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「RED STONE」の特別講義と「RED STONEデザインコンテスト」表彰式が行われた東京コミュニケーションアート専門学校の卒業進級制作展をレポート
TCAでは産学協同教育を積極的に行っており,TCA2014においても,自動車メーカーの富士重工業や,製菓会社の明治など,そうそうたる企業と組んだ企画が発表された。
ゲーム業界とのコラボも多く,「モンスターストライク」(iOS / Android)「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」(iOS / Android)といったタイトルでのキャラクターデザイン企画などが出展。「RED STONE」では,イメージイラストや装備品のデザインコンテストが行われ,TCA2014の会場では,東京ゲームショウ2013で公開された候補作の中からプレイヤーの投票によって選ばれた最優秀賞の表彰式が行われた。
今回のコンテストについて嶋田氏は,「パッと見て面白そうとか,カッコイイとか,一目でアピールポイントが分かりやすいものが選ばれたのではないか」とコメント。
アバター部門の受賞作「ファントムシーフ」は女性プレイヤーのみならず男性プレイヤーからも,魔法のカーペット部門の受賞作「フラワードリーム」は熱狂的なプリンセスファンからの支持が厚かったことを明かし,「僕ら運営も最優秀作品を早くゲームで実装できるよう開発元にプッシュしていきますので,今しばらくお待ち下さい」と挨拶を締めくくった。
「RED STONE」運営プロデューサーの嶋田真人氏 |
講義はオンラインゲームとは何なのかというところからスタートし,「RED STONE」を例にして,課金形態や,デベロッパーとパブリッシャーの役割,そして運営の業務についての説明が行われた。
運営の業務内容は「RED STONE」の場合,大まかに企画,サポート,デバッグの3つに分けられているという。嶋田氏は,学生達がもっとも関心があるであろう企画について「ゲーム内でイベントをしたり,キャンペーンを行ったりという業務です。楽しいことを考えて,ゲームを作っていきますので,一番人気がある業務ですし,競争率も高いです」と説明した。
「RED STONE」イベント担当 EMアース氏。実はTCAゲームデザイン科の卒業生とのこと |
EMアース氏は,企画の立案から実施までをひとつの流れとして紹介した。
STEP1 とりあえず思いついたものを紙にメモして忘れないようにする。書き出すことで,イメージが明確になるという。自分が分かればいいので,絵の適当さは気にしないでいいらしい |
STEP2 次にほかの人にも分かるように文章化する。ポイントは目的とリスク。とくにリスク管理は重要で,イベントを行ったことにより事故が起きることもあるので,対処法を含めて考えておく必要がある |
STEP3 まとめた企画を会議に提出。ほかのスタッフと議論を重ね,ときには叱られながら企画を詰めていくのだという |
ここでEMアース氏が「では今回紹介した企画を実施してみたいと思います」と,壇上から会社に電話をかける。
そしてスクリーンには「RED STONE」の画面が映し出された。上記の企画スケジュールや告知ページの写真をよく見てもらうと分かると思うが,実は今回のゲーム内イベントは,この特別講義のために組まれたもの。大まかなイベントの内容はプレイヤーに告知ずみだったため,会場となるマップには多くのユーザーが集まっていた。EMアース氏が「平日のこんな時間になんでこんなにいるんでしょう(笑)」と会場を和ませる中で,イベントがスタートした。
しかし,写真を見ても分かるように,プレイヤーキャラクターの数と攻撃のエフェクトが多すぎて,モンスターがどこにいるかまったく分からないという状況に……。姿が確認できないまま,「TCAきむら」は討伐されてしまった。
多くのプレイヤーが参加してくれたのは良かったが,せっかく登場させたモンスターが見えないのでは,イベントが成功したとは言いづらい。図らずも企画という仕事の難しさが表れた結果となった。
そんな微妙な空気の中,EMアース氏は「このような感じでイベントを実施し,その結果を次のイベントにつなげたり,生かしたりすることがEMとしての役割」と実演をしめくくった。
嶋田氏は「今のように,プレイヤーのみなさんから面白くなかったとよく言われます。でも,この企画は楽しかった,あのイベントはもう一度やってほしいと言われると,ものすごく嬉しいですね」とフォロー(?)。さらに「RED STONEも今年で運営が9年目になります。プレイヤーさんも目が肥えていて,いろいろな意見をもらいます。それはすごくありがたいことで,それらを元にもっと面白い企画を立てていくことが企画や運営の醍醐味だと思います」と付け加え,企画という仕事の面白さをアピールしていた。
そして学生たちには「開発元や社内との連携を進める上で,企画や運営にもっとも必要なのはコミュニケーション能力です。いろいろなことを経験したり,いろいろな人と関わり合うことは,コミュニケーションを磨くだけでなく,企画を考えるときに役に立つ」とアドバイスしていた。
最後に嶋田氏は「運営を目指す方もそうでない方も,またほかの企業に入っても,いろいろな経験をしておくと将来の役に立つと思います。さまざまなことに興味を持ち,チャレンジしてください」と学生達にエールを送り,特別講義を締めくくった。
「RED STONE」公式サイト
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