JAXAのSLIMを君も飛ばせる。「SLIMピンポイント着陸ゲーム」でスイングバイ〜月面着陸を体験してみよう

　2024年1月20日，JAXA（宇宙航空研究開発機構）の小型月着陸実証機・SLIMが，月面に着陸した。

　次いで1月25日には，JAXAのISAS（宇宙科学研究所），東京農工大学，中央大学が共同開発した超小型天体観測用ローバ・LEV-1の活動開始が発表された。同日，JAXA，タカラトミー，ソニーグループ，同志社大学が共同開発した変形型月面ロボット・LEV-2の活動開始も発表され，同機の撮影によるSLIMの写真が公開された。

LEV-2が撮影し，LEV-1を介して地球に送信されたSLIMの写真

　今回のオペレーションによって，日本初の月面軟着陸および世界初のピンポイント月面着陸，日本初の月面探査ロボット実働および世界初の完全自律ロボットによる月面探査，かつ世界初の複数ロボットによる同時月面探査が達成されている。また，LEV-2は現時点における世界最小・最軽量の月面探査ロボットとなった。

　ただしSLIMは上部を下にした状態で接地しており，太陽光発電パネルが想定と異なる角度を向いているため，現在は電源がオフにされている。2月1日ごろまでに一定量の太陽光が当たれば電力を復旧できる可能性があり，今後への期待が寄せられている。

LEV-2こと愛称「SORA-Q」には，タカラトミーの持つ玩具開発のノウハウが駆使されている（※画像は1/1レプリカの玩具「SORA-Q Flagship Model」）

LEV-2の制御システムには，ソニーグループのボードコンピュータ「SPRESENSE」を加工したものが使われている（※画像はSPRESENSEを用いたゲームコンソール風の構成例）。間もなく締切だが，SPRESENSE活用コンテストではゲームも対象となっている

　完璧ではないにしろ大変な偉業を成し遂げたSLIMだが，そのミッション全体やピンポイント着陸をモチーフとした「SLIMピンポイント着陸ゲーム」がJAXA宇宙教育センターの公式サイトで公開されている。小学校高学年〜中学生向けのゲーム型教材ということで，解説は簡単なものに留まるが，ピンポイント着陸機能の意義，月へ向かう飛行軌道の種類，垂直降下の難しさなどが分かる内容だ。月に興味や関心がある人は，プレイしてみよう。

ゲームのスクリーンショット。ISAS公式サイトのギャラリーページでは本作のほか，VTuber・宇推くりあさんとコラボした配信のアーカイブ，開発者インタビュー，SLIM制御系の主担当者が作曲した「SLIMテーマソング」，JAXA宇宙科学研究所の職員によるSLIMの擬人化イメージイラストなどがラインナップされている

JAXA公式サイト