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「Nicotto Town」正式版のサービスがスタート! 発表会には小倉優子さんの姿も
正式版……とはいえ,8月下旬に行われた期間および参加人数限定の“お試し版”がα版で,今回のサービスはβ版となる。アバターアイテムなどの有料販売は10月末を目処に開始される予定で,それまでの10月中は“正式版”とはいえ,試用期間という位置づけ。2008年内に10万〜15万会員の獲得を目指し,来期には携帯電話用コンテンツのサービスインも計画されている。
α版の60%を占める女性ユーザーの多くは10代という結果に
なお,帝国ホテルでは,サービス開始のタイミングに合わせ,三社による記者発表会が行われた。この発表会で登壇したのは,ニコッとタウンの開発を手がけるスマイルラボの伊藤隆博代表取締役社長,スマイルラボへ100%の出資とゲームノウハウの提供を行っているスクウェア・エニックスの和田洋一代表取締役社長,そしてサーバーインフラの提供と集客マーケティング支援を行うニフティの和田一也代表取締役社長という三名。
そして「スクウェア・エニックスは閉じた世界をいかにハイクォリティにしていくかで信頼を得てきたが,今回はニフティさんと共にオープンな世界へ挑みます」と,ニフティの和田社長へバトンを渡した。
これを受けたニフティの和田社長は,「これまでアバターには手を付けてこなかったが,今回,いいチャンスをいただいた」と語り,@niftyのトップページにニコッとタウンの動物型NPCキャラクター(先住民)を配置したことに触れた。なんでも,@niftyのトップページに,“動きのあるもの”を登場させること自体が,初めての試みであるという。このあたりから,@niftyがニコッとタウンに寄せる期待の大きさがうかがえる。
続いて,スマイルラボの伊藤社長がニコッとタウンの概要を説明。簡単にまとめてしまうと,“Flashで作られているため,クライアントをインストールする必要がなく,Webブラウザのみで楽しめるアバターコミュニティサービス”である。α版サービスの参加者は,女性が60%(10代がメイン),男性が40%で(30代がメイン)となっていたという。なんでもこの参加者属性は,事前の予想とほぼ変わらなかったそうだ。
さて,このサービスの中心となるのは,ニコッとタウンのためにゼロからデザインされたアバターだ。アバターには,2Dの手書きグラフィックスが採用されているのだが,これは「かわいさ」を追及するためであるという。さらに,アバターが正面ではなく斜めから描かれているのは,クォータービューのニコッとタウン内を,自然な形で歩けるように配慮したためだそうだ。
アバターはもちろん,ファッションアイテムによって飾ることも可能だが,そのためにレイヤーは50〜100という構成になっており,将来的なアパレルブランドとの提携も視野に入れ,「縫い目が見える」精細さを目指しているとのこと。また,ニコッとタウンのアバターは,“目”に特徴を持たせており,400パターンもの中から検討が重ねられたそうである。
このようなアバターが,ニコッとタウンという“仮想世界”でチャットやゲーム,ブログなどを通じ,ほかのユーザーとのコミュニケーションを楽しむというコンセプトになっているのだが,伊藤社長の説明によると“かわいいアバター”を生かすために生まれたのが,現在の形のニコッとタウンなのだそうだ。つまり,仮想世界ありきの企画ではないというわけだ。
そして,このアバターを使って歩いたり,ほかのユーザーと交流する場所が「タウン」である。このタウンは,恵比寿のような“どこか懐かしい現代”をイメージした,手書き風の雰囲気になっている。現実の時間軸に合わせ,夜になるとタウン内も暗くなるほか,例えば東京で雨が降っていれば,タウン内にも雨が降るのだそうだ。
ユーザーはこのタウン内に設置されたゲームコーナーで,ババ抜き,大富豪,7ならべや,スロットなどといった,簡単なゲームを楽しめる。なお,現在のところこれらのゲームは,ソロプレイにしか対応していないが(対戦相手はNPC),今後はほかのユーザーとの対戦機能も用意される予定だ。
なお,ゲームが終了すると,「ブログにゲーム結果をかいてみませんか?」というメッセージが表示され,ここからユーザー自身のブログページへ移動し,書き込みが行える。こうした仕組みを用意した効果もあって,α版ではログインしたユーザーのうち70%がブログを書いたのだそうだ。
ニコッとタウンの仕様では,タウン内で見かけたほかのユーザーをクリックするだけでそのユーザーのルームを訪問できる。α版では,いきなり部屋の中に移動していたのだが,正式版の場合,まずは庭へ移動し,そこから部屋の中へ……となるのだ。
アバター用のファッションアイテムや,ルーム用の家具などは,ニコッとタウン内でのさまざまな活動(ゲームをする,ブログを書く,ほかのユーザーとコミュニケーションする,など)に応じて加算される「コイン」と,「コイン交換所」にて交換可能。
前述のとおり,10月末にはアイテムの有料販売もスタートする予定だが,低年齢層のユーザーも多くなりそうであることから,基本的には無料のコインだけでも十分に遊べるように配慮していくとのこと。ただし,基本的には無料のコインと有料のコインでは,交換できるアイテムの種類は異なる。
なお,タウンのサービスが提供されるのは,毎日10:00AM〜0:00AMの14時間となっている。なお,ゲームやブログ,コイン交換所などは24時間利用できる。
発表会に登場した小倉優子さんの「お気に入りワンピース」も実装
なお,小倉さんが発表会で実際に着ている服をイメージして作られたアバター用の衣装は,「小倉優子さんのお気に入りワンピ」(1500コイン)として,500着限定でコイン交換所に並ぶとのこと。本日から毎週月曜日の9:00PMに,100着ずつ出品されるそうなので,小倉さんのようになりたい! という人は,ニコッとタウン内でさまざまな活動に勤しみ,コイン集めに励もう。
発表会の終盤に行われた質疑応答によると,スクウェア・エニックスおよびニフティとしては,両社共に最終的に収益に結びつけたいものの,コミュニティを確立することが最優先事項であり,コミュニティが活性化して初めてビジネスの可能性が広がると考えているそうである。
確かにここ最近の“仮想世界”モノというと,「社会の枠組みが一変する」「ビジネスチャンスが圧倒的に広がる」「この潮流に乗り遅れたら負け組」的な言説がまかりとおっていたが,現時点でそこまでは至っていないことは誰の目にも明らかである。ビジネスありきで参入したはいいが,コミュニティが賑わっておらず,コストに見合う効果が得られなかった……というケースも少なくないだろう。
ニコッとタウンも,タウン内に実在するアパレルブランドのショップを設置し,そのブランドのアバターアイテムを売るといったことは可能な作りになっており,B to B出店を誘致することで有料アイテム販売以外の収益モデルを確立させていこうという狙いはある。しかし,その前にコミュニティを活性化させないことには,出店者にとっての広告効果を含むメリットはないという考え方が,大前提としてあるようだ。
ニコッとタウンのα版は6000人が登録し,そのうちの1500人程度はほぼ毎日ログインしていたというから,人数制限のなくなった正式版でも,運営の仕方次第によっては,さらなるコミュニティの活性化も見込めるだろう。現時点で10月中旬には1社とタイアップしての出店予定があるそうで,まずはそれがコミュニティにどういった影響を与えるのかが,今後の試金石となりそうだ。
とはいえ,伊藤社長は「B to Bショップの収益は全体の10%だけで良い」とも語っており,とにかくユーザーにコンテンツとして楽しんでもらうことが最重要課題であるとも語っており,それに向けた今後の施策が注目される。
「Nicotto Town -ニコッとタウン-」公式サイト
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