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こんなオフィスで働きたい! 韓国NHNの新社屋「NHN Green Factory」を見学した,「NHN Japan MEDIA TOUR」レポートを掲載
ツアーの主旨は,昨年2010年3月に完成した新社屋を含む,日本メディアにむけた韓国NHNの会社説明と,スマートフォン事業,検索事業を中心とした,2011年以降の同社の戦略について明らかにするもので,4Gamer的には気になる「TERA The Exiled Realm of Arborea」の新情報なんかは,残念ながら今回はまったく出てこない。読者的にもちょっと興味から外れる部分が多いかもしれないが,韓国のNHN未来に生きてんな,という感じで,ざっくり読んでもらえれば幸いだ。
「NHN Japan」公式サイト
近未来感とエコが同居した新社屋「NHN Green Factory」
地下8階・地上28階の高層建築で,写真ではちょっと分かりにくいが,外見は「NHN Green Factory」の由来でもあり,またNHNの企業カラーである緑で統一されている。昨年完成したばかりだけあって,内部も非常に近代的。すべての場所/設備に空間デザインの手が加えられ,机や椅子,照明といったインテリアにまで,働きやすい環境を作るための配慮が施されている。機能的にも広大なミーティングスペースに社員食堂,授乳施設や保健室,さらに1Fには地域住民も利用できる図書館まで用意されていて,誰もが「こんなオフィス……う,うらやましくなんかないんだからね!」と言わずには居られない,理想のオフィスといえるだろう。
ちなみにNHNというと,日本では「ハンゲーム」のNHNというイメージが強いが,韓国では(もちろんハンゲームも有名だが)検索エンジン「Naver」のイメージが強いらしく,韓国の大学生のあこがれの企業とのこと。女性社員の比率も40%と多く,非製造系のIT系企業では第1位の支持率を誇っているそうである。
量より質のブランドを目指す,スマートフォン事業
この状況に対し,スマートフォンゲームに対するニーズは,ハンゲームの得意とするオンラインゲームと同じ形に変化していくだろう,と同社は考えているという。シンプルなダウンロード/消費型のゲームから,オンラインを前提とした,より複雑な,サービスとしてのゲームへとプレイヤーが流れていけば,同社がこれまで培ってきたノウハウ/ブランドがそのまま活かせる形となる。
そこで同社が提唱するゲームプラットフォームが「Fun CONENECT」だ。ゲームタイトルを超えたフレンドリストやランキング,SMS,挑戦課題などを提供するもので,発想としてはありきたりではあるが,それだけに上手くいけば面白いことになるのは間違いない。現状のハンゲームのブランド力/タイトル数を考えれば,その可能性を秘めているといえるだろう。
この戦略に基づき,同社では1000億ウォンを投じて年内に30タイトルほどのスマートフォンタイトルをリリース予定で,その中には大作ゲームも用意されているとのこと。2011年4月に行われた「HANGAME SMART DAY 2011」でも語られたように,もちろん日本市場も視野に入っていて,具体的な形は決まっていないものの,これらのタイトルは,近いうちに日本の我々の手元にも届くことになるだろう。
すべてのセッションが終わった後には,NHN Japan代表の森川 亮氏も登壇,メディアからの質問に答えた。スマートフォンのゲームプラットフォームについての質問では,量より質のブランドを目指すと回答。また韓国NHNで用意している大型タイトルのほかに,カジュアルな定番ゲームを50タイトル以上予定しているという。 また日本と韓国のトレンドの違いについては,私見であると断りを入れつつ,スマートフォンにおけるソーシャルゲームは,日本ではあまり伸びないのではないかと自説を語った。なので,まずは定番ゲームとオンラインゲームに注力するとのこと。ROの頃のように,スマートフォンでもオンラインゲームの時代が来ると言うが? |
アジアではインデックス型が強い? NHNの柱である検索事業
ではなぜNaverは,韓国においてGoogleを押しのけて,これほどまでの影響力を持ち得たのか。その答えは,Naverが提供する「正解型検索」にあるという。同社のいう正解型検索とは,GoogleのPageRankのような機械的な検索のみに頼るのではなく,良質な検索結果を提供するデータベースを人力で構築する,いわゆるインデックス型検索のことで,例えばアイドルグループ「少女時代」で検索すると,メンバー構成やデビューの年,最近の活動から,さらにはファンクラブへの入会ページまでがトップに整列して表示される。NaverではBingやYahoo!と提携して,同種のデータベースを提供しており,海外市場においても高い評価を得ている。また検索ワードのトレンドやサジェストなども早くから提供しており,同社の立場から見ると,Googleなど後から真似した形になるのだそうだ。
同社は,とくにアジアでは,純粋な機械検索よりも,インデックス型と機械型検索をミックスするほうが好まれるという。Googleが韓国語に対応するのが遅かったのも,Googleがシェアを取れなかった原因の一つではあるが,日本でもインデックス型であるYahoo!がトップシェアを握っていることを考えると,あながち外れた意見ではないかもしれない。
ただ人力によるインデックス検索のDB構築は,その国の文化について熟知している必要があるため,簡単には海外展開できないのが弱みである。同社も海外への進出は考えているとのことだが,今のところ大きな成功は得られていない。まずは日本をはじめ,文化的に近いアジア圏から手を出していく予定だとのことだ。
「NHN Japan」公式サイト
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ハンゲ
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(C)NHN hangame Corp.