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「AR performers」が実現する新たな2.5次元エンターテイメント。その魅力と可能性を“チーム・シンジ”の皆さんに聞く
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印刷2017/01/13 00:00

インタビュー

「AR performers」が実現する新たな2.5次元エンターテイメント。その魅力と可能性を“チーム・シンジ”の皆さんに聞く

 ユークスが展開する「AR performers」は,キャラクターデザイナー,CGクリエイター,ボイスアクター,モーションアクターなど,優れたスキルを持つプロフェッショナルが集結し,魅力ある拡張現実アーティスト「AR performer」を造り上げるプロジェクトとして,各方面から注目を集めているコンテンツだ。
 2016年4月には「AR performers β LIVE」が開催され,洗練された歌やダンスなどのパフォーマンスで,詰めかけた観客を魅了した(関連記事)。


 そんなAR performersの2回目の公演にして,“β”ではない最初の本公演が,1月14日,15日に「AR performers 1st A'LIVE」としてディファ有明で開催される。これを前に,プロデューサーの内田明理氏は,どういった仕掛けを用意しているのだろうか。
 今回,内田氏に加え,テクニカルアニメーションディレクターを務めるユークスの塚本達晃氏,作曲・編曲家の平田祥一郎氏,シンジのボイスアクター「VCast」さん,シンジのモーションアクター「ACast」さんら“チーム・シンジ”の皆さんに,AR performersの魅力を語っていただいた。

「AR performers」公式サイト



各分野のプロの知識と経験が詰まったAR performers


4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。
 まず,AR performersにおける皆さんの役割からお聞かせください。

内田明理氏(以下,内田氏):
 全体を統括するプロデューサーを務めています。個人的には,キャラクターの原案を最初に考える役割だと思っています。
 その後もアドバイスはしていますが,基本的には演者さんとお客さんとの関係の中で出来上がっていくキャラクターだと思いますので,出発点を作る役だと考えています。

4Gamer:
 では,実際に現場の指示を出されているのは内田さんでしょうか? それとも別の方が?

内田氏:
 おおむね僕が現場にいて,皆さんとディスカッションしたり,指示を出したり……といった感じですね。

4Gamer:
 では,塚本さんはどういった役割を担っているのでしょう?

塚本達晃氏(以下,塚本氏):
 内田からのアドバイスを受けて現場に指示を出しています。イメージされているものを形作っていく過程で,私自身はプロジェクトの手足の中でのトップとなります。人を動かしていく立場でもあるんですけど,今回は作っていくうえでも携わらせていただいています。
 例えば演者の方が演じて動く以外のところを,計算で動かしたりします。服の揺れや目の動きだったり,言葉をしゃべっている中でどのように顔を動かしていくかだったり,その仕組みを考えることも私の役割です。

4Gamer:
 なるほど。現場を統括するだけでなく,リアルタイムの演出も担当されているんですね。平田さんは楽曲を担当されているということで。

平田祥一郎氏(以下,平田氏):
 さまざまなタイプの楽曲を作っております。

4Gamer:
 AR performersに携わるきっかけはなんだったのでしょう?

平田氏:
 実は以前は内田さんと同じ会社に勤めていたんです。ただ,そのときはとくに接点もなく,たまに喫煙所でお会いする程度でした。

内田氏:
 平田さんがどういったお仕事をされているかは知っていましたし,個人的にご一緒したいなと思っていました。とくに会社を辞めてからは大活躍されていて「なんで一緒にお仕事できなかったんだろう」とずっと考えていたので,今回思い切ってお声がけしました。
 僕はいつも種を提案して皆さんにアレンジしていただいたり,その先を作っていただくんですが,目指すビジョンは共有できているつもりでも,どうしても考え方の違いから修正のお願いが発生するんですよね。ところが平田さんは,ほぼノータッチで「ありがとうございます」と,作っていただいたものをそのまま使わせてもらえた方で,それは僕にとっても数少ない経験でしたし,AR performersは平田さんナシでは考えられません。

4Gamer:
 続いてACastさんは,シンジのモーションを担当されているらっしゃいますね。

ACastさん:
 はい,「AR performers β LIVE」のときにはレイジ君も担当させていただきました。ちなみに,シンジのほうが自分とプロフィールが似ていると思いました……天才なのは置いておいて(笑)。ダンスもやるしバレエもやるし,とっても演じやすく感じられました。

4Gamer:
 キャラクター設定を見たときからシンパシーを感じていたんですね。

ACastさん:
 そうですね。僕もいろいろな作品でモーションアクターを担当させていただいているんですが,王子様系やナルシスト系を演じることが多いこともあって,今回は引っかかりもなくスッと役に入ることができました。

4Gamer:
 では,VCastさんは最初にこのお話が来たときはどう思われましたか? 普段の声優の仕事と異なって名前を表に出せないという形ですが。

VCastさん:
 すごく面白いコンテンツだと思いました。最近はありがたいことに,声優という職業をフィーチャーしくださることが多いんです。ですが,本作では自分も作り手のプロの皆さんと一緒になって,一つのキャラクターを作り上げていく一端を担えるということは,挑戦でもありますし,興味深いとも思いましたね。

4Gamer:
 戸惑いというよりも,期待や好奇心を持って臨んだと。

VCastさん:
 そうですね。お話をいただいたときも,「ぜひ」と申し出させていただきました。


二人のキャストがシンジを通して“一人”になる瞬間


4Gamer:
 ACastさん,VCastさん,そしてスタッフの皆さんの存在があって,初めて一人のキャラクターが成立するのが,AR performersの大きな特徴ですよね。
 リアルタイムで息をそろえて一人のキャラクターを演じることの楽しさ,あるいは難しさはどういったところにありますか?

ACastさん:
 β LIVEで初めてご一緒させていただいて,段取りや練習を通して本番を迎えたときに,「今,一つになったな!」と思えたときは楽しかったですね。
 シンジが話すときに,後追いで手を振ると嘘くさくなってしまうので,シンジが声を出す間を想像しながら「VCastさん,ここ!」と動いて,ピッタリ合う瞬間が何度もありました。自分でしゃべっているかのように動きがシンクロした瞬間が何度もあったんですよ。

VCastさん:
 僕はこのお仕事で初めてモーションアクターの方にお会いしたんですけど,凄まじいプロの技を目の当たりにしました! 舞台ともドラマとも違う,モーションアクターならではの動きがあって。
 そんな動きのセリフを自分が担当させていただいているんですが,僕も「このタイミングで手を振るかな?」というときに,セリフを言ってみたらピタッとハマって。そのときの達成感はかなりのものでした。

4Gamer:
 お二人とも同じポイントで達成感を得られていたんですね。

VCastさん:
 もちろん僕らだけで作っているわけではなく,本番中もスタッフの方が微調整したり,手動で制御してくださったり……といった中で演じているので,その楽しさは10人いれば10倍だと思います。決して1人では完結しなくて,だからこそ声を担当している者としての責任は大きいんですよね。なので,キャラクター設定も書き加えて微調整しています。

4Gamer:
 そうなんですか?

VCastさん:
 はい。もちろん僕だけでは決められない部分があるので,いつも内田さんにキャラクターの方向性を相談しています。

内田氏:
 僕が普段キャラクターを作るときは,好きな物とか家族構成といった細かい設定は,あまり作らないんですよ。どちらかと言うと,人格の根幹を担っている部分や背景にある本質的なものを考えて,そこからお話を動かして必要な設定だけを付けていけばいいという考え方で。でも今回に至っては,そもそも人格が動いていくものなので作りようがないんです。
 最初の雛形の時点でイメージがあって,あとは受け答えするための設定が膨大に必要なんですけど,そのあたりはお二人が生で動いたときに初めて生まれるものなので。

4Gamer:
 なるほど……。

内田氏:
 そういう意味では,普段と真逆のことをやっているのが非常に面白いんですよね。「○○が好き」「普段は○○」といったものは設定であって性格ではなく,その設定をベースにお二人のインスピレーションや個性,あるいは自分の経験などが混ざって,シンジの人格が確立されていくんです。
 なので,先ほどキャラクターの方向性を相談して……とおっしゃってましたけど,それこそVCastさんが考えていらっしゃることや,ACastさんが過去に経験してきたことが,どんどん現場で入ってくるんです。それが非常に面白いですね。

ACastさん:
 それらがあるから,「王子様だから手の振り方は高貴な感じかな?」「バレエをやっているから手の動きをゆっくり柔らかくしてみよう」といった具合に,動きを工夫することができました。
 ただ,ライブではいつも何が来るか分からないのが怖くもあるんですよね。質問に対してのイエスかノーかも,VCastさんとアイコンタクトで決めているんです。

4Gamer:
 ライブではお互いに向き合って演じているんですか?

VCastさん:
 そうなんです。僕が読むときは目を合わせています。しゃべり出すタイミングも,マイクを持つ動きがあるので同時じゃないといけなくて。どうしてもしゃべるほうが先になってしまうので,先に手を上げてからしゃべり出すルールを決めました。

ACastさん:
 でも,最後のほうはあまり手を挙げなくなってしまって……(笑)。

内田氏:
 アイコンタクトだけになっていくんですよね。まるでテレパシーのようで。
 それを傍から見ていると素敵ですし,二人が見つめ合ってシンクロして,決して入り込めない感覚に,嫉妬にも似た感情を覚えるんです。「俺が作ったキャラクターなのに……!」と(笑)。

一同:
 (笑)。

シンジ

内田氏:
 シンクロしているときの張り詰めた感覚は素敵でした。

VCastさん:
 どの現場でも味わったことのない体験でした。

ACastさん:
 本番の最中にも内田さんから「じゃあこんな動きを入れてみようか?」と提案していただいて,キャラクターが膨らみました。一回のステージごとに育っていくから,とても面白いんですよ。

内田氏:
 シンクロ率もリハーサルを重ねるごとに上がっていきましたし,できることや,やるべきことも見えてきました。それが,まるで本当に人が育っていくかのような感じなんです。

4Gamer:
 そのように新しい技術が裏で生み出されているとは思っていませんでした。今までアクター同士が動きとしゃべりを生み出すことも初めて聞きましたが,それらの技術は最初から確立されていたわけではないですよね?

塚本氏:
 まったくの手探りでしたね。

ACastさん:
 最初は手を上げたりブレスの位置を探ったりしていましたが,おそらく同じものが見えてきたからだと思います。

VCastさん:
 お客さんが生でリアクションをくださるからこそ,こちら側もタイミングを見て笑ったり,間を溜めて息を吸ってからしゃべり出したりしていました。実際のライブの雰囲気があったからこそ,僕らもシンクロできた部分があるので,お客さんがいてくださることで成り立つステージなんだな,と。

4Gamer:
 ライブでモーションを披露するのは,このプロジェクトが初めてですか?

ACastさん:
 初めてです。

4Gamer:
 となると,ほかのお仕事とは,かなり異なる内容だと思いますが出演されていかがでした?

ACastさん:
 ライブ中はモニタ越しにステージやお客さんが見えていたので,テンションが上がっていきましたね。
 それに,こちらが手を振ると会場の皆さんが「ワーーー!!」と反応してくださるので,僕も内心「ウェーーーイ!!」とはしゃぎたい……んですけど,キャラクターが崩れるので我慢してます(笑)。

4Gamer:
 歌っているときと,MCをしているときの両方を演じないといけないですし,気持ちの切り替えも重要になってきますよね。
 こうしてお二人が息を合わせているところで,スタッフの方は技術的な部分を担当されているわけですが,表情を差し込むタイミングはどこで判断されているのでしょうか?

塚本氏:
 基本的にはお二人の表情を確認しながら,動かしています。ただ,質問を振られて何を語ろうかを考えているとき悩むのか微笑むのかは,こちらで遊ばせていただいています。
 でも,ただリアルに表情を追ってしまうと,かえって違和感が目立ってくると思うので,そこをなるべく排除するように心掛けています。そのうえで「シンジが生きている」と仰っていただけるのは,成功かなと思います。

内田氏:
 やはり2Dのイラストなので,実際の人間と比べると情報量が少ないわけですね。それに合わせて表情の細かい変化やモーションの細かさを間引いていかないと,気持ちの悪いものになってしまうんです。それをプログラムで制御しつつ,最終的には人の手でキューを出しています。

塚本氏:
 とくに目の動きについては,何度も内田と確認してきました。実際に動いて顔を向けたときに,目がどこに行くべきか理論的に計算式を当てはめて動かしていますね。

VCastさん:
 じゃあほぼオートなんですか?

塚本氏:
 そうですね。

4Gamer:
 これだけの人数が関わっていると,エラーは避けられないものだと思いますが,それらに対応する術は確立されているのでしょうか?

内田氏:
 確立されていないですね。β LIVEのときは,僕がダークスーツにネクタイを付けて,いつでも謝れるようにしていました(笑)。

一同:
 (笑)

4Gamer:
 そんな綱渡りの状態でライブをされていたんですか(笑)。

内田氏:
 今はそれらのフィードバックがあるので,リスクを回避するための対応を進めていますけど,100%ではないですね。

VCastさん:
 僕はもうやらかしましたよ。

4Gamer:
 何があったんですか?

VCastさん:
 MCですぐに噛んでしまいました(笑)。

4Gamer:
 ああっ。でもそれも生っぽくて,人間がその場に居るように感じられそうですよね。

VCastさん:
 それはあるかもしれません。歌い終えたあとに「緊張しました〜」と話しているところで噛んでしまって,お客さんにも「あっ,録音じゃなくて本物なんだ」と気付いていただけましたし。

4Gamer:
 生のアーティストの方だって,噛むことはありますからね。ただ,そこが自然体として演じられるのは,普段の声優の仕事とは違いますよね。

VCastさん:
 完璧にハキハキ言わないと……というよりは,ライブ感を大事にして,噛んでも言い直してしゃべろうとしています。

4Gamer:
 そういうスタンスのほうが,この仕事に関しては合っていると。

VCastさん:
 そうですね。作り込んできたような言い方ではなく,そのときに生まれてくるものがあるので。また,MCの方とやり取りしている中で生まれてくることもありましたね。

4Gamer:
 VCastさん本人のパーソナルな部分も取り込まれているのでしょうか。

VCastさん:
 ……どうなんでしょうね(笑)。

内田氏:
 僕達から見ていると,相当混じり込んでいると思いますよ(笑)。でも,それが我々の狙いでもあるんです。キャストの皆さんには,キャラクターとご自身との共通点を聞かれた際に,堂々と答えていただけるようにしたいんですよ。

VCastさん:
 共通点ってどこだろう(笑)。

内田氏:
 でも完全にご自身とも違うところは,お二人とも役者さんなので,ちゃんとベースを持って演じてくださっています。ただ,アドリブなので,いちいち考えていたらできないリアクションや動きの部分で,素が出てくるんです。それが個性になっていくのが面白くて,動きやしゃべり方のクセが徐々に確立していきます。それを僕達が拾って段取りを組むんです。

4Gamer:
 なるほど。

内田氏:
 なので,演者さんからフィードバックをもらってキャラクターに修正をかけています。それはあらゆるところで実践していこうと思っていて,シンジだけでなくレベルクロスやレオンとの掛け合いになったときのやり取りが練れるようになって。彼との会話ではこうなるよね,といった実績が積み上がっていくのが楽しいです。

4Gamer:
 ライブパートはもちろん,歌やダンスが作り込まれていると思いますが,MCパートは脚本が存在するんですか?

内田氏:
 脚本が存在する部分もありますし,ない部分もあります。全然想定していない質問が,突然投げられることもありますし。

VCastさん:
 キャラクターの根幹に関わるようなことを,自分から思いつきでしゃべるのは少しためらいますね。

4Gamer:
 実際にシンジというキャラクターが,そのセリフを言うか言わないかを判断したうえで,演じなければなりませんよね。

VCastさん:
 だからこそ,普段から内田さんとディスカッションさせていただいて,キャラクターの軌道修正をしてるんです。

4Gamer:
 本来のアニメやゲームなら,制作側が絶対にやらせないことじゃないですか。すでにキャラクターは確率しているから,勝手にキャラクターをしゃべらせるわけにもいきませんし。でも本作では逆にそこが投げられていると言いますか……。

内田氏:
 それが楽しいんです(笑)。一人だけでなく,いろいろな方の考えや性格が混ざり込んでいって,最終的にシンジとして表現されたときに,それが一人の人間として見られるのが面白いですね。

4Gamer:
 このコンテンツの特徴の一つは回数を重ねていくたびに,キャラクターが育っていくところだと思うんです。
 動きもしゃべりも含めて情報量が増えていくじゃないですか。いずれ,現実の人間に近い情報量になるんじゃないかなと考えています。

内田氏:
 関係者の間ではWikiのようなものを用意しているんです。皆さんが「シンジはこんな性格のはずだ!」と思ったとき,すぐ書き込めるようなシステムで。

VCastさん:
 僕の頭の中だけで作り上げるのではなく,皆さんと共有しないとシンジにはならないと思うんです。そこで何かいいアイデアがないかと相談させていただいたところ,今まで言ったことや動作も記録していただいているので,非常にありがたいですね。
 ただ,演じるにあたってシンジ自身は,前のステージで言ったことを完璧に覚えている必要性はないと考えているんですね。間違っていても人間らしいと思うので。とはいえ,大勢のスタッフで毎回顔を合わせられるわけではないので,ちゃんと共有する場があるのは助かっています。

4Gamer:
 本当にスタッフもキャストも総出で一人のキャラクターを作り上げようとしているんですね。
 
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