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カプコンの小林裕幸氏が「戦国BASARA」の“作り方”を異業種の業界人に向けてプレゼン。トークイベント「Producer\'s Parade vol.02」をレポート
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印刷2015/01/30 19:49

イベント

カプコンの小林裕幸氏が「戦国BASARA」の“作り方”を異業種の業界人に向けてプレゼン。トークイベント「Producer's Parade vol.02」をレポート

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 2015年1月29日,トークイベント「Producer's Parade vol.02」が都内で開催され,カプコンの小林裕幸氏がゲームのプロデュースに関するセッションを行った。
 このトークイベントはテレビドラマのプロデューサーである橘 康仁氏を中心に結成された,「次世代に勇気と気づきを与える」をコンセプトとする社会人サークル「P」が主催したものだ。業界やジャンルを超え,第一線で活躍する人達の協力を得て,人の「和」「アイデア」「情熱」を大きくしていく仕組みを模索するという趣旨で発足し,第1回は昨年12月に開催されている。そのため,会場に集まった聴講者のほとんどはゲーム業界ではない業種で働く人達だった。

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カプコン 小林裕幸氏
 2回めの開催となる今回は小林氏が講師を務め,今やゲームを軸にアニメや舞台といった分野にまで幅広く進出している「戦国BASARA」シリーズの第1作を例にその製作過程を紹介。また,イベントの後半には橘氏や聴講者の質問に答え,自身のパーソナリティや,デジタル化とグローバル化の進むゲーム業界の現状などに言及した。本稿では,そのセッションの模様をレポートしよう。

「戦国BASARA」シリーズ公式サイト


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 最初に小林氏は,初代「戦国BASARA」を企画したときのコンセプトを公開した。それは「戦国時代を舞台」にした「誰でも遊べる爽快アクション」で,「個性的なキャラクター」が登場するゲームだったとのこと。ターゲット層もこうしたコンセプトに沿ったものになっている。

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 ゲームの舞台を戦国時代に設定したのは,企画を練っていた当時(2003年),日本人にとってこの時代の人物や背景が魅力的に捉えられていると再確認したからだという。しかし,チームの中に戦国時代に詳しいスタッフは1人しかおらず,小林氏を含む残りのスタッフはそこから史実の勉強を始めたそうだ。
 とはいえ,「戦国BASARA」シリーズの設定やストーリーは,必ずしも史実に忠実なわけではない。あくまでもゲームとして面白く魅力的になるように,史実を踏まえたアレンジをしていると小林氏は語っていた。

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 誰でも遊べるアクションで目指したのは,下は小学校に上がる前のお子さんから,上は年配の方まで,まったくゲームを遊んだことがない人でも遊べる内容だったそうだ。それと同時に,1人の武将が多数の敵を次々に倒していく「一騎当千の爽快感」も重視したという。
 具体的には,ボタンを連打しているだけでもどんどん進められること,なだらかな坂を上るように徐々に難度が上がること,一目で分かる派手な演出などを念頭に置いて開発が進められた。そこには,ボタンを押せば気持ち良くキャラクターが動くアクションの楽しさやレスポンスの良さといった,カプコンが蓄積してきたゲーム開発のノウハウが活きているという。

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 キャラクターの個性については,デザインや性格だけでなく,そのキャラクターがどんなアクションをするか,演出をどう見せるかといった部分にもこだわっている。たとえばデザインであれば,配色やシルエットを工夫して,一見しただけでもその武将だと分かるようにしているそうだ。
 また,人物設定やセリフ,声優を決める際にも,それぞれ個性的な特徴が出るように配慮することに加え,タイトルごとに人物相関図を作り,武将同士の主従関係や師弟関係,ライバル関係といった設定を盛り込んでいる。

 たとえば“独眼竜”の異名で知られる伊達政宗は,6本の刀を巧みに扱う特徴的な武将だが,その刀の鞘を竜の羽根を思わせるデザインにすることで,さらにイメージを強めている。同様に,真田幸村はライバルの政宗に対抗できるアレンジとして,2本の槍を持たせたという。
 そのほか,猿飛佐助には“現代の忍者服”とも言える迷彩柄の衣装を着せたり,正義感の強い浅井長政は有名ヒーローを思わせる銀と赤の配色だったりといった具合である。

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 こうしたゲーム開発においては,「まず作っている自分達が面白いと思えるか」が重要であると小林氏は語った。そうでなければ,受け手(プレイヤー)に面白いと思わせることは無理だからである。その点を踏まえて,あらためてプレイヤーにとって面白いものを模索していくという。
 さらに作り手の姿勢として,「タイトルごとの勉強をする」「客観的にものを考える」「常に向上心を持って学ぶ」「クオリティに妥協をしない」「時間の限りベストを尽くす」という5点を挙げている。

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 2015年7月に「戦国BASARA」シリーズは10周年を迎える。これだけ長くシリーズを続けてこられた理由の一つとして,小林氏は戦国時代を舞台としたことが大きかったと分析した。戦国時代に関する資料や文献は世の中に多く存在しているため,ゲームで武将に興味を持った人がより知識を深めたり,今後の展開を妄想したりできるからだという。これがゲームオリジナルの架空のキャラクターだと,作り手が資料を提供しない限り,そうならないというわけだ。

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「戦国BASARA」シリーズにおける,ゲーム内外のさまざまな試みも紹介された。コミックやサウンドトラックCDの発売,「バサラ祭」などのイベント開催は,次回作がリリースされるまで待てないというファンに向けたサービスという一面もあるとのこと

 イベントの後半は,橘氏の質問に小林氏が答える形で進行した。
 最初の質問は,「戦国BASARA」シリーズの多彩なマルチ展開について。ゲームに限らず,さまざまな業種の企業がマルチ展開を試みているが,小林氏によると短期的なものが多いという。しかし,「戦国BASARA」シリーズの場合は,自身がキーパーソンとなり,シリーズを長く継続しているため,さまざまな展開を実現できていると語った。

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初代「戦国BASARA」の開発時はゲームを作ることで精一杯だったため,このようなマルチ展開は想定していなかったそうだ

 監修やプロモーションを手がけるプロデューサーという立場について問われると,小林氏は「かなりこだわっています。演出や監督をやらないのかと聞かれることもあるが,それは得意な人に任せたい」と回答。自身にはディレクターに必要な才能や粘り強さが足りず,むしろ全体を見渡すような役割が向いていると感じているという。

 また,仕事に関しては「ゲームが嫌になったら辞めよう」と思いつつ,もう20年が経過していたとのこと。小林氏は「プロデューサーとしてゲーム以外のさまざまな分野を手がけられたからこそ,続けられたのかもしれない。ゲームだけだったら,ひょっとしたら辞めていたかも」と話していた。

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全国各地のイベントやキャンペーン,企業とのコラボにも参加。各地に戦国時代や武将に由来する逸話や名所があることが強みになっているようだ
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 仕事上の喜怒哀楽については,「仕事では怒ってばかりいる」と小林氏。橘氏が,怒りが仕事の起点になっているのかと話題を振ると,「売れないゲームを2本作ったあと,悔しくて『売れるゲームを作る!』と思って生まれたのが『戦国BASARA』です」と答えていた。その一方で,舞台に関わるようになってから,役者の笑顔を素敵だと思うようになったエピソードを明かし,「仕事が生活の大半を占めていますから,辛いことはたくさんあるけれども楽しくやりたい」とも語っている。

 ゲストのパーソナリティを掘り下げる質問コーナーでは「直感的な右脳派か,論理的な左脳派か」と問われ,小林氏は「直感を信じて,それを理論付けて実行する」と回答。さらに「デジタル派か,アナログ派か」という質問には,「スケジュール管理は基本的に手帳に手書き。だけど,最近はスマートフォンも使っている。仕事で企画を考える場合にはPCに向かうことが多いが,ちょっとしたメモは手書き。どっちかに決めるということは,まだしたくない」とのことだった。

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 その後,質問はゲーム業界全体に関する内容になった。昨今,急速に進むデジタル化に対しては,今後もアナログとの併用がなされるのではないかと,小林氏は予想を述べている。その理由としては,たとえば台本は紙にプリントしたものでないと,全体の流れを把握したり修正したりといった作業がやりにくいからだという。「今後,すべてがデジタル化する」という意見は本質を見ていないのではないかとし,「アナログでもいいものは残っていくでしょう」と自らの見解を披露した。
 また,スマートフォンの登場による変化については,一部は成功してニュースなどで大きく取り上げられているが,その陰にはうまくいっていないもの,だからこそ誰も知らないようなものがたくさんあると語っている。小林氏自身,一時期はスマートフォン向けのプロジェクトを手がけていたが,結果が出なかったため,現在は少し距離を置いているとのこと。自身の経験を踏まえたうえで,「変化に対して,どう向き合うかということじゃないでしょうか」とまとめていた。

 さらにネット環境の発達と普及による影響に関しては,この10年で個人に対して情報をダイレクトに伝えやすくなり,また個人も情報を発信しやすくなったと,小林氏は述べている。しかしその反面,個人の何気ない一言がクレームとして広まったり,本当は遠い立場なのに身近であるかのように勘違いしてしまったりといったデメリットも生じているという。

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 ゲーム機のスペック向上に伴う開発期間の長期化および開発費の高騰に話題が及ぶと,これには小林氏も頭を悩ませていることを明かした。現在,日本の市場は旧世代と新世代のゲーム機が入れ替わるタイミングにあり,どのプラットフォームを選択するかも大きな悩みになっているとのことだ。
 そうした悩みを解決するには,そのゲームを遊びたいと思っている顧客がどこにいるのかを把握することが重要で,その点は,将来的に技術が進化したり,プラットフォームの選択肢が増えたりしても変わらないだろうと,小林氏は持論を述べていた。

 また,小林氏が現在進めているプロジェクトにテーマが移ると,「Dragon's Dogma」PS3/Xbox 360)の事例を持ち出して回答した。
 「Dragon's Dogma」は2012年にリリースされたが,開発は2009年に始まっていたとのこと。その当時,まだTwitterなどのSNSが今ほどは普及していなかったが,ゲームの中で少しだけ他人と関われるような仕組みを取り入れたいと考え,「ポーン」のシステムを開発したという。その結果,「Dragon's Dogma」はSNSが盛り上がりを見せた2012年にリリースすることができ,かなり時代にマッチした内容となった。
 小林氏は「Dragon's Dogma」のケースを「たまたまうまくいった」と評していたが,企画段階で「将来,世間では何が起きるのか」をある程度は予測を立てるという。たとえば「バイオハザード」シリーズでは,世界情勢を踏まえて,将来的に各地でテロが増加するのではないかと予測してストーリーを構築していったとのこと。
 なお,将来の予測にあたっては,発表されている新技術が何年後に商品化されるのか,あるいは今はまだメジャーじゃないが近いうちに,はやりそうなものなどをチェックするそうだ。

 最後の質問は,今後,日本がどうなっていくのかというもの。小林氏は,現在,日本のゲーム市場はかなりドメスティックになっており,海外市場とはズレが生じていると解説した。欧米のクリエイターは,かつて職人的に丁寧に作られた日本のゲームを遊んでおり,そこから学んだノウハウと欧米的な発想を組み合わせてゲームを作っているため,なかなか海外市場には日本人クリエイターが入り込む余地がないという。
 ただ,小林氏自身は「バイオハザード」シリーズや「デビル メイ クライ」シリーズで世界的なヒットを経験している。しかし,開発時には海外を意識することはないそうだ。むしろ人間が共通して面白いと感じる部分を意識しているとのことで,「そこを追求していけば売れるし,広がるきっかけになる」と総括した。アニメやマンガ,あるいはコスプレといった文化も同様だからこそ,世界で評価されているのではないかと語った。
 また,日本のゲームが海外で広く展開するためには,一人ひとりのクリエイターの意識だけでなく,企業の理解も重要とのこと。前述の「Dragon's Dogma」にしても,今は黒字に転換しているもののリリース当時は赤字。さらに開発中は大変なことばかりだったが,そのチャレンジを許してくれたカプコンに感謝していると話していた。

有料ファンクラブの登録会員は6000人前後,無料ファンクラブの登録会員は約4万5000人に上る
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 その後,小林氏が聴講者の質問に答えるコーナーへ。ここでは,初代「戦国BASARA」が当初は硬派なゲームとしてプロモーションを展開していたエピソードが披露された。その施策は結果的にあまり響かなかったのだが,その後,メディアに(いい意味で)バカっぽいカットシーンが取り上げられ,それが好評だったことから以降のシリーズ路線が定まったという。
 また,「戦国BASARA」シリーズは女性ファンが多いという印象があるが,最初はまったく意識していなかったとのこと。「戦国BASARA2」以降,個性的なキャラクターが話題となり,女性ファンが増加したそうだが,小林氏はそれを脅威としても感じているという。それは,ゲーム機の購買者は約7割が男性であり,何かしらの理由で男性ファンが減ってしまうと,そのまま売上減につながってしまうからだ。
 なお,「戦国BASARA」シリーズではゲーム内に女性ファンが喜ぶ要素を増やすことは,あえてしていないとのこと。小林氏はその理由を「少年マンガが好きな女性は,それが男性向けの内容だからこそ好きなのだと思います」と説明していた。

ゲームの「戦国BASARA」シリーズのメインターゲットはあくまでも男性とのこと
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 最後に小林氏は,あらためて「戦国BASARA」シリーズの10周年をアピールしたうえで,「何かあれば,ぜひお声がけください」と聴講者に呼びかけてイベントを締めくくった。

 イベント終了後,小林氏とイベントを企画した橘氏から話を聞くことができたので,以下に掲載しよう。

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(左から)橘 康仁氏,小林裕幸氏

4Gamer:
 本日はおつかれさまでした。まずはイベントの感想をお願いします。異業種の業界人に向けて,小林さんがお話する機会はあまりないですよね。

小林裕幸氏(以下,小林氏):
 最近はファン向けに話す機会が多いですからね。今回はゲーム業界の人が数人しかいないということだったので,ゲームをどう作っているのかを説明しました。こういう機会は,何年か前に学生向けに話したとき以来ですか。
 あとは,どういうことを考えながら作っているかという話も,2009年,2010年以来です。結果としては,昔のことを思い出したりして楽しかったです。

4Gamer:
 小林さんが「Producer's Parade」に出演された経緯を教えてください。

小林氏:
 橘さんは,あるパーティーで紹介されたんです。そこから橘さんが開催されているイベントとか飲み会とかに参加するようになって。そうこうしているうちに,橘さんから僕のよいところを多くの人に伝えたいという話を持ちかけられたので,ありがたく受けたわけです。……僕自身は,僕のことを大したことないと思っているんですが,橘さんは結構評価してくれているですよ。

4Gamer:
 橘さんは,小林さんのどのような点を高く評価しているのでしょうか。

橘 康仁氏:
 僕が考える,時代を象徴するプロデューサーは2人いるのですが,その1人が小林さんです。僕はよく小林さんのことを「プロデューサー・オブ・プロデューサー」と呼んでいます。「戦国BASARA」シリーズでこれだけのマルチ展開を実現できているのは,時代の最先端を進んでいるからこそだと思うからです。そして,そういうことを実践的にお話しいただけるのは,小林さんしかいないと考えました。

4Gamer:
 小林さんのパーソナリティを掘り下げるということで,橘さんからいろいろ質問されていたのが新鮮でした。こうした質問はゲームメディアからはなかなか出てこないです。ゲームの内容に関することが中心になりますから。

小林氏:
 よかったのか,悪かったのかは分かりませんが,僕自身は正直に答えました。
 僕は柔軟なところもあれば,「こうと決めたらこう」と頑固なところもあるんです。実は,ゲームの主題歌を西川貴教さん(T.M.Revolution)に最初にお願いしたときも,一度は代理店経由で断られましたが,すごく粘ったんです。悔しくて,いろいろ伝手をたどって直接,音楽プロデューサーにお願いした結果,主題歌を西川さんにお願いできることになりました。
 あのとき粘らなければ,違うアーティストが主題歌を歌っていたかもしれません。西川さんのおかげで10周年を迎えられるという面もありますから,粘ってよかったです(笑)。

4Gamer:
 今回は貴重な話が聞けて楽しかったです。ありがとうございました。

「戦国BASARA」シリーズ公式サイト

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