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グループでのプレイ 〜グループの攻撃目標を揃える方法

 グループを組んでのプレイでは,多数のMobを同時に相手にすることがとても多い。このとき,攻撃目標を揃えて敵を各個に撃破していくことが,とても重要だ。
 理由の一つは,グループがその戦闘で被るダメージの総量を減らすため。戦闘終了間際までほとんどのMobが生きていた場合と,1体ずつ手早く敵の数を減らしていった場合とを比較すれば,その戦闘でグループが被るダメージの総量には大きな差がつく。また,攻撃目標を揃えられれば,エンチャンターなどがメズメライズ系のスペルによって無力化したMobを,攻撃によって覚醒させてしまうようなミスも防げる。今回は,効果的にグループの攻撃目標を揃える方法を考えていこう。

→用語解説は「こちら」


「/assist」コマンドと「対象のターゲット」機能

 EQ2には,グループがターゲットを揃えるために便利な機能がある。一つは「/assist」コマンドだ。これは"ターゲットのターゲット"を"自身のターゲット"に切り替えるコマンドである。例えば,グループ内のファイターが交戦中のオークをターゲットしていたとする。ほかのメンバーがファイターをターゲットして「/assist」コマンドを使うと,自分のターゲットも同じオークに切り替わる。プレイ中にいちいちコマンドを入力するのは難しいので,マクロ登録しておくと便利だ。

 もう一つの便利な機能として「対象のターゲット」の仕組みがある。これは「リアルタイム自動アシスト」といった感じの機能だ。先ほどの例でいえば,ファイターをターゲットした状態でオートアタックや攻撃的なスペルを使うと,それらはファイターのターゲットしているオークに対して使用される。
 自身のターゲットが切り替わるのではなく,自身のターゲットはファイターのまま,ファイターのターゲットに対して攻撃の効果が発揮されるところが「/assist」との大きな違いだ。さらにファイターが,オークの隣にいたノールにターゲットを変更すれば,こちらの「対象のターゲット」も自動的にノールになる。


 自身がヒーラーで,タンクとグループを組んでいるとする。オークとの戦闘開始時,まだ何もターゲットしていなければ"ターゲット"も"対象のターゲット"もブランクのままだ(左)。オークを"ターゲット"して戦っているタンクをクリックなどでターゲットすると,"ターゲット"はタンク,"対象のターゲット"はタンクのターゲットであるオークとなる(中央)。この状態でオートアタックをしたり,攻撃的な魔法を使用すると,その効果は"対象のターゲット"であるオークに及ぶ。しかし,ヒールなど味方に利益を与える魔法を使った場合は"ターゲット"であるタンクにきちんとかかってくれる。タンクがターゲットをノールに替えれば,こちらの"対象のターゲット"もノールに自動的に切り替わる(右)

英語版のサービス開始当時に比べると,現在はソロや少人数グループでのプレイもやりやすくなっている。小さなグループで比較的弱めのMobを相手に戦うようなケースでは,自然とメインタンクがターゲット選定役を兼ねるような流れになることが多い

 これらの機能を使えば,比較的簡単にターゲットを揃えられる。では,いったいグループ内の誰に対して,どちらの機能を使えばいいのだろうか。

 伝統的なものとしては,まず「プル役に対して"/assist"を使う」方法がある。一番初めに撃破する敵は,この方法を使って選ぶのが一般的なようだ。だが,EQ2では複数の敵と戦うのが日常である。2体め以降のターゲットを決める方法も用意しておこう。

 「メインタンクに対して"対象のターゲット"機能を使う」方法は,割とよく使われている。少々の敵であれば,この方法でも十分に捌ききれるので,カジュアルなグループプレイをするぶんには,メインタンクをずっとターゲットしたままでもそれほど問題は生まれないだろう。
 ただ,非常に強いエンカウンターと戦う場合や,Mobのひしめいているダンジョンの深部を攻める場合などには,この方法では完全な対処ができないシチュエーションに遭遇することもある。
 メインタンクをターゲット選定役とすることの弱点は,メインタンク以外のメンバーにMobの注意が向かってしまった場合に,メインタンクが挑発のためのターゲット変更をしづらいことにある。相手が1エンカウンターならば,速やかにMobを引き剥がしたあとにターゲットを元に戻すことなどで,なんとか対応可能だが,一時的に場が混乱することはたしかだ。
 さらに,複数のエンカウンターを一度に相手にしなければならなくなったときなどは,状況はもっと混乱する。タンク役としてはターゲットを頻繁に変えて自分に対するヘイトを全体的に上げたいところだが,ターゲット選定役も兼ねていると,そういった行動は取りづらい。迷っているうちに混乱の度合いはさらに増し,敵の攻撃目標も味方の攻撃目標もばらつき,敗走の可能性はどんどん高まっていってしまうのだ。
 「メインタンクに対して,敵が倒れるたびに"/assist"を使う」方法ならば良いではないか,という見方もありそうだが,上記のような混乱の中で声を掛け合ってそれを行うには,相当に高度なコンビネーションが必要だろう。


 一般的な戦闘では,メインタンクがターゲット選定役を兼ねる方法も,比較的うまく機能する。ただしほかのエンカウンターが追加でやってきてしまった場合(左)などに,タンクが判断に迷うこともある。追加分の敵を挑発するためにターゲットを変更すると,自分にターゲットしていたダメージディーラー達の攻撃目標まで変わってしまうからだ(右)

メインアシスト役を決める方法

 筆者が経験したなかで,上のような欠点を持たずに「これはうまいかも」と感じた戦い方を紹介しよう。それは「メインアシストに対して"対象のターゲット"機能を使う」という方法だ。これは"メインアシスト(MA)"というターゲット選定役をメインタンクとは別に,あらかじめ決めておくというという方法だ。

 挑発担当とターゲット選定担当を完全に分けておくと,シビアな状況に直面したとき,メインタンクはターゲットを躊躇なく頻繁に変えられる。挑発力を最も必要な場所にどんどん注ぎ込めるので,味方に張り付いたMobを引き剥がすのも,複数エンカウンターの自分に対するヘイトを高くキープするのも,やりやすくなる。そして,ダメージディーラー達はメインアシスト役をターゲットし続けて"対象のターゲット"機能で攻撃する。
 どんな状況でもグループの攻撃は1体に集中するので,迷うことなく自分の役割に集中できる。これらの結果,ヘイト状況は安定し,また各個撃破のスピードは上がり,危険なシチュエーションを切り抜けられる可能性は高まるというわけだ。


 ダメージディーラーなどがメインアシスト役となった場合でも,1エンカウンターとの戦闘での利便性は,タンクをメインアシストとした場合とあまり変わらない(左)。しかし,敵の一部がタンク以外のメンバーに向かってしまった場合などに,タンクが躊躇なくターゲットを変更できるという強みがある。そうしてもグループ全体の攻撃目標がブレないからだ(右)

EQ2では"ターゲット"の頭上に立体的な矢印が表示されるが,これは"対象のターゲット"の頭上にも表れる。敵の側面や背後をとりたい場合は,これも目印にすると良い

 メインアシスト担当には,どのクラスが向いているだろうか。"対象のターゲット"機能の使用を前提とした場合,ターゲット選定役に求められるクラス特性は「戦闘中にターゲットを変えずにいられること」である。ヒーラーには常にメインタンクをターゲットしていてほしいので,プリースト達はメインアシスト役には向いていない。
 グループ内に2人以上のファイターがいる場合は,メインタンクではないほうがメインアシストとなるのも悪くないが,混乱した状況において「二人めのタンク」としての立ち回りを求められたときに,自由に動けないというデメリットも伴うはずだ。そうなると,メインアシストに向いているのは,どうやらメイジやスカウトといった,純然たるダメージディーラー達だといえそうだ。

 さらに考えを進めると,メイジやスカウトの中にもターゲットを変えずにはいられないクラスは存在する。その筆頭は,基本的に攻撃目標以外をターゲットしてクラウドコントロールをするエンチャンターだろう。ときにはペットを臨機応変に動かす必要のあるサモナーも最適ではなさそうだ。
 そうなると残りはスカウト3クラスにソーサラーだが,彼らの中にはレベル20以降で敵を無力化したりチャームしたりする能力を得るものがいる。そうなると,やはりメインアシストに最適というわけではなさそうだ。

 だが,ここまで絞ってしまうと「メインアシストができるのは極少数のサブクラス」となってしまい,なんだか不自由だ。ここは前向きに考えて,ある程度のところで見極め,ダメージディーラーの誰か(あるいは二人めのタンク)がメインアシスト役を買って出るのが良さそうである。ファイターがタンキングするときにはダメージアウトプットを犠牲にすることがあるように,ここにもある程度の選択の幅が用意されているのだと見るべきだろう。

 最後に,このメインアシストの方法にも弱点があることに触れておきたい。この方法で戦っている場合,常にタンクをターゲットし続けているヒーラーは,"対象のターゲット"機能を使って,敵に対して攻撃的な魔法を使うことができないのだ。
 「こちら」の図を見てもらえば分かると思うが,タンクはメインアシスト役のダメージディーラーをターゲットしている。そのタンクを常にターゲットしているヒーラーは,このままでは攻撃魔法を使えないのである。
 クレリックの人数が多く,その魔法攻撃力を頼りにしたいケースなどでは,さらなる工夫と見極めが必要になるだろう。グループの構成や狩り場の状態を考えつつ,皆で作戦を練り上げていくのはMMORPGの面白さの一つである。


■■星原昭典(ライター)■■
「今週はどうでした?」と聞いてみたところ,「がんばってEQ2やってました!」という星原氏。このままではいけない気がしたため,星原氏の新しい趣味を考えることに。「熱帯魚に凝っているとか,そういうおしゃれっぽいのがいい」というので,ひねり出した結論が「グルメ」。まずはイタリアンだろうということになったのだが,星原氏の近所にはサイゼリアぐらいしかないという。いいですよね,サイゼリア。安くて。
タイトル EverQuest II
開発元 Sony Online Entertainment 発売元 Sony Online Entertainment
発売日 2005/06/16 価格 オープンプライス,月額1480円(税別)
 
動作環境 Windows 2000/XP,Pentium III/1GHz以上(2GHz以上推奨),メモリ512MB以上(1GHz以上推奨),空きHDD容量7GB以上,Pixel Shader機能およびVertex Shader機能に対応したVRAM64MB以上のビデオカード(VRAM128MB以上推奨),DirectX9.0b以降

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