― 連載 ―

シヴィライゼーション4 (午前)3時のおやつは文明道
第2回:原始・古代の要「宗教」をガンジーで(前編)

 人類発展史シムの元祖にして定番,「シヴィライゼーション」シリーズの最新作「シヴィライゼーション4」(以下,Civ4)で,勝つためのノウハウを時代順に紹介していく本連載。ベテランプレイヤー虹川 瞬氏が,今回からいよいよプレイの過程を追いつつ,各段階におけるキーテクノロジーとその使い方を解説していく。

戦いはセットアップをもって嚆矢となす

 今回は,プレイ序盤で自文明をどう立ち上げていくかというノウハウを,段階に分けて細かく解説していこう。のちのち手幅の広いプレイを展開するには,序盤で最適な選択をして,つまずきや停滞をなくすことが重要である。
 Civ4のプレイ開始時には,マップ設定と指導者を同時に選ぶことになる。ランダム設定にもできるが,自分で最適な組み合わせを選ぶところから,戦いは始まっているのだ。
 というのも,指導者の特性によって狙いやすい勝利条件が決まってくるからだ。例えば軍事系の勝利条件を狙うなら,主力となる格闘/火薬ユニットに最初から「戦闘I」スキルが与えられる「攻撃志向」の指導者が有利になる。一方文化勝利ならば,文化ポイントが多くなる「創造志向」か,特殊ユニット「偉人」が倍のペースで生まれる「哲学志向」のどちらかは欲しい。

 

攻撃的な指導者の例。これらの指導者の文明はユニークユニットも強力で,いわゆるラッシュ戦術を仕掛けやすい。とくにインカは,最初の軍事ユニットの「戦士」が代替されるため,スタート直後でのラッシュが可能となっている

 

 この連載では以降,下のような前提でプレイを進める。比較的オーソドックスな組み合わせだと思うが,狙っていく勝利条件など説明が必要な事柄もあるので,以下で触れよう。

 

  • PC相手のプレイ
  • Continents(大陸)またはPangea(パンゲア)などの,比較的大きな陸地でプレイできるマップ設定
  • 標準スピード
  • 難度は皇子を上限とする
  • 狙うは宇宙開発競争勝利

 

 ちなみにこの方針だと,必然的に建設/内政主体のプレイに向かうが,たいていの場合,戦争も多少は体験することになる。また,戦争系や文化・外交系など特徴のはっきりした勝利条件の場合,どうしてもそれぞれに極端に特化した戦略が必要になる。そのぶん,より高い難易度設定にも対応しやすくはなるが,プレイの幅が狭まってしまうきらいがあるのだ。

 

文化・外交系勝利に向いた指導者の例。フリードリヒ2世(大王)がまるっきり文化の人にされているのはどうかなぁ,とも思うが。一方,エリザベスはイギリスのユニークユニットの使いやすさもあって,かなり柔軟な戦略が取りやすい指導者になっている

 

 それに対して宇宙開発競争は,ゲーム終盤まで決着がつかないため,ゲーム内のさまざまな要素を味わえるプレイ方法となる。まあぶっちゃけ,筆者が好みだからという部分も,なきにしもあらずなのだが。
 さて,この方針の場合,肝心の勝利条件を満たせるのは「現代」になってから。このタイミングで,他文明に先駆けて宇宙船のパーツ製造に必要な技術を獲得し,十分な数作れる生産力をも持つ必要がある。すでにプレイを繰り返している人向けに言うなら,超工業都市が1か所,優秀な工業都市が2か所といったところだろう。それまでの長いプレイ時間は,技術面と生産面を充実させ,必要とあらば他国から領土を切り取ることも含めた準備期間になる。
 そうした目標に適しているのは,「文化遺産」の建設スピードが50%増しになる「勤労志向」を持った指導者だ。文化遺産は世界で一つ(世界遺産)または文明で一つ(国家遺産)だけ作れる特別な都市建造物。このうち,とくに世界遺産のほうには,技術力や生産力を大幅にブーストしてくれるものがある。逆に他文明に渡れば,自文明を脅かす材料にもなるわけで,キモとなる文化遺産はやはり独占したい。そのためにも,勤労志向は有効というわけだ。

 

宇宙船狙いならガンジーか始皇帝がお勧め

 さて,勤労志向を持つ指導者には,以下のような顔ぶれがそろっている。カッコ内はもう一つの志向なので,併せて参照してほしい。術に寄ったものまで用意されている。これら勝利条件は同時に設定/判定されており,いずれかを真っ先に達成した文明が勝利する。

 

  • アメリカのルーズヴェルト(組織志向)
  • 中国の始皇帝(金融志向)
  • フランスのルイ14世(創造志向)
  • フランスのナポレオン(攻撃志向)
  • ドイツのビスマルク(拡張志向)
  • インドのガンジー(宗教志向)

 

勤労+哲学という志向の指導者はいないため,バリエーションとしては以上の6人ということになる。

 

宇宙船狙いに比較的お勧めできる指導者達。勤労志向のメリットとしてはもう一つ,ハンマーを25%増幅する都市施設の「溶鉱炉」(と訳されているが,時代的に見ると「鍛冶屋」である)が,素早く作れることがある。生産基盤を固めやすいのだ。なお,始皇帝の衣装がまるで中国の皇帝に見えない点は,見逃してあげてほしい

 

 ビギナーが比較的低難度でプレイする場合,この中ではガンジーがお勧めできると思う。彼の持つ宗教志向のおかげで,社会制度の変更時にもロスが出ない(宗教志向を持たないと,1〜2ターン生産や開発が停滞する)。また,後述するように序盤の宗教を創始しやすい。低めの難易度設定で,ゲームシステム,とくに内政面をしっかりつかむには最適の指導者といえよう。
 一方,貴族レベルから皇子レベルでは(先週から画面を使っているが)始皇帝がプレイしやすい。こんなコワい顔のキャラはやりたくないという人も出そうだが,持っている「金融志向」には財政面で大きなボーナスがあり,深刻な財政危機に陥りにくいという利点がある。

 

大陸内にある自文明都市の工業生産をまとめて加速できる「三峡ダム」,宇宙船パーツの開発速度が倍増する「軌道エレベーター」などは,宇宙開発競争勝利を狙うならぜひ押さえておきたい世界遺産である

 

四大文明もかくや? 川のほとりに首都を

移動の可否について示した図(場所としての適不適ではないので注意)。この画面の場合,○のマス(現在地から川を渡らずに,丘陵や森になっていない平原・草原に移動する場合)ならば,移動して都市を作ることも可能

 指導者を選んだら,いよいよプレイ開始だ。プレイヤーはゲーム開始時,都市を作れる「開拓者」ユニットを与えられている。最初の選択は「どこに最初の都市=首都を作るか」だ。
 首都は経済面で優遇されるのに加えて,早期から開発が進むので,その後のゲーム展開でも中核的な地位を保ち続けることが多い。だからこそ,なるべく好条件の場所に首都を作りたい。しかし一方で,すぐあとで述べる序盤宗教獲得戦略に走る場合,ここでターンを大きくロスするのは痛いのだ。できれば開始ターン,最悪でも次のターンには首都を建設したい。
 開拓者は平地を2マス移動できるユニットなので,平原や草原などを1マスだけ動いた先で都市を作れる場合がある。川を渡ったり,森に入ったりするとそこでターン終了だが,一歩動いて条件が良くなる場所があれば,第1ターン中に首都が作れるわけだ。移動できる範囲で,最良の場所を選びたい。
 では,首都を作るのに望ましいのはどんな場所か。とりあえず,食料とコインの収入が得やすいところである。しかも,できれば労働者を働かせる前から得られるのが望ましい。意外かもしれないが,ハンマーは多少の森さえあれば,なんとかなるものだ。もちろん,まったく考慮不要とまではいわないが。

 

「首都に向いた場所」を撮ろうと思って数回試したら出てきた,かなり恵まれた土地の例。経済圏内に金山2,氾濫原2,豚1,米1が見えており,しかも川沿い。相当有利に進められる土地だ

 食料収入は,人口増や労働者/開拓者ユニット生産のペースに影響する。一般のユニットと違い,これらの2種のユニットは食料の余剰をも使って生産されるからだ。このため,「労働者なしで3単位の食料が得られる地形」が,都市の経済圏内に2マスあると嬉しい。具体的にいうと氾濫原のほか,食用の動物や穀物の資源がある草原地形が,これに該当する。海沿いの海産物資源(カニ・魚・貝)の場合,漁業を開発する必要があるので多少不利だ。また,長期的に見ると,淡水沿いの土地のほうが衛生状態を保ちやすく,食料を有効活用できる。
 一方コイン収入は,技術開発のペースに大きく影響する。コインが得やすい地形の筆頭には金山があるものの,これは存在確率からして別格で,都合よく首都近郊にあるとは限らない。コインを得るためには通常,労働者を働かせて「小屋」を作る必要があるが,川沿いや沿岸であれば,小額ながら最初からコインが得られる。序盤はこの,開発なしで得られるコインが非常にオイシいのだ。

 こうして条件を並べてみると,川沿いの土地のメリットが分かると思う。さらに川沿いに都市を作ると,ゲーム後半になって,水力発電所を作れるというメリットも出てくる。1歩動いて川沿いに行けるならば,動いておくことを考えたい。
 なお,都市のあるマスからの収入は,元がツンドラでも草原でも氾濫原でも,原則「食料1・ハンマー1・コイン1」に統一されてしまう。さきほどの三つの地形でいえば,氾濫原に都市を作るよりは草原に都市を作って,氾濫原を経済圏に入れるようにしたほうが食料収入の上でお得ということになる。

 

首都の拡張は人口3になってからが目安

 最初の都市が出来たら,プレイヤーはすぐさま二つの選択を迫られることになる。「都市でどのユニットを作るか」と「どんな技術を開発するか」だ。どちらにも100%の正解はない。スタート時の条件に大きく左右されるからだ。ただし,何を作るかについては,無難といえる定石がある。

 

  • 首都の人口が3になるまでは戦士(場合により斥候)を作り続ける
  • 人口が3になったら,労働者→開拓者,または開拓者→労働者と作る。どちらがベターかは,周辺の地形とスタート時の手持ち技術次第で,首都周辺の開発と新都市作成どちらを優先するかによる

 

というものだ。労働者や開拓者を作ると都市の人口成長が止まるため,ある程度都市が成長してからにしたほうが効率が良い。
 また,周囲の探索は重要なので,そのための人手として戦士や斥候を増やしておきたいというわけだ。前述の「食料3が得られるマスが経済圏内に2マス以上」という条件が満たされていれば,戦士2ユニットを作った時点で人口3に届くはずだ。
 なお,最初に与えられた斥候/戦士と,続いて作った戦士は,首都に駐留させず,どんどん探索に回してしまってかまわない。蛮族が跳梁し出すまでには少し余裕があるし,猛獣は経済圏に入ってこないからだ。最後に作った戦士にだけは首都を守らせておこう。
 ついでに言えば,未踏地域の探査に関して,南北方向では南を優先したい。南の土地が有利な理由というのが二つあるためだが,それにはのちのち触れる予定である。

 

戦士2ユニットを作り,続いて労働者(インドではユニークユニットの「熟練労働者」)の生産に移ったところ。画面上端に2本並んだバーに注目してほしい。上段の食料は必要量以上あるはずだが,数字は「0」になっている。一方,その下のハンマーを示すバーには,食料アイコンが「5+」の表示として出ている。これは,「労働者/開拓者を作るときには,人口の伸びが止まり,剰余分の食料はハンマーに追加されて生産に回される」というルールが適用されているためだ

 

人類の師だったり,諜報機関兼収入源だったり

 もう一つの「どんな技術を開発するか」という問題はけっこう悩ましい。序盤にすぐ可能になる技術開発は,以下のような感じでつながっていくので,そのどれかを狙うのがいいだろう。

 

  • 弓兵を作れるようにして守りを固める …… 狩猟→弓術
  • 金属器を作れるようにして攻勢につなげる …… 採鉱→青銅器
  • 労働者が資源活用施設を作れるようにする …… 車輪・農業→陶器
  • 序盤の宗教を一つ確保する …… 神秘主義→多神教あるいは瞑想
  • 首都が海沿いだった場合,沿岸のマスを利用可能にする …… 漁業

 

無事ヒンズー教を創始できたときのムービー。ただし,創始しただけだとメリットは少ない。本山を設置してこそオイシいのだが,そこらへんは次回で

 このうち,一見ぱっとしないというか,利点が目立たないのが宗教を発展させていくルートだろう。ところが,皇子くらいまでのレベルでは,この宗教ルートが最もお勧めなのだ。
 宗教はCiv4から追加された新しい要素で,意外なほど多くの働きを持っている。詳しい解説はシヴィロペディアに譲るが,ここで強調したいのは「宗教を創始して本山を握ること」のメリット。これにより,その宗教が伝播した都市の数だけのコインのボーナスが得られるうえ,伝播した都市の内容を常時スパイできる。経済戦・情報戦の両面で大きなメリットがあるのだ。
 宗教を創始するためには,指定された技術を世界で最初に発見する必要がある。例えば,「多神教」を世界で最初に発見した文明が,ヒンズー教を創始するのだ。
 なお,一文明が創始できる宗教数に制約はない。ヒンズー教を創始した文明でも,「神学」技術に一番乗りできれば,キリスト教をも創始できるというわけだ。

宗教の創始や普及の状況は,この画面(F7キー)で確認できる。まったく交流がない他大陸でも創始されているかどうかだけは分かる,というのも奇妙なのだが,そこはゲーム性優先ということで……

 難易度が「皇子」の場合,技術を神秘主義→多神教と取っていけば,おおよそ5割強の確率でヒンズー教が取れ,最初から神秘主義を持っているガンジーなら,さらに高い確率で宗教の獲得が狙える。100%ではないにせよ,分のいい戦略といえるはずなのだ。ちなみにこの場合,「瞑想」で仏教を創始するのももちろんアリだ。ただ,仏教のほうが開発コストが低いため,先に取られてしまう可能性が幾分高いようである。
 ごくまれではあるが,ヒンズー教が他文明に取られてしまったら……そのときはさすがに,オートセーブされたデータをロードして,やり直しても構わない気がする。

 

 さて,宗教が取れたにせよ,取れなかったにせよ,このあとはいったん内政を固めるのがよい。最初から宗教にこだわりすぎると,内政面が一向に進まなくなり,かえって不利になるからだ。
 順調に進めば,瞑想または多神教で宗教に一段落つけたのに少し後れて,人口が3に達し,労働者か開拓者を作ることになる。ここから取るべき技術は,どのユニットを作りたいかによる。選択肢は大きく分けて次の三つだ。

 

(1)弓術に向かうルート

 開拓者を先に作って第2都市作りを優先したい場合。弓術を確保しておくことで,第2都市で弓兵を確実に作れるようにする戦略だ。

(2)青銅器を取っておくルート

 好戦的な文明と接触したときなどに考慮すべき方法。青銅器の発見で銅資源がマップ上に現れる。第2都市でこの銅資源を押さえれば,強力な格闘系ユニットである斧兵が作れる。

(3)車輪・農業・陶器などを取るルート

 首都の経済圏の開発価値が高く,労働者を優先して作りたい場合。労働者が資源活用施設を設置できるようになる技術を,優先する方法だ。

技術ツリーの最初のほうの画面。労働者を作り始めたタイミングでの取得技術ということになる。ここに示したのはガンジーの場合で,スタート時の保有技術は採鉱と神秘主義。石工術は小屋からもらったものだ

 

 どのルートを採るかは状況次第だが,いずれにせよ,戦士しか作れない状況を長期間続けるのは避けるべきだ。蛮族もそのうち弓兵や斧兵を使い出すため,対抗手段は講じておきたい。
 労働者と,第2都市建設のための開拓者を作り,場合によってはさらに弓兵を作ったところで,首都の建設は新しい段階を迎える。次回はそうした,文明立ち上げ期後半の定石について解説しよう。

■■虹川 瞬(フリーライター)■■
明確なキーポイントを持った社会シムやストラテジーを愛する,PCゲームライター。担当編集の見るところ,かなり判官びいきな部分のある人なのだが,有名な「世界一小さな政治クイズ」では,なぜかリバタリアン(自由と実力を同時に尊重するパーソナリティ)と判定され,本人も周囲も怪訝な顔をしたようだ。えーと,科学志向かつ勤労志向といったところ?
タイトル シヴィライゼーション4【完全日本語版】
開発元 Firaxis Games 発売元 サイバーフロント
発売日 2006/06/17 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/1.2GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスチップ:GeForce 2 MX/Radeon 7500以上,グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨]

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