陸海空のさまざまな兵器を操り,広大なマップで大人数が戦うミリタリーFPSとして,PC版で大ヒットしたバトルフィールドシリーズ。中でも,現代戦を取り扱った新作「バトルフィールド 2」および,その拡張パックである「バトルフィールド 2 スペシャル・フォース」は,2005年に発売された中で最もゲーマー達に支持され,人気を博したマルチプレイFPSだ。そんなバトルフィールドが,ついにコンシューマでも登場する。プレイステーション2で,あのグラフィックスや大人数バトルはどう再現されているのか!? 乗り物やマップは? ここでは,その詳細を紹介しよう。

バトルフィールドシリーズは,歩兵や戦車,ヘリまで登場する,大人数での現代戦が楽しめる戦争系FPSの決定版だ。PC版で大人気のシリーズがついにプレイステーション2で,日本語版となって登場する
本作「バトルフィールド2 モダン・コンバット」は,大勢のプレイヤーがそれぞれ武装や能力の異なる兵科を選択し,マップ上に配置された戦車やヘリなどに乗り込み,広大な戦場で敵と戦うFPSだ。コンシューマゲーム機としてはバトルフィールド第1作にあたるが,あえてタイトルに「2」が付いているように,テーマ的にはPC版「バトルフィールド 2」と同じ「現代戦」である。しかしその内容はPC版のベタ移植やタイニー移植などではなく,基本概念やルールの一部のみ共通した,まったく別のゲームとなっている。
ゲームに登場する陣営はアメリカ軍,中国軍,中東連合軍,ヨーロッパ軍の四つ。各国に攻撃ヘリや主力戦車,兵員輸送車,対空車両に高速艇まで,多彩な乗り物が設定され,合計25種類以上の兵器が登場する。
残念ながら航空機系の兵器は出てこないが,自走砲や装甲偵察車,軽戦車など,地上兵器のバリエーションはPC版よりもバラエティに富んでいる。

グラフィックスはプレイステーション2としては非常にレベルが高く,その割に動作も軽快だ。兵士のモデルもかなり細かく描き込まれ,地形や建物も細部まで作り込まれている。写真は中国軍の兵士だ
システムとしては基本的にFPS,すなわち一人称視点でのプレイとなるが,乗り物を操作している間は外部視点に変更でき,またその視点でも照準が表示され,攻撃が行いやすく設計されている(PC版では外部視点では照準が出ないため攻撃が難しかった)。このあたり,コンシューマ用らしい配慮といえるだろう。
また,プレイヤーが選択できる兵科はPC版に比べて若干少なく,突撃兵,特殊部隊,戦闘工兵,狙撃兵,援護兵の5種類。各兵科の装備/特徴は,以下のとおりだ。
突撃兵
グレネードランチャーを装着したアサルトライフルを装備し,防弾チョッキを着込んだ戦場の花形。発煙手榴弾や破片手榴弾も装備し,攻撃,防御力が高く常に最前線で戦う。
突撃兵といえば,なんといっても強力なグレネード。PC版でもグレネードは強力すぎてゲームバランス的に議論のマトになったりしたが,PS2版でもその威力は健在
特殊部隊
連射可能なサイレンサー付きライフルは命中精度が非常に高い。強力な設置型爆弾であるC4爆弾や,強烈な閃光と音で相手を麻痺させるスタングレネードも装備している。
特殊部隊のライフルは命中精度と連射性能が高い。立ったまま撃ちまくっても,ほとんどブレずに照準中央へ飛んでいく。リモートで爆破できるC4爆弾も威力抜群
戦闘工兵
装備しているショットガンは,接近戦で絶大な威力を誇る。ロケットランチャーで敵車両を攻撃したり,ブロートーチで味方車両の修理も可能。対戦車地雷も装備している。
ショットガンにロケットランチャーを装備し,味方の乗り物も修理できる戦闘工兵。PC版の対戦車兵と工兵が組み合わせられ,使い勝手のいい兵科になった
狙撃兵
命中率の高いスナイパーライフル,発煙手榴弾を装備。周囲の敵を発見する前進観測システムや,誘導式ミサイルを発射するレーザー目標指示装置も持っている。
狙撃兵の持つ前進観測システムは,周囲に隠れた敵をレーダーに表示させる。もちろん長距離狙撃用に照準がズームできるライフルも強力
援護兵
連射能力の高い軽機関銃と破片手榴弾を装備。またオート・インジェクターで味方兵士の体力を回復できる。さらに,後方から迫撃砲による砲撃支援の要請も可能。
軽機関銃は装弾数が多いので,撃ちまくりでの味方の援護射撃に向いている。オート・インジェクター(注射器)で自分や味方の体力回復もできる

軽兵員輸送車の機銃を撃ちまくり,敵を一掃しているシーン。こうしたさまざまな兵器に搭乗できるのが,バトルフィールドシリーズの楽しみ
マルチプレイでの対戦人数は64人対戦可能なPC版よりは少ないが,それでも24人対戦が可能で,コンシューマ用FPSとしては最大クラス。コンシューマのマルチプレイといえば一般的に8人前後,多くても16人までで,それをいえばPCゲームでも16人対戦までのものが今でも多い。プレイステーション2で12人対12人の大人数シューティングができるのは,正直かなり感動的だ。
これらの話をまとめると,「単にPC版を小さくまとめて移植したものか?」と思ってしまうかもしれないが,実はそうではない。プレイしてみると分かるが,コンシューマ向けとして全体的に非常にうまくバランスを練り直し,PC版とはまた別の意味で楽しめる作品になっている。マルチプレイ部分に関する詳細は次回紹介するとして,まずはコンシューマ版の目玉から見ていこう。
本作がPC版「バトルフィールド 2」と最も異なる点は,シングルプレイにある。PC版でのシングルプレイは,いわゆるBOTによる“擬似マルチプレイ”が楽しめるというだけのモードで,マルチプレイの練習用,もしくは操作に慣れる場所という意味合いが強かった。実際,シングルをそんな夢中になって遊んでいるPC版ゲーマーは少ないだろう。

シングルプレイのミッションが始まる前に,各陣営のニュース番組の映像が流れたりする。どちらの陣営も捏造ニュースばかりで,どんどん紛争は泥沼化していく。……やっぱり中国のニュースは中国語にしてほしかったかも
「モダン・コンバット」のシングルプレイモードは,コンシューマ用ゲームということでPC版以上に注力され,まさに本作の主力モードといえるほど作り込まれている。シングルプレイを充実させるために,発売日を1年近く延ばしたという噂もあったくらいだ。
さて本作のシングルプレイだが,内容は“ストーリー性の高いミッションクリア型”だ。近未来,突如カザフスタンで勃発した中国軍と欧州軍の紛争を題材に,さまざまな陣営側の兵士を操作し,それぞれのミッションを遂行していく。
ミッションは敵基地の制圧であったり,石油採掘施設の防衛であったり,国籍不明タンカーの強襲であったりとシチュエーションも豊富で,ミッション途中にもどんどん状況が変化していき,臨場感溢れる,やたらスピーディな展開が繰り広げられる。

これが本作独特のシステムである,ホットスワップ。キャラを乗り換えるとき,画面の周囲が歪みながら,ものすごい勢いで接近する。まさに「今乗り移りました!」みたいな,イカすエフェクトだ
そして,なんといっても特徴的なのが,本作独特の「ホットスワップ」と呼ばれる乗り移りシステムだ。ゲーム中は,敵も味方もミッション進行中にどんどん増援され,戦場へと送り込まれてくるため,戦場は常に大人数でてんやわんや。そしてプレイヤーは,その場にいるどの味方兵士にでも乗り移って,操作できるのだ。
PC版では,今の兵士が死ぬまで次の兵科は選択できなかったが,本作では状況に応じて臨機応変にキャラを替えて戦えるのである。例えば敵戦車が向こうから近づいてきたとき,もし付近の建物の屋上に味方の工兵がいたら,乗り移って頭上からロケットをお見舞いしてやればいい。
このホットスワップ,映画「マトリックス」でエージェントスミスが次々と人間を乗り移って主人公を追うシーンがあったが,あれに近い感じだ。プレイヤーキャラから見える距離にいる味方キャラなら,屋根の上だろうと海の向こうの施設にいるキャラだろうと,兵器を操縦しているキャラだろうと,どんどん乗り移りながら進めていける。大勢いる味方兵士に,次々と乗り移っては敵を倒し先に進んでいくというゲーム展開は,非常にスピード感があり小気味良く進行していく。
確かに従来の「バトルフィールド」っぽさがあるかというと,これはもう完全に別ゲームといったほうがいい。しかし「バトルフィールド」ならではの大人数での戦闘を,このように解釈して活用するというのは,FPS業界全体から見てもユニークな試みだ。ミッションの合間に挿入されるムービーでは,4陣営それぞれの国のニュース番組風に状況が解説されるのだが,どの国も自分らに都合のいい捏造番組を放送しまくるなど,ストーリー部分もアイロニーが利いていて面白い。

シングルのミッションとは別に,チャレンジモードと呼ばれる演習面もある。ホットスワップで指定の兵士に乗り移り,時間内にゴールせよ! といった特殊な内容になっている
このシングルプレイモードはかなりボリュームがあり,20時間以上はたっぷり楽しめる。またキャンペーンミッションのほかに,チャレンジモードと呼ばれる演習モードもあり,そこではさまざまな武器や乗り物などを使った訓練を行える。キャンペーンのミッションをクリアしていけば,兵の使える武器やチャレンジモードの内容も次々とアンロックされていくので,シングルの遊び応えはかなりあるといえるだろう。
今回はシングルプレイモードを重点的に紹介してみたが,いかがだったろうか。ただの「24人対戦版バトルフィールド2」だとしたら,すでにPC版で遊んでいる人には完全な興味対象外だったところだが,この気合の入ったシングルプレイモードは一見の価値ありだ。
次回はいよいよマルチプレイモードを紹介する。PCで「バトルフィールド 2」を楽しもうとすると,かなり高性能なPCが要求されるため,結局プレイできずに泣く泣くあきらめたPCゲーマーも多いのではなかろうか。そんな人達は,ぜひマルチプレイの紹介をお楽しみに。