クローズドβテスターの募集が9月26日(月)から行われる「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」(以下,FE)。
スクウェア・エニックスのMMOアクションゲームである本作は,MMORPGのエッセンスを取り入れつつも,その実体はアクション&ストラテジーという,独特の楽しさを持った作品へと仕上がりつつあるようだ。
開発の最終段階に入ったと思われる本作について,開発者に直接話を聞く機会が得られたので,その模様をお伝えしよう。
ちなみにこのインタビューの前には,実際に対人戦をプレイすることもできた。そのレポートについては「こちら」にまとめてあるので,まだ読んでない方は,まずはそちらに目を通してほしい。
4Gamer編集部(以下,4Gamer):
本日はよろしくお願いします。早速ですが,まずはこの作品がどういったコンセプトから出発したのかを聞かせてください。今日プレイして,かなりオリジナリティ溢れるゲームだということが分かったので,どういった出発点からこのゲームができあがっていったのかが知りたくなってきました。
渡辺泰仁氏(以下,渡辺氏):
現在は王道のMMORPGというものに,いくつかのパターンができていて,市場的にはその超ビッグタイトルが隙間なく並んでしまっている状態だと思います。ただ,人が集まって遊ぶということ自体には,まだまだ可能性があると思っていまして,その中でたまたまRTSが好きだというスタッフから,「あれをみんなでやったら面白いよね」という話が出てきました。そのアイデアをもとに,「じゃあこういうシステムではどうだろう」「こうやったら面白いかも」と話し合っているうちに,現在のものが出来上がったというところですね。
4Gamer:
そのアイデア自体は,当初から一貫したものですか?
渡辺氏:
実はゲームが出来てくるに従って「RPGにしなくちゃいけないんじゃないか」っていう思いが湧いてきて,そっちへグーッと近づいた時期もありました。
市川雅統氏(以下,市川):
アクションとストラテジーという部分ではそれほど揺れていないと思いますが,出来上がったキャラクターが凄く可愛かったことや,それが街を歩く画面を見たときに,「これはすごく面白いRPGに出来るんじゃないだろうか」みたいな欲が出てきた一時期があったんです。
でも現在では,もともとのコンセプトを大事にしようというところでまとまっています。
4Gamer:
私も今日,実際に触るまでは,このゲームをRPGだと思っていました。
市川氏:
プロモーション用の画面写真とか,キャラクターのグラフィックスを見ると,ストーリーがありそうに思えて,きっとRPGなんだろうと予想する人が多いでしょうね。
ですが,最近の開発サイドは「50対50の対人戦はどうしたら面白くなるだろう」といった部分をずっと磨き込んできました。RPGではなく,アクション&ストラテジーとしての面白さの向上ですね。
4Gamer:
クラスが統合されたりして,ゲーム全体が誰にでも捉えやすくなってきている印象がありますね。
渡辺氏:
システムを整理していく過程でそうなっていきました。実際ここ数か月でずいぶん遊びやすいものになってきていますよ。この先数か月で,もっと遊びやすくなっていきそうだという手応えも感じているところです。
4Gamer:
グラフィックスがとても可愛らしいですよね。そのあたりは,あえて意識している部分ですか?
市川氏:
ライトユーザー受けを狙ったわけではなく,良いキャラクターを目指して作っていったら,こういう形になりました。
キャラクターに対して思い入れ出来るか否かって,ゲームをプレイするうえで,とても重要なポイントの一つですよね。そこで,感情移入しやすいキャラクターを考えていったら,PCゲームでよく見かけるような八頭身でマッチョなキャラクターではなく,このような可愛らしいテイストになっていきました。個人的には八頭身マッチョも結構好きなんですけどね。
4Gamer:
例えば,「エバークエストII」のような,グラフィックス的に最新といわれているPCタイトルに比べると,キャラクターモデルがシンプルですよね。これって,可愛らしさを狙った一つの選択として,意識的にポリゴンを抑えているような部分もあるのでしょうか。
渡辺氏:
それもありますが,どちらかというと,今回デザイナーチームの中心に「いやいや"ローポリ"(ローポリゴン)命でしょ。そんな何千ポリゴンもいりませんがな!」と力説する人がいたからこうなったというのが大きいですね。
ポリゴンを増やしていくと,形態でディテールを作っていく感じになると思うんですが,そうではなくて,ポリゴンは多くなく,どういうテクスチャを乗せるかで見せていくという,もともとのデザインのポリシーがそういう方向性だったということです。
4Gamer:
なるほど。となると,ターゲットとしているプレイヤー層はどのあたりになりますか?
渡辺氏:
「ファイナルファンタジーXI」(以下,FFXI)がそうだったからではないんですが,コンシューマゲーム機で遊んでいる人達に,ぜひ遊んでもらいたいと思ってます。今回はマウスとキーボードでやってもらいましたが,パッドでもかなり快適に操作できるようになっているんですよ。
市川氏:
パッドだと,本当にコンシューマーゲームみたいな感覚でプレイできます。ほとんどパッドだけしか使わずに,戦争を1時間以上遊べますから,ここは楽しみにしていてください。
4Gamer:
では,プレイスタイルとしては,ずーっとログインするというのでなくて,サックリ遊んで終われるタイプですか?
渡辺氏:
僕ら自身もMMORPGをプレイしますが,正直なところやっぱりしんどく感じることもあるんですよね。うちにも相当コアなプレイヤーがいますが,なかなかそういうプレイはマネできません。もちろん,そういうゲームも楽しいんですが,もうちょっと手軽に,一瞬テンションが上がって楽しくて,そのあとこちらの世界に戻ってこれるようなゲームを目指しています。
4Gamer:
ああ,とてもよく分かります。戻ってきたいですよねぇ(しみじみ)。
渡辺氏:
プレイヤー自身も,とにかく時間をかけて経験値を稼いでという部分だけでなくて,もうちょっと新しい遊びを楽しみたいんじゃないかなと僕らは思っています。
その中の一つの選択肢として,FEを遊んでみませんか? と提案できればと考えています。あとは,FEは一風変わったゲームですので,「こういうスタイルのゲームがあってもいいよね」と思ってもらえるような,遊びに対してどん欲な人達を意識して,開発を進めていますね。