連載 : イメージガールインタビュー ゲームの話はしない


「イメージガールインタビュー ゲームの話はしない」

第6回:“ゲームの女王”80★PAN!インタビュー<前編>

Text by TeT / Photo by 増田雄介 

 

80★PAN!(ハレパン)
公式サイト:http://www.80pan.com/

 先日ニュースでお伝えしたとおり,GIRL'S POPユニット「ハレンチ☆パンチ」は,GIRL'S ROCK BAND「80★PAN!」(ハレパン)に改名した。6月6日(水)には,改名後第一弾にして,彼女らにとっては2枚目のアルバム「8 Carat Princess」が発売される。このアルバムは,収録される8曲にすべてゲームのタイアップが付いているという,ある意味では画期的な作品。
 こうした経緯もあって“ゲームの女王”に認定された80★PAN!に,ゲームを専門とするメディアである4Gamerが,謁見を賜らないわけにはいかない。そう考えて取材の申請をしたところ,女王陛下がご快諾くださったので,今回の記事が実現する運びとなった。

 

 女王陛下が3人もいらっしゃることもあり,話題はさまざまな方向に展開。かなり長めのインタビューになったため,この不定期連載では初めてとなる,前後編の2部構成でお届けしよう。まず前編では,3人のゲーム経験(連載タイトル的には看板に偽りあり)とアルバムの聴き所などを語ってもらった。

 

奥菜真子(おきなまこ):Rap,Chorus/血液型:O型/身長:154cm/出身:京都府 小笠原朋美(おがさわらともみ):Vocal/血液型:A型/身長:155cm/出身:京都府 大空さや(おおぞらさや):Guitar,Chorus/血液型:B型/身長:156cm/出身:大阪府

 

 

ブログは大事なコミュニケーションツール

 

4Gamer
 今日は“ゲームの女王”こと,80★PAN!の皆さんに,あれこれお話を聞いてみたいと思います。

 

80★PAN!
 よろしくお願いします!

 

4Gamer
 この取材の前に,皆さんの情報をざっくり調べてきたんですが……80★PAN!のブログに登場するのは,小笠原さんがほとんどですよね。

 

奥菜真子さん(以下,奥菜さん)
 最近,またさぼってます……。

 

小笠原朋美さん(以下,小笠原さん)
 もう,“小笠原朋美のブログ”でもいいですよね(笑)。

 

4Gamer
 大空さんは,「Bibus」(学研が運営するアイドルポータルサイト)で個人のブログをやってますしね。ここは一つ,奥菜さんも個人のブログを立ち上げて,皆さんで更新競争をしてみては?

 

小笠原さん
 ポイント制みたいになってたらいいですよね。ブログを更新するごとにポイントが溜まって,ポイントが100溜まると事務所から何かもらえるっていう(笑)。
 でもブログを書かなきゃいけない! みたいには全然思ってないんですよ。最近はほとんど毎日書いてるんですけど,もう生活の一部というか……。ちょっと時間があると,パッと書いてますね。それ自体,凄く楽しいですし。

 

大空さやさん(以下,大空さん)
 そうだねぇ。何かあると「あっ,書こう!」って思うよね。

 

4Gamer
 奥菜さんは,なかなかそう思わないのですか?

 

奥菜さん
 うーん。ブログは一度書き出すと,毎日続くんですよ。3月は,けっこう書いてましたし,“寝る前に書く!”みたいな習慣になれば,続くんですよね。ただ,一度書かなくなると,今度はそれが習慣になっちゃうんですよ(笑)。

 

4Gamer
 生活のリズムに組み込むことさえできれば,毎日続けられるということですね。ぜひ,組み込みましょう!
 ところで,皆さんにとってブログの良さは,どこにあると思いますか?

 

小笠原さん
 ブログでコメントをもらえると,ライブが全然ない時期でも,ファンとつながっていられる気持ちがするんです。ちょっと,だらーんとしちゃっているようなときでも,ブログで「がんばって」みたいなコメントをもらうと,「がんばらなきゃ!」って思いますね。だからクセ……というわけでもないんですけど,携帯を持つとすぐにブログを開いちゃうんですよ。それでコメントを見て,クスッて笑っちゃったり。完全にそういう習慣になっています。

 

大空さん
 さやの場合,ブログに最近聴いた音楽を書くと,それに対してまたオススメを教えてくれる人もいるので,勉強になってます。楽しくコミュニケーションしながら,情報をもらえて嬉しいですね。

 

4Gamer
 やっぱり,ファンとのコミュニケーションツールとして,大きな意味があるんですね。
 皆さんのブログは,常に明るいというか,ライトな感じなのが印象的なんです。

 

小笠原さん
 朋美のブログはちょっとライトすぎるときもあるんですよね(笑)。もうなんか,とりあえず思ったことをポーンと書いちゃうんです,勢いとひらめきで。

 

4Gamer
 タレントやアーティストのブログで,不安定な気持ちがそのまま吐露されているようなものもありますけど,皆さんのはその正反対にあってすがすがしいですよね。

 

奥菜さん
 ありがとうございます。まあ,そういう風に不安定になったりすることが,あまりないのかもしれませんね(笑)。

 

4Gamer
 思い詰めたりとかはしないタイプですか?

 

小笠原さん
 あんまりないですね……。落ち込むことがあっても,どこかで切り替えないとダメだなっていつも思ってるので。うまく詞が書けなかったり,うまく歌えなかったりというとき,昔はちょっと思い詰めたりもしました。でも,誰だってそういう波は絶対にあるじゃないですか。ポジティブシンキングというか……,月とか星の巡りのせいなのかな? ぐらいに思うことにしてます。そう思うと,うまくいかないことも,人間の力ではどうしようもないなぁって(笑)。

 

4Gamer
 いい意味での諦めというか,自然体というか,そういう感じなんですね。

 

 

喧嘩もするけど,姉妹みたいに仲良しな80★PAN!

 

4Gamer
 たまには,悩んでいるときの気持ちなんかをブログに書いたりするのも,ファンは喜ぶものだと思いますよ。そういうのを見て,一緒に悩んだりすることで,連帯感も味わえますし。まあ,本当にとんでもなく重い悩みなんかだと,ちょっと困っちゃいますけど。

 

小笠原さん
 ああ,そうかもしれないですねぇ。

 

4Gamer
 それこそ,「ありがとうの詩」を作っているときに,小笠原さんと奥菜さんが大喧嘩をしていましたよね。ああいうのは,もの凄くハラハラするんですけど,その後に仲直りするのを見ると,安心を通り越して感動すらできて,より思い入れを持って応援するようになると思うんです。

 

小笠原さん
 あれ,書いちゃえば良かったね。「真子,あり得ない!」って(笑)。

 

奥菜さん
 ブログで喧嘩になったりしてね(笑)。

 

小笠原さん
 真子の書き込みに,「うるさい」とかコメントしちゃったりして(笑)。でも最近は,喧嘩しないよね。あれ以来,大きい喧嘩は。

 

奥菜さん
 たびたび細かいことはあるけどね。

 

小笠原さん
 「ちっ」みたいなね。

 

奥菜さん
 それで「『ちっ』言わない!」みたいな。

 

小笠原さん
 今度は「ちっ,ちっ」って言い返してね(笑)。

 

奥菜さん
 私が「ちっ」って言ったら,朋美は2回「ちっ」って言わないと気が済まないんですよ。例えば私が一回朋美の肩を「ねぇ」ってたたいたら,朋美は「ねぇねぇ」って2回たたき返してきますから。いつでも倍に返してくるんです。

 

小笠原さん
 真子に負けるのが悔しいんですよね(笑)。

 

4Gamer
 それ,勝ち負けなんですかね……。こういうのを見ていて,大空さんは「困った人達だなぁ」と思うんですか?

 

大空さん
 そうですねぇ(笑)。……でも,あんまり気づかないですね,だから楽です。

 

4Gamer
 あ,ああ……。

 

小笠原さん
 メールでも,朋美が最後で終わりたいんです。だから「おやすみ」って送って,「おやすみ」って返ってきたら,また「うん,おやすみ」って返したくなるんですよ。

 

大空さん
 ほんと仲良しだよねぇ。

 

奥菜さん
 朝「おはよう」っていうメールをし,そのあと仕事で一日中一緒にいて,家に帰ったら「帰ったよ」って報告をしたり(笑)。

 

小笠原さん
 イベントや練習でずーっと毎日一緒にいて,一日二日オフができて会わないと,「何してるの?」ってメールを送っちゃったりね。

 

大空さん
 一日空いただけで「久しぶり!」って感じだもんね。

 

小笠原さん
 姉妹みたいです,本当に。

 

4Gamer
 ライブのMCでもこんな感じの会話ですよね。

 

小笠原さん
 MCの場合は,事前にどういう話をするのか話し合ってるんですよ。ただ,一緒にいる時間が長いものだから話し合いの最中も,「その話知ってる!」みたいになって,脱線しちゃうんです。そうやって話し合ってるのが一番面白いので,本当はそのままステージでやれたらいいんですけどね。

 

奥菜さん
 でも脱線しすぎて,結局MCをどういう話にするのかとか,起承転結とかがまとまらないまま違う話になって,時間がなくなって「じゃ,帰ろうかー」って。

 

大空さん
 何も決まってないのにねぇ。

 

奥菜さん
 ま,明日もやろっか! って(笑)。それもまた楽しいんですけど。

 

4Gamer
 脱線しながらも,最終的にはきっちり決まっているんですよね?

 

小笠原さん
 ええ,だいたいのポイントとか……。

 

奥菜さん
 何のことで話そうかなぁってこととか……。

 

大空さん
 でも,さやは本番になってよく忘れます! だからそういうときに,どうしようっていつも思います。だから誤魔化します。

 

4Gamer
 そりゃあ……どうしよう……ですよね。しゃべりながら忘れちゃう感じですか?

 

大空さん
 歌いながら忘れるんです。MCはだいたい忘れますね,全部。

 

小笠原さん
 全部忘れられたら困るね(笑)。

 

 

ゲームみたいに,みんなから愛されたい

 

4Gamer
 アルバムのリリースを機に,ゲームが主役のイベントへ,皆さんがゲスト的な立場で出演することもあると思うんですが,そういうときに何か心構えみたいなものはありますか?

 

小笠原さん
 少しでも80★PAN!の曲がゲームに華を添えられるといいですよね。「おんたま♪おんぷ島へん」では,CMに出演させてもらっているんですが,ゲームのいいところを伝えるために,どうすれば“おんたま君”が可愛く見えるだろうか? ということを考えながら撮影しました。そういう風に,サブ的な立場で80★PAN!がゲームを盛り上げるのは私達も楽しくて,面白いんですよ。もちろん,ゲーム自体が面白いからなんですけど。
 80★PAN!もゲームと同じように,老若男女から愛されるようなアーティストになりたいので,いい機会だと思ってます。

 

4Gamer
 ゲームをきっかけに,初めて80★PAN!の曲を聴いて,80★PAN!に興味を持つ人もいるかもしれないですからね。

 

小笠原さん
 ええ。逆に80★PAN!のファンには,ゲームに興味を持ってもらいたいですし。

 

4Gamer
 ところで皆さんは,これまでゲームで遊んできましたか?

 

大空さん
 はい,大好きです。さやは今,ニンテンドーDSを持ち歩いてるんですけど……育てたりするのが好きなんですよ。もう常に持ち歩いてますね,だいたい。

 

小笠原さん
 朋美はけっこう昔から……,音ゲー(リズムアクションゲーム)が好きで,「太鼓の達人」とか「ダンスダンスレボリューション」が家にあって。

 

奥菜さん
 あんまり跳びすぎると,あれ(専用コントローラ)ごと跳んでしまうみたいな(笑)。

 

小笠原さん
 あと,「ポップンミュージック」も好きです。だから,おんたま♪や「ダンシングパラダイス」で自分達の曲が流れるのが凄く楽しみなんですよ!
 あ,あと,鉄砲で撃ったりするやつ(ガンシューティング)も家にありますね。ファミコン,スーパーファミコン,セガサターンなんかも含めて,ゲーム機はけっこう家にあるんですよ,お兄ちゃんの影響で。そういえば,プレイステーション2は家に三つあります。

 

奥菜さん
 プレイステーション3はまだないの?

 

小笠原さん
 3はないんですけど。なぜか三つあるの,2が。ちょっと形が違ったり,色が違ったり。お兄ちゃんとかお父さんが買ったんですけど,最初は黒いので,それからちっちゃくなったのを買って,白いのも買って。

 

奥菜さん
 テレビは何台あるの?

 

小笠原さん
 2台。

 

奥菜さん
 1台余るね。どこでやるんやろ(笑)。
 真子は,小さい頃から弟と一緒に「デジタルモンスター」やゲームボーイで遊んでました。基本的には,2人で遊べるやつが多かったです。据え置きのゲームの場合はとくに,1台のマシンと1台のテレビで遊んでいたんで,2人で一緒に遊べるソフトじゃないと喧嘩になるんですよね。
 しばらくゲームから離れていた時期もあったんですけど,「たまごっち」はこの間までやってました。でも電池が切れて……。綺麗に飾っておいたら,電池のふたが開かなくなっちゃって(笑)。今はDSを持ち歩いて,「ボンバーマンストーリーDS」で遊んでます。高橋名人にいただいたんですよ!

 

4Gamer
 それはうらやましいですね。ゲームは自分で買えますけど,高橋名人からというのが……。皆さん,高橋名人がリビングレジェンドであることなんて,あまり知らない世代ですよね?

 

小笠原さん
 正直,あまり知らなかったんですが,お兄ちゃんとかお兄ちゃんの友達とかは,「え,高橋名人? すごーい」って。

 

奥菜さん
 真子の弟は知ってました。「えー,すごーい」って。真子より年下なのに。そうそう,名人からシールももらったんですよ。

 

4Gamer
 軽く自慢されている気が……。

 

 

80★PAN!が初めて遊んだゲームとは?

 

4Gamer
 では,皆さんが初めて遊んだゲームは?

 

小笠原さん
 「テトリス」かなぁ,ファミコンの。

 

奥菜さん
 「スーパーマリオランド」です。ゲームボーイの。

 

大空さん
 さやは「美少女戦士セーラームーン」。スーパーファミコンの。

 

奥菜さん
 そのセーラームーンって,きっともう何個めかのやつだよね(笑)。
 あ! 真子が初めてやったの,カービィや! ゲームボーイの! 弟と喧嘩になるから,本体もカセットも2個ずつで! 多分,小学校……? になってないかなぁ。

 

小笠原さん
 ああ,朋美もカービィやったなぁ。小学校入る前……?

 

奥菜さん
 親戚のお兄ちゃんがゲームボーイ持ち歩いてたんだ。それまで,ゲームをする環境が家にはなかったんです。それで親戚のお兄ちゃんのゲームボーイを見て……。ゲームボーイに画面が付いてるのに感動して,買ってもらったんです。だから,まだ小学校に入ってない頃かな。

 

小笠原さん
 私がファミコンしてたのが,まだ幼稚園の前のほう。

 

奥菜さん
 あれ? じゃあ小学校に入ったばっかの頃かな。

 

小笠原さん
 かなぁ? ああ,でもファミコンしたいね,なんか。

 

大空さん
 ファミコン,今でもやるよ?

 

小笠原さん
 え,Wiiで?

 

大空さん
 違う。

 

奥菜さん
 ファミコン持ってるの?

 

大空さん
 ファミコン? あ,スーファミ。

 

4Gamer
 4歳という年の差によるギャップが,一瞬見えましたね。ファミコンといえばスーファミという世代ですか……。

 

小笠原さん
 でも朋美は,プレイステーションのこともファミコンって言ってました。

 

4Gamer
 ああ,お母さんっぽいですね。そういうの。お兄さん怒りません?

 

小笠原さん
 怒ります(笑)。細かいんですよね,そういうの。

 

4Gamer
 PCエンジンで遊んでいるのに,「ファミコンやめなさい!」みたいに母親に怒られて,「ファミコンじゃないよ!」と怒り返した経験のある人は,けっこういると思うんです。

 

小笠原さん
 PCエンジン……? パソコン……エンジン?

 

4Gamer
 あ……,さすがに知らないですね。

 

奥菜さん
 でも本当にいろいろありますよね,ゲーム機もゲームのジャンルも。「シーマン」なんかも興味があったんですよ。あれ,しゃべってくるんですよね?

 

4Gamer
 もうすぐ,「シーマン2」も出ます。

 

奥菜さん
 あ,そうなんですか! ゲームってどんどん進化してますよねぇ。ゲームボーイだって,最初白黒だったのが,薄くなって,カラーになって,アドバンスになって……みたいに。進化するたびに感動するんですよね。

 

大空さん
 DSになって画面が二つになるなんて思わなかったもんねぇ。

 

奥菜さん
 いろいろあって面白いですよね。たくさんの人がゲームに魅力を感じているのも分かりますもん。ゲームのタイアップという形で,先に資料とか動いているところとかを見せてもらっても,面白そうだなーって思いますし。

 

4Gamer
 80★PAN!の皆さんは以前,「恋は課外授業」という曲が「ローズオンライン」のイメージソングに選ばれ,オフラインイベントなどに出演されていましたよね。それまでに,オンラインゲームを遊んだことはありましたか?

 

小笠原さん
 「ローズオンライン」や,今回タイアップしていただいている「対戦☆ボンバーマン24」「エターナルゾーン」「ダンシングパラダイス」以外は,あまり接点がないですね……。ただ,どれもオンラインでほかの人と触れあえるのが凄く面白いと思ってます。

 

奥菜さん
 凄く単純なことなんですけど,ゲームで遊んでいる最中にチャットができたり,表情のアイコンを出せたりというのが。

 

小笠原さん
 凄く面白いなって。実は,そういうところからはまってしまって,最近では携帯のゲームもけっこうやってるんですよ。

 

奥菜さん
 これからどんどんゲームもオンラインになっていくんですよね。不思議な感じです。

 

小笠原さん
 そういえば,お兄ちゃんがキーボードとテレビをつないで何かゲームをやってるのは見てました。キーボードで「ちょっと待ってて」って打って,ご飯食べて,そのあとで「よし! 倒しに行くぞ!」みたいな。

 

4Gamer
 ひょっとしたら「ファンタシースターオンライン」あたりですかねぇ……。

 

 

小笠原朋美流の作詞方法

 

4Gamer
 それでは,アルバムについても聞かせてください。先日の会見で小笠原さんは,実際にプレイしたり資料を見ながら歌詞を書いたとおっしゃっていましたが,こういうスタイルでの作詞は,これまでもやっていたのですか?

 

小笠原さん
 はい,今までもやってました。あらかじめコンセプトが決まっているときや,タイアップのときには,資料をもらったり,調べたりして。
 「MONSTER DRIVE」(「エレメンタルモンスター」主題歌)の場合は,事前にゲームの資料や絵コンテを見て,歌詞を書きました。いつも歌詞を書く前に曲をもらうんですが,MONSTER DRIVEの場合は曲のイメージと,エレメンタルモンスターの“モンスター”,それから主人公のイメージを重ねながら考えたんです。

 

4Gamer
 ある程度,お題が決まった状態で歌詞を書くケースが多いんですね。

 

小笠原さん
 はい。コンセプトは,いつもプロデューサーと話し合って決めています。プロデューサーが明確にイメージを描ききっている場合は,今回の楽曲は「○○」と伝えられることも多いですね。今回のアルバムは,全曲タイアップが付いているんですが,制作している段階ではタイアップを知らなかったものもあるんです。その場合は,曲のイメージでコンセプトを作って,歌詞を書きました。そうすると,自分の中で表現したいものがぶれないんですよ。

 

4Gamer
 作詞にはどれぐらいの時間がかかるものなのですか?

 

小笠原さん
 曲によって違うので,どれぐらいっていうのは言いにくいんですけど……。曲をもらって仮歌でキー合わせをする段階から,ある程度雰囲気を描いてますね。それから本格的な作詞をするんですが,時間がかかるものは相当かかります。書いても書いてもプロデューサーからOKが出ないときもあるので……。「BOMBER GIRL」(「対戦☆ボンバーマン24」大会公式ソング)は,曲自体が楽しく,アレンジも明るい感じだったので,すぐにイメージが湧いて,スラッと書けました。
 でも,朋美はA型なので,うまく書けなくてはまっちゃうと,けっこう時間がかかって,「ここはこうしたいけど,もうちょっといい言い回しがあるんじゃないかな?」って,何度も書き直してます。

 

4Gamer
 ダンシングパラダイスに提供した「CARRY A NEW WORLD」は,どんなイメージで作詞をしたのですか?

 

小笠原さん
 これもけっこう前向きな,80★PAN!らしい曲だったので,書きやすいといえば書きやすかったですね。自分達の新しい世界が待ってるよ! みたいな感じで。これはちょうど,ハレンチ☆パンチから80★PAN!になるという,そのときの心境も重ね合わせています。

 

4Gamer
 それはフルコーラス聴ける日が楽しみですね。
 小笠原さんは,どういうきっかけで作詞をするようになったのですか?

 

小笠原さん
 デビュー前に曲をもらって,その曲をレコーディングしようというときに「試しに詞を書いてみたら?」と言われたのがきっかけです。初めは全く書けなくて,事務所の会議室に缶詰になって締め切りに間に合わせたこともありました。朝4時ぐらいに,「やっと書けたー!」と思ってプロデューサーにメールを送ったら,大幅に手直しされて「やり直し」って言われたり……。でも,ずっと書いていくうちに楽しいなぁという気持ちになって。今では朋美にとって,大切な表現場所です。

 

4Gamer
 以来,ずっと書いているんですね。

 

小笠原さん
 詞はずっと書いていますね。始めたばかりのころは,どう書いたらいいのか分からず,浮かんだフレーズをとにかく作詞ノートに書きためて,それをつなぎ合わせたりしていました。デビューしてから詞を書く量はどんどん増えて,少しずつうまく書けるようになってきたとは思うんですけど……。

 

4Gamer
 詞を書くときに,どんなことを心がけていますか?

 

小笠原さん
 デビュー前から,「タイトルとサビを書くときは3歩離れて書きなさい」と教えられてきたので,まずはこれを意識しています。聴いた人の耳に残りやすいフレーズを使っていくということなんですが……。「急上昇JUMP↑」みたいに,記憶に残りやすそうなタイトルを考えて,そこから膨らませていったり。あとは,造語だとか……。「O-mo-i-de Point」も自分で作った言葉ですし。それと,書き手の感情だけで書くのではなく,リスナーが入り込める余地を作ろうというのは,いつも心がけています。

 

4Gamer
 そういえば,O-mo-i-de Pointは,元々違うタイトルだったんですよね。

 

小笠原さん
 そうなんですよ! 最初は「Happy Point」というタイトルだったんですけど,そこから膨らませていったら,タイトルが何か違うなって。それで「オモイデポイント」というタイトルにしてプロデューサーに提出したら,「『想い出』という言葉の柔らかい部分を,もう少し感じられないかなぁ?」と言われ,最終的にO-mo-i-de Pointに落ち着きました。そうやって経験を積んできたことで,最近は自分が詞を書くときの感情に流されず,スパッと切って別物として考えることができるようになってきたなとは思います。

 

4Gamer
 客観視できるようになったということですか?

 

小笠原さん
 はい。少しは客観視できるようになったのかな,って。

 

4Gamer
 小笠原さんの書く詞は,非常にまっすぐな印象が強いんですよ。ひねたところがあんまりないというか。

 

小笠原さん
 普段がひねてる分,歌詞は素直になるのかも(笑)。

 

4Gamer
 あ,あんまり意識はしてないんですね。
 これまで作詞してきた中で,最も満足いったものは,どれですか?

 

小笠原さん
 すべてです(笑)。さっきも言いましたけど,さらっと書けたのは,今回のアルバムではBOMBER GIRLなんです。自分の感情というより,「ボンバーマン」の世界と,女の子が恋をしたときの駆け引き的な気持ちを重ねていったら,スパーンとできちゃいました。そうしたら,すんなりOKももらえて。こういう風にコンセプトを考えてから書くのは,凄く楽しいんですよ。なりきって書けますし。

 

 

「8 Carat Princess」の聴き所は?

 

4Gamer
 それでは,今回のアルバムの聴き所を教えてください。

 

小笠原さん
 今回,私達のユニット名が80★PAN!になって最初のアルバムでもあるんですが,本当にいろいろな面の80★PAN!が入っています。ハレンチ☆パンチの頃と同じような,アップテンポで爽快感溢れる曲もあるし,ちょっとしっとりした曲もあるし。でも,大きく違うのは,より本格的な音,濃い音,強い想いになっているとところだと思います。
 今までの私達の曲を知らない方が,ゲームを通じて私達の曲を聴いたとき,その一曲だけでも良い曲だなって思ってもらえるように,作詞もレコーディングも全力で取り組みました。ゲームで遊びながら,「あ,これ80★PAN!が歌ってるんだ!」という興味を少しでも持ってくれたら嬉しいです。

 

4Gamer
 どんな反応が返ってくるのか,これから楽しみですね。

 

小笠原さん
 はい。おんたま♪にしろ,ダンシングパラダイスにしろ,音に合わせて80★PAN!の曲が流れるのは,凄く合っていると思うんです。だからそういう風に,ゲーム自体を音楽で盛り上げられたらいいなと,本当に思います。

 

4Gamer
 ゲーム中ではなくても,オープニングムービーでプレイヤーの気分を高めるようなものもありますし。

 

小笠原さん
 そうですね。「アブソリュート ブレイジング インフィニティ」のオープニングムービーも,「謎」にぴったりはまっていて……。80★PAN!は知らなくても,このオープニングムービーを見て,素敵な映像にこの曲がマッチしてるなぁと,感じてもらえると嬉しいですね。

 

4Gamer
 先日の記者会見で,各タイトルのタイアップ曲のさわりが流れましたが,全部シングルっぽいなと思ったんです。

 

小笠原さん
 この間のライブでも新曲を3曲やったんですけど,どれも「いいね」とか,「シングルっぽいね」って言ってもらえたんです。とくに「期待値シャイニング」は私達の中でもシングルっぽいというか,80★PAN!らしい曲になっていると思いますよ。

 

大空さん
 人気が高かったねぇ,期待値シャイニングはとくに。

 

小笠原さん
 「キラキラ」も好評だったしね。

 

奥菜さん
 私達を好きで,CDを聞いてもらって,どの曲が好き……って思ってもらうのは,本当に嬉しいんです。でも今回のアルバムは,今まで80★PAN!を知らない人が,ゲームで曲を聴いて耳にとまって「おっ」って思ってもらえるように,一曲一曲に想いや力を入れてるんです。そんな想いの塊のようなアルバムになっています。

 

4Gamer
 そういう言葉を聞くと,毎週一曲ずつ着うたとして配信されているものもダウンロードしたくなってきますね。
 ところで,80★PAN!らしさというのは,何でしょうか?

 

小笠原さん
 ハレンチ☆パンチから80★PAN!になっても,残っている“らしさ”というのは,“元気がいい”“ポジティブ”ということだと思うんです。そして“皆が楽しめる”という一番のテーマは,改名しても変わりません。

 

大空さん
 さやにとって,80★PAN!らしさっていうのは,“気持ちいい”ってことかな? と思います。ライブではセットリストが色々変わったりもするけど,いつでも汗いっぱい流してもらって,皆が「気持ちいい!」と感じる楽曲を作っていけたらいいなって。

 

小笠原さん
 80★PAN!は,ライブやCDを通じて,何かを感じてもらえるようなものを発信していきたいんです。それこそ期待値シャイニングを聴いても,歌詞一つ一つを見ても,いろいろな感じ方はありますよね。でも人によって感じ方が違うのは嬉しいことだと思うんですよ。聴いた人それぞれが,どんどん感じ方を広げていってもらえると嬉しいです。

 

 

 前編はここまで。一週間後に掲載予定の後編では,このユニットが結成されるいきさつから,デビュー,そして今回の改名に至るまでを振り返りつつ,80★PAN!としての決意を語ってもらっている。これまでハレンチ☆パンチを応援してきた人は,とくに楽しみに待っていてほしい。

 

「8 Carat Princess」

発売日:2007年6月6日(水)
価格:2200円(税込)
JDCコード:VICL-62358

収録曲(曲順未定):

 

 

 

 


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