ドイツ生まれの箱庭シムの逸品,ANNOシリーズ第三弾にして最新作「創世紀1701 日本語版」(原題 Anno 1701)が,3月30日ついに発売される。
新作紹介記事でもすでに紹介しているが,シリーズ最新作となる本作は,グラフィックスのフル3D化で外見が美しくなっただけでなく,ユーザーインタフェースもより直感的にプレイできるよう工夫されており,とっつきやすくなっている。
またコンテンツも充実しており,さすがに初心者がいきなり挑戦するには無謀なほど壮大な「継続プレイ」や「マルチプレイ」といったゲームモードのほかに,町造りの基礎を学べる「チュートリアル」,内政のみならず外交や軍事のコツまでも習得できる「シナリオ」などが用意されている。
●継続プレイ
勝利条件や,対戦するAIプレイヤーを任意に設定してプレイする,いわゆるフリープレイモード
●チュートリアル
プレイするための基本的な操作を学べる,定番のモード。「トレーニング」で復習も可能
●シナリオプレイ
火山島からの脱出,戦争勃発を回避するために四つの書簡を回収するなど,与えられた目的をクリアしていくモード。全10シナリオが用意されている
●プレイグラウンド
最初からさまざまな施設が建設可能な,簡易プレイモード
●マルチプレイ
最大4人で同時プレイできるネットワークモード。対戦だけでなく,プレイヤー同士で協力プレイもできる
と,ここまで好条件が整ったものの,「ちょっぴり地味」という本作の根本的なウィークポイントは見事に継承されてしまっている。こんなに面白いのに! ……というわけで,本作の魅力や遊び方について,4Gamerでさらにプッシュしていきたいと思った次第である。
本連載では,まずシナリオ10本の攻略を通じて,一人でも多くの初心者を立派な開拓者に育て上げることから始めたい。ゆくゆくは,ヒマさえあれば新大陸を開拓せずにはいられない中毒プレイヤーを輩出していきたいものである。
何はともあれ,日本語版の発売までまだ1週間ある。まずは「継続プレイ」を90分間だけ楽しめる
英語版デモで,開拓意欲を盛り上げつつ本連載を読み進めてほしい。
「ガッハッハ」でいこう |
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美麗な3Dグラフィックスと分かりやすいユーザーインタフェース,そして丁寧なチュートリアルのおかげで,多くのプレイヤーも「最高に満足した開拓者」のように「ガッハッハ」となることだろう |
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先述の通り,ゲームの基本ルールはゲーム中のチュートリアルで懇切丁寧に解説されている。もしも習得に不安があれば,「トレーニング」で納得がいくまで復習することも可能だ。とはいえ本作は,覚えるべきことが多すぎるのもまた事実。そこでここでは,本作をプレイするうえでとくにしっかり覚えておきたい,三つの重要ポイントを解説しよう。
本作では住民が5段階にアップグレードし,納税額が上がっていく。住民は文化,物質それぞれに対する要求を持っており,それらを満足させることによって,順次アップグレードしていく。満足させるためには,基本的に施設とルートを設置して,住民の要求が十分に達成されるように手配すればいい。
と,サラッと説明しているが,これが誰でも簡単に実行できるようならゲームとしての面白さはまったく失われてしまうわけで,実際には開拓資金の残高,人口と税率,支配下にある土地で産出できる資源,交易のバランスを考えながらプレイする必要がある。
また,住民は要求が満たされないとすぐに不満の声を上げ,さらにはデモや暴動を繰り広げ,挙げ句の果てにプレイヤーの領土を出て行ってしまう。その一方で,対策を施して要求を満たすと手の平を返したように「ガッハッハ」状態となるのだから,ゲーム中の存在とはいえ現金なものである。なお,本作をプレイしているとこの繰り返しは頻繁に発生する。やがて,プレイヤーは住民のご機嫌取りをするために存在しているのではないかと思えてくるかもしれないが,気に病むのはあまり精神的によろしくないだろう。
住民のアップグレードに必要な条件 |
開拓者 |
食料,地域社会 |
移民 |
(開拓者の条件)&布,信仰 |
市民 |
(移民の条件)&アルコール,煙草,教育 |
商人 |
(市民の条件)&灯油,チョコレート,文化 |
貴族 |
(商人の条件)&宝飾品,翡翠,権力,香水 |
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今一つパッとしない表情の住民達も,要求をすべて満たし,税率をバーの緑の位置まで引き下げることで満面の笑みを浮かべるようになる。彼らは大切な収入源。いくら開発の手を広げても,住民のアップグレードを怠っていると,いずれ財政危機に陥るので注意しよう
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本作をプレイするうえで最初の関門となるのが,「道具」の確保だ。「道具」は数多くある原料/加工品の一つだが,重要な存在である。過去のシリーズ経験者なら,初期段階で道具を確保するために四苦八苦した覚えがあるだろう。
道具はほとんどの施設の設置に必要でありながら,作るのには一苦労するという,厄介な存在。住民のアップグレードでもいちいち消費するため,早い段階で道具の供給手段を確立しないと,その後のプレイが危うくなる。
ただし本作では,その苦労は若干緩和されており,とくにシナリオをプレイするうえでは,デフォルトで与えられる道具の量にわずかながら余裕があったり,そのほかの救済策が用意されていたりする。「道具不足」→「即リスタート」という最悪の状況に陥ることは少なくなっているので,それほど恐々とすることはないかもしれない。
なお,道具を自己生産できるようになるためには,領土内に鉄鉱の鉱山,鉄鉱精錬工場,道具工場が必要となる。これらを設置するには(その他の必要条件をすべて満たしているとして)最低でも9トンの道具を確保しておかなければならない。
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早い話が「道具の確保」とは「鉄鉱の確保」である。道具の需要はきわめて高いのに鉄鉱山がなかなか見つからないケースが多いため,道具の確保は死活問題だったりする |
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住民をアップグレードさせるには,上記の道具だけでなく「アルコール」や「煙草」「灯油」など,さまざまな物資が必要だが,すべてが自分の領土内で調達できるとは限らない。土地によってアルコールの原料がまったく育たなかったり,鉄鉱石の埋蔵量がゼロだったりすることもあるのだ。
そこで活用したいのが「交易」である。
道具などは自己生産できるようになるまで,自由商人である「ベニスの商人」や他国から輸入しなければならないケースも多いので,確実に交易の手順をマスターしておきたい。また交易は,食料などその他の物資が不足して,急遽施設を増設したが生産が間に合わないといった場合,一時的な救済手段としても利用できるだろう。
なお,領土内で物資の供給が安定して余剰分が出るような品は,逆に輸出して稼ぎを得ることも可能だ。
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自分で生産できない物資は,ベニスの商人から購入すると良い。また自分の領土で生産した余剰物資は,売りつけてしまえば資金不足も解消されることだろう |
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達成すべき目標は,シナリオの進行に伴って増加していく場合もある。思うようにプレイできない場合は未達成の目標がないか確認しよう
用意された10本のシナリオは,序盤のチュートリアルの延長を兼ねた要素から,後半はいわゆる上級者用の「裏テクニック」まで身につくという,優れたゲームモードだ。1701をより理解するためには,「まず最初に,シナリオモードで遊ぶべし」という結論に達した。そこで連載第1回では,実際に初級シナリオ全3本と中級シナリオ1本を攻略してみよう。初級シナリオでは,いずれもゲーム中で多くのヒントが与えられるので,とくに困る部分はないはずだ。