― 特集 ―

プロデューサーに聞く「三國志11」の正体

Text by Iwahama Photo by 市原達也

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昨年の情報の答え合わせ:詳細は2月中旬?

4Gamer
 本作をパッと見て驚いたのが,そのグラフィックスのユニークさです。彩墨画風の3Dというのは,どのように生まれたんでしょうか?

 

北見氏
 フル3Dというのは,早くから決まっていたんですよ。三國志シリーズとしても,また私としても,フル3Dは初めてなので,結構気合を入れて臨みました。そこでまず,ありきたりの3D描写は避けようと思ったんです。  正直に言いまして,ターン制である三國志11は,システムだけを考えたら,2Dでも十分面白いものを作れると思います。言い忘れていましたが,ターン制ということで,マップも実はヘックスで区切っているんです。それをわざわざ3Dにするからには,何か3Dの良さを生かしたものにしたかった。その3Dの良さというのは,2Dに比べて,大幅に表現力が向上することではないかと思ったんです。  海外タイトルやコンシューマゲームなど,今では3Dのゲームが大半ではありますが,なぜか3Dになると,ついついリアルさばかりが追求されがちです。しかし三國志は,小説「三国志演義」をベースにしている。一応歴史に則してはいますが,基本的には“物語”の世界なんですよ。ですのでリアル方向ではなく,もっと“中国の昔のお話”的な雰囲気にしようと。

 

4Gamer
 なるほど,その考えは見事にはまっていますね。この彩墨画風のグラフィックスは,ある程度歴史に則していながらも,どこか幻想的な三国志演義の雰囲気を,十分伝えていますから。ちなみにこれ,エンジンは革新のものを利用しているのでしょうか?

 

北見氏
 基本的には,毎作毎作どんどんプログラムを改造していっているので,ずっと同じエンジンを使っているとも,毎回新しいエンジンを使っているともいえます。そういえば,革新ではシェーダは使っていなかったと思いますが,本作では頂点シェーダで,墨彩画風に描いたり,縁取りをしたりしていますよ。

 

4Gamer
 そういえば,一騎討ちも3Dになっていましたね。先ほどイメージイラストの話をしたときに,一騎討ちにも力を入れているとのことでしたが,具体的にはどのような感じになるのでしょうか?

 

北見氏
 うーん……。いや,実は一騎討ち部分もほぼ完成しているのですが,これは1月27日での発表でもまだ触れない部分ですので,ここでもあまり多くのことが語れなくて……すみません。

 

4Gamer
 そんなこと言わずに,ぜひ少しだけでも。まぁ基本は従来どおりですよね? 気合を溜めて,必殺技を繰り出すような……。

 

北見氏
 うーん……。どこまで言っていいんだろう……。そうだ。体力を削り合って,体力がゼロになったほうが負けです(笑)。

 

4Gamer
 それは分かっています(笑)。まぁ基本は従来どおりと。

 

北見氏
 実は,一つ目立った追加要素があるんですが,これは,次の次あたりの発表で公開するので,もう少しお待ちください。

 

4Gamer
 ううむ,それは気になりますね。孫策が弓矢を使っていたのとは関係がありますか?

 

北見氏
 いや,それはハズレですね。過去にも,一騎討ちで弓矢が出てきたことは何度もありますしね。今回のものは,もっと演出的な……まぁ,今日はこれくらいで。

 

4Gamer
 今回も必殺技の類(たぐい)はありますよね? 真・三國無双的な演出かなぁ。

 

北見氏
 さあ,どうでしょうね。

 

4Gamer
 ガードが固いですねぇ。では,舌戦についても聞かせてください。

 

北見氏
 これまた,詳細は次の次の発表ですので……うーん,画面を見てのとおりです。

 

4Gamer
 以前公開された舌戦の画像で,一枚だけ,ほかの画像と周瑜の知力が違うものがあったのですが,これにはどういう理由があるのでしょう?

 

北見氏
 あちゃー,見つかっちゃいましたか。いやぁ,すみません,それは単にチェック漏れです(笑)。なので,気にしないでください。もちろん,病気などでパラメータが落ちることがあるのは従来作どおりですが。

 

4Gamer
 なるほど,では基本はそれほど変わっていないんですかね。画面上を見た限り,知力の数値と,性格を表すと思われる「冷静」だけが表示されていました。このあたりが舌戦に関係してくるパラメータと考えていいんでしょうか。

 

北見氏
 ええ,そうですね。

 

4Gamer
 で,橋ではないものの,また高いところにいますし,お互いに押し合って,相手を落としたほうが勝ち,というのも同じですかね。

 

北見氏
 いや,押し合いませんよ。

 

4Gamer
 え? じゃあ相手を落とせば勝ち,というわけでもないんですね。……ではなぜあのような高い場所にいるんでしょうか。

 

北見氏
 押し合いはしませんが,高いところにいるのには意味があります。……これ以上は,今はいえませんが。

 

4Gamer
 横方向に押し合うのでなければ,次に考えられるのは……。

 

北見氏
 ……何も聞こえません(笑)。そうそう,詳しくは言えませんが,“技”もあるかもしれませんよ,と話を変えてみたり……。

 

4Gamer
 苦しんでいるようですし(笑),次の話へ行きますね。細かい話で恐縮ですが,パラメータにはどのようなものが用意されていますか?

 

北見氏
 これは,従来作どおりですね。統率,武力,知力,政治,魅力の五つが基本的な能力です。今回,攻撃時は武力,防御時は統率の値が影響するなど,若干の違いはありますが。あとそれ以外は,兵科適正というのがありますね。これはS,A,B,Cの4段階で,ランクが上がれば,その分強力なコマンドが使用可能になるという感じです。

 

4Gamer
 三國志Xでの「特技」に当たるようなものもありますよね?

 

北見氏
 特技は,従来のものとは違うシステムを考えています。これまた,いずれ明かされるだろうということで……。

 

4Gamer
 これはまったく想像できないですね。その情報はいつくらい出てきますか? また2月下旬あたりですとか?

 

北見氏
 いや,1月27日の第2報以降は,比較的コンスタントに情報を出していくつもりなので,2月中旬くらいにも公開できるのではないでしょうか。

 

4Gamer
 お,案外早い。それくらいなら待てると思います(笑)。

歯応えについて&なんと3月発売!

4Gamer

 さて,そろそろ時間もなくなってきたので,まとめに入ります。とりあえず今日お話を伺ったうえでの認識としては,古き良き三國志シリーズの持つターン制の魅力と,三國志IXや信長の野望・革新における一枚マップの魅力を持ち合わせたゲーム,という感じです。

 

北見氏
 そうですね。そう理解してもらっていいと思います。

 

4Gamer
 そこで気になるのが,歯応えについてです。ターン制となれば,当然その分,プレイヤーに考える時間ができるわけじゃないですか。細かい戦術も使えるでしょうし。となると,シリーズファンとしては“ヌルい”ゲームにならないかが気になります。

 

北見氏
 三國志シリーズの場合,古くからのPCゲーマーが多いので,あまり難しすぎるのも問題だと思っています。ただもちろん,場面場面で,歯応えは感じられるようにするつもりです。

 

4Gamer
 そういえば,一枚マップだから,三國志IXや革新のように,同時に多方面から攻められるという恐さもありますしね。

 

北見氏
 三國志11では,前作にも増して,さまざまな設定変更が可能になっています。だから,自分の実力やプレイスタイルに合わせて,もの凄く簡単にも,歯応えがあるようにもできるはずですよ。

 

4Gamer
 なるほど。ともかく,一刻も早く動くものを見たいのですが,いつくらいになるでしょうか?

 

北見氏
 いや,2月中にはお見せできると思いますよ。またここ(編注:コーエー本社)まで来てもらう必要があるかもしれませんが。

 

4Gamer
 え,もうそこまでできているんですか? じゃあ発売も近そうですね。

 

北見氏
 実は1月27日に発表する予定ですが,3月中の発売予定となっています。

 

4Gamer
 この時期で,そんなに近い予定が出てくるということは,もう最終段階と考えていいわけですね。これは嬉しい驚きです。ではまた,お邪魔することにします。本日はありがとうございました。

 このインタビュー中で何度か出てくる,1月27日の発表情報については,すでに4Gamerに掲載済みなので,ぜひそちらもご確認を。併せて読めば,おぼろげにしかつかめなかった“三國志11像”が,かなり形をなしてくるはずだ。
 そちらの記事にも書いたが,本作が3月発売というのは,かなり嬉しい情報である。北見氏の言葉どおり,今後はコンスタントに情報が出てくると思うので,期待して待っていよう。

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タイトル 三國志11
開発元 コーエー 発売元 コーエー
発売日 2006/03/17 価格 1万800円(税別),プレミアムBOXは1万2800円(税別)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/1GHz以上[Pentium 4/1.70GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスチップ:DirectX 9.0c以上に対応,グラフィックスメモリ:32MB以上[64MB以上推奨],解像度1024×768ドット以上

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http://www.4gamer.net/specials/0601_koei_int/0601_koei_int_03.shtml