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 ファイター,プリースト,スカウトと続いてきた「エバークエストII」(EQ2)のアーキタイプ/クラス紹介も4回め。今回は最後のアーキタイプ,メイジを紹介する。メイジは防御力の高いアーマーを身に着けられないが,強力なスペルを使える職業だ。グループにおける役割は,スカウトアーキタイプと並んで"ダメージディーラー"となる。またその仕事に加えて,ときにメイジは戦いを有利に進めるために敵の動きを制限する"クラウドコントローラー"としての役目も担う。とくにエンチャンターは,このクラウドコントロールを得意とするクラスだ。

→用語解説は「こちら」



 魔法使いであるメイジが得意とするのは,まずはなんといっても攻撃魔法だ。この中には,敵単体に即時ダメージを与えるもの,じわじわとダメージを与えるもの,そしてエンカウンター全体にダメージを与えるものがある。このうち,じわじわ系(=DoT)には,かけた相手にダメージとともにネガティブな効果を与えるものが多い。ダメージスペルはどのメイジクラスも順次強力なものを覚えていくが,なかでもこの系統を得意とするのはソーサラーである。

 またメイジは,グループメンバーへの強化呪文(バフ)も持っている。効果の持続するグループバフは,ステータス上昇や耐性アップ系のものがメインだ。そのほか各クラスへの昇格後には,誰か一人に施す時間制限付きのシングルバフも覚える。こちらの効果はクラスごとにさまざま。

 さらにメイジは,クラウドコントロール系のスペルも覚えていく。アーキタイプの段階では足止め(ルート)だけだが,EQ2ではクレリックやドルイド,クルセイダーなどがルートを使えないので,パーキングが必要な場面ではメイジの出番となる。さらに強力なクラウドコントロールスペルである催眠(メズメライズ)を覚えて,この系統のスペルの専門家となっていくのがエンチャンターだ。


エンカウンターに作用するスペルについて知っておきたいこと

 複数の敵に同時にダメージを与える攻撃スペルは,基本的に敵1体としか戦わない「エバークエスト」(EQ1)では利用頻度が低かったが,複数の敵と戦うのが日常的なEQ2ではとても有効だ。対象の数が多ければ多いほど,1回のキャスト/同量のパワー消費で与えられるダメージの合計は大きくなる。もちろんDPSも上昇するので,敵を倒すスピードも上がる。メイジとしては,なるべくこのスペルを多く使いたいところだ。

 メイジが,このような効率の高いキャストをどれだけ行えるかは,半分はメインタンクの働きにかかっている。タンクが複数攻撃魔法のメリットを理解し,エンカウンター全体に対して頻繁にタウントを行えば,メイジは安心して,あるいはより短い間隔でこの魔法を使用できるようになる。
 ただし,メイジのほうもタンクのタウントに頼り切っていてはいけない。エンカウンタータウントは再使用までの時間が長いので,タンクがメインターゲット以外の敵のヘイトを十分に高めるまでには時間がかかる。それを考慮せずに複数攻撃魔法を連発すれば……結果は明らかだ。ヘイトの状態を見極めて,適切なタイミングで使うよう心がけたい。

 エンカウンターに対して作用する,アイコンの背景が緑色のスペル/アーツは,EQ1などでAEAoE(Area of Effect)魔法と呼ばれていたものに近いが,働き方が少々異なることを知っておきたい。これらはターゲットの周囲にいるNPCに無条件でダメージが入るのではなく,ターゲットとリンクしている敵グループ(つまりエンカウンター)に対して作用するようになっている。だから例えばソロの敵(ほかのMobとリンクしていない敵)を同時に3体相手にしているようなときには,これらのスペルは効果的には機能しない。

 さらにもう一つ,"エンカウンター攻撃はメズブレイクを誘発しない"ということは,すべてのプレイヤーが知っておきたい知識だ。エンカウンター内にエンチャンターのメズメライズで寝かしつけられているMobがいた場合,エンカウンター攻撃はそのMobに対してダメージを与えない。つまり,かかっている術が解けてMobが目を覚ますことがない。EQ2は,能力が干渉し合うためにクラスの持つ力が発揮できないという状態が,なるべく生まれないようにデザインされているのだ。




 ソーサラーの位置づけはとても明快,攻撃魔法のエキスパートである。ダメージの系統としては,火系と氷系の魔法が多い。DDばかりではなくDoT+デバフのスペルも覚えていくので,これらを織り交ぜつつ戦っていくことになる。
 非常に高い火力を生かして敵にダメージを与えるのがソーサラーの仕事だが,もちろんメインタンクに敵のヘイトが集まっていない状態での攻撃スペル乱用は禁物だ。一撃が大きいソーサラーが気を抜けば,敵の注意はたちまち自分に向いてしまうことだろう。自身が襲われることなく,いかに大きなダメージを与えるのか。ソーサラーの腕の見せどころはここにある。

 ソーサラーは攻撃魔法とグループバフのほかに,追加ダメージの機会を与える"Burning Radiance",パワー回復の機会を与える"Accord"など,メンバーに対して攻撃ヒット時に発動するProcの付与が可能だ。制限時間のあるシングルバフなのでプレイ中に更新する必要があるが,これらが常に前衛にかかっている状態をキープできれば,かなり心強い。




 サモナーは意のままに使役できる"ペット"を召喚可能なクラス。敵のヘイトを(あまり)気にすることなく使用でき,継続的に敵を攻撃し続けられるペットは,ダメージソースとしては抜群に優れている。さらに敵の足止めに使うことで,クラウドコントロールにも貢献させられる。サモナーの活躍はペット抜きにでは語れない。
 サモナーは覚えていくスペルも,ペットに対して使用するものが多い。ペットを強化する"Agitation",ペットのヘルスを術者のパワーに変換する"Essence Shift"などがそれだ。ペットをヒールする"Soothe Servant"は主にソロプレイ時に使うことになるが,タイミングをうまく計らないと,ペットに向いていた敵の注意を自分に引き付けてしまうので注意したい。

 もちろんサモナーは,ほかのメイジクラスと同じようにグループバフや攻撃魔法も順次覚えていく。それに加えて特徴的なスペルとして,水中呼吸が可能になる石を召喚する"Aqueous Stone"や,ヘルスをパワーに変換できるアイテムを出す"Splinter of Essence"など,ターゲットした味方のインベントリにアイテムを召喚する魔法を覚える。これらの召喚アイテムは,装備してメニューから「Activate」にすることで使用可能になる。なかなか使いどころが難しいが,サモナーは「こういうことができる」ということを,ほかのメンバーが知識として知っておけば,活用できる機会も増えるだろう。




 エンチャンターの代名詞ともいえる能力は,メズメライズだ。これを使ってメインターゲット以外の敵を無力化すれば,メインタンクの受けるダメージを大幅に軽減できる。このようなクラウドコントロールを,エンチャンターほど使いこなせるクラスはほかにない。

 メズメライズは非常に有用だが,弱点も持っている。一つは再使用までの時間の長さだ。戦闘発生時に連続してキャストできないので,余計な敵をすべて寝かしつけることは難しい。ルート,スタンなどほかのスペルもうまく織り交ぜつつ,効果的に立ち回りたい。そのあたりの戦術の組み立ても,エンチャンターの面白さである。二つめの弱点はクラウドコントロールスペルとしての性質上,目を覚ました敵の怒りが術者に向かいやすいことだ。これはメインタンクが忘れずにエンカウンター全体をタウントし続けることで,ある程度カバーできる。周囲の敵のヘイトを下げる効果を持つ,短距離テレポートスペル"Blink"などもうまく使いたい。

 エンチャンターはダメージディーリングに貢献可能な攻撃魔法とグループバフを覚えるほか,パワードレイン効果を持つスペルも多く習得する。シングルバフとしては味方のパワー回復速度を上げる"Breeze"がある。前衛にも後衛にも大きなメリットとなるので,できれば多くのメンバーにかけ続けたいスペルだが,この系統のスペルは効果時間が決まっているので管理がちょっと大変だ。「エンチャンターがいれば必ずパワー・リジェネレーションをかけてもらえる」と考えるのは,エンチャンターにとって少し酷な話だということは,ともに戦う仲間として知っておきたい知識である。


■■星原昭典(ライター)■■
次号から,いよいよ星原氏が作ったキャラクターで記事を進めていくため,「記事の人気が出るよう可愛い女性キャラクターで」とお願いしたところ,女性キャラは今まで一度も作ったことがないという真面目な星原氏であった。しかし「一番可愛いのはウッドエルフですよね」と言っていたので,まんざらでもなさそうである。ちなみにウッドエルフが可愛いかどうか,EQ2を持っていない人も,ぜひ「こちら」の「キャラクタークリエイションツール」で試してみよう。可愛いのだ。
タイトル EverQuest II
開発元 Sony Online Entertainment 発売元 Sony Online Entertainment
発売日 2005/06/16 価格 オープンプライス,月額1480円(税別)
 
動作環境 Windows 2000/XP,Pentium III/1GHz以上(2GHz以上推奨),メモリ512MB以上(1GHz以上推奨),空きHDD容量7GB以上,Pixel Shader機能およびVertex Shader機能に対応したVRAM64MB以上のビデオカード(VRAM128MB以上推奨),DirectX9.0b以降

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