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CESA,5分野の「ゲーム開発技術ロードマップ 2010年版」を発表
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印刷2010/11/19 17:43

リリース

CESA,5分野の「ゲーム開発技術ロードマップ 2010年版」を発表

CESA ゲーム開発技術ロードマップ2010年版
配信元 社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA) 配信日 2010/11/19

<以下,メーカー発表文の内容をそのまま掲載しています>

「CESA ゲーム開発技術ロードマップ2010年版」を公開
最新および将来の技術動向をゲーム開発者に向けて提供

一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(略称:CESA、会長:和田洋一)は、本日、「CESA ゲーム開発技術ロードマップ」(以下、技術開発ロードマップ)の2010 年版を公開いたしました。

技術開発ロードマップは、ゲーム開発にかかわる様々な技術における最新の動向と、近い将来に活用される可能性のある内容をロードマップとして公開するもので、ゲーム開発者、関連する業界関係者、研究者や学生の活動指針として役立てていただくことを目的としています。2009 年に初めて公開され、今回が2 回目の発表となります。

CESA が主催する日本最大のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC(CESA デベロッパーズカンファレンス)」にて実施された“CESA ゲーム開発技術ロードマップ 検討会”で行われた議論をもとに、CESA 技術委員会およびCEDEC アドバイザリーボードでの協議により作成いたしました。本技術開発ロードマップの特徴として、ゲーム開発において重要と思われる技術テーマを選び出し、簡潔かつ判りやすく表現することで、概要をいち早く理解し、調査、研究、議論に活用できる内容となっています。

CESA では、CEDEC の開催に併せて、毎年1 回、本ロードマップを更新し公開していく予定です。今回は、プログラミング、ビジュアルアーツ、ゲームデザイン、サウンド、ネットワークの5 分野について、ロードマップを作成し公開いたしました。今後、分野は必要に応じて見直しを行う予定です。

【ロードマップの内容】

プログラミング
プログラミング一般、コンピューターグラフィックス、AI、物理、アニメーション

ビジュアルアーツ
レンダリング、アニメーション、グラフィックデザイン、オーサリング・プロダクション

ゲームデザイン
ゲームシステム、生産性と品質の向上、気にしなければならない周辺技術

サウンド
DSP (Digital Signal Processing)、シンセサイズ・波形生成・音声合成・音声解析、オーサリング環境・圧縮フォーマット

ネットワーク
個人所有データ、P2P 利用とリソース共有、WEB 技術の取り入れ、ゲーム・コミュニティ、インフラストラクチャ


CESA ゲーム開発ロードマップ(プログラミング分野)

プログラミング一般

<最新>
・ C/C++で作成。マルチコアCPUでAPIベースのスレッド制御

<数年後>
・ メモリの共有・排他レベルの宣言とスレッド生成・同期の簡略化等をサポートする新言語もしくは言語拡張の登場
参考例) CUDA/Axum/ATIstream/TBB/OpenCL/OpenMP/関数言語のアプローチ

・ LLVM/PGO等にみられる実行時最適化技術の向上
・ ゲーム本体部分は、徐々にC#やJava等の生産性の高い言語に移行

コンピューターグラフィックス

<最新>
・ ポリゴンベースのモデル+マッピングのバリエーション、Deferred Rendering等

<数年後>
・ Voxel/Micro polygon/NURBS/Displacement Map/Tessellation/Fractal等を使用した、スケーラブルなジオメトリの実現
・ Global Illumination/Radiosity等のリアルタイム化、もしくはポリゴンベースの手法とのハイブリッド化
・ ABuffer/Alias・
Free Shadow Maps等のZ・bufferの諸問題の解決
・ ハードウェアによるモデルのリアルタイムなトポロジー操作が一般化

AI

<最新>
・ FSMのスクリプトベースの実装

<数年後>
・ プランナ向けのグラフベース、セッティングベースのビジュアルスクリプト
・ ソースコード上の条件分岐によらない得点計算、条件判定等による行動選択
参考例) プラニング/Behavior Tree/確率推論等

・ 動画、画像、音声、構文解析による自動・半自動コンテント生成

物理

<最新>
・ 剛体シミュレーション + Constraint Solver、Ragdoll物理等

<数年後>
・ セットアップに頼らない破断、壊れ、変形などのリアルタイム処理
・ クラウドコンピューティングによる大規模シミュレーション(NW分野)
参考例)海洋など環境レベルの流体表現

アニメーション

<最新>
・ スケルトンベースのキーフレームアニメーションとIKによる自動補完

<数年後>
・ 力学モデルベースによるモーション生成
参考例) 外力応答、筋肉シミュレーション

・ データベースによるモーション生成
参考例) モーションDBの動的解析による生成/学習的なアニメーション処理


CESA ゲーム開発ロードマップ(ビジュアルアーツ分野)

レンダリング

<最新>
・ プログラマブルシェーダの活用、HDR・AO・SH・PRTなど
・ 3D立体視への対応
・ プロシージャルテクスチャの活用

<数年後>
・ 高スケーラビリティの実現 プロシージャルLODなど
・ リアルタイムレイトレーシング
・ AR・高フレームレートなど、出力段の進化
・ ベクタ表現、点群表現など形状表現の多様化
・ 物理ベースのレンダリング、BRDFなど

アニメーション

<最新>
・ プロシージャルアニメーション
・ 剛体物理シミュレーション、物理ベースモーション生成

<数年後>
・ 高度な物理シミュレーション(破壊、流体、筋肉、軟体など)
・ 高度な群集シミュレーション
・ キャプチャしたデータを直感的に編集できる技術
・ 演出意図を加味した自動カメラアニメーション

グラフィックデザイン

<最新>
・ FLASHの浸透
・ モーショングラフィックスを活用したダイナミックな演出

<数年後>
・ ビヘイビアベースのインタフェース演出
・ 素朴なリストやアバター以外のネットワーク表現
・ 解像度フリーなデザイン
・ カラーユニバーサルデザインを意識したデザイン

オーサリング・プロダクション

<最新>
・ 大規模データの効率編集、分散環境
・ 高効率なコンテントパイプラインの構築
・ アセット管理システムの効率的な運用

<数年後>
・ 多様な色空間・HDRIテクスチャのハンドリング
・ ファインアート・実在物からのデータ構築
インバースレンダリング
シンタクス・ルール抽出からのプロシージャル化
・ ファイル操作やバージョン管理を超えた、コンカレントオーサリング
・ DCCツールとゲームランタイムとの相互乗り入れ
・ オープンコンテンツの積極的な利用


CESA ゲーム開発ロードマップ(ゲームデザイン分野)

ゲームシステム
アイデアの出し方、元になる要素、操作しやすいインターフェースの生かし方

<最新>
・ ハードウェアを横断したプレイ環境を意識したゲームデザイン
・ 教育機関、リハビリや社員研修等へのゲームデザインの導入
・ ユーザーのプレイ情報や課金動向を基に進化し続けるゲーム
・ 専門者が監修するゲーム
・ 高年齢のユーザー層を意識したゲームデザイン
・ 特定コミュニティー向けに専用カスタマイズされたゲームデザイン

<数年後>
・ 常時ネット接続可能な情報端末を活用したクラウド型ゲーム
・ 心理学に基づいたゲームデザイン
・ モーションコントローラーの操作方法の洗練と標準化
・ UGCに対するユーザー評価の適正化による自動取捨選択機能
・ UGCの頒布の一般化と作者に対するインセンティブの確立
・ CEROのZ区分に代わる新倫理基準の策定とそれに合わせたゲームデザイン生産性と品質の向上

アイデアを生かすために生産性をあげる技術

<最新>
・ ローカライズやカルチャライズが必要な国の増加
・ プロトタイピング、ホワイトボックス開発手法
・ 手書きやツールによるスクリプト生成
・ ゲーム開発に即した工程管理システムによる適切な進捗予測
・ データマイニングを利用したマーケティング

<数年後>
・ ユーザーのプレイ傾向を分類し難易度を自動調整するAIの搭載
・ ゲームシステムやゲーム進行の整合性の自動テスト
・ 高度なローカライズ、カルチャライズの自動化
・ プロダクトリプレイスメントの一般化
・ 雰囲気表現の自動スクリプト生成や正規化支援ツール

気にしなければならない周辺技術
アイデアの元になる未来に予想される技術


<最新>
・ 深度を考慮した立体的な画像認識技術
・ 表情を読み取る技術の一般化
・ カメラ及びGPSと電子コンパス等によるAR技術
・ 個人認識技術を使ったゲームデザイン
・ 立体映像の普及

<数年後>
・ 脳や皮膚からの微弱な信号を利用したコントローラー
・ 立体映像が及ぼす悪影響を軽減する描画方法とゲームデザインの確立
・ マルチタッチデバイスの全面多人数同時操作におけるプレイヤーの特定
・ 環境を制御できるフォースフィードバック


CESA ゲーム開発ロードマップ(サウンド分野)

DSP (Digital Signal Processing)

<最新>
・ 各社独自でのDSP処理組み込みが浸透しつつある
・ 周波数ドメイン型音声処理の開始

<数年後>
・ 独自DSP開発がより一般化。信号処理を扱える専門知識が必要になる
・ 信号処理を簡単に行えるツールが普及し、ワークフローの一部となる
・ VSTのようなオーディオ入出力標準規格が、ゲームプラットフォーム上でも採用され、より一般化される
・ 3D映像に対する音響側からのアプローチが行われる

シンセサイズ・波形生成・音声合成・音声解析

<最新>
・ 空間表現(方位感・包囲感・物理現象表現)に対して、各社の取組みが活発化
・ 物体質量、形状、速度に応じた発音波形選択(フィジックスとの連携開始)
・ 音声合成エンジンによる発声利用や、音声解析による自然語入力の実験段階
・ 従来の波形合成技術の更なる進化(周波数ドメイン、波形モーフィング)

<数年後>
・ 波形記憶型から、波形生成型へのアプローチ
・ より高度な物理演算エンジンとの統合、AIエンジンの発音制御への応用
・ 音響工学や建築音響など、空間音響の研究を元にしたシミュレートへの挑戦

オーサリング環境・圧縮フォーマット

<最新>
・ ゲームエンジンと同化した音源配置等のオーサリング環境を提供
・ 生音取り込み進行が一巡、インタラクティブ変化対応や楽譜データ(MIDI等)とのハイブリッド化が進行
・ 楽曲自動生成の試み(シーケンシャル技術の音楽分野への応用)
・ 多言語同時開発・マルチプラットフォーム用の統合環境の登場
・ 音声伝達用のコーデック利用が加速(ボイスチャットがより普及)

<数年後>
・ CGオーサリングツールとの連動構築による作業効率化が加速
・ DAWソフトとの完全連携による作業の効率化、新規ワークフローの確立
・ DAWデータをインポート、またはプラットフォーム上で動作する環境
・ スクリプト言語による、インタラクティブ作曲/制御技術が実用化
・ メタデータを含んだ音声フォーマットの普及と有効活用


CESA ゲーム開発ロードマップ(ネットワーク分野)

個人所有データ

<最新>
・ 個人情報を超えて、個人が所有するとみなされるデータ範囲が拡大する。ゲームデータ等も個人が所有しているものとして、サーバ運営者が保護責任を負う
・ 拡大された個人データでの所有権を実現するセキュリティ機構、プロトコルが実現されている

<数年後>
・ 拡大されたデータとは、主に共有データという形をとる。またそれらはUGCという形をとる
・ これらのデータ管理は現状の法律上では守られていないため、これらの法整備が望まれるP2P

利用とリソース共有

<最新>
・ サーバ群をクラウドとして仮想化し、大規模コンピューティングリソースを提供している
・ P2Pを積極的に利用してゲームプレイ環境側からもゲーム世界構築のためのリソースが提供されている。クライアントもサーバの一部となることで、サーバとクライアントの境界が曖昧となりつつある

<数年後>
・ 構成の変わるリソース群をゲーム空間提供リソースとして仮想化する技術が確立される
・ クラウドの利用によりリソースの拡大縮小が迅速に行えるようになり、P2Pとサーバ・クライアントモデルの住み分けがはっきりしてくる

WEB技術の取り入れ

<最新>
・ ステートフルなサーバ=クライアントに基づくゲームプレイ環境を提供している
・ WEB上培われた多数接続・負荷分散技術を応用したゲームサーバ構築が進む

<数年後>
・ 接続技術が標準・オープンであるものを使うためアクセス端末を選ばないゲームプレイ環境が実現される

ゲーム・コミュニティ

<最新>
・ ブラウザpluginを含むWEB技術をベースとするカジュアルゲーム環境を提供している

<数年後>
・ 端末によらない透過的なアクセス手段とプロトコルが確立される
・ 端末の表現力に応じた複数ビューをもつゲーム環境が提供される
・ R(Reality)を利用したコンテンツの増加とRealityを充実させたコミュニティの成長

インフラストラクチャ

<最新>
・ 携帯型機の通信はWireless LANによるアクセスが中心。アクセスポイントが必須

<数年後>
・ 3G,4Gによる高速通信が中心となる

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