― 連載 ―

シヴィライゼーション4 (午前)3時のおやつは文明道
第7回:政治の延長としての戦争(戦術編)

 前回に引き続き,「シヴィライゼーション4」(以下,Civ4)における戦争という手段の,使い方とノウハウについて解説していこう。前回はもっぱら,どういった戦争がプレイヤーにとって“よい戦争”(善い,ではないので念のため)なのか,誰を相手にどのタイミングで仕掛けるべきかなど,文明経営全体との関わりで戦略面を解説した。今回はより具体的に,どんなユニットをどれくらい,どんな風に使うかという,戦術面をレクチャーしよう。

 

攻めの戦術〜砲兵の運用といくつかのTips

砲撃の効果は本文で述べるとおり。この画面ではカタパルトが2台しかないため,都市の文化による防御効果(最初は50%あった)を0まで減らすのに4ターンかかることになる。台数が欲しいと書くゆえんだ

 戦略に続き,戦術の話に移ろう。まずは攻めの戦術について。基本となるのは,戦略編で述べたとおり,できれば都市襲撃スキルを持つ主力ユニットを十分な数用意することだ。またそれと同等もしくはさらに重要なのが,砲兵系のユニットをしっかりと調達すること。カタパルト→カノン砲→長距離砲と進化するこの系列のユニットには,2種類の攻撃方法が用意されている。その2種類とは以下のとおりだ。

 

  • 都市を攻めるとき,都市防衛ボーナスを減らすための砲撃。減らされた都市防衛ボーナスはすぐには回復せず,ターン数をかければ都市防衛ボーナスを0にまで落とせる。またこの能力は一部の船舶ユニットや爆撃機なども備えている。こうした攻撃の場合,砲兵ユニットは反撃を受けず,HPは減らない。
  • 一般ユニットと同様の直接攻撃。これは都市包囲戦/野戦のどちらでも可能で,通常ユニットと同様にHPが減り,破壊されることもある。ただし,砲兵が直接攻撃を行った場合,スタックのなかの直接攻撃対象以外の敵ユニットにも,多少のHP損害を与えられるというメリットがある。このダメージは,たとえ直接攻撃対象にまったくダメージを与えられなかった場合でも発生する。また,砲兵ユニットの場合,戦闘に参加したどちらのユニットも全滅せずに,生き残る場合が多少ある。

 

 こうした特徴を持つ砲兵は,最序盤を除いて都市攻撃の必需品といってよい。主力の攻撃部隊に,十分な数の砲兵ユニット(4〜5ユニットいると手早い)を随伴させて,まず都市防衛ボーナスを0まで削る。攻撃を行うターンに2〜3ユニットの砲兵を全滅覚悟で突っ込ませて敵のHPを削り,しかるのちに主力を投入するという手順でいけば,味方の犠牲を抑えて効率よく都市を陥とせるのだ。
 なお,都市攻めのスタックには,騎乗兵系のユニットと槍兵を少数加え,さらに衛生兵スキルを持ったユニットを一つ入れておくと心強い。騎乗兵は敵の砲兵や弓兵に対して有利に戦える。槍兵は,敵の騎乗兵からの攻撃を少ない損耗で退けられる。衛生兵スキルは,損害を受けたときの回復率を上げられる。これは砲撃戦用にした砲兵ユニットに割り当てておくと,うっかり戦闘で使いつぶしてしまうケースが減るだろう。
 また,敵が都市の中に砲兵を抱えていた場合,2マス以上に味方を分散させておけば,砲兵によるスタック被害が及ばないユニットを残せる可能性が増す。これはもちろん,自分が攻められたときの防衛策としても知っておくべきだ。

 

小屋系の資源活用施設は,略奪を行うたびに町→村→村落→小屋と,一段階下の状態に変化する。村からスタートしても,1か所につき50コイン以上は得られるので,戦争で疲弊しがちな経済をうまく補ってくれる。なお当然ながら,自国領土に編入するつもりの都市では略奪をすべきでない

 もう一つTipsがある。自文明に大芸術家がいれば,占領直後の都市で「大作を製作」させるとよい。反乱状態がすぐに収まるうえ,都市圏もすぐに回復する。どちらかというと戦略的な話に属するが,都市を取る戦争をするつもりなら,大芸術家を用意し,常にキープしておくと好都合だ。
 なお,戦略編で触れたように,都市を得る必要がない状態で戦争が継続しているときには,敵文明の資源活用施設を略奪していくとよい。とくに,小屋系の施設からは,略奪によって多くのコインが得られる。これは,講和後の敵文明の力を削ぐことにもつながり,一石二鳥になる。

 

大芸術家の治安効果の例。左が使用直前,右が使用直後だ。画面が少し動いてしまうので見づらいが,反乱が鎮圧されたうえ,青国(ギリシャ)の側に1マス踏み込んだところまで,こちらの国境が広がっているのが分かると思う。資源目当てに戦争を起こしたものの,なかなかそのマスがこちらの領土に入らない……などという事態を防ぐためにも,大芸術家の活用はお勧めだ

 

守りの戦術〜篭もりきりよりは機動的な防御を

本文で述べたように,都市に隣接する丘に部隊を分派しておくと,敵がそちらに攻撃を仕掛け,損耗してくれることがある。小部隊で守る場合,こちらのユニットが全滅する可能性も増すことになるが,最終的に敵を排除するための手間は減る

 守りの戦術について語るなら,「部隊をどう運用するか」ということになるだろう。また,こちらが優勢に戦争を進めているときでも,相手が陽動的に,少数の部隊をこちらの領地に送り込んでくることがあるので,それへの対策も兼ねる。
 まず基本の基本として,いざ攻められたときに守りきれない都市をなくしておくのが大事だ。自文明全体では軍事力が足りていても,鉄道網が充実する前は,増援を急行させられない都市が発生しうる。AI文明は,防備の薄い後背地域を狙って上陸戦を仕掛けてくる傾向があるから,陸続きの隣国との国境沿い以外の後背地にも,きちんと新鋭ユニットを配備するようにしたい。また,機動力の高い騎乗兵系のユニットを,複数都市に駆けつけられるよう配備しておくととよいだろう。
 AIは,まず1都市を集中的に攻撃してくる傾向があるので,狙われている都市を判断し,そこを守ることに注力しよう(ただし,敵が途中で狙いを変えてくることも時々ある)。
 このとき,ユニットを必要以上に一都市に立てこもらせて,ひたすら防御に徹するのは,かえって不利になる。前述のとおり防御側は戦闘上有利なので,ある程度数が少なくても守りきれる。狙われている都市に,守りきれるだけのユニットを置けているなら,余剰戦力は森や丘など,防御効果の高い地形に置いておくとよい。そうしたユニットが攻撃されれば,都市が攻撃を受ける前に敵に損耗を強いることが可能になる。スルーされたとしても,敵は平地にいることになるので,こちらからの反撃は比較的楽だ。防御効果の高い土地をやすやすと明け渡して,敵に立て篭もられたりすると,その排除には実に手を焼く。
 AIは,都市が落とせないと見ると矛先を略奪に変えてくることも多い。経済力や生産力を維持するために,こうしたユニットは,可能ならば打って出てつぶしてしまうことが重要だ。これを考えると,戦略編でも触れたとおり,防衛に徹する場合でも,騎乗兵系や砲兵系のユニットを用意しておくべきだということになる。

 

踏み台になってくれる友好国を作ろう

こちらに非常に協力的な態度を取っているペルシャ。同じ国教であることが,友好度を+5していることに注目してほしい。儒教取得時に無料でもらえる宣教師を,まだ宗教を持っていなかったペルシャの首都に送り込んだことが,その後大きなメリットとして機能する結果になった

 最後に,外交戦略に触れておこう。戦争を仕掛けられたとき,何より助かるのは,同じ敵文明と戦ってくれる他文明があることだ。敵文明の戦力が二分されるだけでも,戦況は大きく改善される。
 参戦要請は,外交交渉メニューに用意されている。しかし,ある程度友好的な関係を築いていない文明が相手だと,実際には選択できないことが多い。こう考えると,友好的な文明のありがたみが分かってくる。
 宇宙開発勝利を目指す場合,ほかの勝利条件に比べて外交に気を使う必要はないのだが,はっきりと友好的な文明が近隣にいると,そのメリットは大きい。戦時の協力以外にも,国境警備にあまり神経を使わなくてよくなること,資源調達や技術調達がスムースになることなど,好都合な点はいろいろある。
 序盤から中盤までで,友好関係を上げるために最もよい方法は,同じ宗教を国教にすることだ。もちろん,理想的なのは自分が創始した宗教を相手に伝道すること。相互通行条約を結んでいる隣国にまだ国教がなければ,できる限り速やかに伝道師を送り込もう。
 次善の策として,相手の採用している宗教にこちらの国教を合わせるという手もある。この場合,自国内には国教と自分が創始した宗教を二重に布教する必要があったり,宗教の創始国に経済的なメリットを与えてしまったりするというデメリットが生じる。しかし,それらを安全保障などのためのコストと考えれば,十分見合うことも多いだろう。

 

友好関係が高い文明は,他文明への宣戦要請を受け入れてくれやすくなり,無償で応じてくれることも多くなる。もっとも,これには相手同士,つまり敵とする文明と,味方にしたい文明の友好関係も大きく影響する

 ただし,友好国を作る戦略には,いくつかの注意点がある。まず,安全保障や技術交換を考えたときに,友好国はあまり弱小では意味がない。戦争のときに弱小国に参戦を要請しても,かえって敵国に食われるエサを増やしてしまうことになりかねない。その一方で,自分よりも優勢な文明を積極的にサポートしてしまうと,逆に自分が踏み台にされかねない。スコアで自分のすぐ後を追っている文明を友好国化するのがベストだろう。
 また,自分か相手のどちらかが「信教の自由」を採用してしまうと,それまで設定されていた国教は無効になり,同一国教による友好度の向上はなくなってしまう。「信教の自由」が持つビーカー生産+10%,すべての宗教で満足+1という効果にはメリットも大きいが,採用するタイミングはよく見極めたい。
 なお,自分が「信教の自由」を採用した場合には,国教の違いを理由とした友好度の低下も消えることになる。宗教を重視する指導者が軍事強国化している場合には,逆に「信教の自由」で緊張緩和を実現することも可能なはずだ。

 文明シムたるCiv4は,全般的傾向として戦争は避けたほうがよいようにデザインされている。戦争をしている文明にとって最大の脅威は,実のところ交戦相手の文明ではなく,その戦争に加わらずにいて,順調に経済成長を続けてしまう中立文明なのである。くれぐれも,割に合う戦争を心がけてほしい。
 次回はいよいよ大詰め,宇宙船勝利に直接必要な技術と生産力について解説しよう。

 

■■虹川 瞬(フリーライター)■■
最近殺人的に多忙を極めているらしい,PCゲームライター。記事のことで確認事項があって,担当編集がたびたび電話するも通じず,業を煮やして午前3時過ぎに電話してみると,電話口からはいきなり「はい,起きてます。大丈夫です」的な,明らかに相手を間違ったと思われる受け答えが。えーと,うちの原稿,よその原稿,本人の体力,とりあえずどれから心配すべきでしょうか,虹川さん。
タイトル シヴィライゼーション4【完全日本語版】
開発元 Firaxis Games 発売元 サイバーフロント
発売日 2006/06/17 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/1.2GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスチップ:GeForce 2 MX/Radeon 7500以上,グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨]

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