4Gamer:
ではここからは,ゲームの具体的なシステムについて聞いていきます。まずは,信長の野望 Onlineとの最大の違いであるという,戦闘システムについて聞かせてください。
信長の野望 Onlineの戦闘システムは,MMORPGとしては非常に独特で,敵と出会うと戦闘画面に切り替わって,自分のタイミングが来たときにコマンドを入力する,そしてその一人ずつ順番に行動をしていく,というものでした。しかし三國志 Onlineでは“オープンバトル”になるんですよね。
上野氏:
そうです。信長はシンボリックエンカウント,つまりシンボルに対して攻撃を仕掛ける,もしくはNPCの側がアグロしてくる,するとそこからクローズドな戦闘が始まるというシステムでした。あれはあれで,いろいろな味があってボス戦闘なんか面白いんですが,三國志 Onlineはまったく別のバトルシステムになっています。
まず,フィールド画面と戦闘画面の切り替えはありません。オープンフィールドの中にモンスターがいて,それに対していろいろな位置から,例えば片手武器+盾のキャラは接近して,レンジ攻撃の弓やキャスターは後ろから,という位置取りも含めた戦闘になっています。
ただ,例えば「真・三國無双BB」みたいにアクション性を突き詰めたものではありません。アクションではなく,位置やタイミングをじっくり計りながら戦うことが重要となります。
4Gamer:
つまり,欧米のMMORPGでよく見られるシステムですよね。
上野氏:
そうですね,あのイメージに近いです。ただ,三國志 Onlineの場合,「一緒に戦える人数の制限が緩い」という特徴があります。三國志 Onlineのパーティ―― “徒党”と呼びます――の最大人数はとりあえず5人です。信長の野望 Onlineでは,限られた7人の中でどうやりくりするかが鍵でしたが,三國志 Onlineでは,“連合”という,より大きなグループを作って戦うこともできます。
連合は,25人まで参加できる,いわゆるレイドグループですね。ただ,三國志 Onlineの連合は,大規模討伐専用だけのものではありません。普段のちょっとした狩りでも,例えば8人いる場合に,4人の徒党を二つ作って,それを“連合”にしてプレイするということも可能です。
4Gamer:
一般的なレイドグループとは違って,三國志 Onlineの“連合”は,経験値などがシェアされるということですか?
上野氏:
そうです。連合は,一つのパーティとなんら変わりありません。
4Gamer:
なるほど,確かにMMORPGを友達同士でやっていて,ちょうどタイミングが合わなくてグループからあぶれちゃうことってありますよね。それがないというのは嬉しいです。
4Gamer:
発表会を見ていて一番インパクトがあったのは,やはり「クラス(職業)がなくて,手に持つ武器を変えるとグループでの役割を変えられる」という部分でした。このあたりについてお聞かせください。まず,“スキル”とか“レベル”といったものは,どういう扱いになるんでしょうか?
上野氏:
各スキルは,武器に対して関連づけられています。例えばグループの盾役(タンク)としての活躍するときに役立つ防御系スキルは,片手武器・盾に関連づけられていて,片手武器・盾を装備したときに使用可能になります。そして,練丹武器を装備したときには回復系スキルが使用可能になる,双手武器を装備したときには直接攻撃系スキルが使用可能になる,という具合ですね。
ただ,武器によって能力が極端に専門化してしまうと,ソロプレイが難しくなります。そこで,現在の武器に結びついているもの以外のスキルも,限定的に使用できるようにしています。例えば,片手武器・盾装備時にでも,ある程度の回復スキルを利用できる。ただし練丹武器装備時に使用できる最高性能のヒールは使えない,といった感じです。
4Gamer:
なるほど,装備中の武器に合わせた役割が「メイン」というだけで,ほかのスキルが一切使えないわけではないんですね。
上野氏:
分かりやすいのは回復用スキルと妖術系の攻撃スキルの関係でしょうか。ヒーラーは回復だけでは生きていけないですよね。そこで大抵,ヒーラークラスにはある程度の攻撃魔法が持たされている。そのように限定的な形で,そのときの専門以外の技能も使用できるということです。
4Gamer:
武器は戦闘中に変更できますか?
上野氏:
できません。想定している遊び方としては,街なり狩り場なりで「さあ行こうか」というときに,「じゃあ担当を決めよう」「今日は○○くんが盾役で,□□さんが回復役ね」と決めて,それに合わせて武器を装備して出発する,といった感じなんですよ。
ただ,戦闘と戦闘の合間に武器を変更することは可能です。例えば冒険中に,それまでメインで回復を担当していたプレイヤーが,「あ,もう落ちなきゃ」となったとします。そこで通常のMMORPGだと,「新しいヒーラーを探さなきゃ」となるか,ときには「じゃあ解散するか」となりますよね。でも三國志 Onlineでは,残った誰かが「じゃあここからは私が回復やります」と比較的簡単に回復役に変身できて,狩りが続けられるんです。
4Gamer:
うまくいけば「ヒーラーを探す時間」みたいなものから完全に解放されるわけですね。
しかし,本当に武器を替えるだけで,いきなりヒーラーとして活躍できてしまうのでしょうか? その場合のレベルがどうなるかも含め,成長システムについて,もっと詳しく教えてください。
上野氏:
レベルは,実は武器の種類ごとにあるんですよ。そして,現在最も高い武器レベルが,そのキャラクターのレベルとなります。
例えば片手武器・盾で戦い続けてタンク(盾役)としてレベル10になったキャラクターが,次はヒーラーとしてのプレイを開始するとします。すると経験を積むことで,ヒーラーとしてのレベルが1,2,3と上がっていきますが,キャラクターレベルは10で変わりません。ただしそのままプレイを重ね,ヒーラーレベルが11,12となった場合,キャラクターレベルも11,12と上がることになります。戦闘技能とキャラクターレベルの関係については,ここが難しいところで,いまも継続して調整しています。
4Gamer:
武器……つまり武器の種類が六つあるということは,六つすべてをレベル上限まで育てることで,非常に強力なキャラクターを作り出すことができてしまうのでしょうか?
上野氏:
六つある役割すべてに熟達することはもちろん可能ですが,“装備している武器”というのは,当然どれか一種類ですよね。先ほども話しましたように,戦闘中に武器を交換できないので,一人でなんでもできてしまうようなスーパーマンは誕生しません。
例えば,ヒーラーとしてのレベルが40のキャラクターも,全部のレベルが40のキャラクターも,ヒーラーとして活躍している限りは,能力に違いはないわけですね。
4Gamer:
なるほど,確かにこのシステムだと,なんでもできる最強キャラの意味が薄れますね。
テオ氏:
あと,合戦でのPvPについていえば,これは必ず集団戦になりますので,個々のキャラクターの能力よりもチームワークがものをいいます。我々もこれまでに開発のいろいろな段階で合戦を体験していますが,そのたびに思うのは,「やはり勝敗を分けるのはプレイヤースキルだな」ということです。なかなか綺麗な連係に持っていくのは難しいんですよね。
4Gamer:
グループメイクをするときには,基本的にはキャラクターレベルを基準にすることになるんでしょうか。
上野氏:
そうなるでしょう。ただ,回復役としては最低限この技能は覚えておいてほしい……というのは出てくるかもしれません。どの敵と戦うかとか,自分達がどういうレベリングをしたいか,というところで変わってくるでしょうね。
ただですね,先ほどもお話ししたように,三國志 Onlineでは一緒に冒険する人数が,徒党の5人だけとは限りません。例えば,徒党の中でしか経験値がシェアできないとなると,一般的なMMORPGと同様に,グループの回復担当者は一人程度が望ましく,さらにその回復能力はかなり高いものでないといけない……となるでしょう。ですが三國志 Onlineでは,10人,15人で“連合”を組んだ場合でも経験値をシェアできます。この場合ヒーラーは,とくに能力が高い人がいなくても,3,4人で担当することで,連合全体を支えられたりするわけです。
4Gamer:
なるほど,合理的ですね。
上野氏:
あと実は連合には,それとはまた違ったいいことが用意されていまして……。
4Gamer:
と言いますと,それはどんな?
上野氏:
うーん,これは言えません。そうだ,シンガポールスタジオまで来てくれたらその場でお見せしますよ(笑)
4Gamer:
シンガポールですか……,さすがに気軽に行ける距離ではないですね。しかし食べ物のおいしい店も教えてもらわないといけないし(笑),もし機会があればよろしくお願いします。
4Gamer:
そういえば,発表会ではクエストに関する説明はなかったですね。どういったクエストが用意されているのでしょうか。
上野氏:
勢力に関係する/しないを問わず,いろいろありますよ。
最初に訪れる荊州の村では,信長の野望 Onlineの新参者ゾーンと同様に,チュートリアル的なクエストを用意しています。モンスターを狩ることで経験値とお金がもらえて,さらにクエスト達成によるリワード(報酬)がもらえて,という具合ですね。レベル10くらいまではぶわーっと成長してもらえるようにする予定です。
4Gamer:
ゲーム全体で見た場合いかがですか? クエストの数はかなり用意されているのでしょうか。
上野氏:
はい,用意します。クエストのリワードには経験値も含まれますので,クエストをこなすことはレベルアップにもつながります。キャンプのみでキャラクターを育てていくような方向性にはしないつもりです。
4Gamer:
勢力に関係するクエスト,というのはどういうものでしょうか。
テオ氏:
所属する勢力ごとに,専用のクエストを用意しています。あと,通常のクエストのほかに,ゲーム内には一本,特別に大きなクエストもあります。
4Gamer:
それはつまり,メインストーリーがあるということでしょうか。
上野氏:
……それ以上は,今は秘密とさせてください。
4Gamer:
これもシンガポールに行けば教えてくれます?(笑)
上野氏:
その頃には少しお話しできるかと思います。