ロンドンでECTS 2002が開催される
2002年8月29日から31日までの間,ロンドン西部のアールズコートにあるオリンピア会場にて,恒例のECTS(European
Computer Trade Show)が開催されている。バイヤーやプレスなどの業界関係者に限ったトレードショーで,予想される参加者数は6000人。世界中から150社の企業がひしめき合うビッグイベントである。
昨年も当サイトでECTS 2001の様子をお伝えしたが(「こちら」参照),そのときの会場だったExcelは「街から離れすぎていて帰りに飲めるバーがない」から「今回から会場が変更になった」という,いかにもヨーロッパらしいウワサがあるのはご愛嬌だ。しかし,アールズコートは旅行者向けのホテルの多いケンジントン地区にあって,地下鉄のアクセスや食事(や飲み屋)のチョイスも悪くないなど,我々のような海外からの参加者にとっては確かに条件の良い会場となっている。
ここ数年話題になっているのが,ECTSの参加者が減少しているという問題だ。ECTSはヨーロッパ最大のゲームショーではあるものの,毎年5月にアメリカで行われるE3(Electronic
Entetainment Expo)と比べて出展する見返りが低いとして,大きな販売元が軒並み不参加であるという寂しい状態が続いていた。
今年は,Sony Computer Entertainment Europe社が「PlayStation Experience」という特別ブースを設け,普段では参加できない一般の人々にPlayStation2のソフトを体験させるという形でのファンサービスを行っており,屋外でもスケードボードのエクジビジョンを行うなど,かなりの賑わいをみせている。長い間参加していなかったElectronic
Arts社やInfogrames社,そしてEidos Interactive社などの大御所も,ゲームデモのない商談ブースやムービーデモの展示に留めた形ではあれブースを出しているのも興味深い。さらに,ゲーム開発者を対象にしたGame
Developer Conference Europe (GDCE)を併設することによって,関係者に損をさせないような配慮もなされている。Xboxの仕掛け人の一人で,現在はCapitol
Entertainment Groupというゲーム開発投資会社というビジネスを始めたケビン・バッカス(Kevin
Bachus)氏も,「本来ならECTSには来られないところだったんだけど,GDCEのおかげで会社の許可が下りたんだよ」と語っていたほどで,ECTSが参加者や出展者に与えるインパクトが低くなっている状態が伺える。
もっとも,ECTSではクリスマス商戦に向けて開発が最終段階に差し掛かっているソフトの状態を見極めることが可能だし,E3に出展できなかったり,出展していても注目を集めなかったようなヨーロッパの中小のゲーム開発企業がスポットライトを浴びやすくなっている分,小粒ながらもきらりと光る新作や良作を見つけることができるというメリットもある。とくに最近では,ロシアやチェコ,スカンジナビアなど東欧や北欧のゲーム開発者が非常に能力をつけてきており,日本やアメリカなどの大きなマーケットにも影響を与え始めているのだ。昨年の時点ではイベント自体の継続も危ぶまれていたのに,GDCEとの併合によって来年もECTSが開かれることが決定している。
当サイトでは,この期間中に書けるだけの情報をお伝えしていきたい。
ECTS 2002公式サイトはこちら
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