレイした気になれるってこと。
例えば,携帯電話のゲイムって極論すると決定ボタンを押してるだけなのよ。家庭用ゲイムもボタンを押しているだけではあるんだけど,方向キーやらLやらRやらで,けっこう複雑な操作をしているじゃない。でも,携帯電話のゲイムだと,本当に決められたボタンを押すだけなの。
それでも戦をしているように思えるし,兵を訓練しているようにも感じられてしまう。で,一つのボタンを押しているだけにも関わらず,もの凄くゲイムに対して時間を使った気になってしまうわけ。
冷静になって考えてみると,ボタン押しているだけで一喜一憂するなんてバカバカしいじゃない。でも,面白い携帯ゲイムって,ボタンを押すだけなのに感情移入させられちゃうのよ。
でも,一歩踏み出して体験すると,意外に楽しかったりするものなのよ。
携帯電話のゲイムがボタン押すだけで楽しいってのもそうだし,プロレスを見るのだってそう。こうやって薦めると,どちらも嘘臭く聞こえるだろうけど,本当の話よ。
ことプロレスに関して言えば,実際に楽しんでる人達がいるおかげで,私は飯を食えてるわけだから。だから,携帯電話のゲイムを作っている人も,ボタンを押すだけでどうやって感情移入させるかってのをもの凄く考えているんだと思う。
人を意図的に感動させるためには,どうやって感動させるかをそれこそ感動的なまでに考え抜いているものなのよ。ボタンを押すだけ,というシンプルなものならなおさら。
あ,誤解のないように言っておくと,携帯電話のゲイム全部が一つのボタンを押すだけではないわよ。私がプレイしたのがシミュレーションだからボタンを押すだけと感じたのかもしれない。ただ,これが例えアクションゲイムだとしても,携帯電話でプレイするゲイムである以上,家庭用ほど複雑な操作は必要としないはずなの。それでもゲイム的満足は与えている。
……だとすると,家庭用ゲイムも売れなくなるわよね。もちろんね,ガッツリとゲイムをプレイする人だったら家庭用ゲイムを買うでしょうよ。でも,いわゆるライトゲイマー層は,お金もかからない携帯ゲイムで十分満足が得られるわけだから,数千円も出して買わなくなるわコレ。
結果,家庭用ゲイムには話題性のある大作か,人気シリーズの続編か,数字を持っている声優さんや絵師さんを使ったギャルゲイだけが残ってしまう。今あるゲイム界の状況は,まったくもって必然の流れだと思うわ。
そんなことを,本当に今さらながら,実際にこの身で携帯電話のゲイムをプレイすることで思い知ってしまったわけね。
もちろんね,広い意味で見ると,携帯ゲイムを通じてゲイムに触れる人が増えるっていう好ましい状況なのよ。それに関してはいいことだと思う。でも,私が危惧するのは,ゲイムメーカーの経済活動が成立しなくなってしまうこと。
無料でゲイムが遊べるのが普通になってしまったら,有料のゲイムが売れにくくなる。すると,開発費が削られて,作り手の満足いく作品が作れなくなってしまう。ここが怖い。
無料と思わせながら気付くとお金をばんばんつぎ込みたくなるようなゲイムだけが,ゲイムメイカーが経済活動を成り立たせるようになるのも怖い。怖いというか,残念よね。
おそらく,今後も携帯電話のゲイムが技術的にも表現的にもシェア的にもどんどん勢いを増していく流れは止められないでしょうね。ゲイマー的には,携帯電話のゲイムが発達することによって,家庭用ゲイムがしぼんでしまうような事態だけは避けてほしい。
理想を言うならば,家庭用ゲイムから携帯電話のゲイムにゲイマーが流れるだけではなくて,双方がうまく連携をとって,互いに盛り上がるような,そういう広がり方を見せてほしいものね。
というわけで,ここにきて携帯電話のゲイムも私のゲイムライフに加わったわけだけれども,これを機にスマートフォンの導入を本格的に視野に入れようと思っているわ。もちろんゲイム機として。
ただ,私ってなかなかメールを返さないという悪い癖があるんだけど,スマートフォンにすると「出先でメールを見ることが出来ない」という,今までエースとして活躍してきたいいわけが通用しなくなってしまうのよねぇ……。
そんな私の悩みに対し,まさにピッタリなセリフがスクール☆ウォーズにあったから,最後にそれをお届けして今週はお別れとさせていただくわ。病で余命いくばくもないイソップが言った「人は何のために生きているのか?」というセリフに対する校長の一言。
「みなさん。私もその昔,死について考えさせられたことがあります。私はその時,少年航空兵でした。私は,八紘一宇とか,大東亜共栄圏とか,そんな標語のために志願したのではありません。ただ空襲から父母や兄妹達を守りたかった。そして,分かったのです。人間は,正義とか人道とかいう,単なる抽象的な言葉のためには絶対に生き死にはできないんです。ですが,妻や子供達のような手触りのある,具体的な愛する者のためになら死ねる。奥寺 浩はこれまで何を愛してきたか。それは……ラグビーのはずです」
いい話だけれども……何が言いたいんだ,私? また来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「ワールドサッカー ウイニングイレブン2011」
ニンテンドー3DS:「バイオハザード ザ・マーセナリーズ 3D」
PSP:「三國志IX with パワーアップキット」
Wii:Wii Fit
Xbox 360:……
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