連載 : お父さんは夢見がち


お父さんは夢見がち

第3回:池田アルマジロさんとぁららちゃん(前編)

 

池田アルマジロ三佐近影。……ていうか,あんたが坊やだったのか!(松本隆一:画)

 そろそろ各方面からお叱りを受けそうな本連載だが,ひるまず続々と娘を前線に送り出していこう。今回登場するお父さんは池田アルマジロさん。顔にひどいやけどがあるとかで,マスクを脱がないのがチャームポイントの職業軍人……じゃなくて自衛隊の三佐だ。「やはり三佐は空が似合いますね」と部下から言われたりもする,颯爽たる士官パイロットである。独立戦隊の指揮を任されるくらい偉い人らしいのだが,愛機が赤かったり,通常の三倍くらい速かったり,指揮官章が付いていたりするのは,なぜだか知らないが説明するまでもないだろう。

 

 また,早くに母親との離別を経験したせいか,女性と見るや母親の面影を求めてしまうくせに権力志向という,やや歪み気味のお父さんでもあるようだ。くれぐれも,要約すると女性に振られたはらいせでクーデターを起こす自衛官が主人公,ということになる小説/映画「皇帝のいない八月」みたいな末路だけは,迎えないでほしいものである。

 

いや,年齢差的に娘の名前は「ぁらら」ではなく「く○す」ではないかという説もあるが,その場合,父親が自衛官ではなく政治家になって,分かりづらいので却下である 今回の目標である「人の革新」においては,鋭い勘も重要になる。したがって「直感」は重視すべきだろう。また,お互いが「分かり合う」ためにコミュニケーションは重要だ

 

 

「直感」と「魔法」とコミュニケーションを重視

 

常人には見えないものが見えるらしい,ぁらら。人の後ろから炎のように立ちのぼる黒い影とかじゃないとよいのだが

 そんなアルマジロさんに預けられた娘は,ぁららちゃん。アルマジロさんの任務は,ぁららちゃんの潜在能力を引き出し,ニュータ……いやいや,一人前の魔法使いとして戦力化すること。「魔法」スキルとコミュニケーション能力を中心に育成を図るが,設定上は言うまでもなく,お父さんのことが大好きで,ちょっと背伸び気味にお父さんのことを守りたいくらいでなくてはならない。

 

 まあどんなプレイを進めるにせよ,序盤の課題は基本ステータスの底上げである。親子の絆を深めつつ知力や体力をつける方向で,比較的オーソドックスに週間スケジュールを組む。軍隊でいえば,基礎教練の段階だ。そこで溜まったストレスは,週末にお父さんと出撃……じゃなくて「お出かけ」することで解消する。

 

ストレス解消のために連れ出した神社にて。美しいものは儚く消えてゆくものだと悟っているらしい,ぁらら

 

 

感情面の安定と生存能力がむしろ心配

 

なかなか安定感のある人格にまとまらない,娘の「プロフィール」画面。今回はやや破綻気味のほうがそれっぽいが,ぜひ無事に生き延びてほしい

 さる偉い人の言説によれば,今回の娘の育成方針は“人の革新”であり,“宇宙時代に適応した人類の進化の形”であって,もう少し突っ込んで言うと“ある種のコミュニケーション能力”の獲得でもある。娘が次の世代の人類を指導するエリート(プリンセス?)になるかどうかはともかくとして,とりあえずキーワードはコミュニケーション能力らしい。
 そこで,友人との交際は比較的分け隔てなく,活発になるような方針を採る。また,直感的判断力こそが“人の革新”の内実であるからして,論理的思考よりも直感を重視する方向で育てよう。
 基本的なパラメータがある程度伸びてくれば,学校の成績も悪くない水準に達するはず。適度に誉めてやる気を伸ばしつつ,あまり背伸びしたり,思い上がったりすることのないよう,ときどき優しく言い聞かせたりもする。

 

娘の勉強ぶりを見て,「ぁららは賢いな」と誉めてみたのだが,その言い方は必ずしもお気に召さなかったようだ。子供扱いするとスネる,難しいお年頃である

 

潜在能力を発揮し始める,ぁらら。あなたはエスパーかもしれない……

 コミュニケーション能力と並んで課題となるのは,前述のとおり「魔法」スキルである。いや,現代日本という舞台設定でどうやって魔法を身につけるのだろうと思ったら,習い事「オカルト研究会」がほぼ唯一の機会で,それ以外は実戦……じゃなくて「冒険」で鍛え上げるしかない様子。
 オカルト研究会は娘が中学に進んだ段階ではじめて選択肢に登場する。小学校時代である程度基本ステータスも伸びたことだし,早速フラナガン機……いやいや,オカルト研究会に所属させよう。
 オカルト研究会に通い始めて間もなく,「めぐりあ」ったのが,敵のパイロット,アム……もとい,同級生の伊東景子である。
 ぁららより先に魔法使いとして覚醒(?)した伊東景子との運命的な「めぐりあい」が,ぁららの成長にどのような影響を与えるのか? そして,なぜか窮地に立たされた,アルマジロさんの行方は?(次回に続く)

 

ゲーム的には,長い・高い・うさんくさいの3拍子揃った習い事である「オカルト研究会」。さすがは革新的な技術の研究機関,お金がかかるし,総帥が煙たがったのも無理はない。いやその,総帥って……?

 

伊東景子との,初対面での会話と,上がり始めた「魔法」スキル。美しい鳥の話とかをしたかどうかは不明だが,このテの人との初対面での会話は,噛み合わないものと決まっている

 

 

■■田村真治(ライター)■■
キャラクターゲームにはひととおり通じているが,プリメ経験は比較的浅いというPCゲームライター。寒の戻りのせいか,編集部でも流行しつつある風邪をこのタイミングでもらってしまったらしく,今回のプレイ/執筆は苦戦したとのこと。今度の娘はなかなか手強いので,娘のみならずプレイヤーの体調にも気を配って,ぜひ万全の体制で子育てに臨んでもらいたい次第である。
タイトル プリンセスメーカー5
開発元 ガイナックス 発売元 サイバーフロント
発売日 2007/03/03 価格 9240円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Celeron 2GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスメモリ:32MB以上[64MB以上推奨]

(C)GAINAX (C)CYBERFRONT


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http://www.4gamer.net/weekly/princessmaker5/003/princessmaker5_003.shtml