連載 : イメージガールインタビュー ゲームの話はしない


「イメージガールインタビュー ゲームの話はしない」

第7回:“ゲームの女王”80★PAN!インタビュー<後編>

Text by TeT / Photo by 増田雄介 

 

 6月6日(水)に,収録全8曲がどれもゲームのタイアップ付きというアルバム「8 Carat Princess」をリリースするGIRL'S ROCK BAND「80★PAN!」(ハレパン)のインタビュー後編をお届けする。
 前編では,メンバー達のゲーム経験とアルバムの聴き所をメインに語ってもらったが,後編では「ハレンチ☆パンチ」としてデビューする前,そしてデビューしてからのことを振り返りつつ,改名に至った理由や決意などを話してもらった。

 

 なお今回,本文中には4月16日に関係者と80名のファンを無料で招待して行われた,コンベンションライブの写真を使用している。エモーショナルで躍動感に溢れるライブの雰囲気を,少しでも感じてもらえると幸いだ。

 

80★PAN!(ハレパン)
公式サイト:http://www.80pan.com/
●左:奥菜真子(おきなまこ):Rap,Chorus/血液型:O型/身長:154cm/出身:京都府 ●中:小笠原朋美(おがさわらともみ):Vocal/血液型:A型/身長:155cm/出身:京都府 ●右:大空さや(おおぞらさや):Guitar,Chorus/血液型:B型/身長:156cm/出身:大阪府

 

 

80★PAN!結成のいきさつ

 

4Gamer
 さて,アルバムの話題とは前後してしまうんですが,80★PAN!そのものにフォーカスしてみようと思います。まずは,3人で活動を始めるいきさつから教えてください。

 

小笠原朋美さん(以下,小笠原さん)
 今月(2007年4月)で,デビューして21か月めなんですけど,そもそもは,所属事務所が出版する地元の情報誌「京都CF!」の企画で,朋美がスカウトされたのがきっかけなんです。

 

4Gamer
 「女子高生アイドル発掘企画」で発掘されたんですよね。

 

小笠原さん
 そうなんですよ。それで,雑誌の撮影などに通っているうちに,編集部の方達と色々お話しするようになって,音楽をやりたいという気持ちを話したんですね。そしたら,事務所のプロデューサーを紹介されて……。それがすべての始まりでしたね。

 

4Gamer
 最初から音楽をやっていたわけではないんですね。

 

小笠原さん
 そうなんです。そのうちに,レコーディングというかデモ録音をしてみないか? ということになったんです。それで課題曲を出してもらって,練習して,それを録音して……とやっていくうちに,本格的に活動していこうという話になり,「ユニットを組んでみよう」ということになったんですよ。でも,ユニットを組む相手がいないことに気づいて……。

 

4Gamer
 ユニットを組むことが,まず前提にあったんですか。

 

小笠原さん
 ええ。普通なら,同じ事務所の新人の方と組んだりすることが多いみたいなんですが,「小笠原は照れ屋だから,気を使わない友達と組んだほうがいいんじゃないかな?」みたいな話もあって(笑)。そこで,クラスもずっと一緒で仲が良かった真子を誘ってみたんです。

 

4Gamer
 奥菜さんは,そのときどう思われました?

 

奥菜真子さん(以下,奥菜さん)
 えーホント? やりたーい! って(笑)。

 

小笠原さん
 真子は元々,朋美が曲を練習したり,レコーディングしたり,ライブをやったりしたときに,よく応援してくれていたんですよ。

 

奥菜さん
 だから,誘われたときは,まさかと思いました。でも興味はあったので,「やりたいやりたい!」と即答して,ユニットのメンバーになったんです。

 

4Gamer
 小笠原さんがそういう活動をしているのを見ながら,どういう風に思っていました?

 

奥菜さん
 凄く楽しそうだし,一生懸命がんばっていたので,羨ましい……っていうより,本当に応援していましたね。がんばって! という感じで。そんなときに冗談みたいに軽い感じで「やらない?」と誘われたんで,こちらも軽い感じで応じたんですよ(笑)。

 

小笠原さん
 そして二人で,京都でストリートライブなどをしていたんです。そのうちに,もう一人メンバーが欲しいということになって,ハレンチ☆パンチの新メンバーとして,ギターとコーラスができる人を募集したんです。

 

大空さやさん(以下,大空さん)
 そのオーディションを受けたら……,なっちゃいました(笑)。

 

小笠原さん
 初めてさやを見たときは,妹的な印象でした。可愛いくて,凄く天然だな,とも思いましたね,初めから。でも,音楽に対する取り組みも,歌声もしっかりしているし,ダンスもやっていたので,すぐに欠かせないメンバーになりました。

 

大空さん
 ね。

 

4Gamer
 元々,皆さんは,どういう音楽を聴いてきたんですか?

 

小笠原さん
 いまの80★PAN!で向いている方向でもあるんですが,ロックは好きですね。普通にライブハウスに通っていましたし。アーティストでいうと,Avril Lavigneが好きで,毎日聴いたり歌ったりしてました。

 

4Gamer
 そういえばブログでは,Nirvanaのライブビデオを見て「かっこいい!」なんて感想を書いていたこともありましたし。

 

小笠原さん
 お兄ちゃんがバンドをやっていたので,その影響をけっこう受けているんです。お兄ちゃんのライブを見に行ったり,お兄ちゃんが持ってるCDを聴かせてもらったり,DVDを見せてもらったり。だから,けっこうハードなものも好きなんですよ。

 

4Gamer
 周りにそういう音楽の話が合う友達はいました?

 

小笠原さん
 いましたよ。そういう友達と一緒にライブを見に行ったりしていたんで。

 

4Gamer
 ああ,そういう環境がちゃんとあったんですね。
 奥菜さんと大空さんはどんな音楽を?

 

奥菜さん
 真子はラップをやったことはなかったんですが,Missy ElliottやMary J. Bligeなんかは好きで聴いてました。

 

大空さん
 さやは最近,洋楽も聴くようになってきました。今年の初めに,「WE WILL ROCK YOU」というミュージカルを見に行って,「はっ,Queenがいい!」と思って,それからずっとiPodにQueenの曲が入ってます。「Bohemian Rhapsody」がとくに好きで,リピートして聴いてます。

 

4Gamer
 じゃあ,どちらかというと最近,ロックが好きになってきたんですね。

 

大空さん
 はい。触れれば触れるほど,のめり込んでいくような気がしますね,ロックって。

 

 

4thシングルの予約枚数が1000枚を超えないと解散?

 

4Gamer
 そんな3人がハレンチ☆パンチとして,2005年8月24日に「白線〜スタートライン」でデビューしたわけですが,そのときの感想を聞かせてください。

 

小笠原さん
 デビューが決まったときは,びっくりしました。プロデューサー預かりみたいな形で色々と活動を積んできていたので,「ついに!」という感じで凄く嬉しかったですね。デビューしてからは,いろいろなお仕事をしていくにつれて,いろいろな想い,責任感なども出てきたんですけど,決まったときはとにかく嬉しくて,家族や親戚,友達みんなに伝えて,応援してもらいました。

 

4Gamer
 戸惑いなどはありませんでした?

 

小笠原さん
 なかったですね。音楽をやっていきたいとずっと思っていたので,「やった!」って(笑)。

 

4Gamer
 同年11月23日には「メガホン」,2006年4月19日に「急上昇JUMP↑」をリリースし,その都度,全国でキャンペーンなどがありました。そして8月9日発売の「Doki Doki! My Sister Soul」の予約枚数が,秋葉原の石丸電気だけで1000枚突破すれば一周年記念イベントができて,1000枚に達しないとハレンチ☆パンチは解散……という試練がありましたよね。

 

小笠原さん
 あのときは,本当に必死で……。

 

奥菜さん
 どうしよう? ってね。

 

小笠原さん
 とにかく1000枚の予約をとらなければ,先はないというのが……。

 

奥菜さん
 毎週毎週,必死でイベントをやって。

 

小笠原さん
 チラシを作って,配って,ライブをして……でも今となっては凄くいい思い出です。浴衣を着て秋葉原でチラシを配ったりしてたんですけど,そのときの写真をあとでファンの方からもらったんですよ。それを今になって見返すと,なんだか懐かしいなぁって。

 

奥菜さん
 でもそのときは本ッッ当に必死だったんです。

 

4Gamer
 でも当時のブログを見ると,あんまり必死な感じは出てないんですよね。SWEETSTAR TVの映像を見ると悲壮感も漂っているんですけど,ブログでは前向きだし,どこか楽しげな感じだし。

 

小笠原さん奥菜さん
 そうでしたねー(笑)。

 

大空さん
 でも,てんやわんやでした。

 

4Gamer
 当時の気分はどうでしたか?

 

小笠原さん
 考えると胃が痛くなるような……そんな感じでしたね。最初,1000枚達成できなくて,そのときは「えっ? どうしよう……」という気になって……。自分達が凄く悲しいという気持ちだけじゃなくて,周りのスタッフの方達や応援してくれてた人達,本当に大勢が協力してくれていたのに,達成できなかったんや……って申し訳ない気持ちで。

 

大空さん
 どうしたらいいんだろう……って。

 

奥菜さん
 毎回,イベント終了後に予約枚数の報告を受けていたんですが,それを待つ間が。

 

小笠原さん
 予約をしてくれた方達とは握手をしていたので,なんとなく分かるんですよ。今日はまずいとか思いつつ……。

 

奥菜さん
 何枚ぐらいあった? って3人で聞き合ったりして。結果が届くのを待っているときのドキドキ感が,いいドキドキっていうよりハラハラ感で。

 

大空さん
 寿命が縮まりました。あのときは。

 

奥菜さん
 1000枚まであと何枚残ってる? とか,そういう計算ばっかりしてましたね。

 

小笠原さん
 どうしたら予約の枚数が増えるのか? というのを3人で凄く考えて……。新しいお客さんを引き込む作戦を3人で練ったり……手作りのチラシも効果はあったと思うんです。そういう時間がとれたことで,より仲良くなれたというか,結束が深まったかなとは思います。

 

4Gamer
 そんなこんなで無事一周年イベントは実現し,その直後のブログでは小笠原さんが「もっともっと,大きく成長したい! 早くみんなにたくさんの感動を与えられるようなアーティストになりたい! 今日の日をまた新しいスタートとして,もっとでっかいユメにむかって走り続けたいと思います!」という決意表明をされています。これを読んだときに,イベント実現に向けての苦難を乗り越えることで,それまでよりもプロ意識や,メンバー間の結束が強まったのかなと思ったんです。そういう意味では,いい経験だったんでしょうね。今思えば,ですけど。

 

小笠原さん奥菜さん
 今思えば,ですよね。本当に。

 

奥菜さん
 あのときは,ただただ必死で……。

 

4Gamer
 大人達はなんてことをしてくれるんだ!? っていう話ですよね。

 

 

1stアルバムのリリースが一つの転機に

 

4Gamer
 こうした試練を乗り越えて,9月13日にアルバム「Doki Doki! First☆Punch」,10月11日にDVD「Doki Doki! First☆DVD」がリリースされました。

 

小笠原さん
 アルバムの発売は,デビューしてから1番めか2番めぐらいに嬉しかったことですね。もちろん,シングルが出るのも嬉しかったんですけど,アルバムのリリースは一つの目標だったんです。完成して曲を一通り聴いたときは,嬉しくて涙が出ました。このあたりから,ちょっと方向転換というか,ロックな感じを加えていったんです。

 

4Gamer
 バラエティに富んだ内容に挑戦することで,音楽的な転機になったわけですね。

 

小笠原さん
 ハレンチ☆パンチとしての,いろいろな面を出せたと思います。凄く可愛い曲や,ロックっぽい曲,しっとりしたバラード調の曲もできるようになって,このアルバムをきっかけに幅が広がったと思います。

 

奥菜さん
 いろんな面でね。

 

小笠原さん
 衣装もシルバーになったり。

 

大空さん
 あの衣装はけっこうお気に入りでした。80★PAN!になってからは,あんまり着なくなるかもしれないのが,ちょっと寂しいです。

 

小笠原さん
 アルバムを聴いてくれた方の反応も良くて,「音楽としていいね」って言ってもらえたのがとても嬉しかったんです。そういったところから,音楽的にもっとやっていきたいものが増えてきたのかなと思いますね。

 

4Gamer
 ちょうどその時期,アルバムやDVDのリリースイベントに向けて,ブログを通じてファンと一緒にセットリストをメンバーそれぞれが作るという,セルフプロデュース企画もありましたね。

 

小笠原さん
 セルフプロデュース企画は楽しかったです。ライブのセットリストは,前から関わっていたんですけど,セルフプロデュース企画では「ファンと一緒に好きなようにやっていい」と言われたので,ちょっと遊び半分的なセットリストを組んでみたり。ファンの人のいろいろな声を聞きながら,やりたいことを考えていくのが新鮮でした。こういうのをみんなは待ってくれているんだなぁとか,そういうことも考えられましたし。

 

4Gamer
 やりたいことをやりながら,何をどう見せていくか? というのを考えられたわけですね。

 

小笠原さん
 そういう意味では,アルバムを出したあとだったので,曲数が増えていたのも大きかったです。

 

4Gamer
 曲が増えれば,選択の幅も広がりますもんね。

 

小笠原さん
 その分,振り付けを覚えるのがたいへんになったり(笑)。

 

4Gamer
 振り付けは,忘れたりしないですか?

 

大空さん
 最近はそんなに……。

 

小笠原さん
 体になじんだというか。

 

4Gamer
 とはいえ,今回新曲が増えたわけで,またたいへんですよね。

 

小笠原さん
 アルバムとかで,ドーンと新曲がたくさんできると,一気に覚えないといけないですからねぇ。

 

奥菜さん
 例えば,新しく5曲分の振り付けを覚える! ってなると,その五つが混ざっちゃったりするんですよ。整理しないと(笑)。

 

2007年は“ロック”な80★PAN!

 

4Gamer
 そして,2007年になって“ロック宣言”というものがありました。この宣言の意味するところは?

 

小笠原さん
 曲や衣装だけでなく,振る舞い方というか,このユニット自体をロック寄りにしたいなと。ちょっとロックをはき違えて,いろんなロックを実践しちゃったりしたんですけど(笑)。

 

4Gamer
 どんなはき違え方ですか?

 

小笠原さん
 例えば……。

 

奥菜さん
 家に鍵をね?

 

小笠原さん
 「今日は家に鍵をかけないで出かけてきたんだ!」とか(笑)。

 

4Gamer
 それ,むしろロック(Lock)してないじゃないですか(笑)。

 

小笠原さん
 ええ,そうなんですけど(笑)。ロックっぽいというのは,格好いい不良っぽい感じかなって……わざと電車を乗り過ごしたりとか。

 

奥菜さん
 迎えに行くお母さんがいい迷惑だねぇ(笑)。

 

小笠原さん
 あとは,二度寝をしてみたりとか。食べ物を噛まずに飲み込んだりとか。

 

4Gamer
 そ,そりゃロックですね……。

 

奥菜さん
 朋美が喉を詰まらせたらみんなが困るっていうね(笑)。
 ロックって言い始めてから,自分で新しいロックを創り出そうとしてたみたいなんですけど,何か違うんですよ。全部が朋美風ロックで(笑)。

 

小笠原さん
 ロック宣言と言い出した頃は,「MONSTER DRIVE」や「謎」ができかけてきたときだったもので,凄くロック的な生き方にはまって。「ロック,ロック」と言っていたら,曲もどんどんどんどんロックになり,それがロック宣言になり……。

 

4Gamer
 分かったような,分からないような……。

 

小笠原さん
 昔からしょっちゅう,ライブハウスに行っていたぐらいロックが好きで。とにかく,ロックなんですよ!

 

奥菜さん
 ロックな音楽をしていくことで,これまでよりも幅を広げていきたいということですかね。

 

4Gamer
 なるほど,少し分かりました。

 

小笠原さん
 ライブでも今年の1月には,Avril LavigneやGreen Dayのカバーをやらせてもらったんです。そのときに,「うわ! 気持ちいい! 楽しい!」と思って。
 だからって,そういう方向だけにするつもりもないんですけどね。「せんちめんたるハリケーン」みたいに,可愛い感じのスパイスも必要だと思いますし。

 

奥菜さん
 甘い感じのね(笑)。

 

大空さん
 そういうのも必要やと思う。

 

 

ライブはファンと時間を共有できる大きな存在

 

4Gamer
 最近は「LIVE RING」という対バン形式のライブもやっていますね。

 

小笠原さん
 はい,ライブを通じて友情の輪を作っていこうというテーマです。複数のアーティストが出演して,アーティスト同士も仲良く,それぞれのアーティストのファン同士も仲良くなっていくといいな,という。それぞれのアーティストの音楽性は違えど,本来音楽というのは楽しいものですから。
 4月28日(土)には,MiさんとのLIVE RINGがあります。音楽で通じ合うものがあると思うので,もっともっと輪を広げられたらいいですよね。

 

4Gamer
 普段,80★PAN!を見る機会のない,ほかのアーティストのファンも大勢会場に来ますし。

 

小笠原さん
 LIVE RINGで初めて80★PAN!を見て好きになってくれたり,逆に80★PAN!のファンが,今度一緒にやらせてもらうMiさんを見て気に入ったり……というのがどんどん広がっていったら,みんな幸せだと思うんですよ。幸せの輪が広がっていくような。
 ワンマンライブだと楽屋は3人なんですけど,LIVE RINGだとほかのアーティストと一緒にワイワイやれて,友達の輪みたいな感じもあって,それも楽しいんです。

 

大空さん
 前回と前々回はPerfume(編注:テクノポップアイドルユニット)さんと一緒だったんですけど,音楽の感じが違うから,新しいものが吸収できていいなと思いました。

 

4Gamer
 Perfumeがどんどんテクノになっていく一方で,80★PAN!がどんどんロックになっていくっていうのは,対照的で面白い現象ですよね。

 

小笠原さん
 テクノも凄く楽しいですよね。聴いててズンズン来るし。

 

4Gamer
 LIVE RINGのみならず,ワンマンライブとしては3月に「春☆PUNCH」ということで,合計3回の公演がありました。

 

小笠原さん
 とくに3月24日は二部構成だったので,凄く体力がいりました。デビューしたばかりの頃は,持ち歌が3曲しかなかったんですよ。それが今では,第一部で15〜16曲,第二部も含めると1日に30曲以上歌ってるんですよね。デビューしてから2年足らずでここまで来たのかと思うと,感慨深いです。

 

大空さん
 体力もついたのかなぁ?

 

小笠原さん
 かなぁ?
 ライブでどういう風に歌うかというのは,一つ一つのライブを積み重ねていきながら,次はこう歌ってみようとか,次はこうしてみようとか,反省点を見つけて改善していくうちに,どんどん良くなると思うんですよ。だからこれからも,もっともっとライブはやっていきたいですね。次のアルバムも出たら,一度のライブで20曲以上やっていきたいです。

 

奥菜さん
 それぐらいできるようになったんだよね。2曲で始めて,2曲が3曲になったときのことなんかを思い出すと,やっぱり……。

 

小笠原さん
 懐かしいねぇ……。初めて3曲やったのは外だったね。

 

奥菜さん
 外だったねぇ……。
 最近だと,ライブが終わってからセットリストを見ると,これだけこなしたんだ! って,自分でもびっくりするんですよ。それにライブって,毎回違うものなんですよね。毎回来てくれるお客さんもいるし,セットリストがガラッと変わることはなくても,毎回違う時間を共有してるんです。

 

4Gamer
 時間を共有するというのは,ライブの最大の醍醐味ですよね。

 

小笠原さん
 ワンマンライブって曲もだし,MCもだし,自分達で考えて,全力でパフォーマンスをぶつけると,お客さんからの反応も全部ダイレクトに伝わってくるんですよ。だから凄く楽しいんです。終わってからブログへのコメントを見るのも楽しいし。

 

奥菜さん
 お客さんからの「来週からもがんばれる力をもらえた」という言葉だとか,そんな一言一言で私達もパワーをもらっているところがあるし。こういうコミュニケーションがとれるのも,ライブの良さですね。お友達を連れて来てくれたりするのも,凄く嬉しいです。

 

小笠原さん
 ライブはやっぱり大きいよね。

 

4Gamer
 ファンにとっても,皆さんと時間を共有して,一緒に大暴れできるのはライブしかないですから,重要ですよね。ただ,2部構成だと,両方参加するお客さんには相当な体力が必要ですが。

 

小笠原さん
 最後のコミュニケーションタイムでは,もうぐったりしてて「しゃべること忘れた」なんて言われたり(笑)。

 

奥菜さん
 「帰ったら絶対,すぐ寝られる!」みたいな。自分自身も首が筋肉痛になったりしますけどね(笑)。

 

小笠原さん
 そういう場所に立てていることが,本当に幸せなんです。

 

 

80★PAN!への改名で,変わっていくもの,変わらないもの

 

4Gamer
 春☆PUNCHのラスト,3月24日の第二部では,会場に集まった人に向けて,ハレンチ☆パンチから80★PAN!への改名が,記者会見に先駆けて発表されました。

 

小笠原さん
 発表する前日は,本当に不安でした。メンバーも替わらないし,これまでの曲もやるから,変わらないといえば変わらないんですけど……。今までのコンセプトを脱いで,新しくスタートを切るということが,今までついてきてくれたファンの人にどう思われるのかな? というのを凄く考えたし。名前が変わっても,きっと付いてきてくれるというのは信じていたんですけど,やっぱりどこかで不安もあって……。

 

大空さん
 やっぱりみんな,感じることや言うことは違うからね。

 

小笠原さん
 賛成の人も反対の人もいるんだろうなと思っていたんですけど……。

 

奥菜さん
 新たなスタートでもあるけど,一旦終止符を打つことでもあったので……。新しくバージョンアップして,また一歩踏み出して,もっともっと上を目指していこう! いろんなことに挑戦していこう! ということなんですけど……。やっぱり,今までの活動のこと,パンチ会なんかで全国を回ってきたことを振り返ったり……。そういうことが一気にフラッシュバックするような感じはありましたね。

 

小笠原さん
 ライブの前には,今までの写真や手紙を掘り起こして見ました。そうやって24日に挑んだんです。重大発表をするということは,事前に言ってあったので,ライブが始まった直後はファンも身構えて見ていた部分もあったような気がします。でもやっぱり,曲が進むと,いつもと同じ感じになりましたけどね。そこは凄く,ほっとしました。

 

奥菜さん
 朋美が,3人を代表して改名を発表してくれたんですけど,そのときの言葉や,その言葉に対するファンの反応を見ていて,ぐっときましたね,やっぱり。その場で朋美が言ったとおり,応援してきてくれた人達には,一番最初に伝えたかったですし。それでもやっぱり,さっき朋美も言ったように,信じてるけど不安な面もあるというか,新しいスタートだけど今までのことを思い出したりとか……複雑でしたね。

 

小笠原さん
 これまでハレンチ☆パンチだったからこそ,いろいろな試行錯誤もできたんです。その結果,80★PAN!になろうと思ったわけで……。ハレンチ☆パンチがなかったら今はないし,これから先にも新しいことや,得ることは凄く多いんだけど,やっぱり失うものもあるのかな? と思うと,切なくなったり……。どう伝えようかというのでも悩んだんです。変に作っていきすぎてもダメかなぁと思いつつ,でもその場で考えるのでは絶対に話せないなぁと思って……。前日ギリギリになってまとめたんですけど,本番になるといろいろな感情がわき上がってきて,言わなきゃいけないことを言い忘れたり。

 

4Gamer
 「改名します」と言った直後,何に改名するのか言わなかったんですよね。しばらくしゃべってから,「私達が80★PAN!になっても……」みたいな感じで,さらっと発表してましたけど。

 

小笠原さん
 そうなんですよね,みんなに突っ込まれました(笑)。
 ブログなどで「80★PAN!になっても応援してくださいね」って言ったら,「あ? 80★PAN!なんだ! 全然変わらないじゃん!」なんて返されちゃったり。
 でも,改名の発表のあと,暗転したときにみんなが「80★PAN! 80★PAN!」ってコールをしてくれたのが,凄く嬉しくて……。

 

4Gamer
 あれはいいシーンでしたよね。見ていて思わず泣きそうになりました。

 

小笠原さん
 朋美も泣きそうになりました。

 

奥菜さん
 泣いてたよ(笑)。やっぱり信じていたとおり,みんなが応援してくれるんだなって思えて,安心できました。

 

小笠原さん
 あの瞬間,一気に,不安がふわーんと溶けた感じで。

 

奥菜さん
 最後がいい形になって良かったと思います,本当に。ファンとの絆がちゃんとできてたんだなって。

 

小笠原さん
 80★PAN!になって,これまで以上にやりたいことや表現したい音楽をドンドンやっていけると思うんです。6月6日に8 Carat Princessをリリースするだけじゃなく,今年もたくさんライブをやっていこうと思うので,いままでのファンや,これから80★PAN!を知る人が,どういう反応をしてくれるのか,そして80★PAN!がどんな風に前に進めるのかが,今は凄く楽しみです。

 

4Gamer
 そうですね。ただ,改名についての賛否両論は,実際のところ今でもあると思うんですよ。もともとのコンセプトを好きだったり,名前に思い入れを持って応援してきた人にしてみれば,「なんで80★PAN!になるだけで,やりたかったことができるようになるの?」とか,「やりたいことって,そもそも何?」という疑問が残っているでしょうし。
 でも,否定的なことを言っているファンも,否定したいというよりは,不安を感じているんだと思うんですよね。これまで好きだった部分がなくなっちゃうんじゃないかな? とか。

 

小笠原さん
 そういう意味でも,4月28日のライブというのは凄く大きいものですよね……。チケットを買ってくれた人達の前で,初めて生バンドでやることになるわけですし。今はそのライブに向けて凄く必死になっています。やっぱり80★PAN!に変わったことで,良くなったと思ってもらわないと,変えた意味はないと思うんですよ。これまでと同じでは,絶対にダメなんです。やっぱり,「変わって良くなったね」って思ってもらえるように,28日はがんばりたいです。生バンドならではの迫力もドンドン付けたいし。
 合わせるのはやっぱり難しいですし,緊張しそうですけどね。

 

大空さん
 初めてだしねぇ。でもやっぱり,生バンドはいいなって思います。それを見てもらって,こうなって良かったなって絶対に思ってもらえるように,がんばります!

 

奥菜さん
 がんばるしかないもんね!

 

小笠原さん
 80★PAN!のメンバーは変わらないわけですし,メンバーの良さ,今までのいい部分は残しつつ,良いものをどんどん足していけるように,80★PAN!としてできることを,これからもっともっとやっていきます。
 今後もきっと,ライブをするたびに,やりたいことへの希望や欲や,反省点も出てくると思うんですけど,そういうものを全部吸収して,一本一本のライブを精一杯がんばります。

 

4Gamer
 ライブを大事にしてきた皆さんだからこそ,ライブで80★PAN!に変わった意味を見せつけたいところですよね。

 

小笠原さん
 はい。まだ改名について前向きに受け止め切れていないファンも,まずは4月28日を楽しみにしていてほしいです。

 

4Gamer
 80★PAN!としてのご活躍を,楽しみにしています。長い時間,ありがとうございました。

 

80★PAN!
 ありがとうございました!

 

 前編とはうってかわって,80★PAN!の歴史を振り返る内容となったが,このインタビューを読んでもらえば,彼女達が気分転換程度の軽い気持ちで改名したわけではなく,相当な覚悟を持って改名したことが分かってもらえるだろう。
 これまでに経験してきた苦難,それを乗り越えてきたことで生まれた自覚,その中で見つけた“やりたいこと”。新しいことを実現するために,一歩踏み出さなければならなくなったとき,ハレンチ☆パンチをバージョンアップさせる必要が生じたのかもしれない。
 この改名,そして生バンドを従えてのライブが,吉と出るか凶と出るかは,現時点では未知数。とはいえ,新たなスタートを切ってすぐに答えが出るようなものでもないだろう。これからもきっと,試行錯誤を繰り返しながら,新しいことに挑み続けるはず。その姿は,間違いなく4月28日以降のライブで見ることができるだろう。80★PAN!の今と未来が気になる人は,ぜひ会場に足を運んでほしい。

 

 

■ライブスケジュール

 

●「LIVE RING vol.3 『80★PAN! loves Mi』in LIVE-BAR The DOORS」

開催日時:2007年4月28日(土) 開場 5:30PM/開演 6:30PM
会場:LIVE-BAR The DOORS(東京都 初台)
チケット:All Standing 3500円 ※ドリンク代別途
チケット予約締め切り:2007年4月27日(金)11:00AM

 

●「SPECIAL LIVE『80★PAN! W Style』in SERBIAN-NIGHT」

開催日時:2007年5月3日(木・祝)第1部開場 3:00PM/開演 3:30PM,第2部開場 5:30PM/開演6:30PM
会場:SERBIAN-NIGHT(神奈川 川崎)
チケット:All Standing 1部&2部共通券 7000円,1部のみ 3500円,2部のみ 3500円 ※ドリンク代別途
チケット予約締め切り:2007年5月2日(水)11:00AM

 

●「LIVE RING vol.4 『80★PAN! loves 北出菜奈』in LIVE-BAR The DOORS」

開催日:2007年5月19日(土)
会場:LIVE-BAR The DOORS(東京都 初台)

 

●「LIVE RING vol.5 『80★PAN!×Perfume×樹海 and more』in LIQUIDROOM」

開催日:2007年6月8日(金)
会場:LIQUIDROOM(東京都 恵比寿)

 

●「LIVE RING vol.6 『80★PAN!×Perfume×Mi 〜Summer Collection vol.1 〜』in E.L.L」

開催日:2007年7月22日(日)
会場:E.L.L(愛知県 名古屋)

 

●「LIVE RING vol.7 『80★PAN!×???×Mi 〜Summer Collection vol.1 〜』in OSAKA MUSE」

開催日:2007年7月29日(日)
会場:OSAKA MUSSE(大阪府 大阪)

 

※詳細およびチケット予約などは公式サイトを参照

 

 

 


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http://www.4gamer.net/weekly/imagegirl/007/imagegirl_007.shtml