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ヘビースモーカーの芥川龍之介に,極度な潔癖症の泉 鏡花……「文豪とアルケミスト」に登場する文豪達は実際どんな人物だったのかを紹介

 2016年11月にサービスを開始したDMM.comのブラウザタイトル「文豪とアルケミスト」は,“本を破壊する侵蝕者”によって文学書が黒く染まっていく現象から書を守るため,転生した文豪達が侵蝕者と死闘を繰り広げるという文豪転生シミュレーションゲームだ。

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 本作でプレイヤーは特殊能力者「アルケミスト」として,文学の力を持つ文豪を転生させるのだが,このときに現れるのが夏目漱石芥川龍之介萩原朔太郎など,明治後期から大正,昭和の時代に活躍していた日本の近代作家達。実際の性格やエピソードが反映されているためかなりクセが強く,またそれが魅力となっているキャラクターばかりだ。

 実は筆者は,学校の勉強を放擲してしまうほどに文学にハマった口で,本作にはその発表時から注目しており,ゲーム本編はもちろん,登場する文豪達自身の魅力もぜひ知ってもらいたいと思っていた。
 ということで,2016年12月28日に開幕する,本作初となる大型イベント「特別要請『五重塔』ヲ浄化セヨ」に登場する新キャラクター幸田露伴(CV:子安武人)を含む,これまで本作に登場した36名の文豪達のプロフィールを,実際のエピソードも交えつつ紹介しよう。

 「ゲームから入ったため,まだ作家や詩人,歌人のことをあまり知らない」という人は,本稿でどんな人だったのかを確認して,実際にその作品を手に取ってみてほしい。作品に触れてからプレイすると,さらに本作の魅力に気づけるはずだ。

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「文豪とアルケミスト」公式サイト


文豪一覧(50音順)

01. 芥川龍之介(CV:諏訪部順一)
02. 石川啄木(CV:松岡禎丞)
03. 泉 鏡花(CV:神谷浩史)
04. 江戸川乱歩(CV:斉藤壮馬)
05. 尾崎紅葉(CV:緑川 光)
06. 織田作之助(CV:小野坂昌也)
07. 菊池 寛(CV:三木眞一郎)
08. 北原白秋(CV:花江夏樹)
09. 国木田独歩(CV:増田俊樹)
10. 幸田露伴(CV:子安武人)
11. 小林多喜二(CV:小西克幸)
12. 佐藤春夫(CV:泰 勇気)
13. 志賀直哉(CV:前野智昭)
14. 島崎藤村(CV:立花慎之介)
15. 高村光太郎(CV:森田成一)
16. 太宰 治(CV:中村悠一)
17. 谷崎潤一郎(CV:岡本信彦)
18. 田山花袋(CV:梶 裕貴)
19. 徳田秋声(CV:渡辺拓海)
20. 永井荷風(CV:置鮎龍太郎)
21. 中島 敦(CV:石川界人)
22. 中野重治(CV:赤羽根健治)
23. 中原中也(CV:柿原徹也)
24. 夏目漱石(CV:鳥海浩輔)
25. 新美南吉(CV:村瀬 歩)
26. 萩原朔太郎(CV:野島健児)
27. 堀 辰雄(CV:髙橋孝治)
28. 正岡子規(CV:白石 稔)
29. 宮沢賢治(CV:代永 翼)
30. 三好達治(CV:寺島惇太)
31. 武者小路実篤(CV:KENN)
32. 室生犀星(CV:逢坂良太)
33. 森 鴎外(CV:大川透)
34. 横光利一(CV:羽多野渉)
35. 吉川英治(CV:阿座上洋平)
36. 若山牧水(CV:宮下栄治)


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芥川龍之介(CV:諏訪部順一)


「おっと…ここは禁煙なのかい?」

 東京帝国大学文科大学英文学科(現在の東京大学教養学部)在学中,同期の菊池 寛らとともに同人誌「新思潮」を刊行し,小説家としての活動を始める。

 夏目漱石からの激賞を受けた短編小説「鼻」をはじめ,「羅生門」「芋粥」「藪の中」といった日本の古典を題材とした作品や,「蜘蛛の糸」「杜子春」といった,中国の説話に寄った童話を次々と発表。その後も大正文壇の寵児として,芸術的な作品や私小説的なものなど多くの傑作を生み出したが,1925(大正14)年ごろより体調を崩し,「唯(ただ)ぼんやりした不安」のなか自ら命を絶った。

 本作の人物紹介にも“常に煙を纏うヘビースモーカー”とあるように,1日に180本も吸っていたという話もあるほどの愛煙家として有名だ。“日本に煙草を持ち込んだのは悪魔”という説から物語が始まる,「煙草と悪魔」という煙草を題材とした名作短編も書き残している。

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生没年:
1892年(明治25年)3月1日 - 1927年(昭和2年)7月24日




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石川啄木(CV:松岡禎丞)


「金になる仕事があったら回してくれよ?」

 岩手県生まれの歌人,詩人。家では両親の愛情を一身に受け,村人からは神童と騒がれて気位高く育つ。17歳のときに文学を志して上京したものの,健康を害して帰郷。20歳で処女詩集「あこがれ」を出版し天才詩人との評判を得るが,肺結核で26歳という若さでその生涯を閉じた。代表作として歌集「一握の砂」や,死後出版された「悲しき玩具」,詩集「呼子と口笛」などがある。

 創作活動に身を投じながらも,貧しい両親や妻子を養うため苦労していたという石川啄木だが,お金にだらしない面もあったようだ。
 友人から借金をしておいてそれを返さない。しかも手に入れたお金は遊びに使ってしまうなど……本作においても,美しい歌を詠う歌人でありながら,“傲慢な借金王”という一面を持っている。

生没年:
1886年(明治19年)2月20日 - 1912年(明治45年)4月13日




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泉 鏡花(CV:神谷浩史)


「僕は尾崎門下生の鏡花です。清潔第一,不潔排除がモットーです」

 石川県金沢市生まれ。1890年に上京し,翌年より尾崎紅葉に師事。「夜行巡査」「外科室」が“観念小説”の呼称を得て評価され,その後は「照葉狂言」「高野聖」「婦系図」「歌行燈」といった浪漫的,神秘的作風で独自の境地をひらき,近代における“幻想文学”の先駆者となった。

 本作のプロローグでも,同郷で同窓,そして同じ尾崎紅葉門下の作家である徳田秋声との会話にも出てくるが,泉 鏡花といえば異常なほどの潔癖症だったことで知られている。

 「(そんなことをして)防げるとは思っていないが,こうでもしないと恐くて仕方がない」と言いながら,消毒用のアルコールを常備して,生ものは食べない。お酒は煮立ってしまうまでお燗して,もらいもののお菓子はアルコールランプで炙る……。さらに,これは泉 鏡花が言葉に対する独特のこだわりをもっていたという話にもなるが,豆腐は好きだが“腐”の字が入っているのが嫌で,“豆府”と表記していたなど,たくさんの潔癖症エピソードが残っている。

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生没年:
1873年(明治6年)11月4日 - 1939年(昭和14年)9月7日




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江戸川乱歩(CV:斉藤壮馬)


「みな,心に仮面を被った変装者に違いありません…さて,どう暴きましょう」

 三重県名張市生まれの小説家で,日本における本格推理,ホラー小説の草分け的存在。ペンネームはアメリカの作家,エドガー・アラン・ポーに由来する。
 貿易会社や古本商,新聞記者などさまざまな職業を経て,1923年に雑誌「新青年」で「二銭銅貨」を発表し作家に。名探偵「明智小五郎」や「少年探偵団と怪人二十面相」といったシリーズ作品をはじめ,「人間椅子」「押絵と旅する男」「陰獣」など多くの小説や「幻影城」といった評論を残す。
 1947年には探偵作家クラブ(後の日本推理作家協会)の初代会長となり,1954年に江戸川乱歩賞を設立。新人作家の育成にも力を注いだ。

生没年:
1894年(明治27年)10月21日 - 1965年(昭和40年)7月28日




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尾崎紅葉(CV:緑川 光)


「この程度ならば,まだ門下生の世話はできるぞ」

 東京帝大予備門在学中の1885年に山田美妙らと硯友社を起こし,近代日本文学で初の文芸雑誌となる「我楽多文庫」を発行した。
 その後「伽羅枕」など初期の代表作を発表しながら,20代ながら泉 鏡花や徳田秋声など多くの門弟を擁する文壇の大家となる。
 言文一致体で書かれた「多情多恨」や「金色夜叉」などの作品を発表し国民作家となるが,胃癌で没した。

 代表作の「金色夜叉」は,戦前から戦後にかけて何度も映画化やドラマ化が行われ,作品の舞台となった静岡県熱海市にある「お宮の松」と「貫一お宮の像」は,いまも観光スポットとして有名だ。

生没年:
1868年1月10日(慶応3年12月16日) - 1903年(明治36年)10月30日




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織田作之助(CV:小野坂昌也)


「あーしんど,カレー食べにいけへん?」

 大阪出身の無頼派作家で,通称“オダサク”。「俗臭」が芥川賞候補に,翌年発表の「夫婦善哉」が「文芸」推薦作となるも,続く「青春の逆説」はその奔放な内容で発禁処分を受けた。
 戦後も夕刊紙に掲載された「それでも私は行く」や,当時の世俗を描いた短編「世相」で売れっ子となったが,1946年12月「土曜夫人」を執筆中に,結核による大量の喀血を起こし翌月の1947年1月に死去。

 織田作之助といえば,いまでいう“B級グルメ”が好きだったようで,代表作の1つである「夫婦善哉」には,老舗の西洋料理店「自由軒」の名物カレー(玉子入りのライスカレー)をはじめ,関東煮(おでん),山椒昆布といった,作者本人も愛した“素朴”な食べ物がたくさん出てくる。

 本作には,時間帯により食堂の料理が変化する「献立」機能が2016年12月に実装されたが,この献立に大阪のB級グルメが登場するかも気になるところだ。

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生没年:
1913年(大正2年)10月26日 - 1947年(昭和22年)1月10日




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菊池 寛(CV:三木眞一郎)


「どっちが勝負に勝つか俺と賭けてみるか?」

 「時事新報」で記者を勤めるかたわら「恩讐の彼方に」などの短編小説を発表し,新進作家として活躍。新聞小説「真珠夫人」で一躍流行作家になった。
 一方で株式会社文藝春秋(創立時は文藝春秋社)を創設するなど実業家としての才能も見せ,親友である芥川龍之介の業績を記念し,現在も直木賞とともに年に2回選考が行われ,その受賞作が話題となる芥川賞を立ち上げた。

 競馬,将棋,そして麻雀と,ゲームや勝負ごとに熱中していたことでも知られる菊池 寛。その勝負ごとへのこだわりは,本作のキャラクター性にも反映されている。

生没年:
1888年(明治21年)12月26日 - 1948年(昭和23年)3月6日




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北原白秋(CV:花江夏樹)


「言葉の一つ一つはすべてが生ける言霊であり,生物なのだよ」

 熊本の,柳川藩御用達の海産物問屋を営む旧家(現・白秋生家)に生まれた。
 上京して早稲田大学に入学し,学業の傍ら詩作に励み,1909年に処女詩集「邪宗門」を,2年後に詩集「思ひ出」を発表して評価される。童謡の作詞,校歌や応援歌も多く手がける。

生没年:
1885年(明治18年)1月25日 - 1942年(昭和17年)11月2日




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国木田独歩(CV:増田俊樹)


「お? アンタには俺の良さが分かるのか?」

 千葉県銚子市に生まれ,少年期は司法省の役人である父の転任に従い,山口や萩,広島,岩国などで暮らした。
 東京に移り住んでから田山花袋らとの合著「抒情詩」で詩人として活動を始めるが,短編小説集「武蔵野」を刊行し小説家へと転身し,「牛肉と馬鈴薯」「春の鳥」などの作品を発表。芸妓の写真を掲載した,いまでいう男性向けグラビア雑誌をはじめ,ビジネス誌やスポーツ誌,漫画雑誌,そして2016年の今も続く日本最古の女性誌「婦人画報」など,さまざまな種類の雑誌を企画,創刊して編集長を務めるなど,編集者としてもその腕を振るった。

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生没年:
1871年8月30日(明治4年7月15日) - 1908年(明治41年)6月23日




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幸田露伴(CV:子安武人)


「人生は最初から花道ではない……努力することが必要だ」

 東京生まれの小説家,随筆家で,別号に蝸牛庵(かぎゅうあん)などがある。
 電信技手として北海道の余市町に赴任するが,坪内逍遥の「小説神髄」に触発され,帰京。文学の道へ進み「風流仏」「五重塔」などの作品で作家としての地位を確立,同世代の尾崎紅葉とともに“紅露時代”と言われ一世を風靡する。

 小説のほかにも,「平将門」や「蒲生氏郷」などの史伝や「努力論」といった随筆,松尾芭蕉の評釈などを残した。

生没年:
1867年8月22日(慶応3年7月23日) - 1947年(昭和22年)7月30日




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小林多喜二(CV:小西克幸)


「アンタが俺を必要としているなら,協力するよ」

 秋田県生まれの小説家。家族で北海道の小樽に渡り,小樽高等商業学校(現・小樽商科大学)在学中から創作活動に取り組みはじめる。
 志賀直哉に傾倒してリアリズムを学んだが,その後,社会主義や共産主義と結びついたプロレタリア文学に目覚め労働運動に参加。非合法下の共産党に入党するが,特別高等警察(特高警察)に逮捕され,1933年に獄中死する。

 代表作は「一九二八年三月十五日」「蟹工船」「不在地主」「党生活者」など。2000年代に入り,所得格差やワーキングプア問題といった社会的背景のもと「蟹工船」が脚光を浴びるなど,その作品はいまも読まれ続けている。

生没年:
1903年(明治36年)12月1日 - 1933年(昭和8年)2月20日




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佐藤春夫(CV:泰 勇気)


「まったく,谷崎といい太宰といい……こうも変人が集まるとあんたも大変だな?」

 和歌山県新宮生まれの小説家で,はじめは詩歌に専念し,その作品は格調高い古典的な抒情詩で知られた。谷崎潤一郎と親交を結んだ1917年ころから小説も手がけ,幻想的で耽美な作風で「田園の憂鬱(病める薔薇)」「都会の憂鬱」「晶子曼陀羅」「殉情詩集」といった多くの名作を残す。

 1964年に自宅でラジオ番組を録音中に「私の幸福は……」と言い残し,心筋梗塞のため逝去。明治末期から大正,昭和と,小説だけではなく文芸評論や随筆,戯曲など多岐にわたる活動を見せ,門弟三千人と言われるほど多くの門人を持った。

生没年:
1892年(明治25年)4月9日 - 1964年(昭和39年)5月6日




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志賀直哉(CV:前野智昭)


「俺はこの目で見えるものしか信じないからな!」

 宮城県石巻町生まれの東京育ち。学習院高等科を経て東京帝国大学文学部中退。学習院以来の友人である武者小路実篤らと同人雑誌「白樺」を創刊し,それまで主流となっていた自然主義文学とは違い,自我の肯定を根本とする新しい文芸思潮“白樺派”を起こした。
 主な作品は「和解」や「城の崎にて」,15年以上という執筆期間をかけて生まれた「暗夜行路」など。

生没年:
1883年(明治16年)2月20日 - 1971年(昭和46年)10月21日




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島崎藤村(CV:立花慎之介)


「ねぇねぇ…死ぬってどんな気分?ねぇちょっと…」

 長野県木曽郡山口村神坂馬籠(現・岐阜県)に生まれる。教鞭を執るかたわら詩を発表し,ロマン主義詩人として処女詩集「若菜集」を刊行。「恋人と別れるように」詩から小説に転じ,自費出版した最初の長編小説「破戒」が漱石に評価される。
 以降,自然主義文学作家の先鋭として,長編小説「家」や,姪と関係を告白した「新生」,歴史ある庄屋の17代当主である父をモデルとした「夜明け前」などの作品を次々と発表した。

生没年:
1872年3月25日(明治5年2月17日)- 1943年(昭和18年)8月22日




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高村光太郎(CV:森田成一)


「こんにちは。僕の道は一本だから,君についていくよ」

 東京生まれの詩人・彫刻家で,父は上野公園の西郷隆盛像で知られる,彫刻家の高村光雲。東京美術学校で彫刻や洋画を学び,ニューヨーク,ロンドン,パリへ留学する。
 帰国後は,美術評論,評伝,エッセイを次々と発表して注目され,1914年には処女詩集「道程」で芸術院賞を受賞。妻の高村智恵子と結婚する以前(1911年)から彼女の死後までの30年間にわたって書かれた,彼女に関する詩や短歌などを収録した「智恵子抄」を1941年に発表した。

生没年:
1883年(明治16年)3月13日 - 1956年(昭和31年)4月2日




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太宰 治(CV:中村悠一)


「ふっふっふ,実は俺のファンなんでしょ」

 青森県金木村(現・五所川原市金木町)生まれの小説家で,本名は津島修治。東京帝国大学仏学科在学中に非合法運動に関係するが脱落し,カフェの女給と鎌倉で心中を図るが1人だけ助かる。
 1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり,翌年「晩年」を刊行。その間も自殺未遂や薬物中毒などで世間を騒がせるが,井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚してからは平静を得て「富嶽百景」など多くの佳作を書き残す。
 戦後は「斜陽」などで流行作家となるが,「人間失格」を残して山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

 太宰 治といえば,芥川賞欲しさに選考委員の佐藤春夫や川端康成などに頼み込んだ話が有名だ。
 太宰 治は学生時代,ノートに何度もその名前を書き連ね,そして似顔絵まで描くほどに芥川龍之介に心酔していた。その大好きな芥川龍之介の名が冠された賞の第1回から候補となり,さらに腹膜炎の治療に用いた鎮痛剤中毒に苦しんでいた時期で,薬代がかかるため賞金も必要という状況。それらの理由でなんとしても賞が欲しかったのか,“私を見殺しにしないでください”といった受賞を懇願する手紙を,川端康成や佐藤春夫に送るという行動に出る。
 しかし太宰 治は賞を獲ることはできなかった。それで裏切られたと感じたのか,作品ではなく自身の私生活について評した川端康成に対しては「刺す,そうも思った」と怒りをあらわにし,さらに,かつて師事した佐藤春夫に対しても,第3回落選ののちに「創生期」という短編で芥川賞の裏話を暴露するという形で攻撃をした。

生没年:
1909年(明治42年)6月19日 - 1948年(昭和23年)6月13日




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谷崎潤一郎(CV:岡本信彦)


「本は人の変態性を肯定するものさ,それを奪うなんて許せないね」

 東京は日本橋生まれの小説家。東京帝国大学文科大学国文科に在学中より創作を始め,同人雑誌の第2次「新思潮」を創刊して「刺青」などの作品を発表。その才能は早くから永井荷風に認められた。
 その後も西欧の文学から影響を受けた作品を多数発表し,関東大震災ののちに関西へ移り住んでからは,大正以来のモダンなものと伝統的な日本語による美しい文体の作品を残す。

 主な作品は「痴人の愛」「春琴抄」「卍」「細雪」「陰翳礼讃」など。

生没年:
1886年(明治19年)7月24日 - 1965年(昭和40年)7月30日




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田山花袋(CV:梶 裕貴)


「オレの小説が気持ち悪いなんて言う奴は,なーんにもわかってない訳」

 栃木県邑楽郡館林町(現・群馬県)生まれの小説家。
 女弟子との関係を露骨に告白した「蒲団」が当時の文壇に異常な衝撃を与え,それは自らの立場を固めるだけではなく,日本の自然主義文学の方向性をも決定するような作品となった。以後「生」「妻」「縁」の3作品や,名作との評が高い代表作「田舎教師」などの長編作品を残す。

生没年:
1872年1月22日(明治4年12月13日) - 1930年(昭和5年)5月13日




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徳田秋声(CV:渡辺拓海)


「口うるさい鏡花がここにいないってだけで,本当に平和だよ」

 石川県金沢市出身の小説家で“金沢の三文豪”の1人。1895年に尾崎紅葉の門下に入り,実質的処女作となる「薮かうじ」を翌年発表。1900年に読売新聞で連載された「雲のゆくへ」が出世作となり,その後自然主義文学の大家として「黴」「あらくれ」「縮図」など多くの作品を残した。

 本作のプロローグでともに戦うことになる泉 鏡花とは,同門で同郷ながら師の尾崎紅葉への思いの違いから複雑な関係にあったようだ。徳田秋声が尾崎紅葉の死を茶化すような話をしたのを聞いて,崇拝に近いほどに慕っていた泉 鏡花が,徳田秋声に殴りかかったという話もある。

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生没年:
1872年2月1日(明治4年12月23日) - 1943年(昭和18年)11月18日




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永井荷風(CV:置鮎龍太郎)


「文学の神髄の一つは虚偽(フィクション),もう一つは実験的な遊戯だ」

 「あめりか物語」や,その退廃的な内容で発禁処分を受けた「ふらんす物語」などの作品を発表し,道徳的なものよりも“美”に重点を置く耽美派の作家として文名を高める。
 慶應義塾大学文学部教授として多くの人材を育成,森鴎外や上田敏とともに雑誌「三田文学」を創刊する一方で,毎日のように花街に通い「腕くらべ」「つゆのあとさき」「濹東綺譚」など,花柳界を題材とした作品を残した。ほかに代表作として,1917年から死の前日(1959年4月29日)までの40年書き続けた日記「断腸亭日乗」がある。

生没年:
1879年(明治12年)12月3日 - 1959年(昭和34年)4月30日




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中島 敦(CV:石川界人)


「えっ,私もですか?…戦う私を見ても驚かないでくださいね」

 東京帝国大学国文学科を卒業し,私立横浜高等女学校(現横浜学園高等学校)で教壇に立つ。持病の喘息と闘いながら創作活動を続け,1934年に「虎狩」が雑誌の新人特集号の佳作に入る。
 1941年,南洋庁国語教科書編集書記としてパラオに赴任中「山月記」を収めた「古譚」を刊行。続いて発表した「光と風と夢」が芥川賞候補となり注目されるが,気管支喘息が悪化し早逝。「弟子」「李陵」など,代表作とされる多くは死後に発表され脚光を浴びた。

生没年:
1909年(明治42年)5月5日 - 1942年(昭和17年)12月4日




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中野重治(CV:赤羽根健治)


「書けるのに書かないというのは,天職に対する怠慢だよね……」

 福井県出身の小説家,詩人。第四高等学校(旧制)に在学中,関東大震災に被災し金沢で避難生活を送っていた室生犀星を訪ねて師事し,室生のもとで知り合った堀 辰雄らと詩を発表。芥川龍之介からも評価を得る。
 プロレタリア文学運動に参加し,非合法下の共産党に入党するが検挙され,転向(共産主義や社会主義の立場を放棄すること)を条件に出獄を許される。代表作は「歌のわかれ」「むらぎも」「梨の花」「甲乙丙丁」など。

 同じく検挙され,獄死した小林多喜二と違い,転向したことで身の危険を回避した中野重治。本作では,己の信念よりも文学活動を選んでしまった自分の選択を後悔しているという描写がある。

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生没年:
1902年(明治35年)1月25日 - 1979年(昭和54年)8月24日




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中原中也(CV:柿原徹也)


「青鯖が空に浮かんだような顔しやがって!」

 「汚れつちまつた悲しみに……」で有名な,山口県生まれの詩人,歌人。15歳で友人との共同歌集「末黒野」を出すなど若くして詩才をあらわす一方,飲酒や喫煙を覚えていわゆる不良少年となり,学校の成績は下降して落第生に。転校や大学入学などの理由で京都,東京と移り住み,1934(昭和9)年に自費出版した第1詩集「山羊の歌」で高い評価を得る。1933年の結婚後,長男の文也を2歳で失ってから心身が衰弱し,1937年に鎌倉で急逝。

 中原中也といえば“酒乱”として知られている。器物損壊事件を起こしたり,人に絡んでは喧嘩したりとその被害に遭った作家も多く,特に太宰 治と乱闘になったというエピソードは有名だ。本作のセリフ「青鯖が空に浮かんだような顔しやがって!」は,そのときに中原中也が太宰 治に向かって放った言葉とされている。

 なお,太宰 治は酒を飲んでは絡んで暴れる中也の性格を嫌っていたが,人物としては認めていたようで,若くして亡くなった中也に対して「やっぱり中原は段違いだ」とその才能を惜しんだという。

生没年:
1907年(明治40年)4月29日 - 1937年(昭和12年)10月22日




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夏目漱石(CV:鳥海浩輔)


「私も自由にやらせてもらいます。戦うも,逃げるもね」

 1867年,江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)の名主の家に生まれる。17歳のときに大学予備門に入学し,ここで文学的にも影響を受けることになる正岡子規と出会い生涯の友となる。
 帝国大学英文科を卒業後,松山中学や第五高等学校(旧制)で教師として勤め,英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後に東京帝国大学で教鞭をとりながら,1905年に「吾輩は猫である」を発表し大評判となる。
 翌年には「坊っちゃん」「草枕」など次々と話題作を発表。1907年に東大を辞し,新聞社に入社して創作に専念。「三四郎」「それから」「行人」「こころ」等,日本文学史に輝く数々の傑作を著した。長編小説「明暗」を執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。

 多くの日本近代主要作家に影響を与えた夏目漱石は,本作の人物紹介にあるとおり“控えるように注意されても絶対やめない”ほどの甘党で知られている。おしるこや羊羹,駄菓子にアイスクリームと,それは体を壊してもなお食べるのがやめられないほどだったという。

 代表作の「吾輩は猫である」にも,漱石自身がモデルとされる語り手の珍野苦沙弥先生が,ジャムの缶をひと月に何缶も“舐めて”,空にしてしまうというエピソードがある。

生没年:
1867年2月9日(慶応3年1月5日) - 1916年(大正5年)12月9日




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新美南吉(CV:村瀬 歩)


「人間観察をしています……じぃぃー……」

 愛知県出身で,日本の近代児童文学や音楽に大きな影響を与えた児童雑誌「赤い鳥」出身の児童文学作家。29歳という若さで亡くなったため作品数はあまり多くないが,「ごん狐」「手袋を買いに」など,子供の頃に絵本でその作品に触れているという人も多いはず。
 地方で教師を務めながら童話の創作をしていたという点で,宮沢賢治と比較されることも多い。

生没年:
1913年(大正2年)7月30日 - 1943年(昭和18年)3月22日




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萩原朔太郎(CV:野島健児)


「人と関わることは,詩を創ることよりも難しいね…」

 1916年に室生犀星と詩誌「感情」を創刊し,翌年に処女詩集「月に吠える」を出版。孤独や不安,焦燥といった心象を,豊かな感受性と優れた表現で詠ったことで注目を集める。その後「青猫」を出版しその地位を確かにして,日本の近代口語詩の完成者として多くの影響を与えた。

 大のミステリーファンで,実際に交友があったという江戸川乱歩の作品を自身のエッセイで賞賛したこともあった。本作でもこの2人の会話は気になるところ。

生没年:
1886年(明治19年)11月1日 - 1942年(昭和17年)5月11日




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堀 辰雄(CV:髙橋孝治)


「え,はい! お手伝いします……! なんでも言ってください!」

 東京生まれの小説家。第一高等学校(旧制)在学中から室生犀星や芥川龍之介の知遇を得,芥川の死に対するショックから生と死と愛をテーマにした「聖家族」を1930年に発表。「美しい村」「風立ちぬ」などで作家としての地位を確立。その後も後期の代表作となるロマン(長編小説)「菜穂子」のような,フランス文学の伝統や手法を取り入れた小説や,「かげろふの日記」「大和路・信濃路」など,日本の古典に傾倒した作品を残している。

 堀 辰雄の代表作と同名タイトルの作品に,宮崎 駿氏の漫画連載及びアニメ映画作品「風立ちぬ」がある。これは零戦の設計者である堀越二郎をモデルとした創作作品だが,公開時のポスターに「堀越二郎と堀 辰雄に敬意を表して。」と記されていたように,堀 辰雄の小説のニュアンスや設定が取り込まれた作品だ。

生没年:
1904年(明治37年)12月28日 - 1953年(昭和28年)5月28日




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正岡子規(CV:白石 稔)


「おっし! べーすぼーるを……あれ? 人数足りない?」

 愛媛県松山市に生まれ,俳句,短歌のほか評論や随筆など多方面にわたる創作活動を行い,日本の近代文学に大きな影響を与えた俳人,歌人。学生時代に寄席通いや落語談議で縁を持ち親友となった夏目漱石のほか,幼なじみに日露戦争時の連合艦隊作戦参謀としてその勝利に貢献した秋山真之がいる。

 親友の夏目漱石は大の甘党で知られるが,正岡子規は大食いとして有名だ。病床にあるときも,毎食お粥やご飯を4杯食べては,間食に菓子パンや梨をたくさん食べるなど……病気もあって栄養をつけたいという思いがあったのだろうが,食べ過ぎで身体を壊したのでは? と思うほどの食事量だったことが日記「仰臥漫録」にも記されている。

 そして正岡子規といえば,キャラクターイラストでバットを持っているように野球好きだったことでも知られている。
 ルールの翻訳案を考えたり,自身の幼名である「升(のぼる)」にちなんで「野球(のぼーる)」という雅号を用いたり,野球を題材とした俳句を数多く残したりしたことが,日本の野球発展に大きく寄与した人物として評価され,2002年に野球殿堂入りを果たしている。

生没年:
1867年10月14日(慶応3年9月17日) - 1902年(明治35年)9月19日




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宮沢賢治(CV:代永 翼)


「なんでもボクに頼ってね,きっと力になるから」

 岩手県花巻市生まれの童話作家,詩人。
 1921年から5年間,県立花巻農学校で教鞭を取り,退職後は「羅須地人協会」という私塾を設立し,農業技術の指導やレコードコンサートの開催といった,農民の生活向上を目指した活動を行った。

 「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」,そして「雨ニモマケズ」と,今も読まれ続けている童話や詩を多く残した宮沢賢治だが,生前に作家としての評価を受けることはほとんどなかった。
 生前刊行されたのは,2016年7月に公開され話題となった映画「シン・ゴジラ」でも取り上げられた詩集「春と修羅」と,宮沢賢治が作りだした“理想郷”を意味する言葉「イーハトーブ」が冠された童話集「注文の多い料理店」という,自費出版作品が2冊のみ。原稿料も雑誌に投稿して掲載された童話「雪渡り」で得た5円だけだったという。

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生没年:
1896年8月27日(明治29年) - 1933年(昭和8年)9月21日




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三好達治(CV:寺島惇太)


「このぞくぞく感……いい詩が書けそッスね……!」

 大阪府大阪市出身の詩人。萩原朔太郎に師事し,多くの文士や芸術家が住む東京の馬込文士村(現在の東京都大田区)に下宿しながら創作活動を行い,1930(昭和5)年には第1詩集「測量船」を刊行。叙情詩人としての名声を得る。
 「花筐」「駱駝の瘤にまたがつて」などの詩集のほか,「諷詠十二月」や「萩原朔太郎」などの評論,「巴里の憂鬱」「昆虫記」などの翻訳物も多く残している。

 萩原朔太郎の熱心な弟子だったという三好達治は,本作でも師である萩原朔太郎を目標として,その姿を日々追いかけているというキャラクターだ。

生没年:
1900年(明治33年)8月23日 - 1964年(昭和39年)4月5日




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武者小路実篤(CV:KENN)


「あなたの夢は何ですか? 僕は夢のためなら,何でもやっちゃいますよ!」

 江戸時代からの公卿の家系である武者小路家の末子として,東京の千代田区に生まれる。1910(明治43)年,志賀直哉らと「白樺」を創刊し“文壇の天窓を開け放った”と称された。
 1918年,宮崎県に「新しき村」を建設してユートピア運動を実践し,「幸福者」「友情」「人間万歳」などの良作を残した。昭和初期には「井原西鶴」はじめとした伝記作品を残したほか,自らも画を描きながら美術論を執筆。戦後に代表作のひとつである「真理先生」を発表。1951年に文化勲章を受章した。

 この武者小路実篤と志賀直哉は,“白樺派”に掛けてか,本作では2人とも白い衣装をまとって登場する。

生没年:
1885年(明治18年)5月12日 - 1976年(昭和51年)4月9日




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室生犀星(CV:逢坂良太)


「野生児の俺の本領発揮ってね!」

 石川県金沢市出身で,泉 鏡花と徳田秋声と並んで“金沢の三文豪”呼ばれる詩人,小説家。私生児として生まれ住職の室生家に養子として入り,12歳で金沢地方裁判所に給仕として就職して,働きながら文学を志す。

 “二魂一体”の親友関係となる萩原朔太郎からの知遇を得て,1918年に処女詩集「愛の詩集」,第二詩集「抒情小曲集」を刊行し詩壇での地位を確立。その後は小説家として「幼年時代」「性に眼覚める頃」などの作品を発表し,戦後は「杏っ子」で読売文学賞を,「かげろふの日記遺文」で野間文芸賞をそれぞれ受賞するなど,その地位を確立した。

 動物好き,特に猫好きとして知られ,それは石川県金沢市の室生犀星記念館で,飼っていた猫(と犬の),名前や毛並み,生い立ちといった詳細がまとめられた年譜が配られたほど。愛猫「ジイノ」とともに火鉢を囲む写真も有名だ。

生没年:
1889年(明治22年)8月1日 - 1962年(昭和37年)3月26日




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森 鴎外(CV:大川透)


「元軍医が小説を書いていてはおかしいか?」

 本名は森林太郎。石見国鹿足郡津和野町(現在の島根県津和野町)に生まれ,東京大学医学部卒業後に陸軍軍医として任官。1884年から4年間ドイツへ留学し,帰国後,留学中に交際していたドイツ女性との悲恋を基に処女小説「舞姫」を発表した。
 そののち,軍人としては陸軍軍医総監(中将相当)へと昇進し,軍医のトップの地位となる陸軍省医務局長を務め,作家としては「ヰタ・セクスアリス」「青年」「雁」「阿部一族」「山椒大夫」「高瀬舟」などの多くの名作を残す。

生没年:
1862年2月17日(文久2年1月19日) - 1922年(大正11年)7月9日




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横光利一(CV:羽多野渉)


「手前は他のものとは違う変人となりたい。……何を笑っている」

 福島県出身の小説家で,菊池 寛に師事し,川端康成と共に新感覚派としての作家として活躍した。
 文芸雑誌「新小説」で「日輪」を,菊池 寛が創刊した文芸雑誌「文藝春秋」で「蝿」をそれぞれ発表すると,一躍有名作家となる。代表作は「頭ならびに腹」「機械」「微笑」などの小説のほか,評論や随筆,戯曲も多数残している。

生没年:
1898年(明治31年)3月17日 - 1947年(昭和22年)12月30日




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吉川英治(CV:阿座上洋平)


「百計尽きた苦悩の果てが一計を生むのだ!」

 神奈川県生まれ。船具工や記者などの職業を経て作家活動に入り,「三国志」「新・平家物語」といった歴史大作をはじめとした200を越える大衆小説作品を残した。
 国民文学作家と親しまれ,1960(昭和35)年に文化勲章を受章。1991年に放映されたNHKの大河ドラマ「太平記」の原作となった「私本太平記」や,漫画「バカボンド」の原作「宮本武蔵」など,いまでもさまざまな作品の原作や原案,モチーフとなっている。

生没年:
1892年(明治25年)8月11日 - 1962年(昭和37年)9月7日




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若山牧水(CV:宮下栄治)


「今日は酒盛りだな! いや,今日も,だな」

 宮崎県出身の歌人。短歌のほかに随筆,童話を数多く手掛けた。旅好きでもあったため,各所で歌を詠みそして紀行文も残している。
 自然を愛し,特に静岡県沼津にある,日本百景にも選ばれた千本松原の景観に魅せられ,その地に移住する。千本松原の伐採計画が立ちあがったときは,伐採計画反対の寄稿や千本松原保存運動を起こしたりとその運動の先頭に立ち計画を断念させた。代表作は歌集の「海の声」「別離」「黒松」や,紀行の「みなかみ紀行」など。

 1日に1升(約1.8リットル)飲むほどの酒好きだったことでも知られており,ゲーム中にも“酒”が絡んだセリフがたくさん出てくる。

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生没年:
1885年(明治18年)8月24日 - 1928年(昭和3年)9月17日

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