― 特集 ―

CEDEC 2006(CESA DEVELOPERS CONFERENCE 2006)

 「CEDEC」(CESA DEVELOPERS CONFERENCE)が,東京の昭和女子大学で開催された。
 期間は2006年8月30日〜9月1日の3日間。その名のとおり,CESA(社団法人コンピュータエンターテインメント協会)主催のゲーム開発者向けカンファレンスは,今年で8回目を数える。

 

 総セッション数は94。メインスポンサーのNVIDIAなどによるテクノロジーの解説が行われる一方で,最近のゲーム開発事例紹介,学術研究の発表,今後ゲームとかかわって来そうな技術の導入など,項目は多岐にわたっているが,4Gamerでは,PCゲームに関する話題を中心に,厳選してお届けしていきたい。

【INDEX】

 

 CEDECのHavokのセッションではHavok全体についての話が多かったのに対し,NVIDIAのセッションでは,GPUを使ったHavok FXに特化した内容となっていた。講演中のムービーも派手めなものが多く,AGEIAほど凝ってはいないものの,大量のオブジェクトをものともしないパワー炸裂のデモンストレーションとなっている。

 

 AGEIA PhysXテクノロジーに関するCEDEC 2006の講演中で使われた映像を4GamerサーバーにUpした。PhysX PPUアクセラレータでの処理を中心に,大量の物理演算によってどのような表現が可能になるのかをご覧いただきたい。ソフトウェア処理との比較映像も興味深い。

 

 8月30日に行われたCEDEC 2006のHavokセッションで,解説中に上映されたムービーをまとめて紹介しよう。内部処理の解説から,実際のゲームでの使用例まで,Havokでどのようなことができるようになるのかをご覧いただきたい。

 

 CEDEC 2006の初日に行われた講演で,全公演中1,2を争う難解なテーマを扱っていたのが「使える最新PRTのススメ〜おまえのPRTはもう死んでいる〜」だ。これはその難解なテーマに挑む最新アルゴリズムを可能な限り分かりやすく紹介しており,これまで夢物語だった「ゲームでの大域照明」の可能性を示唆する講演だった。そこでの解説概要を紹介したい。

 

 CEDEC 2006の3日め,大トリの一つとして用意されていたのが,マイクロソフトの川西裕幸氏による「Windows Vistaの新しいグラフィックステクノロジ―Direct3D 10とWindows Presentation Foundation」という講演だ。直接には関係しない二つのテーマを並べた異例の講演だったが,Windows Vistaの可能性を探るうえでは興味深い内容だった。

 

 ゲーム業界内で異なる立場の人同士が,闊達に意見を交換できる場としてのラウンドテーブルセッションも,CEDECの重要な催しの一つ。最終日第3講の「日本でゲーム学研究をどのように進めるべきなのか,可能性と方法論」もその一例だ。ゲーム開発会社が大学に求めるもの,アメリカにおける産学協同の実際などが話題に上った。

 

 CEDEC 2006では,サウンド関連のセッションも少なくないが,ここでは一風変わった「サウンドチームからのお願い」というタイトルの講演を紹介しよう。これはバンダイナムコゲームスのサウンドチームによる「生の声」で,ゲームサウンドの役割や存在意義,サウンドチームに対する発注時の注意点など,サウンド制作の最前線が垣間見える,なかなか興味深い内容だった。

 

 CEDECでは即物的なゲーム開発技術のみならず,学術研究のためのセッションも開講されている。その最も端的な例が,2日目第1講で行われた「ゲーム学研究の世界動向:『The Game Design Reader』の読み解きで見る先行研究」である。概説書「Rules of Play」のガイドブックに当たる「The Game Design Reader」の紹介とともに,ゲーム学研究におけるテーマや事例の初歩を解説する内容だった。

 

 NVIDIAは,CEDEC 2006でGPUに物理演算をさせるHavok FXに関するセッションを行った。GPUが持つ膨大な演算能力を利用すれば,物理演算の演算量を飛躍的に増大できる。新次元の処理が現実的なものとなるのだ。期待のHavok FXの概要を紹介しよう。

 

 CEDEC 2006最終日となる3日めの基調講演では,マイクロソフトのXbox事業本部長である泉水 敬氏が登壇。「マイクロソフトが提供するゲームプラットフォームの世界」として,「XNA」「Games for Windows」「Live Anywhere」をキーワードに,開発者へのアピールを行った。“Windows Vista時代のPCゲーム”を占ううえで,興味深い情報がまとめて紹介された点は,一定の価値がありそうだ。

 

 30日に行われたHavokと並ぶ物理演算の大御所である,AGEIA PhysX SDKに関するセッションが行われた。AGEIAは,PhysX PPU構想で,近年,物理演算ブームに火をつけた張本人でもある。ここではPhysXの概要と,ついに登場するエルザジャパン製“国産”「PhysX PPU」搭載カードの情報をお届けしよう。

 

 CEDEC 2006の2日めには,メインスポンサーであるNVIDIAによる開発者向けセッション「開発の鉄人」が開催。ここでは「DirectX 10のエフェクトとパフォーマンス」と題された講演の模様をお伝えしたい。DirectX 10により,エフェクトがどう変わり,パフォーマンスにはどのような影響があるのか。この点が分かりやすく解説された,興味深いセッションだった。

 

 CEDEC 2006初日の講演で,ある意味話題性に富んでいたのが,ニトロプラスのグラフィッカー弓削田圭祐氏のセッション,「ヒット作を生み出すグラフィッカーになるために 〜全てのグラフィッカーと,その上司に捧ぐ〜」だ。このタイムリーな講演が実現した背景についても,ちょっとだけ聞いてみた。

 

 CEDEC 2006 2日めは,エンターブレイン代表取締役社長,浜村弘一氏の基調講演で幕を開けた。その大枠は初日の基調講演の焼き直しで,新鮮味はなかったのだが,データが充実しており,相応に興味深いセッションになったとはいえるだろう。また,PCゲーム市場についての明るい材料も提示されたので,そのあたりを中心にレポートしてみたい。

 

 最近いろいろなゲームで物理エンジンが導入され,高いインタラクティブ性とゲームの自由度の拡大,そしてゲーム性自体も変容させつつある。CEDECでは,物理エンジンの老舗であるHavokによる講演が行われた。物理とアニメーションの合体が生み出す新しいゲームの世界を垣間見てみよう。

 

 開発技術の話題に留まらず,なかなか個性的なセッションが揃ったCEDEC 2006。ある意味その極致かもしれないラウンドテーブルセッション「わが国におけるPCゲームの現状と今後の展望 ―恋愛SLG市場の成熟と家庭用ゲーム機への移植を中心に―」の模様をお届けする。哲学者 東浩紀氏が語る美少女ゲームの“ゲーム性”など,きちんと注意深く見れば,かなりうがった内容である。

 

 CEDEC初日の最終セッションとして,「『ファンタシースターユニバース』の開発現場より 〜5年間の歩み〜」と題された講演が行われた。セガ 第3GE研究開発部の酒井智志節政暁生両氏による本講演では,PSOシリーズ各作品における比較や,ゲームデザイン上の工夫,チート手法とそれへの対応策など,オンラインゲーム制作に関心を持つ人には非常に興味深い解説が行われた。

 

 CEDEC 2006初日,ATI Technologiesは「DX10への序章:次世代のレンダリング・エフェクト」というセッションを開催した。題目どおり,基本的にはWindows Vistaで実装されるDirectX 10についての概説だったのだが,注目したいのは,Radeonに特化した話題の部分だ。今回は,Radeon X1000シリーズでDirectX 10を先取りするというデモの内容を中心に,紹介してみたい。

 

 国内ゲーム開発者向けのイベント「CEDEC 2006」が,東京の昭和女子大学で開幕した。初日の基調講演では,スクウェア・エニックス代表取締役社長で,CESA会長でもある和田洋一氏が「日本のゲーム産業の今後」という題で講演。ゲーム業界にはびこる「危機説」を,IntelのCore 2 Duo発表会に引き続いて一蹴し,ゲーム業界が取り組むべき質的変化について,将来の展望を交えながら語っている。

 

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https://www.4gamer.net/specials/cedec_2006/cedec_2006.shtml