― 連載 ―

コサックスII 大陸軍の軌跡
歩兵を中心にした,隊形戦闘の基本

方陣による防御や騎兵突撃など,ナポレオニックモチーフにふさわしい"ギミック"を取り入れたRTS「コサックスII〜皇帝ナポレオン〜」

 今週から数回にわたって,「コサックスII〜皇帝ナポレオン〜」(以下,コサックスII)の攻略テクニックを解説する。連載各回では基本的にゲームのプレイモードに沿って説明を進めていく予定だが,今回および次回はそれらに先立って,コサックスIIにおける戦闘の基本を整理しておきたい。
 製品名から分かるように,コサックスIIはナポレオン戦争期をフィーチャーしたRTSだ。ゲーム全体を把握するには,まず「こちら」のレビュー記事に目を通してもらいたいが,隊形ルールを核とした,非常に個性的な戦闘システムを備えている。
 純然たるストラテジーゲームと違って,コサックスIIは戦争の過程や局面を正しく抽象化/再現することを目指したゲームではない。横隊射撃,潰走,騎兵突撃といった,ナポレオン戦争らしいギミックを組み上げることで構成された,独特の"間"とアクション性が特徴の個性派RTSだ。
 今回解説するのはそのギミック部分,具体的な戦闘の場面で役立つ各種ユニット/陣形と,それぞれの使い方に関してである。各モードに入っていく前に,まずは押さえておいてほしい。

歩兵の3種類の隊形を使いこなす

 コサックスIIの歩兵には横隊形,密集隊形,方陣隊形という3種類の隊形がある。戦闘ではこの三つの隊形の違いを理解し,使いこなすことが勝利のための第一歩となる。騎兵にも隊形はあるが,歩兵の隊形はそれとは比較にならないくらい重要である。そこでまずは,いくつかの実戦のパターンを見ながら隊形の使い方を考えてみよう。

左から,横隊形,密集隊形,方陣隊形。どの隊形もそれぞれに得意なシチュエーションを持つ。うまく使い分ければ有利に戦いを進められるだろう
(a)火力を最大限に発揮する横隊形

 攻撃のための基本隊形で,最も効率的に射撃できる。射撃をする面が横に長いため,ターゲットとなる敵隊形に対して広くまんべんなく射撃を浴びせることが可能だ。そして,正面からの攻撃を広くがっちりと受け止められる半面,側面や背面からの攻撃には弱いという弱点を持つ。
 しばらく移動させないことで守備モードに切り替わると攻撃力に+9,防御力に+40のボーナスを得る点が非常に重要である。守備モードに入るまでの時間はかなり長いが,いったん入ってしまえば正面からの攻撃に対してはほぼ鉄壁の防御となる。

正面同士のぶつかり合いには強いが,背後からの攻撃には弱いので注意 横隊形で守備モードにすると,防御力に対するボーナスが+40とすさまじい値に
(b)自在に移動可能な密集隊形

 移動状態での基本隊形。道路上を移動するときは縦長になり,どれだけ移動しても疲労しない。ただし道路以外の場所を移動する場合は,通常の疲労の蓄積がある。
 攻撃に移るときには横隊形に変形するのが基本だが,密集のままでいったほうがよい場合もある。「乱戦」(銃剣を使った白兵戦闘)に入る場合には密集隊形のままのほうがよいし,そのほか,敵の銃弾を避けるために森や障害物の陰に隠れる場合にも,密集のままのほうが動きやすいときがある。
 また,側面や背後からの襲撃に対してもすぐに向きを変えられるため,横隊形より臨機応変に対応できる。守備モードのボーナスはほぼ皆無なので,防御に入る場合には横隊形か方陣隊形へと必ず隊形変換しよう。

部隊が密集隊形をとっている場合,道路上を移動するときには疲労が蓄積しない 狭い場所での戦闘の場合,密集隊形のほうが移動が速く望ましい場合もある
(c)防御に徹し騎兵に対して有効な方陣隊形

 方陣を組んだ状態では移動できない。この隊形をとると,非常に短時間で守備モードに入り,攻撃力に+5,防御力に+20のボーナスが得られる。正方形に布陣して兵士がそれぞれ四方を向くため,どの方向からの攻撃に対しても強くなる。このため,騎兵の攻撃に対して効果的な防御方法になっている。
 各ユニットの向きがそれぞれ違うため,一斉射撃は行えず,射撃にはあまり向いていない隊形だが,接近してきた敵を逐次倒していくには逆に適しているともいえる。

方陣を組んで敵騎兵の攻撃に備える。どの方向から攻撃されても大丈夫だ 居留地を防御する場合にも,強固な防御力を発揮する方陣隊形が適している

 拠点確保を行う場合には,とりあえず方陣隊形で守備モードに入って敵を牽制しておき,その後に横隊形で守備モードに入って足場を完全に固めるのが確実だ。その後で,散弾を装備したカノン砲を隙間に配置すれば完璧である。

方陣隊形では速やかに守備モードに入れる。まずはそれで敵の攻撃をしのいでおき,その後に横隊形で戦線を形成するのがよいだろう
複数の部隊/兵科を連携させるには

 コサックスIIに登場する各兵科は,どれも有効に戦える時間やタイミングが限られている。例えば歩兵は一度射撃を行ったら,再装填に30秒ほどの時間を要するし,騎兵は戦闘開始後しばらくで急速に士気が低下する。
 そうした個々の兵科/部隊の弱点をカバーしつつ,戦うのがこのゲームでは重要なテクニックとなる。有効な組み合わせを想定して,それを使うノウハウについて解説しよう。

(a)歩兵部隊同士で射撃の連携を

 コサックスIIでは,なるべく同時に多人数で一斉射撃をしたほうが,敵の士気を奪う効果が高い。そのため,歩兵も一部隊だけでなく,複数の部隊でタイミングを合わせ,同時に射撃するのが効果的だ。

二つの部隊が同じ敵を射程に入れるようにし,同時に射撃をオンにする。一隊ずつばらばらに撃つより効果が高い

 こちらが射撃し終わり,再装填中と見るや突っ込んでくる敵部隊もある。そんなときは,後ろに控えさせた射撃準備OKの部隊と,素早く入れ替えたい。

前にいる部隊と後ろにいた部隊を入れ替える。片方の隊が撃っている間にもう片方の隊が再装填をする
(b)歩兵と騎兵でさらなる打撃力を

 同程度の強さの歩兵の隊形同士で撃ち合った後は,決着がつかず,双方ともに士気が低下,疲弊している場合も多い。そこへもう一撃を素早く食らわせる部隊がいれば,こちらの勝利になる。その役目を担うのが騎兵だ。

もう少しで相手の士気を崩壊させられるという場合,騎兵の一撃は非常に効果的だ

 正面からの攻撃を粘り強い歩兵で受け,足が速くて打撃力に優れた騎兵が側面を衝くというパターンは,セオリー中のセオリーといえる。よく覚えておきたい。

騎兵の機動力を生かして側面に回りこむ。横隊形の弱点を衝く戦術だ
(c)歩兵に護衛させて砲兵の火力を活かす

 散弾を装填したカノン砲は,敵の前進をけん制するのに十分な抑止力となる。ただし,敵に追いつかれるとひとたまりもないので,ほかの兵科と組み合わせることで本領を発揮する。

散弾には士気を下げる効果はなく,物理ダメージのみ。その代わりにかなりの広範囲にダメージを与えられる

 以上,個別の戦闘に必要な基本テクニックを確認してみた。だが,一口に歩兵や騎兵といっても,コサックスIIには「選抜歩兵」やら「竜騎兵」やらと,何種類もの兵種が登場する。次回はフランス軍を例にとって,その内訳と使い方を見ていこう。

■■Sluta(ライター)■■
第3回4Gレビューコンテストにおいて,大賞を受賞したことでも知られる,"コサックスシリーズ"のベテランプレイヤー。「Soldiers: Heroes of World War II」のMOD「Storm over Europe」で,日本兵のボイスキャストとして"声優デビュー"したことについては,主にコサックスシリーズを扱った本人のblogでも語られているが,ライター紹介初回の"ツカミ"としては,十分にインパクトがあってGoodである。
タイトル Best Selection of GAMES コサックスII〜皇帝ナポレオン〜
開発元 GSC Game World 発売元 ズー
発売日 2006/10/13 価格 3990円(税込)
 
動作環境 N/A

(C) 2005 CDV Software Entertainment AG. All rights reserved. CDV, the CDV logo and Cossacks II - Napoleonic Wars are either registered trademarks or trademarks of CDV Software Entertainment AG or GSC Game World in the US and/or UK and/or other countries.