※本記事は，テストサーバーにおける8月9日時点のバージョン（1.8.17）をベースに執筆したものです。あらかじめご了承ください。
「グラナド・エスパダ」（以下，GE）の正式サービスが始まって，約3週間が経過した。正式サービス開始後に初めてゲームに触れたという人も，メインクエストを追うのはそろそろ一旦お休みにして，ちょっと寄り道を……などと考え出す頃かもしれない。
そこで今回は，ストーリーの断片か道草か，いずれにせよお勧めしたい「NPC編入」について紹介しようと思う。
あちこちでNPCを連れたプレイヤーに出会う。「こ，こんなNPCいたっけ!?」と思ったら，高レベル用装備をまとったデフォルトキャラクターだったりして
言うまでもないが「NPC編入」は，GEの大きな要素である。編入可能なNPCはデフォルトキャラクターとは異なるステータスとビジュアルを持ち，中には固有スタンス/スキルを有するものまで存在する。冒険の拠点をリボルドウェからコインブラ，オーシュへと移す頃になると，多くの見慣れないキャラクター達が街を走り回っているのを見かけるはずである。
さらにこれらNPCは，編入前，また編入したあとにも，キャラクターに由来するクエストやミッションが盛りだくさんに用意されているという点が重要だ。メインクエストという概念が薄く，積極的に多くのNPCに話しかけないとストーリーを意識できないGEにとって，NPC編入はより深く世界観を理解するのにうってつけの要素なのだ。裏を返すと，一連のNPC編入クエストとミッションが，GE世界の物語を成していると言っても過言ではないだろう。
というわけでここでは，現行バージョンのGEで代表的な（と思われる）NPCを中心に，編入クエストがどんなものかを追っていきたい。今回紹介するのはレベル40以降のものだが，リボルドウェ付近にはレベル10台で挑戦できる編入クエストもある。興味のわいた人は，そちらにもぜひ挑戦してみてほしい。
ちなみにGEの最新バージョンは，8月4日にテストサーバーで先行公開された1.8.17。本記事も，1.9の実装を間近（？）に控えた同バージョンを使用する。ただクエストの順序などは正式サービスサーバーとも大きくは変わらないはずなので，参考になるだろう。
 |
 |
リボルドウェが誇る料理人「パンファルロ」（左）と，コインブラの武器商人「アデリーナ」（右）。どちらも編入キャラクターとしては割とポピュラーだが，十分魅力的 |
なお，予想通りテストサーバーは本サーバーと併設されており，現在もハンビットユビキタスエンターテインメントの本サービスを受けられる人なら，誰でもテストに参加できる。ちょっぴり新しいGEを触りたいという人は，注意事項をよく読んで，システムの安定化とバランス調整，不具合発見などに協力してみよう。
まずは，GEで編入できる30以上ものNPCのなかでも，とくに異彩を放つNPC「カトリーヌ」について。カトリーヌは，エリア「トルシェー屋敷」の主“錬金術師トルシェー”の愛娘であり，錬金術の産物と言えるからくり人形（？）でもある。
人形らしい無機質な表情，機械的な関節が痛々しい指など，独特の存在感を放つNPC「カトリーヌ」。友人，党員を総動員して（もらって），クエストに挑むべし
編入NPCとしてのカトリーヌの特徴は，GE初の召喚用スタンス「マリオネット」を使える（現状）唯一のキャラクターである点，そして編入時にSTR型，INT型，DEX型というステータスのタイプを選べる点だ。編入後の初期レベルは1で，選んだステータスのタイプに応じた多くスタンスを習得できるため，成長させる楽しみの実に多いNPCとなっている。その生い立ちからか，編入クエストが実に複雑で長時間を要する半面，その趣味性の高さ（？）から，プレイヤーの人気は非常に高い。
一連の編入クエストの舞台となるのは，エリア「トルシェー館」を構成する「トルシェー屋敷 受付ホール」（以下，受付ホール）と「トルシェー屋敷 図書館」（以下，図書館）の2ゾーンだ。どちらもレベル50後半のモンスターが高密度で跋扈（ばっこ）しており，長時間のハンティングに適したゾーンとなっている。
編入クエストは，受付ホールのミッション「屋敷の守護者」をクリアしてホールとは隔離された個室へ入り，錬金術師トルシェーのメイド（ロボット？）ロザンヌに話しかけるところから始まる。さすがに一つ一つの詳細をお伝えするわけにはいかないが，まずは報酬として「カトリーヌカード」をもらえるクエスト「カトリーヌに心臓を！」までのすべてのクエストを，ザッと見てみよう。
屋敷の守護者
| 開始NPC | ：？？？ |
| 場所 | ：受付ホール（北西，奥の部屋手前の扉） |
| 内容 | ：人面をあしらえた扉に話しかけてミッション開始。守護者を倒す |
 |
 |
この大きな扉（左）に話しかけるとミッションが始まる。守護者として登場するビクトル（右）は，スタン属性のある攻撃を繰り出してくる強敵だ。氷属性の魔法で固めてから，じっくり倒すといい |
オタイトキー
| 開始NPC | ：ロザンヌ |
| 場所 | ：受付ホール（北西，奥の部屋） |
| 内容 | ：ブルーオタイトピースを200個集める |
 |
 |
白目でさわやかに迎えてくれるメイド ロザンヌ（左）。図書館以降では，同型の人形がモンスターとなって大挙して押し寄せる |
動かない執事
| 開始NPC | ：ロザンヌ |
| 場所 | ：受付ホール（北西，奥の部屋） |
| 内容 | ：トルシェー屋敷 執事室の執事ケイマンに会う |
 |
 |
こちらも目から血を流してさわやかに迎えてくれる執事ケイマン。ここではロザンヌと共に，止まったケイマンを動かすため動力装置を集める。動力装置用歯車は「ホーンデッドブック」から，動力装置用管は「ホーンデッドデスク」から入手できることを覚えておこう |
思い出の赤いリボン
| 開始NPC | ：ケイマン |
| 場所 | ：執事室（図書館北東，右奥の部屋） |
| 内容 | ：受付ホールのとある場所から「赤いリボン」を入手し，ケイマンに届ける |
 |
 |
「手がかりくれよ！」と言いたくなるくらい少し突き放される探しものクエスト。リボンは受付ホール南東の廊下にあるトルシェーとカトリーヌ（？）の肖像画から入手できる |
錬金術師トルシェー
| 開始NPC | ：ケイマン |
| 場所 | ：執事室（図書館北東，右奥の部屋） |
| 内容 | ：トルシェーに「赤いリボン」を渡す |
 |
 |
ついにトサカの錬金術師トリシェーが登場。ベスパニョーラがもの凄く嫌いな点，割と軟弱な点が特徴だ |
脊椎アセンブリユニット
| 開始NPC | ：トルシェー |
| 場所 | ：研究室（図書館北，奥の部屋） |
| 内容 | ：ケイマンから「脊髄アセンブリユニット」を入手。トルシェーに届ける |
目覚めろ！カトリーヌ
| 開始NPC | ：トルシェー |
| 場所 | ：研究室（図書館北，奥の部屋） |
| 内容 | ：トルシェーと話す |
有備無患なケイマン
| 開始NPC | ：トルシェー |
| 場所 | ：研究室（図書館北，奥の部屋） |
| 内容 | ：ケイマンから「カトリーヌヘッドユニット予備品」を入手。トルシェーに届ける |
 |
 |
カトリーヌが姿を現す（左）。が，すぐに爆発。どうやらトルシェー（右）の手違いが原因らしい |
カトリーヌ復活計画！
| 開始NPC | ：トルシェー |
| 場所 | ：研究室（図書館北，奥の部屋） |
| 内容 | ：カトリーヌユニット（左右手・足，左右腕・脚，ヒップ，胸）を集めてトルシェーに渡す |
 |
 |
無茶を言い出すトルシェー。しかしここが最後の難関である。受付ホールをぐるぐるしながらロイドを倒し，やっとお尻部品を獲得。ぽろっと出るときもあれば，なかなか出ない場合もあるようだ |
カトリーヌに心臓を！
| 開始NPC | ：トルシェー |
| 場所 | ：研究室（図書館北，奥の部屋） |
| 内容 | ：「カトリーヌの心臓」を入手し，トルシェーに話しかける |
 |
 |
というわけでカトリーヌが復活した。トルシェーは，彼女をプレイヤー家門で育ててくれと頼んでくる。ちなみに画面（左）の選択肢に注目。一番下の「ゴールドブロックを入れてみる」を選択すると，召喚型のカトリーヌが完成する。この選択肢は，ホーンデッドデスクなどがドロップする「ゴールドピース」を持っていないと出てこないので注意 |
ご覧の通り，クエストは実に長い。しかし，クリアに物理的な問題で時間がかかるのは，「〜を集めろ」という収集系クエストである【オタイトキー】【カトリーヌ復活計画！】の二つだけだ。
さらにこの二つも難度が異なる。【オタイトキー】で必要な「ブルーオタイトピース」は，受付ホールのモンスターのほとんどが所有しているうえ，アイテム自体がドロップではなく自動的にカウントされるクエストアイテム形式となっている。厄介なのは，後者の【カトリーヌ復活計画！】だ。
クエスト【カトリーヌ復活計画！】で要求されるカトリーヌの各部ユニットは，通常のドロップアイテムと同じ扱い。さらに【オタイトキー】で要求される「ブルーオタイトピース」とは異なり，ドロップ率が低い。なかでも「カトリーヌのヒップユニット」（つまり，お尻部品）は，出現頻度の低い遠距離攻撃型モンスター「ロイド」しかドロップしない（と，されている）のだ。
早速召喚を使ってみると，可愛いウォルターが出現。レベル1からとはややキツイが，せっかくだからほかのNPCも編入しながら徐々に育てようと思う
これら収集クエストのコツ――というか時間を短縮するためのコツ――は，第一に，できるだけ早めにクエストをアクティブにしておくこと。とくに【オタイトキー】などは，普通に狩りをしていればあっという間に条件を達成できてしまうはずだ。
また，カトリーヌの各部ユニットは，ヒップのようになかなか見つからない部品もあれば，狩りをしているといつの間にか5個も10個も集まっている部品もある。その集まり具合はプレイヤーによって異なるので，重複するユニットをプレイヤー間で取り引きすれば，クリアまでの時間を大幅に短縮できる。トルシェー屋敷で狩りを行っているなら，利害の一致するプレイヤーは（おそらく）たくさんいるはずである。
これらを総合して考えると，入手しにくいのはドロップを運に左右される「ヒップユニット」のみだ。個人商店で高額で取り引きがされているのもうなずける。この状況を逆に利用して，ヒップだけを集中的に集めることで一財産を築くのもいいかもしれない。
またクエスト全体をスムースに進めるための基本として，ロザンヌ，ケイマン，トルシェーの真ん前を位置保存しておくことをお忘れなく。彼らを縦横に往復する“お使い”クエストは，これで素早くクリアできるだろう。
グラシエルロは格闘戦に特化したキャラクター。身軽さを生かした連続攻撃が魅力だ
さてこちらはおまけ的に紹介しておきたい，コインブラにいる自称「ケンカ100段」の暴れん坊「グラシエルロ」。チュートリアルの「移民船」にもいた，あの赤髪の少年（青年？）である。
このグラシエルロ，カトリーヌとは打って変わって，編入クエスト後の成長用（？）クエストがかなり長い。一連のクエストの舞台も，コインブラを基点に，リボルドウェ，フォルッチオジャンクション，ポルトベルトなど，実に広範囲にわたる。
ちなみに，グラシエルロ編入時の初期レベルは40。カトリーヌのように冒険中のキャラクターが「ある程度高レベルになってから」というよりは，「早めに編入してデフォルトキャラクターと同じようにレベルを上げ，そして一連の成長用クエストに挑む」のがいいだろう。ここでは編入クエストと，初期の成長用クエストを抜粋して紹介しておく。
兄貴は腹ぺこ
| 開始NPC | ：グラシエルロ |
| 場所 | ：コインブラ |
| 内容 | ：グラシエルロの要求する，「フェルッチオブレッド」「フェルッチオミルク」「チョコラテ」（リサから購入）を渡す |
グラシエルロ大暴れ
さて，正式サービスに伴って再開した本連載も，今回が最終回となる。最後に，今後のGEについて簡単にまとめておきたい。
先日の記事でお伝えしたとおり，直近で予定されている大型アップデートは，GE2.0への通過点となるGE1.9である。GE1.9では，新エリアの追加はもちろん，「政治システム」の導入，「セットアイテム」や「リング」「ネックレス」といったアイテム追加，スタンス変更ショートカット「武器スワップ」実装，「ステータスポイント精錬」実装など，ゲームの遊び方を根底から変える盛りだくさんのアップデートが計画されている。
ついに政治システム実装が迫ってきたGE。現在の党のありようはどう変化するのか……などを楽しみにしながら，今日も大陸開拓に勤しむ
これらアップデートに期待できるのは，「冒険のプロセス」そのものをより（いい意味で）複雑に，かつプレイし甲斐のあるものにしてくれることである。
個人的には，GEのキモはあくまでもレベリングのための戦闘であり，クエストやミッションに付随する戦闘であり，アイテム収集の戦闘であり，プレイヤースキルを高める戦闘であると思っている。そして，現行のGEは戦闘に関して十分な魅力を持っていると感じている。これは，同じ狩り場で何時間も，それこそ単調ともいえる作業を延々と繰り返すことのストレスの少なさからも分かる。
とはいえ，戦闘時のアイテムドロップに対する乱数の幅の狭さや，アイテム（コスチューム？）のバラエティ，そしてキャラクターの“強さ”に関するバラエティに不満があるのも事実だ。ほかのプレイヤーがどんなスタイルでどのように狩りをしているのか，いずれ自分（プレイヤー）のキャラクターがどう変化するのかが大体想像できてしまう点がやや残念な部分であった。
今回のアップデート内容を見る限り，GE1.9はこうした不満をピンポイントで解決しようと試みているように見える。とくにステータス製錬は，次レベル（装備品を一新する）までの数時間だけ効力を発揮するアイテム製錬とは異なり，キャラクターの成長曲線そのものを現行バージョンから大きく捻じ曲げる力がある。デフォルトキャラクター，編入NPC共に，本当の意味で自分の好みを反映したキャラクターを作り出せそうな点は，想像するだけでも実に楽しそうだ。
このように，正式サービス後にも進化を続けられるのがMMORPGの大きな魅力である。まだサービスイン後間もないタイトルだけに，黎明期といえる現在のGEをプレイできるのはある意味ラッキーと言えるかもしれない。
長期のクローズドβテストから，プレイヤーのフィードバックをゲームシステムに落とし込んできたGE。現役プレイヤーは，GE2.0までの大型アップデートに期待しながら，キャラクターとプレイヤースキルを育て，知識を吸収しておいてほしい。
