2007年6月6日,ついに「R.O.H.A.N」のフリーテストが終了し,基本プレイ料金無料の正式サービスとして再スタートした。同時に2007年12月までのアップデートプランが発表され,新種族や大規模PvPなどの順次追加が予定されていることがあきらかになった。あとはもう,遊ぶだけである。
まずはこれまでの経緯を説明しよう。YNK JAPANが運営する「R.O.H.A.N」は,美麗なグラフィックス,レベル制の成長システムと転職,マウス一つでプレイをほとんど不自由なく行なえるインタフェースなど,まさに韓国産オンラインゲームの伝統を素直に踏襲したイメージのMMORPGだ。
韓国での成功を背景に,日本でも2006年11月1日から月額利用料金1900円で正式サービスが開始されたが,日本ではいまいちぱっとしない状況が続いていた。YNK JAPANはこの事実を真摯に受け止め,日本のプレイヤーにどうすれば受け入れられるか,その答えを見出すべく,誰もが無料で参加できる「フリーテスト」という形で「R.O.H.A.N」の再出発を決めた。
2007年4月26日に開始された新生「R.O.H.A.N」のフリーテストには,システム,グラフィックスをリファインし,バランスを調整した日本版独自のクライアントが用意された。しかもそれだけで終わりではなく,プレイヤーの動向に注視し,改良を重ねていくという姿勢は,運営のR.O.H.A.N新生にかける強い意気込みが感じ取られるものであった。
かくしてフリーテストは完了し,「タウン争奪戦」実装までのロードマップが発表されたのが6月6日というわけである。この記事では,歩き出したばかりの新生「R.O.H.A.N」の「スターターガイド」として,ともに歩み出そうという新規プレイヤーのために,序盤の手ほどきをしていく。記事中でとくに旧R.O.H.A.Nとの比較検証などは行っていないが,読者の皆さんも過去の作品だなどと思わず,新規にこの作品を楽しむために本記事を役立ててもらえたら幸いだ。
まずはキャラクター作成
2007年6月8日時点で,R.O.H.A.Nの日本サーバーは五つ。1アカウントで各サーバーに4体まで,計20体キャラクター作成できる。
選択できるのは「種族(職業)」「性別」「顔」「髪型」。種族ごとに職業が固定されているため,プレイスタイルを確立している人なら,ここで悩む要素はほとんどない。半面,「好きな種族で好きな職業をプレイする」というようなことはできない。好みで性別,顔,髪を決めたら,あとはスタート地点(各種族の故郷の国)を決めればゲーム開始だ。
5種族(5クラス)紹介
●ヒューマン
初期職業:ナイト
二次職業:ガーディアン,ディフェンダー
高い防御力を誇る近接物理攻撃タイプ。パーティでは敵の攻撃を集めるタンクとしての役割を担う。両手に武器を装備できる唯一の種族でもある。レベル50で高い防御力をそのままに攻撃を強化したバランス型のガーディアンか,さらに防御に特化させたディフェンダーに転職できる。
●エルフ
初期職業:ヒーラー
二次職業:プリースト,テンプラー
回復魔法を得意とする。知能,精神をメインにステータス強化してプリーストに転職すれば,仲間の支援に特化した,パーティには欠かせない存在になれるだろう。またはあえて殴るヒーラーを目指し,力や体力などのステータスを強化してテンプラーとなれば,畏敬を集められるかもしれない。
●ハーフエルフ
大陸東部モーリセン地域に,ヒューマンとエルフ,どちらにも馴染めなかったハーフエルフ達が集まり,都市「カイノン」が生まれた。「カイノン」は自由に生きるハーフエルフらしく,開放的な都市だ。そこにはハーフエルフという存在に引け目を感じるような空気はない |
初期職業:アーチャー
二次職業:レンジャー,スカウト
弓を用いて遠距離から敵を一方的に攻撃でき,パーティではモンスターを釣る役としても活躍する。レンジャーは装備した武器の能力に依存して効果を発揮するものに特化したスキルが,スカウトは貫通や範囲などの,多数の敵を相手にしたときに威力を発揮するスキルが用意されている。
●ダン
初期職業:アサシン
二次職業:アベンジャー,プレデター
カタールという特殊な握り剣を両手に装備し,素早い攻撃で相手を圧倒する近接攻撃特化型の種族。自己強化スキルも充実しており,自分の身を隠す特殊なスキルを使用できる。アベンジャーはスタンや移動速度減少などの行動妨害,さらに敵を道連れに自分も死ぬなどといったテクニカルなスキルが,プレデターには範囲攻撃に特化したトラップスキルが用意されている。いずれにしてもダメージディーラーとしての活躍が期待できる。
●デカン
初期職業:ドラゴンファイター
二次職業:ドラゴンセージ,ドラゴンナイト
誇り高きドラゴンの末裔という特殊な前衛。ゼンという巨大な両刀を二つに分離して攻撃回数を増やすスキルや,自分のHPと引き換えに対象を回復するスキル,HPとMPを相互に変換するスキルなどを活用し,自己管理をしながら戦闘を行なう。またドラゴンセージ,ドラゴンナイトに転職すれば,一定時間自身を竜へと変身させるイボルブというスキルを覚えられる。
ステータス
基本能力値には力/体力/知能/敏捷性/精神力/瞬発力の6種類あり,レベルアップで得られるポイントを使用して強化できる。この基本能力値と装備によって「近距離攻撃力」「物理防御力」「攻撃速度」などの二次能力値が算出される仕組みだ。このほか「火」「水」「暗黒」「神聖」といった属性の抵抗値がある。全体的に標準的ななMMORPGと大きな違いはない。なお,「ランク」については「結束システム」の項で解説する。
スキル
スキルはクラスごとに約20種類ずつ用意されている。ツリー式で,スキルの取得/強化にはスキルポイント(レベルアップで取得)を使用する。本作のスキルシステムは一般的なものとほとんど変わりない。各初期職業の最後の(ツリーの端にある)スキルは,レベル12程度で取得可能だ(ヒーラーのみレベル36)。強化はレベル6まで可能で,レベル5まではスキルポイントで強化可能だが,6に上げるには専用アイテムが必要になる。
クエストをこなしながらレベルを上げよう
キャラクターを作ってゲームをスタートさせると,「バインドストーン」というリスポーンポイントの中心から始まる。このバインドストーンは各地にあり,基本的には各種族の故郷にあるバインドストーンがスタート地点となる。ただしヒューマン,エルフ,ハーフエルフの3種族,またはダン,デカンの2種族は,それぞれスタート地点をシェアできる。
どのスタート地点にも,「○○入口の管理人」というゴージャスなファッションのNPCがいる。彼女らに話しかけることで,そのバインドストーンをバインドポジション(リスポーンポイント)に設定できる。そして彼女らは,ゲームを始めたばかりのキャラクターに「○○へようこそ」という,チュートリアルクエストの第1弾を与えてくれるのだ。
チュートリアルクエスト
最初のクエストは,インベントリの説明と戦闘の仕方。最初から持っている「基本武器」「最下級HPポーション」「タウン帰還ストーン」の使い方を教わったら,さっそく周辺にいる「ウルフ」(インプの種族もあり)を3匹倒してみよう。再び入口の管理人に話しかければクエストは完了だ。この後も「あそこへ行け」「誰に会え」といったクエストを通じて,基本的なコマンドや街の各施設などが紹介されていく。面倒がらずに全部のクエストに付き合えば,一通りの知識と装備品が揃うわけだが,本作は戦闘でも各種装備がガンガン手に入る。すでに本作の細かい機能まで全部知っているという人は,すっ飛ばしても大丈夫だろう。
韓国産オンラインゲームでは,お馴染みの雑魚モンスター「ウルフ」をとにかく倒しまくる。お約束というやつである。序盤しばらくはウルフ一族がお相手となる | 請け負い可能なクエストの一覧,クエストを貰う/結果報告するNPCの位置,現在請け負っているクエストの状況/クリア条件,それぞれいつでも確認できる |
モンスター討伐系クエスト
チュートリアルクエストを終わらせたら,モンスター討伐系のクエストを利用してキャラクターの育成を続行だ。モンスター討伐系クエストは,現在のレベルで狙い目のモンスターと,その居場所を常に提供してくれるので,新しい狩場を探す手間も省ける。
クリアすれば報酬として用意されたアイテムが手に入り,さらに結構な量のボーナス経験値までもらえる。これを利用しない手はないので,町を出る前に,請けられるクエストがないか忘れずに確認しよう。序盤ではだいたい,1〜2レベルごとに一つずつ新クエストが追加されていくので,これを順に追いかけていくだけでも十分楽しめるだろう。なお,受けられるクエストの情報は画面右端にある「確認」ボタンを押すと閲覧できる。
M.Killシステム
モンスターと戦っていると,レベルアップしたわけでもないのに,派手なエフェクトがキャラクターを包むことがある。これは「M.Kill」というシステムで,ログアウトするまで倒したモンスター数がカウントされ,20,40,60,80,100と,それぞれの節目に倒したモンスターの経験値が7,10,13,16,19倍になるようだ。つまりモンスターを100匹倒したときにもらえる経験値は,160匹分(同じモンスターを倒し続けた場合)ということである。とりあえず今日も20匹……,いやせっかくだし60匹……,よし100匹倒してから寝よう! という気にさせるシステムだ。
武器や防具は「合成システム」でどんどん強化
序盤のモンスターは,武器や防具をよく落とす。あまりに落とすので,ありがたみも感じなくなってしまうほどだが,しかしこれをそのまま売ってもおいしくない。NPCの買取額は定価の半額以下,露店を出して自分で売りさばこうにも,序盤の装備など誰も買ってくれないというのが厳しい現実だ。
そこでどうするかというと,装備を合成するのである。装備にはそれぞれノーマル,レア,ユニークというランク付けがされており,同レベル帯の装備では,ノーマルよりレアが,レアよりユニークが,より高い性能を持っている。不要な装備を再利用し,より強力な装備を作っていくのである。
委託販売という便利なシステムがあるが,手数料(指定価格の5%を委託時に支払う)が掛かるせいか,あまり活発に利用されてはいない | 防具は5か所まで同時に合成できる。5か所同時の合成に挑戦して失敗したときの衝撃は中々のものなので,ぜひ一度は試してほしい(?) |
品質 | 入手法 |
---|---|
ノーマル | 店売り,またはノーマルモンスタードロップ |
レア | ノーマル同士の合成,またはネームドモンスタードロップ |
ユニーク | レア同士の合成,またはボスモンスタードロップ |
エンシェント,強化ユニーク | ユニークと特定のアイテムの合成 |
ノーマル以外の装備は,NPCからは購入できない。レアアイテムを落としやすいネームドモンスター,ボスモンスターは非常に強力なので,序盤はノーマルモンスターがドロップしたノーマルの装備を集めて,合成していくのが手っ取り早いのだ
では早速,合成開始。合成を担当するNPCを右クリックすれば合成窓が開くので,そこにアイテムをドロップしていけばいい。素材と合成結果は窓内に分かりやすく表示されており,不要な材料はドロップできないので間違えることはないだろう。
合成はルーレットで成否が決まる。失敗すると防具は跡形もなく消滅。いっぱいだった倉庫がアッという間に片付いていくのは寂しくはあるが,なくなればまた拾ってくればいいので(とりあえず,序盤は)気軽に挑戦できる。
モンスターがドロップした装備には,なんらかのプラス効果がついている事が多い。プラス効果の装備を合成した場合,効果は加算されていく | ユニークランクの合成が成功したときは感無量。最高ランクはエンシェント,強化ユニークだが,失敗が怖くてなかなか合成に挑戦できず |
高レベルアイテムも装備できる「LDEシステム」
合成でアイテム枠をすっからかんにしたら,次はお金をすっからかんにする番(?)だ。そこで活躍するのが,レベルダウンエンチャント(以下,LDE)である。装備が強力になればなるほど,装備条件(必要レベル:30,など)が厳しくなっていくのは,MMORPGでは常識だが,なんとロハンではその装備条件を緩和,あるいは消滅させる手法が用意されている。
もちろんタダではないし,確実に成功するわけではないが,合成と違って装備自体が消滅することはない。活用できればプレイを有利に進められるので,これは積極的に挑戦したい。
方法は,まずLDEをしてくれるNPCを右クリック。ウィンドウが開くので,そこに装備を放り込むと掛かる費用が表示される。「OK」を押せば,お金が消費されLDEが実行される。合成と同じくルーレット式で,成功するかは運次第だ。装備の性能やランクが上がるほど,成功の確率は低く,料金は高くなっていくのもお約束。
転職を目指し戦いは続く!
ダンジョンでパーティープレイ
ダンジョンでパーティープレイ
レベルはそこそこ上がった。装備も揃えた。貯金はないが,とりあえずそれは忘れよう。足りないものは――仲間である。というわけで,ここまではソロで寂しく生き抜いてきたわけだが,レベル20ぐらいから,徐々に成長が鈍くなってくる。ソロプレイに飽きてきた,苦痛に感じてきたとしたら,それはパーティデビューする時期が来たのだ(もちろんレベル10ぐらいで組んでもいいのだが)。
まずは人が集まる狩場である,ダンジョンを目指す。
パーティを募集する心の準備がまだ出来ていなかったので,とりあえず一人で内部構造の調査を開始するも,大量のモンスターに絡まれ即死。頑張ってもMPK大会になりそうなので,あきらめてパーティを探すことに。
しかし典型的(?)な日本人型MMORPGプレイヤーというのは,慣れていないゲームで自分からパーティを作ったり,入れてほしいと募集者に声をかけることに,とりあえず躊躇してしまうもの(筆者だけ?)。そんな心配をよそに,パーティに参加したいということを全体チャットで告げたら,あっさりとお誘いが来た。案ずるより産むが易し,まずは勇気を出して叫んでみることだ。
とにかく,挨拶もそこそこに部屋を占拠してモンスター殲滅開始。やはり通常フィールドでのソロ狩りとは違った緊張感があって楽しい。転職までの道のり(レベル50)は長いが,親しい仲間ができれば,それも苦ではなくなるだろう。
ダンジョン内のモンスターからは,より多くの経験値がもらえる。ただし密集しており再出現の間隔も短い。ソロで狩るには,うまく立ち回らないと…… | 「プロイヤン」シリーズ(必要レベル:30)を,LDEでレベル25くらいまで下げられれば,しばらくはドロップアイテムを気にせず気軽にパーティプレイが楽しめるだろう |
結束システム
「R.O.H.A.N」最大の特徴といえるのが,このソリダリティ(結束)システムだろう。これは各プレイヤーキャラクターに「ランク」というステータスを設けて,キャラクター間の縦社会を形成するシステムである。「結束を結ぶ」というコマンドでほかのキャラクターと結束を結ぶことで,申し込んだ側が受け付けた側の下位に入り,上下関係のコミュニティが出来上がる。結束を直接結べるのは5人までだが,相手の結束関係は自分にも影響し,自分より下位の結束相手がさらに下位の仲間を増やし,さらにその者が……といった具合に縦関係が広がることで,自分の「ランク」が上昇していくのだ。ちなみにこのランクの意味は……今のところあまりない。
結束関係者同士でパーティを組むと,上位のものはお金が,下位のものは経験値が多くもらえるなど,それぞれにメリットはある。ほかにも結束にはいろいろ意味があるようだが,このシステムが真の意味を持つには,R.O.H.A.Nのプレイヤー数自体がもっと増える必要がありそうだ。よって本記事では,あまりつっこまない。
「R.O.H.A.N」の今後
美しいグラフィックスは確かに武器だが,それだけでプレイヤーを集められる時代はすでに去ってしまった。オンラインゲームが群雄割拠するこの時代,プレイヤーを集めるには「R.O.H.A.N」をやる,「R.O.H.A.N」でしか出来ない,そういった独自の要素が必要であると感じる。
「R.O.H.A.N」の独自要素というと「結束システム」が挙げられるが,現時点ではあまり機能していないように思われる。この機能の恩恵を受けるためには,ある程度プレイして人間関係を構築する必要がある。手当たり次第に勧誘することは可能なものの,そういうプレイスタイルが日本で受け入れられていないのは事実だ。
R.O.H.A.Nの2007年度アップデートプランが,「タウン争奪戦」なるRvRを最終到達地点としていることもあり,ギルドや結束システムが今後どのように発展していくかは興味深い。何にせよ,人が増えることで盛り上がっていくであろうコンテンツなので,この機会にどーんとプレイヤー数が増加することに期待したい。というわけで,ぜひ新生R.O.H.A.Nで遊んでみよう。
■「R.O.H.A.N」公式サイトはこちら