アップルコンピュータが4月5日に発表した「Boot Camp」(ブートキャンプ)のパブリックβ版は,Intelアーキテクチャ対応のMacintoshでWindows XPを動作可能にさせるツールだ。Boot Campについては,2006年5月1日の記事で,Mac miniを利用して検証を行っているが,今回はMacBookを使って検証してみよう。
前回のMacBookのレビュー記事では,Mac OS X上での動作検証を行ったが,Universal Binary(以下,UB)化されていないゲームタイトルでは,実用レベルに達しないという結論となってしまった。
ただし,この結果はベンチマーク計測可能なUB化タイトルがなく,Rosetta動作でベンチマークを計測した結果である。Boot CampでWindows XPマシンとして動作させた場合,ベンチマークが計測可能なゲームも多くなり,当然のことながらx86ネイティブで動作するため,パフォーマンスの向上にも期待が持てる。
基本的なハードウェア構成は,前回のレビュー同様,ブラックモデル(Core Duo 2GHz)をBTOオプションでHDDのみ120GBにアップグレードした構成である。ただし,今回は2GB(1GB×2),1GB(1GB×1)の構成でベンチマークを測定した。メモリ標準状態の512MB(256MB×2)の結果も掲載したかったのだが,メモリの調子が悪くOSが起動しないという事態に陥ってしまったため,申し訳ないが今回は割愛させていただいた。なお,Boot Camp用OSにはWindows XP Home Edition SP2を使用している。
ベンチマークの測定をする前に一つ注意点を挙げておきたい。MacBookの場合,Windows XPをインストールした状態では,電源設定が「ノート」に設定されている。この設定だと,モバイルCPUであるCore Duoが持つきめ細かい電力管理機能が利用できるものの,駆動中にCPUクロックが上下することにより,パフォーマンスがフルに発揮できる状態ではなくなってしまう。今回は,ポテンシャルをフルに発揮した状態でパフォーマンスを測定するという意味で,電源設定を「常にオン」の設定にして測定した。もし,読者諸氏の計測データと本稿の計測データに大きな開きがあるようなときは,Windows XPの電源設定を確認してみてほしい。
実アプリケーションベースでパフォーマンスを計測
今回は,4Gamerのベンチマークレギュレーションv1.0の一部を利用してベンチマークを行った。このレギュレーションは基本的にディスクリートのグラフィックスカードを用いた環境向けのものである。チップセット内蔵のグラフィックス機能では負荷が高すぎると判断したベンチマークは省略した。
使用したゲームは,「Trackmania Nations ESWC」(以下,Trackmania Nations)と「Lineage II」(邦題 リネージュII The Chaotic Chronicle)の2タイトル。テスト時の解像度設定について,設定項目があるものに関してはMacBookの画面解像度に近いもの,そうでない場合はベンチマークのデフォルト値を採用した。このほか,「Quake4」の代わりに「Doom3」,併せて「FINAL FANTASY XI for Windowsオフィシャルベンチマークソフト3」(以下,FFBENCH)のスコアも計測している。
基本的にチップセット内蔵型グラフィックス機能ではかなり厳しいテストになるが,実際にどの程度プレイできるレベルにあるのか,参考値として見てもらいたい。
Trackmania Nationsでは,解像度設定のなかにmacBookの解像度と同じ1280×800ドットの設定があるので,これをデフォルトとし,そのほか1024×768ドット,800×600ドットで計測した(グラフ1)。結果を見ると,メモリ1GB×2の構成では,1280×800ドットでは26fps弱と,ゲームのプレイに堪えうるレベルまでいま一歩といったところ。1024×768ドットでは約31fps,800×600ドットでは約40fpsと,なんとか遊べるレベルをクリアしているといえよう。ちなみにシングルチャネルの1GB×1構成の場合,デュアルチャネルの場合と比べて約1割前後のパフォーマンスダウンとなっている。