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「4Gレビューコンテスト」最終結果を発表。応募総数130作品の頂点に選ばれたのは?
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印刷2013/12/27 11:30

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「4Gレビューコンテスト」最終結果を発表。応募総数130作品の頂点に選ばれたのは?

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※レビューコンテストの性質上,応募作品をそのまま掲載しています。ただし,句読点,明らかな誤字・脱字等について,4Gamer編集部で必要最低限の修正を行っておりますので,ご了承ください。

 「HITMAN ABSOLUTION」は,2013年1月24日にスクウェア・エニックスから発売されたステルスアクションゲームだ。プレイヤーは伝説の暗殺者「エージェント 47」(以下,47)となり,潜入や暗殺を中心とする様々なミッションをクリアしていくことが目的となる。

 全世界での累計販売本数800万本を誇るHitmanシリーズであるが,恥ずかしながら著者は本作がシリーズ初体験になっている。実は何の気無しに始めただけだったのだが,著者は他のやりかけのソフトを放置して,数十時間も繰り返しプレイ続けるほど想像以上にハマってしまった。そんな本作の魅力はどこにあるのか,ゲーム内容と共に紹介していきたい。

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「謎の暗殺機関 VS 最強の暗殺者」生き残るのはどっちだ


 まずは本作の主人公“47”と,展開されるストーリーを簡単に紹介しておこう。
 主人公の47は,正体不明の暗殺機関「エージェンシー」に所属するエージェントだ。スキンヘッドと後頭部のバーコードのタトゥー,そして愛用のサイレンサー付きハンドガン“シルバーボーラー”をトレードマークとする彼は,エージェンシーからの依頼を受け,様々な暗殺任務をこなしている。
 実は47は,ある科学者に遺伝子操作で生み出されたクローン体であり,生きる殺人兵器そのものといえる存在だ。それゆえに常人を軽く超える能力を持ち,暗殺成功率100%の実績と共に,裏社会では伝説の暗殺者として知られている。

 冒頭,そんな47にエージェンシーから依頼が舞い込む。それは「47のオペレーターを務めており,友人でもある女性を暗殺せよ」というものだ。詳しい事情は知らされないのだが,彼女は裏切り者であり,厳重な警備が敷かれる邸宅にこもっているという。早速潜入を開始し,警備網の裏をかきながら依頼を達成する47。だがそこで47は,彼女から裏切りの理由と,エージェンシーの陰謀について知らされる……。

スキンヘッドと2丁拳銃がトレードマークのエージェント47。ゲーム開始早々に組織を抜けてしまうため,今作では依頼を受けての暗殺は少ない
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 ここまでが,チュートリアルも兼ねる最初のステージの大まかな流れだ。その後,47はエージェンシーを裏切って行動し始めるため,所属していた組織から最優先で命を狙われる立場になってしまう。また,それとは別の敵対組織が現れ,さらにある失態により,警察さえも全面的に逮捕に乗り出してくることになる。暗殺者という追う立場から,追われる立場へ変わっていく姿が,特に前半で強く描かれるのが印象的だ。

セクシーな刺客にド派手な襲撃を受けることも。47が進む先は,どこも降りかかる火の粉だらけだ
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 気になるローカライズはテキストだけでなく,ボイスも吹き替えられている完全日本語版になっている。主なストーリーだけではなく,周囲の会話や喧噪もプレイ中に自然と耳に入ってくるので,プレイの臨場感が自ずと高まっていく。また,それらが攻略のヒントになっていたりするのも,なかなか上手い演出だ。
 なお,冒頭で書いたように,筆者は旧作を未プレイであるが,それがシナリオを理解する上での問題になることはほとんどなかった。一部の登場人物の設定を除き,ストーリー自体は独立しているので,今回初めてHitmanシリーズを触るという人でも問題なく楽しめるだろう。


レーダーと直感を活用し,誰にも気取られないのが一流暗殺者への道だ


 単身での潜入が基本となる47が頼れるのは,常に自分自身だけだ。
 あらゆる暗殺術や体術を会得し,射撃にも長けた47は,1対1ならば瞬時に相手を無力化できるほど強い。後ろからステルス状態で近づいて絞め殺すのはもちろん,武器を持つ相手に正面から殴りかかっても,負けることはまずない。これはチンピラや普通の警官はもちろんのこと,相手が訓練を積んだ特殊部隊の兵士ですら例外ではない。

敵に近い状態で殴り合いになると,QTEが発生する。大体のパターンは決まっているため,慣れれば素手でも簡単に叩きのめせるだろう
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 とはいえ,多勢に無勢となれば47でも無傷ではいられないし,暴力のみで物事を解決する脳筋プレイだけでは,目標の達成は難しい。特に本作は,敵の数がかなり多めに調節されており,さらに一度見つかると仲間を次々呼ばれてしまう。いくら強靱な47とはいえ,真っ正面から戦い続けるのは,さすがにかなり厳しい。基本はやはりステルス行動になるはずだ。

 潜入任務の基本は“見つからない”ことに尽きる。基本的な物陰に隠れる動作から,クローゼットや大きいごみ箱の中への退避,死角になる壁への張り付き,意図的に物音や騒動を発生させて釣る,など取れる選択肢は多い。左下のレーダーでは敵の向いている方向も確認できるため,積極的に利用して,視界に入らないような立ち振る舞いをすることが重要だ。また,元々人出が多い場所では,人混みに紛れる「ソーシャルステルス」も使用できる。活用できる場所はあまり多くないが,覚えておくと役立つ機会があるだろう。

左下のレーダー内では,敵は水滴のような形で表示される。細い方が正面になるため,なるべく発見されないように気をつけたい
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 だがそれでも,完全に姿を隠し続けるのは難しい。唯一の通り道に警備員が配置されていたりと,どうしても隠れたままでは進めない場所が出てくる。
 そんなときは静かに敵を倒し,衣装を奪って変装するのが,47の常套手段だ。これで邪魔な敵を直接排除できるうえ,不法侵入扱いにもならず,同じ服装の敵以外からは怪しまれなくなる。47は,多くのミッションで敵陣深くまで入り込む必要があるため,変装はほぼ必須のテクニックといってもいいだろう。もちろん,服を奪った死体はクローゼットなどに隠しておかないと,発見されて大騒ぎになってしまうので気をつけたい。

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敵に見つかって警戒されると,難易度は一気に上がる。自らクローゼット内に隠れたり,死体は落として隠したりと,47がやるべきことは多い
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人目を避けるために,とんでもない場所を通ることもある。強靱な肉体を持つ47ならではの方法だろう

 47の特殊能力である「インスティンクト」にも触れておこう。インスティンクトとは,画面右下の「インスティンクトゲージ」を消費して使用できる,一流暗殺者の“直感”だ。ボタンを押すことによって,以下の3つの能力が発動できる。

 1つめは,敵やアイテムを含めたマップ上の仕掛けを画面上にハイライトさせる能力。これで重要な場所が即座に確認できるほか,壁越しでも敵の存在や移動ルートが表示されるため,待ち伏せや回避などにも役立つ。さらに,暗殺やクリアに直接役立つオブジェクトは,輪のようなエフェクトで強調表示され,近づくと詳細やヒントも表示される。この能力だけはゲージを消費しないため,突破口を見つけるためにも,積極的に活用して進めていきたい。

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インスティンクトを使用した様子。ターゲットは赤,敵は黄色,移動ルートは炎,重要なオブジェクトは輪っかのエフェクトで表示される

 2つめは,直接的な攻撃をおこなう「ポイントシューティング」。これは,いわゆる“バレットタイム”を発動し,目前の敵を一気に片付けることができる技だ。具体的には,発動すると時間の流れが遅くなり,その間に見える敵をロックオンしておくと,解除と同時に発砲して敵を瞬時に撃ち抜くことができる。

 3つめは,変装時に敵をやり過ごすことができる「ブレンディング」で,恐らくこれが一番使用頻度が高い。47は変装を得意としているが,残念ながら万能というわけにはいかず,“同じ格好”をしている人には通じにくい。47が近づきすぎると,見覚えがないことに気がつき,あっさりと不審人物だと見破られてしまう。その視線を顔を隠しながらごまかすことができるのが,ブレンディングというわけだ。
 ちなみに,近づくと見破られてしまうのは,フルフェイスタイプのヘッドギアを装備する衣装でも変わらない。正直プレイ中,若干の違和感もあるが,身長や挙動で見破られている……ということなのだと納得しておこう。

 最後に,インスティンクトゲージは時間経過では回復せず,敵の排除や一部のアイテム取得でしか増加しない点も押さえておきたい。ここぞという場面で使用できるように,無駄遣いはなるべく避けた方がいいだろう。


面白さのキモは「多彩な暗殺方法」にアリ


 本作の魅力は,プレイヤー自身である47が,ターゲットの“死亡フラグ”をデスノートよろしく「思い通り」に操れるところにある。様々なオブジェクトやアイテムを使って,文字通りの“身の破滅”を引き起こすことができるわけだ。

 序盤に登場する薬物ディーラー「キング」を例に挙げよう。彼は,マップ中央のベンチでコーヒーを飲んだあと,屋台を回り点心をつまみ,路地で穴を覗いて立ちションをし,自分の車の近くを通って,またマップ中央に戻るという行動を繰り返す。そして,同じマップの中には,例えば次のような武器やオブジェクトが用意されている。フグ毒,高所に吊された不安定な荷物,可燃物が入ったドラム缶とリモコン爆弾,取引用に隠された薬物,スナイパーライフル……などなど。ここまで聞いて,“悪知恵”が働いてきた人も多いのではないだろうか。ここから先が47の腕の見せ所であり,かつプレイヤーの黒い想像力を発揮させるときだ。

 フグ毒はコーヒーや点心,あるいは取引用のブツの中に混入させることができる。立ちションで立ち寄る路地で頭の上に重い荷物を落とせば,自然な事故死に見せかけることも可能だ。また,車に近づいたところでリモコン爆弾を起動させて,車ごと吹き飛ばすという派手な手段もある。あるいはもっとシンプルに,眉間をスナイパーライフルで撃ち抜いてもいいだろう。どんな手段を選ぼうと,最終的にターゲットを抹殺して脱出できれば目的は達成だ。

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怪しいアイテムやオブジェクトには,ほぼ確実に使い道がある。ヒントと敵の動きで推測しよう
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上手くいけばこの通り火だるま。事故に見せかければ47が疑われることはないため,一石二鳥だ

 ステージごとに用意されるアイテムやオブジェクトは違うが,ターゲットが設定されているマップは,いずれも複数の殺害方法が用意されている。転落死,圧死,爆死,感電死などメジャーなところから,場合によっては頭頂部だけが発火したり,油で溺死なんてのも存在する。これらのバエティ豊かな死を,プレイヤー自らが次々演出していけるのが本当に楽しい。特に後半の難易度が高い抹殺方法が成功したときは,小さくガッツポーズが出てしまうほどだ。
 著者の場合は,次はあんな殺し方,その次はこんな殺し方と“悪だくみ”を繰り返していくうちに,自然とプレイ時間がどんどん増えていった。例えマップが同じでも,使うオブジェクトを変えるだけで,展開や難易度はまったく変わってくる。そのため,ステージのリトライが苦にならないどころか,むしろ非常に楽しい。同時にプレイするほどマップの知識も増えていき,より無駄なく潜入と暗殺を実行できるようになるため,自分自身が“一流の暗殺者”になった気分が味わえるのも見逃せない。

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隠れてこっそり暗殺……のつもりが,予想外の結果になってしまうこともある。無関係な人を巻き込むかどうかも,プレイヤー次第だ
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選択するルートによっては,観衆のまっただ中で,正々堂々と真っ正面からターゲットと肉弾戦を繰り広げることも

 本作をプレイしていると,著者はふと昔を思い出してしまうことがあった。読者の中にも,かつて家族や友達に,ちょっとした“イタズラ”を仕掛けたことがある人は多いだろう。気づかれないように準備して,引っかかるまで待ち,そのビックリした反応を楽しむためにドキドキしたことがあるのは,著者だけではないはずだ。
 そのような,昔のたわいのないイタズラと共通するような魅力が,本作にはある。様々な罠の準備を万端にしてターゲットを待つ感覚は,まさに在りし日の“イタズラ小僧”そのものといってもいい。もちろん,作中でイタズラを仕掛けるのは,子供とは対極にある厳ついスキンヘッドの男であるし,仕掛けられるターゲットは,ビックリでは済まない状態に陥ってしまうのだが。


ステージクリア型でリトライは簡単だが,肝心の「暗殺」ができない場面も


 本作はステージクリア型で進み,いくつかのチャプターに分かれたステージをクリアしていくと,次のステージがアンロックされ,シナリオも進むという流れになっている。ストーリー自体はリニアに進み,途中で任意のステージを選んだりはできない。プレイ中の自由度は高いが,どうプレイしてもシナリオの流れは変わらないわけだ。とはいえ,基本的に難易度が一気に上がることはないので,急に難しいステージに放り出されることはない。
 リトライはチャプターごとのほか,マップ中に存在するチェックポイントを起動することで,そこから何度でもやり直すことができる。チェックポイントは,マップの若干見つけづらいところに設置されていることが多いが,ゲームオーバーやリトライ時のやり直し部分を減らすためにも,なるべく見つけて起動しておきたい。

 ただ,ゲームを一通りプレイしていて,「暗殺ターゲットがいない」チャプターが意外と多かったことが若干気にかかった。
 本作の醍醐味は暗殺にあると思うのだが,暗殺ターゲットが用意されていないチャプターは,基本的に潜入や逃亡のみに特化している。ここでは変装して隠れて進むだけか,敵を排除しながら目的の場所を目指すだけで,暗殺を期待する著者は少々肩すかしを食らってしまった。これらのマップはリニアに進むだけのことが多く,行動の選択肢が多い暗殺チャプターと比べると,どうしても物足りない。できれば,このようなチャプターにもあと一工夫欲しかったというのが,正直な感想だ。


同じステージでも“殺し方”次第で繰り返し楽しめるスルメ的な作品

沈黙の暗殺者になるもよし,派手好きなイタズラ小僧になるもよし


 最後になってしまったが,スクリーンショットを見てもらえればわかるように,グラフィックは緻密でリアリティがある。特に汚れの表現が素晴らしく,小汚い裏路地やくたびれた家屋,高級にはほど遠いバーなどは裏社会を舞台にする本作の雰囲気を高めてくれる。また,チャイナタウンなど一部のステージの人混みの密度は圧巻で,群衆に紛れるソーシャルステルスを違和感なく実現できている点も,注目に値するだろう。

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すし詰め状態のチャイナタウン。人混みは人目につきやすく,移動の邪魔になることも多いが,絶好の隠れ場所でもある

 誤解を恐れずにいえば,本作の見た目は万人受けしないかもしれない。主人公は,華があるとはいいにくいハゲのゴツイ男性であるし,演出もそこまで派手とはいいにくい。それに,ステルスが基本であるゲームシステムの関係で,隠れて敵を待ったり,遠回りして敵の目を避けたり,暗殺できるタイミングを計ったりする時間が結構長いのだ。難易度も初プレイではそこそこ高く,無計画な突進は結構な確率で自らの死を招く。
 だが,それでも“バラエティ豊かな暗殺”には大きな魅力を感じるし,隠れて進むこと自体が目的のステルスゲームとは,一線を画する手応えをプレイヤーに与えてくれる。暗殺という最終的な結果は1つでも,それに至るルートは本当にいくつも用意されており,“やらされている”感のないリプレイアビリティの高さは特筆に値する。見た目で食わず嫌いするのは,正直もったいない。
 下準備を終え,ターゲットが罠にはまっていくのをニヤニヤしながら待つのは,端から見れば気持ち悪いだろうが,実際にプレイすれば至福の時間である。かつての“イタズラ小僧”の心を今も失ってはいない,現在は紳士・淑女の皆様に,ぜひ黒い笑いを浮かべながら楽しんでいただきたい一作だ。

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