連載 : アリスとステファンのペットストーリー物語


アリスとステファンのペットストーリー物語

第2回:飼い主とペットは一心同体

 

前回までのあらすじ

 遙かな昔,古代の人々はそれまで獲物をめぐるライバル関係にあったオオカミの一部に近づいていったと考えられている。約1万5000年前にオオカミから分かれて犬となった彼らは,狩猟のおともや集落の警護,そして急場のときの非常食として人間と共に暮らしはじめたのである。DNA解析によると,犬とオオカミとは別種というより亜種といった方がよいほどの近縁関係にあり,交配も可能だ。
 さて,それから約1万5000年。ガーデンハイツに帰ってきた売れないアーティスト,アリス・ウィットと愛犬のサムは,いろんな事情でドッグショーに出て賞金1万2000シムオリオンをゲットしなくてはならなくなったのである。詳しくは,前回のこのページを見てほしいが,だったらなんで「前回のあらすじ」なんかあるんだ? というのは言わない約束である。覚えておこう。

 

 

 というわけで,週刊連載「ペットストーリー物語」の第2回である。前回はアリス・ウィットとサムの物語のほんのオサワリ程度だったが,今回からいよいよナニは佳境に入る。ちょっぴりネタバレチックな部分もあるかと思うので,知りたくないという人はぜひ片目をつぶって読んでほしい。そこのキミ,両目をつぶるとなぜか読めないぞ。

 

 

サム,予選を突破する

 ちょっと面白い顔のロバートと幼馴染みのアマヤが贈ってくれた訓練道具を使ってサムを鍛え,ドッグショー予選を迎えるアリス。いよいよ最初の山場である。とはいえ,サムはまだまだ名犬とはとても呼べず,というか駄犬そのものであり,なかなか思ったようなタイムは残せない。ああ,困った。しかも,デブールのプードル,プレシャスが見せる素晴らしい演技にまたため息。
 このままでは予選落ちで,家を追い出されて路頭に迷って,ダウンタウンで夜のお仕事に従事したりなんかするのだろうか,それもまたいいかもしれないななどと思っていたら,ちょっとしたハプニングが知らないところで発生し,からくも予選をクリアするアリスとサムなのであった。いやー,ヒヤヒヤしたこと。

 

物語の悪役,ダイアナ・デブールの愛犬プレシャスはドッグショー予選をトップでクリア。アリスの愛犬サムにプレシャスを打ち負かす力はあるのだろうか? 正直,ないと思う

 

 

アリス,訓練に挫折する

 Aフレーム,シーソー,トンネルといろいろなアイテムを手に入れて,日々訓練にいそしむアリスだが,どうも壁にドつき合っている,じゃなくて突き当たっている。野球の神様,川上哲治氏が猛練習の末「ボールが止まって見える」と語ったのはまああまり関係ないとしても,サムはある程度のところまではいくのだが,それ以上に教えることができないのだ。
 さて,困りました。このままでは正義がやっつけられてしまうではないか。いや,前回も書いたように借金の理由がよく分からないので,もしかしたらアリスもしくは彼女の祖父母の方が悪人なのかもしれないが,いずれにしろ,このままでは勝てない。うーん……。

 

一生懸命のサムだが,これ以上,どうやって訓練していいか分からず悩むアリス。ドッグショーでお金を儲けようというごく基本的なアイデアに無理があるような気もしないでもないかしら そんなアリスを,陰になり日向になり助けてくれるロバート。悩んでいる女性を助けてあげることでより親密になれるはずだが,顔がちょっと面白く,シャイなのが問題点

 

 

 

アリス,肉球のしきたりを学ぶ

夜で色黒なので,ちょっと見えにくいが,それがかえってミステリアスさを増すオーティス。アリスに秘技を伝授する

 捨てる神あれば拾う神ありと昔からいう。これは,捨てる神もいるし拾う神もいるよという意味だが,アリスの場合,その神の名前はフォールディング・オーティスであった。ある夜(プレイヤーによっては昼になるかもしれないが),悩んでいるアリスの家の前に立ったオーティスは,彼女に「肉球のしきたり」を授けるのである。彼は言う。「キミをずっと見ていたんだ。私達ならキミを手助けできる」。彼はさらに続けて「犬と一つになるってことは,自分が犬になることなんだ」。
 普通なら,そのまま警察に電話してストーカー防止法を適用して逮捕してもらったり病院に収監してもらったりするところである。犬と一つになってたまるかい! とはいえ,ワラにもすがりたいアリスはオーティスの言葉に従って肉球のしきたりを学ぶのである。何をするかについてあまり詳しいことは書けないが,これによって,サムはさらなる高みに至らせることができるのだろうか。それともすがったワラはしょせんワラなのか?

 

ヘンなおじさんにヘンな技を教わり,ごほうびにヘンなアイテムを受け取るアリス。このわけの分かんなさは,やはりザ・シムズ2ゆずりだ。なにこれ,わけ分かんなーい

 

 

アリス,サムを助ける

突然姿を消したサムを心配するアリス。金づるが……,違う! 家族同様に暮らしてきたサムの身を案じているのだ

 おそらく,エレクトロニック・アーツ,シムズチームのシナリオ担当者が出がけに奥さんとケンカでもしてきたのだろう,突然アリスをピンチが襲う。サムが姿を消してしまったのだ。家出? それとも……。だが,犬の失踪ぐらいでは警察は動いてくれない。アリスはサムを探し出す決意をするのだ。
 急転直下,ゲームはミステリーアドベンチャーの様相を……呈しはしない。だってこれ,シムズですもの。というわけで証拠の品はかなりこれ見よがしな感じで置いてあり,関係者もベラベラベラベラしゃべってくれるので,犯人探しに苦労することはないはずだ。もし,ここでつまったという人がいたらある意味非常に珍しいので,もよりの市役所に届けを出すといいだろう。受け付けてくれるかどうかは知らないけど。

 

犬の失踪ぐらいでは警察は動いてくれない,という事実を前に自ら捜査に乗り出すアリス。手がかりは,もう,見逃したくても見逃せないところに転がっている

 

 

ついにドッグショーの日がやってきた!

いよいよドッグショー決勝の開催。これに負けると,アリスとサムは尾羽打ち枯らして街を去らなければならない。ああ。それにしてもサムは平和そうだ

 かくして,アリスの七転八倒の大活躍の末,って八面六臂ね。ともかく,ついにドッグショー決勝の日がやってきた。会場となるバートロミュー・グリーンズはすでに観客でいっぱいの大盛り上がりである。シム人連中の物見高さは,ここガーデン・ハイツのもあまり変わらないようだ。もちろん,いやなデブールと彼女のプードル,プレシャスも手ぐすね引いて待っている。うう,緊張するなあ。
 最初に演技するのはアリスとサム。厳しい訓練の甲斐あって一世一代の名演技で最高スコアをマークした一人と一匹だが,これですべてはデブールの演技にかかってくる。
 クライマックスを迎えて静まりかえる会場。居住権を賭けた女と女の対決。見つめる観客。あたりかまわずおしっこをするサム。そして……もうこれ以上書くといろんなところから怒られてしまうので,試合の結果はぜひあなたの目で確認してほしい。
 あっと驚くような結末があなたを待っているはずだ。もしかすると待っていないかもしれないが,とりあえず「そうなのか」と納得するのが大人の礼儀なので,納得してほしい。

 

ついに物語はクライマックスを迎えちゃいました。うう,緊張する。まさかシムズシリーズで緊張するとは思わなかったが,緊張するなあ

 

 

次回予告

 犬と来ればお次は……そう,猫である。ウスカワマイマイだと思ったあなた,間違いですよ。砂漠の街メッサ・フラッツ在住の新進気鋭のシェフ,ステファン・ロイヤルは恒例のミッドナイト・マスカレードの厨房を任されることになって有頂天。だが,新婚旅行に出かけた従兄弟から猫のディーバを預かってほしいと頼まれる。パーティーの準備に追われて大忙しのステファンをよそに,ディーバは猫らしくいたってマイペース。ああ,大変……などとあんまり書いてしまうと,私が来週書くことがなくなって困るのでこのへんにするが,ステファンのストーリーもどうか一つ,お楽しみに。

 

 

 

 

 

 今回のおまけムービーは,サムの日常を追ってみた。食っちゃ寝,食っちゃ寝のペットライフはさぞかしラクだろうと思いきや,意外にもそうでもないことが分かって新鮮。ペット暮らしもいいことばかりではないのである。

 

 

 

 

 

■■松本隆一(4Camer編集部/Eloctronic)■■
“三高”(高学歴,高年齢,高血圧)で語学も堪能な松本は,都心部にある高級マンションの上層階で暮らす4Gamer編集部きっての独身貴族。そんな松本にとっての癒しのひとときは,ミッドタウンの近くにあるペットショップで購入したペルシャ猫を撫でながら,ブランデーを傾けることだとか。という著者紹介を提案したところ,松本は泣きながら「ペットなんて飼ってないし,酒も飲めない」と反論。こんな連載をしているのに,何も飼っていないなんて読者に対する裏切りではないか? と糾弾すると,「人間の体には数万種類を超える細菌が(略)」などと,しゃべり出した。
タイトル ザ・シムズ ペットストーリー
開発元 Electronic Arts 発売元 エレクトロニック・アーツ
発売日 2007/07/12 価格 4980円(税込)
 
動作環境 OS:Windows XP/Vista(+DirectX 9.0),CPU:Pentium 4/1.80GHz以上,メインメモリ:512MB以上,HDD空き容量:2.7GB以上

(C)2007 Electronic Arts Inc. Electronic Arts, EA, the EA logo, The Sims, Maxis and the Maxis logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. All rights reserved. All other trademarks are the property of their respective owners. EA and Maxis are Electronic Arts brands.


【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/weekly/simspets/002/simspets_002.shtml