あくまで,「Age of Empire III」のメインは「スカーミッシュ」と「マルチプレイ」にあると思う筆者だが,本連載はRTS初心者を主なターゲットとしているので,まずはあわてず焦らず「キャンペーン」からプレイしてみよう。
キャンペーンは,それ自体が一つの映画のような作りになっており,ときにはかなり強引な展開もあるが,アメリカ大陸全土を移動しながらのドキドキハラハラなストーリーを楽しめる。難度はそれほど高くなく,ゲームの基礎について段階を踏んで学べるので,初心者はキャンペーンから始めるのがいいだろう。
キャンペーンはActI〜ActIIIの三つに分かれているが,全体を通して「Black家の物語」というメインテーマがある。ActIの主人公がMorgan Black,その孫がActIIの主人公John Black,さらにその孫がActIIIの主人公のAmelia Blackだ(全編を通してナレーションするのはAmelia)。それぞれのActは独立しているように見えて,実はThe Circle of Ossusという秘密組織と,それにまつわるミステリアスな伝説と密接な関係を持っている。
以下,ごくさわりの部分を紹介していくが,ネタバレを気にする人は,この章は読み飛ばしてもらいたい。
時は16世紀末,地中海に浮かぶマルタ島。十字軍の残党であるSt.John騎士団のMorgan Blackは,オスマン帝国の攻撃を受けていた。激しい戦闘の末,マルタ島を守ることに成功したMorganだったが,オスマン帝国のSahinらがマルタ島に来た目的は,征服ではなかったようだ。
Morganは,Sahinらがこもっていた洞窟の奥で石碑を発見する。そこには,The Circle of Ossusという秘密組織と,The Fountain of Youthという泉について書かれていた。
この泉はアメリカ大陸に存在するが,アステカ族の者達のみが場所を知るといい,この泉の水を飲むと永遠の命を手に入れられるというのだ。Sahinらはすでにアメリカ大陸へと発ったあとだった。Morganは上官のAlainの命で,Sahinを追ってアメリカ大陸へと渡り,その泉の場所を突き止めることを命令される。
アメリカ大陸へと着いたMorganは,海賊のLizzieの助けなども得ながら,ついに泉の場所を突き止めて,The Circke of Ossusの一味と戦うことになる……。
時は18世紀半ば。Morganの孫にあたるJohn Blackは,傭兵団を率いる植民者で,カロライナ付近に新しい入植地を築いていた。ところがある日,これまで懇意にしていたはずのチェロキー族からの急な攻撃を受け,入植地は壊滅的な打撃を受けてしまう。
Johnは陰に何者かが存在するとみてチェロキー族を追撃するが,そこに現れたのはイギリス軍だった。おまけに留守にしていた入植地をイギリス軍に襲撃され,叔父のStuartが拉致されてしまう。
Johnは,敵はThe Circle of Ossusの一味に違いないと推測する。そしてそれはJohnの予想通りであり,ボスであるWarwickは泉の場所を突き止めるためStuartを拉致したのだった。
折りしも1756年,七年戦争(フレンチ=インディアン戦争)が始まる。これはアメリカ大陸においてはイギリス対フランスの植民地を巡る戦争だった。この戦争で功を立てたのが,のちのアメリカ合衆国初代大統領となるGeorge Washingtonである。Johnはフランス側に立ってこの戦争に参加するが,のちにWashingtonの協力を取り付け,Warwickを追って北アメリカ大陸を西へと進んでいく……。
19世紀になり,アメリカにも産業革命の波が押し寄せようとしていた。Johnの孫にあたるAmelia Blackは,父から引き継いだFalcon Companyを経営しており,大陸横断鉄道を開通させようと日々努力していた。
会社の経営は軌道に乗ろうとしていたが,依然として資金は十分とはいえなかった。ある日メキシコ軍と戦っている途中,Ameliaは鉱山の採掘を手がけているBeaumontという男に出会う。Beaumontはコロラドにある鉱山を知っていて,これをAmeliaと共に採掘しようという提案をする。Ameliaはこの提案を受け,ロッキー山脈の奥深くへと入っていく。
ところがBeaumontはThe Circle of Ossusの一員で,Ameliaが泉の場所を知るものと思い,誘拐するのが目的で近づいたのだった。Ameliaは,かつてのJohn Blackの戦友であり,祖母の兄にあたるKanyenkeの手によって救われる。AmeliaはKanyenkeと共にBeaumontを追って,かつて泉のあった地フロリダへと向かう。
のちにAmeliaはペルー独立運動にも参加することになるが,このときに出会うのがベネズエラ,コロンビア,エクアドルなどを独立に導いた南米の英雄,Simon Bolivarである。
その後,ついにBeaumontを追いつめたAmeliaは,The Circle of Ossusと最終決戦になる……。
ActI,II,IIIともに,スカーミッシュにはないオリジナル文明を使って戦う。それぞれ別のホームシティ,カード,ユニークユニットがあるので,スカーミッシュをやりこんでいる人でも新鮮にプレイできるだろう。それぞれのActで用いる文明を簡単に紹介しよう。
スペインを基本にした文明。Hoop Throwerというユニークユニットを持つ。時代の設定上,IIIの時代までしか進化できない。スペインのように荷物が届くのが早いというわけではないので,スペインの特徴で引き継いでいるのはLancerとRodeleroくらいだ。近接攻撃が得意な原住民と組むことが多い。
ドイツを基本とした文明。だが,カードについてくるUhlan騎兵のボーナスなどといった,ドイツ文明の特性は持っていない。カードを使うことで多くの種類の傭兵を呼べる。時代の設定上,IVの時代までしか進化できない。金を大量に消費することから,鉱山はすぐに掘りつくしてしまうので,プランテーションを利用する機会が多い。プランテーション強化のカードを取っておくと楽に進められるだろう。
イギリスを基本とした文明。ただしSkirmisherが使える代わりにLongbowmanはいない。Vの時代まで進化させられる。イギリスの,家を建設すると町の住民が一人出現するという特徴は,この文明にも引き継がれている。進化コストは非常に高いのだが,時間がかかるミッションが多いので,多少無理してもVの時代まで進んでしまおう。
ホームシティからの援助は,どのミッションでも使えるというわけではない。スカーミッシュのように拠点を作ってユニットを生産していく一般的なミッションもあれば,RPGのように少人数の仲間だけで進めていくミッションもある。また,ミッションによっては大砲が使えないなど制限がある場合もあるので注意しよう。
なおキャンペーンでは,スカーミッシュとは違い,デッキを組むことはない。1プレイで使えるカードに20枚という制限はなく,アンロックしたカードは44枚(画面に収まる都合上)すべて使えるのだ。スカーミッシュよりも1プレイの時間が長くなりがちとはいえ,ありがたい仕様だ。この点でもスカーミッシュとは違った楽しみがあるといえるだろう。