― 連載 ―


グループでのプレイ 〜クラウドコントロール

 移動制御や無力化の魔法を使って,自分達に有利なようにMobの群れをコントロールすることを,「クラウドコントロール」と呼ばれている。「クラウド(=Crowd)」とは"群衆"や"大群"を指す言葉だ。前作「エバークエスト」(EQ1)では,クラウドコントロールの重要度は非常に高かった。「エバークエストII」(EQ2)では,そこまで重要なものにはなっていないが,クラウドコントロールを得意とする"エンチャンター"というクラスの存在からも分かるように,戦術の一つとしてはきちんと組み込まれている。

 EQ2においては,自分以外のクラスの特技や弱点に関する知識が,プレイするうえでとても重要であることは,すでに述べたとおりだ。その中でもエンチャンターに代表される催眠魔法(メスメライズ)の性質は独特なものであり,周囲の理解がないとグループでのプレイでうまく機能させられない可能性がある。今回はこのメスメライズに代表される,クラウドコントロールに関する知識を紹介していこう。

→用語解説は「こちら」


メスメライズを使った戦術
メスメライズをかけられたMobには,このようなカラフルな虹色のエフェクトが現れる

 「メスメライズ」は,敵を寝かしつけて無力化するスペルの総称だ。通称「Mez」(メズ)と呼ぶ。エンチャンターの代名詞ともいえる能力だが,レベル20を越えてから似たような能力を身につけるサブクラスも存在する。しかし,使い勝手やスペルの豊富さでは,やはりエンチャンターにはかなわないようだ。

 メスメライズを使う場合,最も気をつけなければいけない基本事項は,"寝かしつけたMobをなるべく覚醒させない"ことだ。眠りについて無力化させたMobは,魔法や武器によってダメージを受けると目を覚ましてしまう。意図しない攻撃によって寝ているMobを起こしてしまうことを,EQでは「メズブレイク(Mez Break)」などと表現している。
 メズブレイクを起こさないために重要なのは,前回紹介したような方法で,グループの攻撃目標を揃えることだ。基本的にエンチャンターは,現在の攻撃目標以外のMobに対してメスメライズをかけていく。そして,できるだけ多くのMobが眠った状態をキープできるように気を配りつつ,余裕があれば現在グループが攻撃中のターゲットにダメージ魔法などを使う。このようなエンチャンターの動きをメンバーが把握できていれば,寝ているMobをふいに起こしてしまう確率は下がり,効率のよい戦闘ができるようになるはずだ。


敵を無力化することで,相手にしなければならない敵の数を減らすのがクラウドコントロールだ

 EQ2には,メスメライズを戦術に組み込むうえで知っていきたいポイントがいくつかある。

1.ダメージを伴わない挑発アーツはメズブレイクをしない

 寝かされたMobには,基本的には誰も手を触れてはいけない。そのため,Mobにはメスメライズをかけた術者に対するヘイトのみが残ってしまい,覚醒と同時にエンチャンターに攻撃を開始する……というのは,それほど珍しくない光景だ。これを避けるために,タンクは寝かされたMobに対して挑発アーツを使用しておきたい。たとえ寝ていても,内部的にはヘイトの変動がきちんと行われる。

ファイターがエンカウンター全体を挑発するシャウトを使ったところ。頭部に炎のエフェクトがあらわれ,ヒューマノイドタイプであればグッ前屈みに力を込めるような動きをする。しかしこれによって催眠効果が解けることはない
 タウントやシャウトといったダメージを伴わない挑発アーツは,寝ているMobに対して使用しても,メズブレイクする心配はない。アーツ使用時には,対象の頭部に挑発されたことを示す炎のエフェクトが表れ,さらにMobの3Dモデルによってはグッと力を込めるような動きまで見せるので,一見覚醒したようにも見えてしまうのだが,実際には覚醒しない。タンクもしくはエンチャンターのどちらかが「このこと」を知らないと,悲しい行き違いが起きてしまう可能性がある。ファイターの挑発関連アーツのみならず,ほかのクラスのダメージを与えないスペル/アーツも,敵を覚醒させることはない。ただしヘイトの変動はある。


2.アイコンの下地が青のアーツ/スペル使用にはメズブレイクの危険がある

 スペルやアーツの中には,複数の敵や一定の範囲に効果が及ぶものがある。アイコンの下地の色が明るい緑色の,エンカウンター全体に効果が及ぶスペル/アーツがメズブレイクを引き起こさないのは,連載第7回で説明したとおりだ。メイジの持つ複数攻撃魔法の多くは,このタイプである。EQ1と違って,グループ内にメスメライズ使用者がいても気兼ねなく複数攻撃魔法を使えるのは嬉しい。


この例では,エンカウンターAに対して,エンカウンターにダメージを与える魔法を使用しても,すでに眠っている敵A3にはヒットしない


エンカウンターを問わず攻撃が届くPBAoEアーツは,多くの敵に囲まれたときに有用だが,関係のないMobにまで当たってしまう危険性を持っている。使用時には周囲に気を配ろう

 一方,アイコンの下地の色が青いスペル/アーツも,やはり複数の対象に効果が及ぶが,こちらは"エンカウンター"が対象となるのではなく,"術者の周囲"に無差別に効果が及ぶタイプ。そして,このタイプのアーツ/スペルのダメージは,すでに眠っているMobにもしっかり入る。つまり,緑ではなく青いアイコンの複数対象攻撃は,メズブレイクをしてしまうのである。メスメライズを戦術として使用しているときは,背景が青いスペル/アーツの使用は控えたほうがよいということだ。
 ちなみに,このタイプのPBAoEダメージは,現在自分たちと交戦状態にないMobに対しても作用する。例えば戦闘中,攻撃的ではないMob(おとなしい動物など)が至近にいる状態で使うと,そのつもりがなくてもそのMobに攻撃が入ってしまい,相手にしなければならなくなる。狭いダンジョンなどでは,これが敗走の引き金となってしまうことも考えられるので気をつけよう。


この状態で,術者の周囲に対して効果の及ぶ攻撃をタンクが行うと,敵3の眠りを覚ましてしまう。さらに無関係かつ攻撃的でないMobが攻撃範囲内にいた場合,その敵まで攻撃が及び,相手にしなければならなくなる
パーキングのテクニック

 「パーキング」は,Mobをグループから少し離れたところに足止め魔法で釘付けにして,戦闘に参加できなくするクラウドコントロールテクニックだ。うまく使えばメスメライズと同じような効果が期待できる。EQ2のパーキングは,多くが以下のパターンになると思われる。

 まず,メイジがメインターゲットではないMobに対して足止め魔法を使用する。タンクはそれを確認したら,足止めされたMobから少し離れる。すると,足止めされていないMobだけがタンクにつられて移動する。ダメージディーラー達は,それに併せて少し位置をずれる。その結果,足止めされたMobが離れた場所に置き去りにされる。手の届く範囲にPCがいなくなったMobは,その場に立ち尽くすしかなくなるというわけだ。


パーキングはMobを少し離れた場所に置き去りにすることで,一度に戦う敵の数を減らすクラウドコントロールテクニックだ

 これ以外には,「離れたところにいる敵の集団に対して,足止め魔法から攻撃を開始する」方法もある。足止めされたMobは,その場から動くことができず,動ける敵だけがグループに近寄ってくる。こうして,やはり1体だけ遠くに置き去りな状況を作り出すというわけである。


レベル20までのメイジが使う足止め魔法は,敵を魔法のクサリのようなもので拘束するスペルだ。ファイタープレイヤーはパーキングに対応できるよう,このエフェクトを覚えておくとよい

 ただ,やはりメスメライズに比べれば,パーキングは使いづらい作戦である。使用にはある程度のスペースが必要になるほか,魔法を使うタイプのMobには効果があまりないという弱点もある。少しぐらい距離が離れたところで,魔法の使用にはほとんど影響がないからだ。また,そもそも足止め魔法使用者の「パーキングをしよう」という意図に,タンクが自分から気づいて適切に移動できなければ,最初から作戦は成立しない。さらにほかのメンバーも,それに合わせて足止めされたMobから距離を取れなければ,タンク以外の者が攻撃されてしまう結果に終わってしまう。

 パーキングのバリエーションとしては,ペットを使ったものも考えられる。これは予想外にやってきてしまった単体Mobなどにペットをけしかけ,一時的にその敵をペットが引き受けることで,メインタンクの負担を軽減するというテクニックである。

 現在のEQ2では,いちいちパーキングや,ペットを使ったMobキープをするよりも,一気に力押しで片付けてしまったほうが良いというシーンが少なくない。しかし,少人数での行動中などには役立つことがあるのも事実だ。非常事態をパーキングテクニックのおかげで切り抜けた,なんてこともありえるので,知識として知っておいて損はないだろう。


■■星原昭典(ライター)■■
(前回までのあらすじ:星原氏は毎日EQ2ばかりやってるので,何か新しい趣味を考えることにした)星原氏が「あたいはパスタが好きなのよ」と言うので,パスタならお手軽に自宅でグルメ趣味を探求できるのではないかと提案してみたところ,「あたいのうちにはガスコンロ的なものが一切ないのよ」という返事が来た。「興味がない」という理由で電子レンジを持たないという男気溢れる星原氏だったが,コンロまでないとなると,ちょっと男気というよりは野性味が溢れ始めているのではなかろうか。
タイトル EverQuest II
開発元 Sony Online Entertainment 発売元 Sony Online Entertainment
発売日 2005/06/16 価格 オープンプライス,月額1480円(税別)
 
動作環境 Windows 2000/XP,Pentium III/1GHz以上(2GHz以上推奨),メモリ512MB以上(1GHz以上推奨),空きHDD容量7GB以上,Pixel Shader機能およびVertex Shader機能に対応したVRAM64MB以上のビデオカード(VRAM128MB以上推奨),DirectX9.0b以降

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