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関東経済産業局がオンラインゲームデベロッパ向け海外進出セミナーを開催。5か国のスポークスパーソンが海外展開のメリットを語る
ライト氏は,カナダのゲーム産業の最大のメリットとして,アメリカと一体化した巨大な北米市場を構成している点を挙げた。
またカナダのゲーム関連企業はモントリオール,トロント,バンクーバーの3都市に集中しており,いずれもアメリカの主要都市から飛行機で1.5〜2時間程度とアクセスがよく,時差がないこともメリットである。
さらにライト氏は,カナダでゲーム産業が盛んになった理由として,産官学が連携してゲーム関連の人材および企業の育成に努めていること,そしてデジタルコンテンツ制作に対する税制優遇措置がなされていることを紹介した。
さらに松野氏は,欧州のデジタルコンテンツ市場は,2015年には,2010年の約2倍となる42億USドル規模に成長するとの予測を披露し,ゲーム市場ではPCパッケージゲームが頭打ちになる一方で,オンラインゲームの成長が見られるだろうと話していた。
また欧州のゲーム市場について,北米および日本の大手パブリッシャが支配的であるが,今後,市場がオンラインゲームにシフトすることで,欧州企業にもチャンスが到来すると展望を述べる。
その一方で,松野氏は欧州でゲーム事業を展開する上での課題を指摘する。まず,さまざまな言語が使われている欧州においては,英語のみで全域をカバーすることはできず,言語圏ごとのローカライズは必須である。
さらにオンラインゲームに関する法規制が整備されていない点や,国によって主流となる支払い手段が異なる点も大きな課題だ。後者に関しては,例えば西側ではクレジットカードが普及しているのに対し,ルーマニアではモバイルペイメントが主流になりつつあるなど,欧州全体でビジネスを展開するとなると実に100種類以上の支払いオプションを考慮に入れなければならないそうである。
そうした状況下において,ルクセンブルグでゲーム事業を展開するメリットとしては,支援/助成制度の充実やインフラの整備,EU加盟国の中で最も低い実質税率,IP収入に対する最大80%の免税などが挙げられた。
また東南アジアは総人口に対してゲームで遊ぶ人の割合8.6%がまだまだ少なく,今後の成長が見込める市場だ。その中において,シンガポールは2009年のゲーム/アニメ産業は,2005年と比較して22%成長したとのことで,ここでもウィー氏はシンガポールの優位性をアピールした。
ライト氏の言葉にあるとおり,今でも日本のゲーム/コンテンツ産業に注目している海外企業/国家は少なくない。むしろ,1990年代においてゲーム/コンテンツ市場を大きく成長させた日本企業のノウハウは,現在,大きな予算を割いてコンテンツ産業を推進している国々にとって,最も必要とされているのである。そうした状況の中,海外展開を目指す日本のゲーム企業と,彼らの培ったノウハウを求める諸外国との関係が良好に発展し,最終的にゲーマーにとって喜ばしい結果となることに期待したい。
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