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「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」をPCで使ってみる
2007/06/21 18:08
Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール。筆者は某量販店の通販を利用し,1万2280円(税込)で購入した。10%のポイントがついたうえ,1万円以上送料無料だったので,なかなかいい買い物だったかも
 2007年5月24日,Microsoftの日本法人であるマイクロソフトは,「Xbox 360」用のワイヤレス接続型ステアリングコントローラ「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」(以下Xbox 360ワイヤレスホイール)を発売した。4Gamerではすでに,Xbox 360用のワイヤレス接続型周辺機器をPCで利用可能にする「Xbox 360 ワイヤレス ゲーム アダプター」(の海外版)について,その使い勝手を紹介しているが,Xbox 360ワイヤレスホイールも,このXbox 360 ワイヤレス ゲーム アダプターを利用することで,PC用周辺機器として利用可能だ。

 ドライブゲーム好きかつステアリングコントローラ好きで,さらにワイヤレスデバイス好きを自認する筆者としては,これを見逃す手はない。というわけで即刻購入し,1か月程度使ってみたので,その使い勝手を報告してみたいと思う。
 あらかじめお断りしておくと,今回はあくまでXbox 360ワイヤレスホイールについての話になる。Xbox 360 ワイヤレス ゲーム アダプターの使い方などについては,2007年4月13日の記事を参考にしてほしい。

■とにかくデカいXbox 360ワイヤレスホイール
■FFBやセンタリング機能の利用にはACアダプタが必要


筆者の自宅に届いた製品ボックス
 さて,筆者はXbox 360ワイヤレスホイールを通販で購入したが,届いた巨大な段ボール箱を見て,「通販でよかった」と心から思った。少なくとも,店頭で購入して徒歩で持ち帰るのは困難な大きさである。
 パズルのように複雑な梱包――開封に頭を使い,楽しめたのは今回が初めて。購入の折にはぜひ堪能してほしい――を開けると,出てくるのはXbox 360ワイヤレスホイールの本体とテーブルに固定するためのアタッチメント,ペダルユニットと同ユニットを本体と接続するケーブル(約1.8m),ACアダプタ,単三乾電池2本,ドライバソフトウェアCD-ROMである。

製品ボックスを開けると出てくるXbox 360ワイヤレスホイール本体とペダルユニットなど一式


ステアリングホイール中央にはXboxガイドボタンと,BACKおよびSTARTボタン,ペアリングに使用する接続ボタンがある。Xboxガイドボタンの周りにあるリングガイドは,いわゆる“○コンめ”なのかを確認できる機能を持つほか,バッテリー残量低下時にも点滅して知らせてくれる
 本体は,とにかくデカいの一言。Xbox 360と同じホワイト基調のデザインは新鮮で,なかなかオシャレな気もするが,それにしても453(W)×325(D)×288(H)mmというサイズは存在感がある。
 ステアリングホイールは直径255mm。径は太めで,グリップ部がラバーコートされていることもあって握りやすい。回転角は約264度(左右それぞれ約132度)だ。8方向デジタルパッドに4個のボタン,ホイール背面にあるパドルレバーの操作性も悪くない。

 ペダルユニットはというと,サイズは340(W)×347(D)×158(H)mmで,これもアクセルとブレーキという2ペダル仕様にしてはかなり大きい。踵(かかと)を乗せる部分がくり抜かれた特徴的なデザインで,踵をどこに置けばいいのかしばし悩んでしまったが,マニュアルにも正しいペダルの踏み方は書かれていないので,このあたりは自由にしてしまって構わないようだ。なお,Xboxワイヤレスホイール本体とペダルユニットは付属のケーブルでつなぐ必要があり,厳密な意味で完全なワイヤレスではない。

左上:本体の右手前には「Xbpx 360 ヘッドセット」接続用のインタフェースを用意する。もちろんPCでも利用可能だ
右上:本体を別の角度から。ACアダプタやペダルを接続するためのインタフェースが写真左端に用意されている
左下:ペダルユニット概観
右下:ペダルユニットを別の角度から。“くり抜き”がかなり大きいのが分かってもらえると思う


 ケーブルの話が出たので,電源周りについても触れておこう。
 Xbox 360ワイヤレスホイールは,単三乾電池2本もしくは別売りの「Xbox リチャージブル バッテリー パック」(税込み価格1300円)でも動作するが,この場合は振動機能のみが利用可能。反力を再現するフォースフィードバック(FFB)機能や,ステアリングホイールを切って手を離すと中央に戻るセンタリング機能を利用するためには,本体に付属のACアダプタをつなぐ必要がある

筆者のゲーム環境にXbox 360ワイヤレスホイールを導入してみたところ。写真左手前を見てもらうと分かりやすいが,こんな感じで本体の接地部分が机からはみ出てしまうと,安定感が若干損なわれる
 ステアリングコントローラを語るうえで外せない,机への固定方法は,かつての「Microsoft SideWinder Force Feedback Wheel」と同じだ。本体に取り付けて用いる仕様となっているテーブルアタッチメントは,1個のクランプ(固定具)で机やテーブルを挟み込むタイプとなっており,約15〜60mmの厚みに対応する。いったんクランプの位置を固定したら,あとは「クイックリリースレバー」により,ワンタッチで着脱が可能だ。このあたりは,遊び終わったら片付けることが想定されたゲーム機用デバイスらしいところかもしれない。
 また,クランプが本体の奥まったところにあるため,(筆者が愛用しているような)丸テーブルにも固定できるのもポイントである。ただし,本体側にある,机やテーブルに接する部分の四隅がすべて“接地”していないと,バランスが取りにくい。このあたりは本体の物理的な大きさがマイナスに作用してしまっている。

 このほか固定してみて気になったのは,テーブルアタッチメントに40mmほどの厚みがあるため,「GT FORCE Pro」など,ほかのステアリングコントローラとくらべて,ステアリングの位置が高くなること。筆者の環境ではそう深刻な問題にならなかったが,プレイ環境によっては,ステアリングホイールが画面にかぶさってしまうかもしれない。とくに,コクピット型のプレイ環境を持っている人は,再調整を迫られるケースもあるだろう。

本体とテーブルアタッチメント。Xbox 360ワイヤレスホイールは膝の上に置いて利用することも想定されているため,本体底面には滑り止めが用意されているが,ほとんど気休めにしかならない。集中してプレイするには,“背の高い”テーブルアタッチメントを取り付ける必要があるだろう。右の写真でアップにしたのが,本文で触れているクイックリリースレバーだ


■入力遅延はまったくなく優秀だが
■Xbox 360と同等の操作感を得られないのが残念


Xbox 360 ワイヤレス ゲーム アダプターにXbox 360 ワイヤレス コントローラーを2台,Xbox 360ワイヤレスホイール1台を同時に認識させてみた。すべて同一の名前で分かりにくいが,動作確認しかできないので,大きな問題にはならない(かも)
 冒頭で述べたとおり,Xbox 360ワイヤレスホイールを利用するには,Xbox 360 ワイヤレス ゲーム アダプターが必要だ。今回は,原稿執筆時点の最新版である「Xbox 360 Accessories ソフトウェア version 1.1」を使用して,PCと接続してみた。

 ペアリングは何の問題もなく,すぐに利用可能になる。4月13日の記事で筆者は,「Xbox 360 ワイヤレス コントローラー」(以下ワイヤレスXbox 360パッド)をPCとXbox 360で共有するのが面倒だと指摘したが,Xbox 360ワイヤレスホイールでは,ACアダプタを接続すると,Xboxガイドボタンを押すことなくPCあるいはXbox 360とのペアリングが可能になる。Xbox 360 ワイヤレス ゲーム アダプターの接続ボタン→Xbox 360ワイヤレスホイールの接続ボタンという2アクションでペアリングできるので,これは結構便利だ。

 一方ソフトウェア周りは「利用できるようにしただけ」といった印象であり,お世辞にも高機能とはいえない。プロパティを開いてもできることは動作確認だけで,アナログ軸の動作はステアリングホイールがX軸,アクセル/ブレーキがZ軸の同軸のみ。ステアリングコントローラの性質上,アクセルとブレーキを別々に認識する別軸設定への変更や,デッドゾーン(無反応領域)設定などといった調整機能はあって然るべきだが,現状ではゲーム側で調整するしかない。

どうも,センタリング機能が働いたときにズレが発生する個体があるようで,筆者が購入したものも,電源投入時にステアリングを回すと,センターに戻ったあとで左に少しズレる症状を確認できた(ゲームをプレイすると症状は消える)。Xbox 360ワイヤレスホイールでは,電源投入時にセンター確認動作が行われないので,そのあたりが影響しているのかもしれない。なお,マイクロソフトからサンプルを別途借りてみると,そちらにズレはなかった
 ……といったところを踏まえ,実際に「Richard Burns Rally」「GTR 2 - FIA GT Racing Game」「RACE - The Official WTCC Game」「Level-R」「DIRT: Colin McRae Off-Road」で遊んでみたが,結論からいうと,どのタイトルでも,ワイヤレスであることに起因する反応の遅延などはなく,操作に問題はなかった。
 ただし,ACアダプタを接続した状態でもフォースフィードバック機能は動作せず。ワイヤレスXbox 360パッドでもフォースフィードバックを利用できなかったので,ある程度予想はしていたが,利用できたのは基本的に,センタリング機能に関連した一定の反力のみだった。

 「基本的に」と書いたのは,DIRT: Colin McRae Off-Roadのみ,ジャンプの着地など,特定のシーンで振動したためである。
 筆者の完全な想像になることを断ったうえで続けると,今回テストした5タイトルのうち,DIRT: Colin McRae Off-Roadだけは,Xbox 360版が用意されている。ひょっとすると,入力周りの仕様がXbox 360と同じ部分だけは,(現状のドライババージョンでも)Xbox 360と同じ振動(やフォースフィードバック)機能が利用できるようになっているのではなかろうか。

 ちなみに,Xbox 360向けにリリースされている「Forza Motorsport 2」でXbox 360ワイヤレスホイールを使ってみると,振動&フォース・フィードバックの再現度が非常に高い。アンダーステアやオーバーステアでタイヤのグリップが抜けたとき,そしてグリップが回復したときの反力,コーナーリング中の復元トルク(≒タイヤが直進方向へ戻ろうする力)による反力の強弱,縁石や路肩に足を落としたときの振動など,車がどんな状況になっているのかが,ステアリングを通してしっかり伝わってくる。
 Xbox 360版タイトルだと,ここまでクルマの挙動を再現できるステアリングコントローラが,なぜPCでは――と思うと,この点は大いに不満であると言わざるを得ないのだ。

ペダルを底面から
 もう一つ,使い勝手において好みが分かれそうなのがペダルユニット,もっといえばペダルユニットに設けられた空きスペースである。
 スペースに踵を置いてみると,安定性が悪く,何より「踵の後ろに何かが当たっている」という,およそクルマの運転時にはない感覚が気になった。筆者は,なんとか手前側の枠の上に踵を置くことで対処したが,今度は枠とペダルの間に距離ができてしまうので,足の小さい人は難儀するかもしれない。デザインを優先したのかもしれないが,ペダルユニットのベース部分は,やはり平らのほうがよかった。あるいは,穴を埋めるようなアタッチメントを付属させるべきだったろう。


 以上,Xboxワイヤレスホイールをいろいろ試してみたが,基本性能こそ悪くないものの,それ以外で気になるところが少なくない。PCで利用するため,別途Xbox 360 ワイヤレス ゲーム アダプター(実勢価格2000円前後)が必要になるのは,製品の位置づけ的にやむを得ないとしても,振動機能やフォースフィードバック機能がうまく使えないゲームが多いことも割り切る必要があるのは,少々厳しいと思う。「PC本体と離れた場所に,ワイヤレスでステアリングコントローラを配置したい」という思いがよほど強いのでなければ,PC用ステアリングコントローラとしてわざわざ同製品を選ぶ必要はなさそうだ。あくまで,PCとXbox 360の両方を持っていて,同じ操作系でプレイしたい人向けのアイテムである。
 ただ,まさにそのニーズを持っていた筆者のようなプレイヤーにとっては,実勢価格1万3000円前後のステアリングコントローラとして,合格点を与えられるのも事実。少なくとも筆者は,PCとXbox 360で共用することに決めている。(ライター:UHAUHA)




ステアリングコントローラ
■開発元:各社
■発売元:各社
■発売日:-
■価格:製品による

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http://www.4gamer.net/news/history/2007.06/20070621180828detail.html