イベント
「428 〜封鎖された渋谷で〜」のイシイジロウ氏が贈る映像プロジェクト「UNDER THE DOG Jumbled」の試写会レポート
イシイジロウ氏といえば,「428 〜封鎖された渋谷で〜」や「3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 」などのアドベンチャーゲームで知られているが,今回の「UNDER THE DOG Jumbled」に含まれる映像2作品はSFをテーマに扱い,アクションを中心に見せる作品となっている。
「UNDER THE DOG Jumbled」自体は,クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で出資を募るところから始まり,1万2000人から当時のKickstarter史上最高額である87万ドル(約9458万円)を集めてプロジェクトを成功させたという経緯がある。
その後,実写作品「Overture to UNDER THE DOG」と新テーマソング「少女たちのメロディ」を作るためのクラウドファンディングが行われ,こちらは395人から約5万ドル(約543万円)の出資を集めて目標額をクリアしている。
こうして作られたアニメと実写作品,そしてパロディ調のショートムービー「アンシアちゃん」が2018年6月23日〜7月6日にかけて,東京の新宿バルト9,大阪の梅田ブルク7,名古屋の109シネマズ名古屋で上映される予定だ。
アニメーション作品である「UNDER THE DOG Episode 0」の舞台は,東京オリンピックが大規模テロで中止となった2025年の日本。その影には,特殊能力を持つ少女を集めた暗殺部隊「フラワーズ」が暗躍しており,女子高生・冬月ハナもその一員。もし失敗すると,家族に埋め込まれた爆弾が爆発してしまうため,否応なく戦場に身を投じるしかないのだ。
そんなハナの今回の任務は,とある高校に転入して平凡な少年・七瀬俊一の身柄を確保すること。そこは,どこにでもありそうな高校だったが,突如として在日米軍が押し入ってきたばかりか,奇怪な怪物も出現。ハナ,在日米軍,怪物が三つ巴で戦いを始めてしまう。ハナは言う。俊一こそが「フラワーズ」の希望であり,自分たちの呪縛を解いてくれる存在なのだと。戦いの先に待つものは果たして何か……?
学校は戦場となり,物語は突然クライマックスに。アサルトライフルからミサイルまでが飛び出すバトルは激しく,「とにかくやりたいことを詰め込んだ!」という潔さがある。銃や兵士達の装備といったメカニックの描写がリアルなうえ,発砲の反動や銃撃戦のダメージの描写も生々しい。それだけに,いかつい軍人に立ち向かうハナの必死さと危うさが際立つ。ハイペースなアクションとシビアな展開のドラマにいい意味で振り回され,あっという間に時間が過ぎていき,謎めいた物語とダークな世界観は,もっと続きが見たいと感じさせてくれた。
最後に流れる「少女たちのメロディ」は,磯山 敦氏プロデュース,大森祥子氏作詞という,アニメ「けいおん!」のタッグが手がけた楽曲なので,そちらにも注目してほしい。
実写作品の「Overture to UNDER THE DOG」は,本編の前日談と思われる内容で,実銃を使った海外ロケの美しい映像と観念的なモノローグが,主人公・アンシアの内面を淡々と描き出す。本編より先に上映されるため,最初はちょっと面食らうと思うが,「UNDER THE DOG Episode 0」を見終わった後にモノローグを思い返すと趣深いものがある。
「UNDER THE DOG Jumbled」は6月23日〜7月6日の2週間,東京の新宿バルト9,大阪の梅田ブルク7,名古屋の109シネマズ名古屋で限定上映される。イシイジロウ氏作品のファンはもちろん,本稿を読んで興味を持った人はぜひ足を運んでみてほしい。
■「UNDER THE DOG Jumbled」上映内容
・Jumbled 1 アニメ「UNDER THE DOG Episode0」
・Jumbled 2 実写作品「Overture to UNDER THE DOG」
・Jumbled 3 テーマソング「少女たちのメロディ」
・同時上映 ショートムービー「アンシアちゃん」
CAST
アンシア : 瀬戸 麻沙美
冬月ハナ : 大久保 瑠美
七瀬俊一 : 内山昂輝
さゆり : 高橋春香
エステラ : 大空直美
STAFF
原作:イシイジロウ
アニメーション監督:安藤真裕
キャラクター原案:コザキユースケ
作画監督:佐藤雅弘
アニメーション制作:キネマシトラス×オレンジ
実写映像監督・テーマソングプロデュース:磯山 敦
製作:キネマシトラス・エグジットチューンズ
配給:ポニーキャニオン
「UNDER THE DOG Jumbled」公式サイト
- この記事のURL: