連載2回目終盤にして,ようやく生き別れのえすぱ田家メンバーおるそんとの再会を果たした主人公。故郷(くに)のおっかぁも涙を流して喜んでいるはずだ。目減りするばかりのお金を兄に補填してもらうアテは外れてしまったわけだが,新大陸に詳しい兄の勧めに従い,最深部に金銀財宝が眠るという「テトラ遺跡」を目指すことに。
オープンβテストからダンジョンの攻略難度はかなり下がったため,MCCに慣れたプレイヤーならレベル22にもなればテトラ遺跡を完走可能だろう。回復役のスカウトを持たない人でも,フェルッチオ・ブレッドさえ買い込めば,レベル25前後で突破できるはずだ。
兄おるそんのスタンスは,槍/斧系の武器を使う「ペネトゥラルクルス」で,これはNPCだけが習得している特殊スタンス。初期スキルは「アルポン」一つだけだ。彼の長所は,ファイターでありながら空中の敵を攻撃可能なことと,主人公が扱うスタンス「バックガード」や「ハイガード」に比べて攻撃力が高いこと。一方短所はとにかく足が遅いことだ。もう,びっくりするほど遅い。そんなおるそん兄さんの勇姿を中心に,テトラ遺跡深奥部までの道中をしばしご堪能いただきたい。
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ファイター用でありながら,空中の敵を倒せる唯一のスキル「アルポン」で「フライングシックル」を仕留める図 |
1本の矢は弱いが3本束ねればという,国籍無視もはなはだしいたとえで,3兄弟の戦いを表現してみる |
いよいよテトラ遺跡へ。画面は最深部の少し手前だが,体の弱いあるまんぞ兄さんは少々お疲れの様子 |
這いつくばって金貨と宝石を漁る3兄弟。その背中には哀愁以上の何か……あえて言えば鬼気迫るものが漂っている
噂は本当だった。ダンジョン深奥部はあふれんばかりの金銀財宝で埋め尽くされている。が,肝心の三人は運搬用具を何も持ってきていないではないか……。ポケットに入る限りの金貨を詰め込む,ちょっと情けないその姿。とりあえず,次の1週間分の資金ぐらいは稼げたようだ。
リスのほお袋並みに膨らんだポケットに,ご満悦の主人公達。しかし,そんなささやかな幸せに満足していたのでは,家門復興の日は遠ざかるばかりだ。
「兄さん,私達と一緒にうちへ帰りましょう。そして,えすぱ田家の復興に力を貸してほしいの」
家族の回復と家門の復興を夢見る主人公が,兄おるそんにそうお願いしたのは当然のこと。妹の嘆願に,しかし,静かに首を横に振るおるそん。
妻の「リボルドウェ兵士・えすぱ田」および息子の「うぃりー・えすぱ田」。……兄さんにはすでに新しい家族が
「リボルドウェを離れる気はない。実を言うと……今の私は妻も子供もある身なんだ」
な,なんと,おるそんはすでに自分の新たなファミリーを,ここリボルドウェに築いていたのだ。妻は同じリボルドウェ兵士,可愛い息子はスカウトとしてすくすくと成長しつつある,うぃりー・えすぱ田。いやその,妻に名前がない点はツッコミ禁止だが。
「その代わり……にはとてもならないが,私が知っているほかの兄弟姉妹の消息をお前達に伝えよう。港町コインブラに行くがよい。確か,姉の一人が嫁ぎ先で商売を営んでいるはずだ」
アテもなく新大陸までやってきたろーらとあるまんぞだが,今度の情報は,現地にいる兄からの確かなもの。愛する家族から兄おるそんを引き離すのは忍びない。名残惜しさを振り切って,二人は新たな情報を手にコインブラへの旅立ちを決意するのであった。
ところで,コインブラへは「ウェイポイント」なるテレポーターを使用する以外経路がないのだが,リボルドウェからの料金はお一人様500visで二人合わせて1000vis(注:ファイナルクローズドβテストでの仕様。なおゲーム内で二人分取られたりはしない)。ダンジョンから持ち帰った金貨がすべて交通費に消えることに気がついたときには,後の祭りであったとさ。
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コインブラへの徒歩ルートが開けるのは,プレイ方針によってはかなり先の話にもなる。ウェイポイントが便利だが,ちょっと旅費高すぎ! |
街外れまで見送ってくれる,おるそん兄さん。さようなら兄さん,さようならリボルドウェ。まだ見ぬ兄弟姉妹を捜す旅は,コインブラへ |
ようやくグラナド・エスパダ最初の港「コインブラ」に到着した二人。前回同様,まずはギリシア風モチーフの美しい町並みから,実家にレポートしようではないか。
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左手をご覧ください。船着場からまず目に入るのは,某国大統領閣下の白い家でございます(注:たぶん違います) |
ロビーディクなる魚を追っているらしいエイハブ……じゃなくて漁師さん。私達ひもじいので,ぜひその肩の魚をください |
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実はここコインブラでのみ,バラックの拡張が可能だ。9個拡張に必要な家門ポイントが100万……100万ってなんですか?? |
東京は青山あたりにありそうな,お洒落カフェで一休み。お金はないが,観光……じゃなかった視察に余念がない二人 |
「フェルッチオ・エスパダ」の肖像画を欲しがるろーら。そんなオヤジの絵が欲しいなんて,兄さんオマエのことが心配だよ
波止場では観光客相手に絵を売る娘もおり,こんなときばかりは妹らしさ全開でお土産の絵をおねだりしてみる主人公。ろーらのように愛らしい妹におねだりされたら,なんでも買ってあげたくなるはず! とも思えるが,そんなにベタベタした兄妹など,ゲームやライトノベルの中にしか存在しないものだ。え,ゲームの中? いやいや,兄さんお金ないからねえ。はっはっは。
掲示板の投稿者名が「セイウチマニア」というのがちょっと……。そして掲示板に貼られた印刷物が,どう見てもアール・ヌーヴォー調(19世紀末〜20世紀初頭)なのは,公然の秘密なのでこれまたツッコミ禁止
見慣れぬ土地に舞い上がるろーらを尻目に,あるまんぞがふと街の掲示板に目を留める。
「街の西側にあるカフェ,「セイウチ」に行ってみたよ! 主人のお姉さんもすごい綺麗……(中略)……絶対一度は行くべきだよ!」
はて,確かおるそん兄さんは,姉の一人がコインブラで商売を営んでいると言っていなかっただろうか? 確かめる価値はある。二人はカフェ「セイウチ」へと足を向けるのであった。
チョコラテとアボカドサンドイッチが人気メニューのカフェ「セイウチ」は,相当繁盛している様子。忙しく立ち働く女主人と思しき人物は……。
「ねりー姉さん!」
グラナド・エスパダきってのセクシーNPC,ねりー姉さん(今はリサリンウェイ)。ちょっとその胸元は,目のやり場に困るじゃないですか
ああ,おるそん兄さんの情報は間違っていなかった。確かにそこにいるのは姉のねりーだ。しかしてその姿はどうであろう。夏でも手首とくるぶしまで覆う服装が淑女のたしなみであるはずなのに,腕はおろかヘソと胸チラの衣装を身にまとうねりー。胸のあたりはもう,服というよりただのヒモになってませんか? 姉さん。
「あらあらあら,あるまんぞじゃないの。グラナド・エスパダに嫁いでから会う日が来るなんて,夢にも思わなかったわ」
突然の再会にも,初めて見る妹ろーらの存在にも動じないあたり,さすがカフェの女主人。涙ながらにえすぱ田家没落と復興のための支援依頼を,切り出してみたのだが。
コインブラ〜テトラヒル方面のモンスターがドロップする「カカオ」。オープンβテストからドロップ率が極端に低下したことに気づき,青ざめたのは秘密
「うちも経営苦しいのよねえ,ダンナは3年戦争で行方不明になっちゃうしさ。お金の工面? してあげられないこともないけど,タダってわけにはいかないわね。あんたたち,仕事しない?」
というわけで「カカオ500個集め」という,何の修行だと問い詰めたくなるようなアルバイトを請け負った二人。新マップ「王達の庭園」でカカオ集めにがんばりました(筆者が)。三日三晩,ほとんど寝ずに(筆者が)がんばって集めたカカオ500個,いくらのアルバイト料になるのか,胸を弾ませる二人。
「あら〜本当に集めてきちゃったのね。疲れたでしょう? うちの名物アボカドサンドイッチとチョコラテを召し上がれ」
ねりー姉さんの含蓄あるお言葉「女は大事にすべし」。シビアな現実をロマンで覆う巧妙なやり口こそ,彼女の女っぷりなのか
微妙に渋りながらも,笑顔でアルバイト料を払うねりー,その金額は1000visだ。コインブラまでの旅費はとりあえず取り戻せたわけで,ほっとする二人。しかしこのカカオ,普通に街で売れば1個10vis,500個売れば合計5000vis。報酬は1000vis……えっと,ねりー姉さん,計算が合いません。さすが商家の嫁,実の兄弟からも躊躇なくむしり取るとは,見上げた根性である。いや拙者,ほとほと感服つかまつった。
一仕事終えて温かいチョコラテで一息つく,あるまんぞとろーら。言うまでもなく,二人が取ってきたカカオで作ったものだ。そんな二人の耳元で,ねりー姉さんが何事かをささやき出す。
「ねぇ,この街にはもう一人,私達えすぱ田家の兄弟がいるのよ。知ってた?」
次々と明らかになるえすぱ田家の人々,ねりーが明かしたその名前とは? 次回乞うご期待!!
「あ,二人とも。チョコラテとサンドイッチの代金,二人分合わせて600vis置いていってね」
リボルドウェでおるそん兄さんと合流し,一緒にテトラ遺跡で一稼ぎ。リボルドウェに戻ってから聞いた情報に基づいて,コインブラまで足を伸ばす。