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OnLiveとはここが違う。設立者であるデビッド・ペリー氏が語る,Gaikai流レイテンシ解決の方法
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「Gaikai」公式サイト
Gaikaiとは,ホストサーバーにインストールされたゲームにブラウザを使ってアクセスすることによりローカルPCでゲームがプレイできるサービスだ(関連記事)。ゲームの処理はサーバー側が行うので,プレイヤーのPCは入力と画面表示のみができればいいというわけだ。
これが一般的になれば,ショップに行ってパッケージを購入したり,数GBもあるゲームクライアントを一晩かけてダウンロードするといった,ゲームをプレイする前のあらゆる面倒な障害を一気に解消できるだけでなく,ロースペックのPCでもハイエンド向けのゲームをプレイできるようになる。
遊びたくなったらGaikaiにアクセスし,タイトルを選んでプレイボタンを押すだけ。すぐにゲームの世界へと飛び込めるという夢のような話だ。もちろんプレイするにあたっては使用料金などが発生するだろうが,そんなシステムが現在βテストであり,一般プレイヤーがその恩恵に浴せるようになるのも,それほど遠い未来のことではないかもしれない。
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そこで気になるのが,(料金面もそうだが)レイテンシの問題だ。いくら簡単にゲームがプレイできるといっても,通信速度が遅くて画面がカクカクになってしまってはあまり意味がない。そのあたりの疑問についてデビッド・ペリー氏がインタビューに答えているので,かいつまんでお伝えしよう。
ペリー氏によれば,レイテンシの問題は世界の主要都市に人口統計に基いた数のGaikaiサーバーを設置することで解決すると述べ,GaikaiとYouTubeの最も違う点はそこだと強調する。Gaikaiに接続しようとするプレイヤーのネット通信速度を計測し,自動的に最もレイテンシの少ないサーバーへと導くことで解決するというのだ。これにより,YouTubeのムービーが視聴途中で止まってしまうように,通信速度の問題でゲームプレイに支障が出るような事態は起きないと考えているようだ。
サーバーの設置数については,Gaikaiと同様のサービスを打ち出しているOnLiveを引き合いに出し,OnLiveは北米地域に5か所のデータセンターを置くことでレイテンシ問題に対処しようとしているようだが,それではあまりにも少なすぎるとバッサリ。Gaikaiはサービス開始時点で12のサーバーを置く予定であると優位性を強調し,サービス開始後は「毎月1か所」のペースでデータセンターを新設していきたいとも述べている。
なおライバルと目されている,OnLiveとの違いについては,OnLiveは専用のハードウェアを使ってネットに接続してゲームをプレイするが,Gaikaiはそうしたデバイスを必要としないとしており,OnLiveの方式ではXbox 360やPLAYSTATION 3,Wiiに加えて新たなハードウェアが増えることになり,任天堂やSONY,Microsoftといったプラットフォームホルダーの協力は得られにくいのではないかと述べている。
それに対してGaikaiでは,現在行われているβテストの中で,すでに「マリオカート」がプレイされていることから,前述のようなビッグメーカーの本格参入が期待できるとしている。
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上述したように,Gaikaiはすでにアメリカ在住者を対象としたβテストを行っており,「EVE Online」やマリオカート,「Call of Duty」といったゲームだけでなく,「Adobe Photoshop」のようなアプリケーションの提供まで視野に入れたサービスを考えている。
このサービスが一般化するまでにはしばらく時間がかかりそうだが,一般向けのサービスが開始されれば,ゲームソフトやビジネスアプリケーションまで含めたPCソフトの流通全体が大きく変化する可能性もあるだろう。
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