― 連載 ―

カジュアルゲーム

連載第5回 ダンシングパラダイス

 これまで,男性向け,ビギナー向け,オヤジ向けのカジュアルゲームを取り上げてきた本連載だが,何か一つ紹介し忘れている気が,ずっとしてならなかった。何か大切なことを忘れている……。カジュアルゲームの魅力の一つといえる,可愛いアバターや着せ替え要素は,誰のために用意されたのか? そう,肝心な「女性ゲームファン」の存在をすっかり忘れていたのだ。

 

 今回はネクソンジャパンから配信されているダンスゲーム,「ダンシングパラダイス」を紹介しよう。10代後半〜20代の女性をターゲットに置いたこのタイトルだが,圧倒的に男性が多いだろう4Gamer読者も食わず嫌いはよくない。ダンパラをプレイすることで,もしかしたら謎に満ちた女心が理解できるかもしれないし。

 

 ダンシングパラダイス(以下,ダンパラ)は以前,「Ryzme」という名称でSeedCが配信していたのだが,そのあたりの事情は以前行われたインタビューを参考にしてもらうとして,まずは簡単にゲーム内容を解説しよう。
 ダンパラは,ダンスとファッションと音楽が一度に楽しめてしまう,ちょっと欲張りなタイトルだ。まずはダンス部分だが,操作に必要なのはカーソルキーとSpaceバーのみ。後述のゲームモードによっては多少異なるが,操作方法の基本は,画面中央に表示される「スキルノート」のとおりにカーソルキーを入力し,その後「タイミング判定バー」のタイミングに合わせてSpaceバーを押すだけだ。
 スキルノートを打つ正確さとSpaceバーを押すタイミングによって,「PERFECT」から「MISS」まで5段階で評価され,その結果,獲得ポイントや「踊り」のアニメーションなどが変わってくる。

 

 スキルノートにはレベルが設定されており,1回成功するたびにレベルが上がる。打ち込むカーソルキーの数もそれに比例して増えていくが,慣れないうちはレベル4ぐらいが限度だろう。上級者向けのゲームモードになるとレベル6〜8(最大でレベル8)が当然,しかも判定は全員がほぼPERFECTを叩き出すため,1回のミスで最下位に転落することも珍しくないのだ。「チュートリアル」はもちろん用意されているが,はっきりいってここで一度練習したぐらいでは,タイミングやコツは全然つかめない。レベル5までのプレイヤーしか入れない「入門サーバ」で,実地訓練を重ねよう。

 

 ファッション面ではフェミニンからモードまで,あらゆるタイプのアバターアイテムを用意。しかも購入した衣装は無制限に保存できるので,その日の気分で違ったファッションが楽しめるというわけだ。音楽についても,将来的にはオリジナル曲に加えて,国内のレーベルと提携が予定されている。ゲーム内では音楽データだけの試聴も可能なので,もしかしたら好きなアーティストの音楽が,ダンパラにログインするだけでいつでもで聴けようになるかも?

 

 

ゲームモード

 対戦タイプのカジュアルゲームの多くが,個人戦と団体戦という大まかな分け方だったり,あるいはアイテム戦とスピード戦など,ゲーム内容にわずかな変化をつけるだけなのに比べて,ダンパラのゲームモードは実にバリエーション豊か。もちろんスキルノートの通りにキーを打ち,最後にSpaceバーを押すという操作の基本は同じだが,対決方法が異なるモードが,以下の10種類から選択可能となっている。

  • トレーニングダンス
  • バトルダンス
  • シンクロダンス
  • チームバトルダンス
  • フリースタイルダンス
  • カップルダンス
  • パーティーダンス
  • ブレイクダンスバトル
  • ダイナミックダンス
  • ライセンスモード

トレーニングダンス

入門サーバーでのみでプレイ可能な,ビギナー向けモード。スキルノートのレベルが最高でもレベル5までと限定されており,ソロプレイでの練習も可能だ。ルーム数も多く,一番参加しやすいモードだろう

 

フリースタイルダンス

スキルノートがレベル6からしか表示されない,中・上級者向けのモード。スタート時のスキルノートは何も表示されず,プレイヤーが任意の方向キーを一つ押すことで,初めて3パターンのスキルノートが現れる

 

シンクロダンス

全員が同じスキルノートでプレイするため,上級プレイヤー同士による完璧に息の合ったダンスは,見応えがあるモード。トレーニングやフリースタイルと異なり,キー入力が間に合わないとMISS扱いとなる

 

カップルダンス

男女のキャラクター同士でしか参加できない,ペア戦。スキルノート中に男女それぞれのキーが色分けで表示される。このモードが原因で二人の間がこじれたりしないよう,カップルで遊ぶ人は気をつけよう

対決

 今週の対決について,筆者はKawamura氏へ事前にあるリクエストを出しておいた。

 

 「4Gamer編集部で最も女心が分からない人と対決させてください」

 

 ダンパラは冒頭で解説したように,うら若い女性ゲームファンを念頭に置き,女性好みの要素をギュっと詰め込んだカジュアルゲーム。すなわちダンパラをプレイすることは,女心を理解することにも通じるわけで,普段女性と接する機会が皆無に等しい編集部スタッフに,ぜひ学んでほしいという,一種の親心からの申し出だ。
 こうして対決当日に送り込まれた刺客は,どういうわけか4Gamer編集部の数少ない妻帯者,Iwahama氏であった。

 

麻生ちはや
自らを「外面・内面共にスタンダードな日本人女性」と言い張るフリーライター。よく編集部でも自分の常識は世間一般の女性の常識と言い張るが,あまり信じてくれるスタッフがいないのが不満らしい

Iwahama
4Gamer.netが黒地だった頃から編集部にいる古参スタッフの一人。しばらくの間,編集部唯一の妻帯者の地位を守り続けてきた。「編集部で最も女心が分からない男」などと言われると,本人は怒るだろう

 

 

 さて,基本的に対決日の指定権限は筆者にあるため,迷うことなくIwahama氏が疲労の極みにあるであろう,東京ゲームショウ2006最終日の翌日を指定。事前にIwahama氏と行った打ち合わせによれば,「私は大変な負けず嫌いです。本気で戦いますよ」とのコメントだが,いざ対決の日が訪れてみれば,彼はまだアカウントの登録すら済ませていないという状況。

 

 「今,クライアントをダウンロード中です」
 「あと15分ほどでログインできます」

 

 蕎麦屋の出前みたいな報告を受けつつ,もちろん最後の最後まで練習を続ける筆者。今回も負ける気がしない……。
 チュートリアルを終了したIwahama氏が,筆者の待つルームへ入ってきたのはようやく30分後の話。とりあえず1戦めはかる〜く「トレーニングモード」でバトルだ。ただし,選曲は最もスピードの速い曲に設定してある。案の定チュートリアルで基本操作を覚えただけのIwahama氏,「Miss」を連発し,白いTシャツに白いズボンという日曜日のお父さんみたいなスタイルのアバターは,どこか寂しげにステージで突っ立ったままだ。結果はつまらないほど圧倒的なポイント差で勝利。
 やれやれ,しょうがないなぁ。余裕の筆者は敗者Iwahama氏に対して,哀れみの手を差し伸べてみた。

 

 「もう一戦してみますか?」

 

 珍しく筆者のほうから3回勝負の申し出。Iwahama氏は筆者に負けたことが本当に悔しかったらしく,本気モードを炸裂させてきた。しかし,こちらもフェアな勝負を仕掛けるつもりはまったくない。二戦めにはルールの異なる「フリースタイル」を,対決の場に選んであるのだ。姑息すぎて我ながら涙が出る。
 先述のとおり,最低でも6キーから始まるフリースタイルモードは,中級以上のプレイヤーでなければキツいモード。隣に立つIwahama氏は作戦通り,スキルノートがなぜ表示されないのか理解できないようで,ステージが開始されてからもボーっと立ったままだ。
 決してうまいとは言い難い筆者も,MissやBADを連発しつつ,なんとか得点を稼いでいる。と,突然何かがIwahama氏に降臨した! さきほどまでのぎこちない動きが嘘のように,レベル6のスキルノートを,ときにはレベル7のスキルノートすらも華麗にクリアしていく。おまけにPERFECTまで出してきたりで,呆然としているうちに,なんと敗北してしまう。
 勝負は次の3試合めに持ち越され,再びフリースタイルでの戦いに。やはり何かが憑依したとしか思えない,なめらかなダンスっぷりで,なんと2000ポイント以上の差をつけられてIwahama氏が勝利した。

 

 なお編集部では,Iwahama氏の背後で第1試合だけ観戦した人々が,まったく動いていないIwahama氏とガンガン踊っている麻生キャラの姿を見て,「今回は麻生さんの圧勝だな」と早々に解散してしまったらしい。「あれで,よくあのあと負けられましたね」などと,デリカシーのない言葉をぶつけてくる,Kawamura氏やそのほかのスタッフ。こいつら女心ってものが,まったく分かっちゃいない……。

 

 

 

 

■■麻生ちはや(ライター・お姉さん)■■
ちなみに今回の対決,1回戦はギャラリーが集まりすぎてしまい,プレッシャーに弱いIwahamaはギャラリーの視線が原因でプレイに集中できず,負けてしまったらしい。「人さえ集まらなければ1回めも勝てたのになぁ」と言うIwahama。つまり,チュートリアルを一度やっただけの人に「こいつは俺より弱い」と見破られたようですよ,麻生さん。
タイトル ダンシングパラダイス
開発元 T3 Entertainment 発売元 ネクソンジャパン
発売日 2006/09/29 価格 アイテム課金制
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0以上),CPU:Pentium III/1GHz以上[Pentium 4/1.70GHz以上],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨],HDD空き容量:1GB以上[1.2GB以上推奨],ネットワーク環境:56kbps以上[1Mbps以上推奨],GeForce FX 5200/5600/5600 XT/5700 LE/5700/5900 XT・GeForce2 MX・GeForce4 MX440 with AGP8X・RIVA TNT2・Radeon 7200/9200・Voodoo 3・Intel 82810内蔵グラフィックスコア・SiS製内蔵グラフィックスコア・S3製グラフィックスチップは動作保証外

Copyright (c) Nexon Corporation and Nexon Japan Co.,Ltd. All rights reserved.
Copyright (c) Yedang online Inc. All rights reserved.
Copyright (c) T3 ENTERTAINMENT CO.,LTD. All rights reserved.


【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/weekly/casualgame/005/casualgame_005.shtml