― 連載 ―

カジュアルゲーム

連載第8回 ファミスタオンライン

 前回Kawamura氏との打ち合わせの最中に,「そういえば野球って1チーム何人でプレイするんですか? 11人でしたっけ」などと聞いたのがまずかった。バスケットボールに続いて,野球という弱点を自らさらしたようなもので,これをKawamura氏が見逃すはずがない。というわけでカジュアル姉さんが今回挑戦するのは,ハンゲームが配信するスポーツゲーム「プロ野球ファミスタオンライン」(以下,ファミスタオンライン)である。

 

 “ファミスタ”こと「ファミリースタジアム」は,1986年にファミリーコンピュータ版が発売されて以来,プロ野球ゲームの代表作として長年君臨し続けた,まさに野球ゲームの代名詞的存在。ある年齢以上のゲーマー,もっとハッキリいえば「ファミコン世代」のお兄さんやお父さんにとっては,大変郷愁を覚えるタイトルだろう。4Gamer読者の中にも,小学生時代に友達の家に上がりこみ,コントローラを奪い合うようにしてファミスタで遊んだ,甘酸っぱい思い出の持ち主も多いのではないだろうか?
 最近のゲームでは小学生の子供に勝てず,一緒に遊んでもらえないといった寂しいお父さんでも,ファミスタオンラインなら昔取った杵柄で,父親の沽券を保ちつつ仲良く家族の絆を深められるだろう。

 

昔ながらの選手イラスト。お父さん世代には昔懐かしいファミスタがよみがえるだろうし,昨今のリアルな3D MMOに慣れた若者には,このシンプルさが逆に新鮮かも?

 簡単に説明すると,ファミスタはシンプル操作がウリのプロ野球ゲーム。そしてファミスタオンラインは,そのネットワークゲーム版だ。固定の12球団ではなく,選手全員をトレーディングカード化し,カードゲーム感覚で自分のオリジナルチームを作って強化していけるところが,ファミスタオンラインの魅力である。
 プレイヤーはまず監督名(プレイヤー名)を決定し,チームやロゴマークを選択。その後,選手の初期デッキを,「A」〜「D」の4種類から選択する。自分のチームにどんな選手達が来るのか分からない,そんなちょっとしたドキドキ感が,自分の「チーム作り」という気持ちを高めてくれるのは評価したい部分だ。
 選手のデッキは5パターンまで登録できるので,攻め重視/守り重視など対戦相手によって変えられるよう,複数のデッキをあらかじめ作っておこう。デッキを組み替えるときには,選手とその能力値をじっくり眺められるので,実際の野球ファンならどっぷりハマるかも?

 

 操作方法は「打撃」「走塁」「守備」「投球」のすべてを,D/A/Sの三つのキーとカーソルキーでカバーしてしまう……というシンプルさ。まさに,ABボタンと十字キーしかなかった,あのファミコンのコントローラの操作がほぼ再現されているのが嬉しいところ。「D+↑」でフォークボール,「D+↓」で速球,といった組み合わせはあるが,チュートリアルを1回こなせば,ファミスタ未経験者でも試合中の操作はだいたい把握できるだろう。

 

デッキを組むための「ロッカールーム」がこちら。購入した装備品の交換もここで行う。ズラリ並んだ選手名は,ナムコスターズのもの ここで教えてくれるのは,本当に基本操作のみ。ついでに2イニング程度のプチ試合を,NPC相手に実際にやらせてくれると嬉しかったなぁ

 

 選手とは別に,チームを強化するアイテムとして「アシストカード」なるものが存在する。これは,試合中に使うと一時的に選手の能力が上昇するカードで,例えば守備系カード「直球Lv2」を選べば,投手には球速+5,球威+10のボーナスが加算される。初期デッキには,このほかにも「絶好調」「ミート」など,それぞれ能力を高めるカードが用意されているが,1枚しか入っていないカードなどは使いどころをよく考えよう。

 

 このほか,守備力や球速を上げられる装備品もある。「みんなと同じは嫌!」というプレイヤーのために用意されたオリジナルユニフォームやチームロゴも,ショップで購入可能だ。

 

 

キャラクター

 選手には,各選手の表情や試合中の動きなど,各個人の特徴をデフォルメしたものが,イラスト化されて描かれている。選手の引退やチーム移籍があった場合には,随時アップデートで対応されるらしい。

 

ゲームモード

レベル制限やイニング数が気にならないなら,空き部屋に直接入室できる「いきなり対戦」を選べばよい

 モードといっても,チュートリアルのための「トレーニング」以外には,試合相手を探す「オープン戦」のロビーがある程度。ロビーはレベル制限ありの部屋,レベル制限なしのフリー対戦,3イニングと6イニングの,比較的短く試合が終わる部屋などに細かく分かれている。自分がルームマスターであれば,イニング数は3/6/9の3パターンから自由に変更できる。
 10月31日現在では未実装だが,「公式戦」や「フリートレーニング」ルームなども名前だけは用意されているので,NPC相手の試合や,豪華な賞品が用意されたトーナメント戦なども今後期待できるかも。

 

自分のレベルや目的別に,いろいろなロビーが用意されている。初級者でも安心 ここぞという勝負どころでは,「アシストカード」を使ってパワーアップできる

対決

 「今回は誰と対決したいですか?」と逆指名を許された筆者が選んだ敵は,「とにかく編集部で一番,野球を知らない人」である。こうして筆者の前に現れたのは,4Gamerの軍師ことTAITAI氏であった。
 「4Gamerの孔明」の異名をとるTAITAI氏は,AoEシリーズなどのストラテジーゲームで,その真価を発揮する明晰な頭脳の持ち主。……つまり大局を眺めて指示を出すゲームには慣れていても,「野球少年」からは縁遠いイメージだ。バットを振り回して,ボールを追いかけるようなスポーツゲームは駄目に決まっている。

 

 一応,プレイボール直前には「TAITAIさん,お手柔らかにお願いしまーす♪」と,普段はめったに使わない「♪」まで使い,油断を誘う作戦を試みたが,「獅子は常に全力を尽くす」とわけの分からない答えが返ってくるのみ。こうして筆者の「日本ハムファイターズ」対,TAITAI氏の「中日ドラゴンズ」という日本シリーズが幕を開けた。

 

麻生ちはや
スポーツは見るのもやるのも苦手。好きなものは「PCと布団」という運動不足気味なライター。プロ野球のことはさっぱり

TAITAI
当時「Microsoft Age of Empires: The Rise of Rome」でほぼ不敗を誇ったRTSプレイヤーだが,野球のことはからっきし

 

 

 初戦は「9回の裏」まできっちり試合を行う設定で,TAITAI氏に真剣勝負を挑む筆者。空振り三振が多く,得点どころか出塁しても進塁がまともにできない筆者は,4回でついに3点を取られてしまう……。TAITAI氏はとくに守備がうまいとか策士とかいうわけではないが,とにかくよく打つ。ひたすら打つ。送球が全然だめな筆者は,オート守備に頼って打たれたらフライを取ってアウト……という結果を祈るばかり。当然,みるみる点差は開いていく。
 流れを変えるべく,途中で選手交代のタイムを取れば,「無駄なことを」とつぶやいてきた。ううむ,この試合が初対面とは思えない意地の悪さ。あんまり腹が立ったので,ちょっと故意にデッドボールを食らわせて気分はスッキリ。しかしこれでまた走者が塁に出てしまい,1試合めの結果は11−0と,9回にすらたどり着かない「コールド負け」となった。これはさすがの筆者も恥ずかしすぎる。

 

ホームランを打たれ,呆然としたシーン。TAITAI氏との対戦までに15試合程度を一般プレイヤー相手にこなしたが,ホームランなんて見たこともないですよ!

 

憎しみのあまり,デッドボールを当ててあげました。これぐらいしか報復措置がないなんて悲しすぎる コールドゲームの意味ぐらいは,いくら野球に疎い筆者でも知っている。実際のチームに罪は一切ありません

 

 「えー,まだやるの?」「ぶっちゃけ疲れた」などと嫌そうなTAITAI氏をねじふせ,恒例の2戦めに持ち込んだ筆者だが,ちょっと弱気な3イニングに設定。どちらもアイテムやカードを買い足していない,初期状態同士だというのに,この実力の差は一体どこから来るのだろう? 2戦めでもTAITAI氏は相変わらず打ちまくり6−0の完封負けでした。Kawamuraさん,そろそろ私も勝ちたいんですけどね。

 

どんなに裏で接待試合をお願いしても「やだ」の一点張りなTAITAI氏。大人げない編集者だなあと言おうとしたら,TAITAI氏のほうが筆者より年下なことに気がついた コールド負けの次は完封負け。にしてもひどい打率だなぁ。ええ,筆者の腕のせいですとも。実在のチームとこの試合結果に,関連性は断じてございません……

 

 

 

■■麻生ちはや(ライター・お姉さん)■■
野球に関しては,とにかく見るのもやるのも,ほとんど未経験に近いという麻生氏。「12球団で一番好きなのはどこですか」と聞いてみたところ「そういえば子供の頃に一度だけ,ライオンズ戦を見に行ったことがあるので,強いて言うならライオンズですね」とのこと。それが唯一の野球観戦経験だそうだ。しかし相手チームだっていたことでしょう。そちらへの思い入れは? 「えっ? いましたっけ」。いや,いないことはないと思うのですが……。
タイトル プロ野球 ファミスタ オンライン 2
開発元 バンダイナムコゲームス 発売元 NHN Japan
発売日 2006/10/12 価格 基本プレイ料金無料(アイテム課金制)
 
動作環境 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP[Windows XP推奨](+DirectX 8.1以降[DirectX 9.0c以降推奨]),Celeron(800MHz)以上[Pentium III(1GHz)以上推奨],メインメモリ:128MB以上[256MB以上推奨],グラフィックスメモリ:32MB以上,HDD空き容量:300MB以上[400MB以上推奨]

Published by NHN Japan Corporation
(C)2006 2007 NBGI(社)日本野球機構承認 NPB BISプロ野球公式記録使用


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http://www.4gamer.net/weekly/casualgame/008/casualgame_008.shtml