― 連載 ―

AoE3 新大陸漂流記

AoE3連載第3回 Home Cityシステムとデッキの組み方

 「Age of Empire III」(以下,AoE3)の連載も3回め。いよいよ今回からは,スカーミッシュ/マルチプレイの話に入っていこう。まずはAoE3の一番の目玉ともいえる「Home Cityとデッキ」について考えてみたい。

 AoE3の戦いは,プレイを始める前,デッキを考えるときからすでに始まっている。さまざまな状況を予想し,プレイの流れをイメージして,どのタイミングでどのカードを使うか,内政そのもので分担する部分とカードで補う部分のバランスをどうしようか。……あれこれ思いをめぐらすのは,とても楽しいものだ。
 デッキの存在によって,AoE3は定石といえるような,決まった戦略が固まりにくくなった。デッキの組み方には数え切れないほどの選択肢があるので,自分自身のプレイスタイルに合わせて,いろいろ工夫してみよう。

自分に合ったHome Cityを育てよう

Home Cityはずっと付き合っていくものだから,じっくり考えて愛着の持てるものを育てていきたい

 プレイしている人はすでに実感していると思うが,Home Cityを成長させていくのには時間がかかる。Home Cityはずっと付き合っていくものなので,8種類ある文明の中から,どれを選ぶかはよく考えて決めたい。
 文明を選ぶうえでのポイントは「文明特性」「ユニット」「カード」「テクノロジー」「見た目」「歴史」などいろいろあるが,やはりその文明に対して愛着を持てるかどうかが一番のように思う。必ずしも一つに絞る必要はないが,Home Cityの育成を考えると,ほかのRTSのようにプレイする文明を気軽にちょくちょく変えるわけにいかない。「この文明をずっと使うぞ」と思えるところを選ばないと,のちのち後悔してしまう。
 とはいっても,最初から全文明について理解できているわけもないだろうから,一通り使ってみて,あれこれ試行錯誤してみるのがよいだろう。そのうち自分に合った文明が見つかったら,集中してHome Cityを成長させていこう。

Home Cityのレベルが上がっていくと,時代進化ボーナスの種類も増える。プレイすればするほど戦略の幅が広がっていくのがAoE3だ

 かくいう筆者も,文明選びには紆余曲折があった。最初に作ったHome Cityはポルトガル。“時代が進化するたびにTown Centerが無料でもらえる”というのが内政面で非常に有利に感じたからだったが,レベル15程度に達したあたりで,どうしても我慢できない点が出てきた。それはOrgan GunとCassadorの弱さ。Organ Gunは他文明のFalconetに比べて建物に対する攻撃力が低く,Cassadorは攻撃力は高いがHPが少ないことが致命的な欠点であるように感じた。
 そこで思い切って,新しいHome Cityを作成。次はドイツだった。ほとんどのカードにおまけのUhlan騎兵がついてくる点や,Doppelsoldnerの範囲攻撃とsiege能力が魅力的だったからだ。しかし,これも途中で自分のプレイスタイルとの違いを感じてしまう。金の消費量が多すぎて,内政のバランスが取りにくかったのだ。頼みのUhlanやDoppelsoldnerも,コストの割には耐久力が低いように感じた。
 結局,今はロシアをメインにプレイしている。ロシアにも欠点は数多くあるが,Cossack,Oprichnik,Cavalry Archerという3種の個性豊かな騎兵を使い分けるのが楽しく,歩兵もStreletとHalberdierの混成部隊の相性がいい。プレイしていて自分に合っていると感じられるので,今後も使い続けられそうである。

ドイツは自分に合わないかな? と思って放置していたが,最近また使いたくなってきた。実際には数種類のHome Cityを並行してプレイしていくのがいいかもしれない

 ともあれ,「これだ!」と思えるHome Cityを作成したら,まずはどんどんプレイしてレベルを上げるのが第一。このときポイントとなるのは,Home Cityのレベル上げに勝敗はほとんど関係ないということ。もちろん勝利することによる経験値ボーナスもあるが,負けてもプレイしたぶんの経験値は獲得できる。そういう意味では,どんなゲームでも余力が残っているうちはあきらめずに戦いたいものだ。
 レベル10とレベル25で,それぞれ新しいフィールドのカードを獲得できる。レベル25にまで到達するのはかなり時間がかかるので,とりあえずはレベル10を目標にプレイしていこう。

デッキを組むときのポイント

マルチプレイでも基本的なシステムはまったく同じ。マルチプレイでレベルを上げるのは大変なので,カード選びなども慎重に考えたい

 さて,Home Cityはレベルが1上がるごとに新しいカードを1枚獲得できる。しかし一つのデッキには20枚までしかカードを入れられないため,たくさんのカードを保有していても,一つのゲームで使用できる種類には限りがある。いくら強力なカードをたくさん持っていても,20枚から溢れた分はあきらめなければならない。では,デッキにはどんなカードを組み込めばいいのだろうか? デッキはいくつでも作れるので,さまざまな状況に合わせてデッキを複数用意しておくのがいいだろう。以下に,考えられるポイントを列挙してみた。

(1)文明の特徴に合わせる

 まず最初に考えるべきは,文明の特徴に合わせることだ。例えばイギリスなら家のコストが高く,ほかの文明よりも木を多く必要とするので,木の積荷のカードや木の採取速度を改善するカードが必要だろう。ドイツなら傭兵を使うために金の積荷のカードが良いかもしれない。フランスは市民の生産速度が遅めなので,市民を呼ぶカードが効果的だろう。デッキ作りには,文明の「長所を伸ばす」カードと「短所を補う」カード,両方あるとバランスが取れる。

(2)マップに合わせる

 AoE3には15のマップがあり,地形はもちろん,資源の配置,Trading Postの有無,海の有無,初期資源などが異なっている。ならば,それに応じてデッキを変えたほうがよいのは当然だ。とくに海の有無は重要。「海がまったくないマップ」「海はあるが戦略上重要ではないマップ」「海が主戦場のマップ」の3種類に応じたデッキがあると理想的だ。

(3)プレイスタイルに合わせる

 やはり,デッキ編成で一番楽しいのは,自分がどういう流れでプレイするかをイメージして,それに従ってデッキをどう組むかを考えることだろう。
 RTSには一般的な戦術として「Rush」(ラッシュ/速攻),「Turtle」(亀/カウンターアタック),「Boom」(ブーム/経済発展)というのがある(第5回で詳しく解説の予定)。一言で簡単に言ってしまうと「攻めか,守りか,内政か」ということだが,まずはこうして大筋の戦略を考えたうえで,次に「どの時代で攻勢をかけるか,勝負を決めるか」に注目してデッキを考えよう。留まる時間が長い時代のカードを,多くデッキに組み込むのがセオリーだ。

(4)対戦相手に合わせる

実戦では偵察を怠りなきよう。相手が何を生産しているか,いつ攻めてくるかが分かれば,こちらも対応しやすい

 対戦相手が知人の場合,その人の個性に合わせてデッキを考えるというのも面白そうだが,ここでは対戦相手の文明についての話だ。
 文明の個性によって,ある程度戦略も限定されてくるので,それに対抗するデッキを考える。例えば相手がトルコならばJanissaryによる速攻を警戒する必要があるので,塔や市民強化のカードを用意しておくといいだろう。イギリスならLongbowmanへの対抗策として騎兵のカードがあれば便利だし,ポルトガルは防衛的なのでこちらは経済系のカードを揃えるといった具合だ。ただ,これらはあくまで一般的な傾向。実戦ではしっかり偵察をして,相手の動向をチェックするのを忘れないようにしたい。

(5)個人戦か,チーム戦か

 カードの中には「Team: ○○」と書かれていて,同じチームの仲間全体に効果のあるカードが存在する。チーム戦の場合は非常に効果的で,仲間にも喜ばれるので(効果が発動したことに気づかれない場合も多いが……)ぜひデッキに組み入れたい。
 また,チーム戦の場合は必要以上に守りに入る戦術(Turtle戦術)は好まれない。すぐには攻めない場合でも,機動力のあるユニットを用意しておいて,味方が攻められたら援軍を送れるようにしておこう。

Amazonのマップなどは非常に特殊。開始時から市場があるし,マップ中央には大河が横たわっている。こういうマップに対応したデッキも作っておきたい

チーム全体に効果のあるカードは,かなりの種類存在する。友人と組んでプレイする場合には,チーム用に特化したデッキを考えると楽しみが広がりそうだ

注目しておくべき,必須のカード

 以上のように,デッキ編成にはいろいろなポイントがあるので,「これが最強のデッキだ」というようなものは,おそらく存在しないのではないだろうか。だが非常に重要度が高く,「これだけは入れておくべきだろう」という,いわば必須のカードはいくつか挙げられる。各文明固有のカードについては次回取り上げることにして,今回は全文明に共通のカードの中から,とくに重要度が高いものをピックアップしてみよう。

・時代1(Discovery Age)のカード

「Crates of 300 Food」
時代2に素早く進むのに必要。状況によっては市民を追加するカードや,狩りの効率を高めるカードのほうがよい場合もあるが,とりあえず最初にこのカードを使っておけば無難だ。
「Advanced Trading Post」
Trading Postに攻撃能力を与え,コストを−50%,HPを+50%する。Home Cityがレベル25にならないと使えないカードだが,これがあると序盤〜中盤にかけての展開ががらりと変わってくる。頑張ってレベル25まで上げて,ぜひ使いたい。

・時代2(Colonial Age)のカード

「Church/Mosqueにユニークテクノロジーを導入するカード」

(イギリスの「The Grorious Revolution」など)

文明によって名称が異なるが,アイコンは同じ。傭兵を呼べるテクノロジーなどが使えるようになる。時代2になったら即使うというものでもないが,中盤以降で使っておくと戦略の幅が広がる。
「Advanced Arsenal」
Arsenalを時代2から建設可能にし,テクノロジーを追加する。兵士ユニットをさらに強化できるようになるので,戦闘に有利になる。必須とはいえないかもしれないが,何を入れるか迷ったらこれを入れておいて損はないだろう。

・時代3(Fortress Age)のカード

「Fort」
Fortを建設するワゴンを呼び出す。これはデフォルトの状態でデッキに入っているはずなので,そのまま入れておこう。Fortは防御施設として優秀なのに加え,歩兵/騎兵を生産できる育成所としても重宝する。カード以外では建設できないため,このカードは絶対必須といってもいい。

・時代4(Industrial Age)のカード

「Factory」
「時代4に行く前に勝負を決める!」という人には不要かもしれないが,そうでなければ必須だ。食料/木/金/Heavy Cannonのいずれかを自動生産してくれる。とくにHeavy Cannonは非常に強力。それが無料で生産できるのだから,使わない手はない。

 

■■Sluta(ライター)■■
我慢できずに「Civilization IV」を購入してしまったというSluta氏。しかしAoE3の週刊連載で多忙を極めている今,かつてCiv2中毒で廃人になりかけたことのあるSluta氏は,編集部にパッケージを没収するよう要求。そんなことを要求してくるライターさんは普通いません。
タイトル マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III
開発元 Ensemble Studios 発売元 マイクロソフト
発売日 2006/01/27 価格 9400円(税別)
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.40GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上,グラフィックスチップ:DirectX 9.0c以上に対応,グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨]

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http://www.4gamer.net/weekly/aoe3/003/aoe3_003.shtml