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「東京国際アニメフェア2012」,3月22日の開幕に先駆けプレス向け説明会を開催。今年は「震災復興支援」が大きなテーマに
今回の説明会では,東京国際アニメフェア実行委員会事務局の鈴木 仁氏が中心となって,TAF2012の開催目的やポイント,詳細な出展内容を紹介した。
2002年に第1回が開催されたTAFは,東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の影響によって開催が自粛されたTAF2011で節目となる10回目を迎えている。TAF2011では,見本市(ブース出展)こそ見送られたものの,過去1年のあいだに放映されたアニメや公募作品を対象とした「東京アニメアワード」やレセプションについては,2011年10月にあらためて行われた。そのため,TAF2012は“11回目”として開催することを決めたと鈴木氏は話す。
そんなTAF2012は,東日本大震災の復興支援を1つの大きなテーマとする。その施策の一環として,海外に対して元気な日本をアピールするため駐日大使館がある16の国に出展を打診し,そのうちの9か国が実際に出展を決めたという。これは,海外戦略を強めた過去のTAFとくらべても,最も多い数字である。実際,ビジネスデーにおけるシンポジウムも,「中国におけるインターネット映像配信ビジネスの最新事情」をはじめ,海外に関連したものが非常に目立つ。
もちろん国内向けの活動もある。TAF2012に出展が決まっている216社480小間のブースの中には,復興支援のための特設小間も作られた。さらに,若手のアニメーターを被災地へと派遣し,写し絵をとおしてアニメ作りを子供達に体験してもらうワークショップや,被災地でのアニメ音楽のクラシックコンサートなどが,TAF実行委員会を中心に行われるとのこと。
また,説明会の最後に設けられた質疑応答では,「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正によって生じた,TAF実行委員会と複数の大手出版社との対立に関する問題についての質問が飛び出し,これに対しても鈴木氏は正面から答えた。
鈴木氏の回答によれば,TAF2011で不参加を表明した出版社とは向き合って話をし,現在では条例の慎重な運用についてのある程度の着地点を見つけているということだった。
一方で,不参加を表明した出版社が中心となって立ち上げたイベント「ANIME CONTENTS EXPO 2012」(ACE2012)は,昨年の予定同様に3月末に開催される。これについて鈴木氏は,「TAFとACEでは目的とターゲット層が異なる」と述べていた。続けて,「双方がバーサス感を持つのではない」とも話し,2つのイベントによって,アニメーション業界がより盛り上がるような相乗効果が生まれることに期待を寄せた。
なお,鈴木氏個人は,来年以降,イベントを再度1本化するのが望ましいとも話している。そのほうが,日本のアニメーションのコンテンツ力を集約でき,より高い水準のものとして発表できると考えているからだ。
だが,来場者のことを考えればイベントを分散することにもメリットがあるとも話している。TAF2010たけで13万2000人強の来場者を集めるなど非常に注目度の高いイベントであるがゆえの一般公開日の混雑は,親子連れなどのことを考えれば軽視できる問題ではないという。
ともあれ,アニメーション業界の“2大イベント”が,どのようなカラーになるのかは,アニメが好きな人ほど気になるところ。TAF2012は3月22日に東京ビッグサイトで,ACE2012は3月31日に幕張メッセで,間もなく開幕する。
東京国際アニメフェア2012公式サイト
●ブシロードブース
説明会には,TAF2012で最大規模(40小間)のブースを展開するブシロードから,木谷高明氏(代表取締役社長),徳井青空さん(声優),寺川愛美さん(声優)がゲストとして登場,ブースの見どころを紹介した。同社は全面的にTAF2012を後押ししており,来場者特典にカードゲーム「ヴァンガード」のPRカードも用意される。
木谷高明氏(代表取締役社長) 徳井青空さん(声優) 寺川愛美さん(声優)
●Project blossom
竹内宏彰氏(Project blossomプロデューサー)
「フラクタル」の山本 豊監督が手掛けるチャリティアニメ「Project blossom」を紹介するために,竹内宏彰氏(Project blossomプロデューサー)が登壇。Project blossomは,色鉛筆で描いたような“ペンシルタッチ”の新たな表現を目指したアニメであり,震災をテーマに,3月11日に何が起こったのかを世界に訴える内容になるという。
説明会ではイメージカットが初公開された。TAF2012では,このアニメの先行上映も予定されている
●夜のとばりの物語
スタジオジブリ ライブラリー事業室 内野友美氏
スタジオジブリ,ライブラリー事業室の内野友美氏が紹介したのは,「キリクと魔女」や「アズールとアスマール」で知られるフランスのミッシェル・オスロ監督が手掛けた新作アニメ「夜のとばりの物語」。独特の色彩美と影絵による表現が魅力だ。TAF2012には監督自らも登壇して,ジャパンプレミアを行うという。
このほか,ステージイベントやブースの出展内容については,TAF2012の公式サイトに詳しい。
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