[ECTS 2002#12]Lionhead Studios独占スクープ(2):ハリウッド版経営シム? モリニュー氏が「The Movie」を語る - 08/30 20:04

 Lionhead Studiosは,いま現在五つのプロジェクトを手掛けているらしいが,その中で今回新しく紹介されたゲームが「The Movie」だ。これは,1920年代のハリウッドを舞台にプレイヤーが映画会社を設立し,経営者として100年間に渡って一大産業に育てていくというもの。映画のテーマを決め,敷地内にセットを組み,お抱えの女優や監督に実際の制作を任せ,プロモや経営管理などの資金面から人間関係に及ぶ裏事情にも気を配りながら,巨大化していく会社の舵取りを行っていくのだ。
 ゲームの流れとしては,まず好きなテーマとバジェットを決めたら,ストーリーの流れや主人公とヒロインの関係などの細かいチェックリストを選択していくことで,AIの脚本家にシナリオを考えてもらうようになっている。脚本家の持ってきたシナリオが気に食わなければ手を加えることもできるが,良さそうな内容であればテーマにあったセットを作り,監督や俳優などのクルーを使って映画を撮影する。監督に作業を任せることもできるが,自分でカメラを回したり,演技指導することも可能。西部劇の格闘シーンなら殴り合いの激しさを,恋愛シーンならそのエモーションを,スライド型のメーターを調節することで設定できるのだ。
 ゲームエンジンには「Black & White 2」のものを使用するらしく,キャラクターの表情や仕草もしっかりと見て取れるほど細かいモデリングやテクスチャが使用されている。さらに,撮影した映像の保存機能や編集機能も備えており,ゲームの中で完全な映画を制作してしまえるのだ。気に入ったものはLionheadのサーバーに登録して公開し,映画祭を開いたり他人と俳優のデータと交換し合ったりすることもできるとモリニュー氏は言う。シングルプレイヤーゲーム専用ではあるが,「シムピープル」にも通じるようなインターネットを介したコミュニケーションを利用するのだ。
 ここからは,ピーター・モリニュー氏と交わした,一問一答をそのまま掲載してみよう。


forGamer.net (以下,4GN):
 気になるのは,どこまでプレイヤーの思った通りの映画を作れるかということですが,セリフなどはどう扱っていますか?

モリニュー:
 まだ,確実なことは言えないんだけど,ちょっと面白いことは考えてるよ。そのほかにも,プレイヤーが実際に声を吹き込めるようなエディターにする予定なので,最初から終わりまで友人や家族に手伝ってもらってアフレコするということも可能になると思うよ。

4GN:
 どのようなテーマの映画を撮れるのでしょう?

モリニュー:
 テーマは,現代劇のメロドラマからデモでもお見せした西部劇,ホラーやSFなど何でもあるよ。これも,自分で作れるようになっているんだ。ロケでの撮影などのイベントも起こるしね。3Dエンジンだからカメラの位置を変えたりという細かい作業ができ,プレイヤーが気合いを入れれば相当本格的な映画が撮影できると思う。敷地内にいくつものセットを作って複数の映画制作を同時進行させることもできるし,大きなセットでスペクタクル映画を制作することもできる。1週間に1度の割合で低予算映画を大量制作しても,1年かけて1作を作ってもいい。すべては,プレイヤーが会社を運営していくうえでの選択に委ねられているというわけさ。

4GN:
 ゲーム時間の100年のうちに変化も起こるんですよね?

モリニュー:
 もちろん。時代を経るに連れて,ロケで取るのが観客に受け入れられやすくなったり,より過激な暴力やセックスの描写もできるようになるよ。小道具や特殊効果も時代によって変化していくだろうね。人気女優だって年を取っていくから,整形手術用の資金を渡して人気を持続させるか,年齢相応のテーマや役柄を考えてあげるか,はたまたオーディションによって新人を発掘するかという選択肢ができてくる。まあ,70歳の女優にいつまでも少女役を与えているわけにもいかないからね(笑)。

4GN:
 ゲーム内で制作した映画の評価はどのようになされるのでしょう?

モリニュー:
 予算の大小や俳優の人気度,監督の経歴などの要素に加え,時代によって変わる観客の嗜好や,ストーリーの流れや斬新さ(もしくは続編の内容)とかかな。それらの要素をコンピュータが自動的に計算するようになっていて,それが興業成績につながるんだ

4GN:
 やはり「テーマパーク」を連想するんですけど,ご自身では何を期待していますか?

モリニュー:
 自分で映画を制作する楽しさを味わってもらいたいですね。とくに「テーマパーク」は日本でも人気があったでしょ? だから,日本でも受け入れられると見込んでる。チャンバラ映画とか,ゴジラのような着ぐるみ系の怪獣映画も撮れるようにしようと思っているんだけどウケるかなあ?


 「The Movie」は,まだα版にもなっていないテスト段階であり,具体的な発売の時期は公表されていない。本作で日本においても,再び「ピーター・モリニュー」の名前が鳴り響くことになるだろうか。(Okutani)

<写真下段右>
Lionehad Studios社の三銃士。左から,「Black & White 2」のプロジェクト・リーダー,ジョンティ・バーンズ(Jonty Barnes)氏,総合ディレクターのピーター・モリニュー(Peter Molyneux)氏,そして「The Movie」のリード・デザイナー,エイドリアン・ムーア(Adrian Moore)氏。


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