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バトルフィールド2 モダン・コンバット 後編 マルチプレイ編

Text by 三須隆弘 

多人数でのマルチプレイこそ,バトルフィールドシリーズの醍醐味。前回紹介したシングルプレイモードとは,まったく違ったゲームだ

 現代戦をテーマに,歩兵のみならず戦車やヘリなど,強力な兵器が入り乱れて戦う人気FPS,バトルフィールドシリーズ。そのプレイステーション2版である「バトルフィールド2 モダン・コンバット」は,コンシューマ機ながら最大24人でのマルチプレイに対応。もちろんPC版と同様にネットプレイは無料で,通信費のみで遊べる。  基本システムとシングルプレイを紹介した前回に続き,今回はマルチプレイ部分,より詳細なゲームシステム面,PC版「バトルフィールド 2」との相違点について紹介しよう。

あのバトルフィールドがPS2に!? その内容はどこがPC版と異なるのか

 まずは基本事項から。前回お伝えしたとおり,本作のマルチプレイは最大24人対戦(12人vs.12人)が可能。マップサイズはだいたいPC版「バトルフィールド 2」の32人用マップサイズ並みで,陣地間を徒歩で移動しようとすれば,かなり広く感じられる。陣営はアメリカ軍,中国軍,中東連合軍,ヨーロッパ軍の4種類で,マップによって登場陣営は固定されている。

 

マルチプレイにおける兵器

 肝心の兵器類は,戦車や装甲車両といった陸戦兵器,戦闘ヘリや輸送ヘリといった航空兵器,それに水上輸送用の高速ボートなんかも登場する。残念ながら,PC版にはあるジェット戦闘機や攻撃機は登場しない。
 またPC版とは異なり,兵器の多くは固有名詞ではなく「攻撃ヘリ」「主力戦車」といった名称で扱われている(なぜか一部は兵器名も登場)。確かに「アパッチ」といわわれても,それがどんな兵器なのか分からない人は,PCゲーマーよりPS2ゲーマーのほうに多そうだが,そう考えるとPCゲーマーに対する知識面での信頼度は大したものだ。それでは,これらの兵器類をざっと解説しておこう。

 

航空兵器

ヘリコプター

攻撃ヘリ,輸送ヘリなどが登場する。とにかく操作が難しく,自由に空を移動できるようになるまでには,シングルなどでかなり練習を積む必要がある。また,ヘリに乗った状態で,パッドで照準を合わせるのはさらに難しいため,強力な対地ミサイルや機銃の命中率も低く,結果的にPC版ほど恐怖の対象ではない。

中東連合軍の攻撃ヘリ。パイロットは操縦と対地ミサイルを。ガンナーは機銃を担当。対空手段が多く,照準操作が難しい本作では,PC版のような圧倒的な脅威にはなっていない こちらは中国軍の輸送ヘリ。ロケットのほかに,左右にミニガンを装備し,兵員を5人まで運べる。こうしたヘリの性能は,どの陣営もほとんど変わりはない 輸送ヘリのミニガンを担当,対地攻撃をしているシーン。アナログスティックへの慣れもあるが,ヘリがホバリングで空中静止でもしない限り,なかなか狙って攻撃が当てられない

 

陸戦兵器

主力戦車,装甲車ほか

主力戦車は攻撃力/防御力共に高く,戦場では頼もしい存在だが,本作では戦闘工兵の使い勝手が良く,狙撃兵が車両に対する有効な攻撃手段(レーザー目標指示装置)を持つため,消耗品的な扱われ方が多い。ほかにも連射できる砲を装備した軽戦車や装甲車,水上移動できる兵員輸送車,強力な機関砲やスティンガーミサイルを搭載した対空車両などが登場する。

アメリカ軍の主力戦車,M1A2。かなり強力だが,地雷を踏んだりC4を仕掛けられたり,レーザー補足ミサイルに狙われると一撃で大破。PC版よりも戦車のパワーバランスが弱くなっているかも こちらは中国軍の主力戦車,98式戦車。性能はアメリカの主力戦車とほぼ変わらない。車両には主力戦車や装甲車など,マップによって配置されている兵器が決まっている 戦車では主砲と運転を担当するドライバーのほか,機銃も担当できる。機銃で弾幕を張り,C4を持って突っ込んでくる特殊部隊や,戦闘工兵の攻撃から戦車を守ってやろう

 

水上兵器

高速輸送艇,軽哨戒艇

武装として,前部にグレネードランチャー,後部に機銃が備え付けられている。しかし高速移動するボートで狙いを定めるのは難しく,牽制用としての意味合いが強い。耐久力も低めで,攻撃を受けて爆破されると,たとえギリギリで脱出しても爆風で大ダメージを食らってしまうので,あくまで戦闘用ではなく移動用の兵器と考えたほうがよさそう。

ボートにはグレネードや機銃が設置されているが,耐久力がないので攻撃用としては使わないほうがいい。あと,後続の兵が乗り込む前にさっさと自分一人で出航したりしないように マップによってはボートは重要な戦術兵器になる。写真は海上の石油採掘施設に,陸からボートでやってきた敵兵が,次々と乗り込んでくるシーン 水中用,というわけではないが,アメリカ軍の水陸両用兵員輸送車は川を渡れる。運転席視点では視界が狭くなるので,外部視点で周囲を警戒しながら運用したい

 

マルチプレイにおける兵科

 何といってもPC版との大きな違いは,兵科の種類だろう。本作の兵科は「突撃兵」「特殊部隊」「狙撃兵」「戦闘工兵」「援護兵」の5種類で,PC版で地味な後方支援が多かった兵科がいくつか統合され,すべての兵科に活躍の機会が増えた。シングルプレイにおける兵科の能力については前回簡単に解説したが,今回はマルチプレイにおける兵科の特徴に関して,詳しく解説していこう。

 

突撃兵

PC版やシングルプレイでは,アサルトライフル付属のグレネードランチャーがかなり強力な突撃兵。が,本作マルチでは威力,爆破範囲共にパワーダウンしている印象。それによって前線ではアサルトライフルでの撃ち合いが増えている。

各陣地の近くには,こうした回復用,弾薬補給用の箱が置かれている。ここに接近すれば,体力や弾薬が回復していく。この箱が置かれた場所をしっかり覚えておきたい

 

特殊部隊

PC版の拡張パックで採用されたスタングレネード(光と音で相手を麻痺させる)を持っているが,これは効果範囲が広いので,いろいろ使い方を研究する余地がありそうだ。相変わらずスイッチ式のC4爆弾の威力は凄まじい。ただPC版では司令室やレーダー,砲台など施設の爆破が可能だったが,本作ではそういった施設が登場しないので,若干活躍の場が少なくなってしまったか。

特殊部隊のスタングレネードをくらうと,このようにしばらく画面が真っ白になる。効果範囲は,爆風でダメージを与える手榴弾より広めな気がする

 

狙撃兵

スナイパーライフルはPC版よりもずっと威力が高く,相手に当たりさえすれば,体や足でも一撃で倒せたりする。また,前進観測システムにより周囲の敵をレーダーに表示させることや,レーザー誘導装置を使ったヘリや戦車への強烈なミサイル攻撃が可能になっている点も大きい。これは地上に設置された対空ミサイルと同様の使用方法だが,地上車両にも効果がある。

狙撃兵の持つ,レーザー誘導装置は,ターゲットを照準に捉え,トリガーをしばらく押しっぱなしでロックオンしなければ発射されない

 

戦闘工兵

PC版の対戦車兵と工兵が融合し,使い勝手の良い兵科になった。ブロートーチによる車両の修理,地雷の設置も可能だ。ただ兵器の損耗が激しい本作の場合,PC版よりも修理の重要性が薄れてしまっている気がする。また地雷は設置場所によっては画面に丸見えなうえ,銃で撃てば簡単に破壊できるので,決定的なディフェンス兵器にはならない。

敵の戦車が複数攻めて来た拠点に,味方援護兵が迫撃砲支援を行ってくれた。自分も戦闘工兵でロケット撃ちまくり,戦車は一網打尽に!

 

援護兵

オート・インジェクター(注射器)で自分や味方の体力回復が可能だが,PC版の衛生兵のように,倒れた味方の蘇生はできない。面白いのは砲撃支援で,あるポイントをトリガーでロックし続ければ,そこに上空から迫撃砲からの砲弾が降り注ぐ。PC版の衛生兵と援護兵の中間的な兵科になっている。

援護兵のオート・インジェクターは味方にかなり接近して使わないと,自分自身を回復してしまうので注意。ただ,PC版よりはるかに損耗が激しい本作では,回復や修理の重要性が若干薄れている気も……

 

 なお本作には,PC版の分隊や司令官といったシステムはなく,そういった要素の代わりに,援護兵が支援砲撃要請を行えたり,マップ上に砲撃用の設備があったりする。この砲撃用設備は,援護兵の迫撃砲支援よりもさらに強力な砲弾の雨アラレを,好きな場所に降らせられるのだ。

 また,PC版では敵を発見報告することで味方レーダーにその敵が表示されたが,本作ではその要素はなくなり,代わりに狙撃兵の前進観測システムで敵を索敵し,味方レーダーに表示させる仕組みとなっている。狙撃兵の偵察能力,援護兵のサポート能力がより高まっているわけで,こういった変更はPC版の各種要素をうまくアレンジし,よりコンシューマ機向きに作り直してあるといえる。

 以上が,PC版とコンシューマ版である本作における,マルチプレイの主な違いである。しばらくプレイしてみて感じたのだが,本作はPC版と比べて“全体的によりスピーディに”なっている。戦車やヘリといった強力な兵器も,PC版に比べると破壊される機会が多い。前線の陣地も取ったり取られたりと,絶えず動き続ける。結果としてゲームのテンポが早く,また気軽に遊びやすくなった感じだ。

 

マップ上には,こういった特殊なマークの設備がある。ここを使うと,援護兵の迫撃砲支援よりもさらに強力な砲撃支援が行える。ただ準備に時間がかかるため,連続して使えない 陣地を占領するには,旗の近くでしばらく待機する。画面下の旗メーターがあるが,これがいっぱいになれば自分の陣地になり,味方がここから復活できるようになる 敵や味方が倒れると,死体はすぐに消えてしまうが,使っていた武器はその場にしばらく残る。△ボタンでこの落ちている武器を拾って,兵科を変更することもできる
ヘリは操縦が難しい。慣れないうちは,ちゃんとシングルで練習してからマルチで乗り込むように。兵員を満載したヘリが,フラフラ不安定に飛んでいく,というのだけは勘弁 特殊部隊が持っているサブマシンガンは命中精度,連射性能が高く,スナイパーライフルのような使い方もできる いくらチーム戦が主体で,戦術的要素が大きいとはいえ,出会い頭の撃ち合いに勝てるものが有利なのは変わらない。まずは特訓だ

 

対戦パフォーマンスは優秀!マップもバラエティに富んでいる

 それでは何より気になる,マルチプレイ時のパフォーマンスについての話に移ろう。本作は個人でサーバーを立ち上げることができず,海外に設置された専用サーバーへJoinする形式になっている。なので,友人と遊びたい場合やクラン戦の場合などは,事前に人のいないサーバーで待ち合わせを決めておくしかない。

敵の陣地から旗を奪取し,味方陣地へ持っていくキャプチャー・ザ・フラグ。人気は今一つだが,対戦人数が少ない場合はコンクエストよりこちらのほうが楽しいかも

 この専用サーバー,2006年2月の時点ではかなりの数が立ち上がっている。さまざまなルールやマップの設定が用意されているので,人が多すぎ,あるいは少なすぎて遊べなかったりすることはない。海外の専用サーバーということで,気になるのは対戦パフォーマンスだが,これについては驚くほど優秀で安定していた。2〜3Mbps程度と,今となっては比較的低速なADSL回線でも,ラグや通信エラーのたぐいは一切なく,とても快適な対戦が楽しめる。
 日本からブロードバンド回線で接続している場合,ほとんど問題なくゲームが楽しめるのではないだろうか。海外に設置されたサーバーでも十分なパフォーマンスとはいえ,ぜひ日本でも大人数用の専用サーバーを設置してほしいところだ。

 対戦用のゲームモードは,CTF(旗取り戦)とコンクエストの2種類がある。人気はやはりコンクエストで,これはPC版と同様,マップ上に設定された陣地を奪い合いながら,相手のチケット(プレイヤーの再出撃数)を減らして勝敗を決めるモードだ。

 

サーバーの数はかなり多め。WEST系のサーバーならかなり快適に遊べるが,外人に撃ち負けたりすると,反省もせず,「日本サーバーも欲しいなぁ」とか思ってしまう サーバーの設定によっては,次回マップを投票で決めるところも。こういったサーバーでは同じ人気マップが連続して続いたいりもする 投票によりプレイヤーの追放もできたりする。味方をわざと攻撃するような悪質プレイヤーは,投票で退室していただきましょう

 

すべてオリジナルマップ

 マップは全部で13種類あり,すべてPC版にはないオリジナルマップが用意されている。また,使用マップは全プレイヤーからの投票で決定しているサーバーが多く,必ずしもバランスが均等ではなく偏った戦力差のマップも多いせいか,滅多に出てこないマップも結構ある。ここでは採用頻度の高い,代表的なマップをいくつか紹介しておこう。

 

BridgeTooFar

中国の港でアメリカ軍と中国軍が戦うマップ。かなりの人気マップで,投票で何度も選ばれることが多い。両陣営が,地形的/戦力的にはほぼ互角の状態からスタートし,ビルの屋上からスナイプ合戦をしたり,開けた場所で突撃兵同士の銃撃戦になったり,戦車同士が激しくぶつかり合ったりと,バラエティに富んだ戦闘が展開される。

 

Backstab

中東の都市で,アメリカ軍と中東連合軍が戦うマップ。これも非常に人気のあるマップで,プレイする機会は多いだろう。中心の市街地は建物が多く,狭い室内に突入しての遭遇戦など,近距離〜中距離での銃撃戦が展開されやすい。両陣営,有利不利があまりないマップで,乾いた大地や中東風の建物など,バトルフィールドらしいマップといえる。

 

TheBlackGold

海上石油採掘施設をめぐり,アメリカ軍と中東連合軍が戦うマップ。攻撃側はアメリカ軍で,陸地の航空基地からスタート。守備側は中東連合軍で石油採掘施設からスタートする。攻撃側であるアメリカ軍はヘリや高速ボートを使って石油採掘施設へ兵を送り込むのだが,連携を取らず個々に向かうと返り討ちに遭いやすい。バランスは大雑把だが,シチュエーション的にはかなり面白いマップだ。

 

Coldfront

雪山に設営された前線基地で,中国軍とヨーロッパ軍が戦うマップ。雪原地帯での戦闘となる。前線基地のある丘の上にはバンカーが設置され,強力な固定機銃で防御できるが,案の定スナイパーの恰好のマトにもなったりする。見通しの良いマップなので,ずっとスナイパーで伏せたまま動かないプレイヤーもよく見かけるが,やはりここではスナイパー禁止を望む声もあるようだ。

 

 本作のマルチプレイは,コンシューマ用にアレンジされてはいるものの,「バトルフィールドらしさ」はきちんと再現されており,多人数対戦の面白さという意味では決してPC版に劣っていない。対戦人数やシステム面などで,若干スケールダウンしてしまった部分もあるが,それを補う要素も追加されており,「気軽に楽しめる」という面ではPC版に勝っているともいえる。
 筆者の場合,コンシューマ版のFPSとしては「SOCOM」以来,久々にハマって遊びまくってしまった。シングルプレイこそオリジナル性の高い展開だったが,マルチプレイはまさに“バトルフィールド”の名を冠するにふさわしい内容だ。

 PC版で「バトルフィールド 2」を楽しもうとすると,かなり高性能なPCが要求される。本作は,そんな高性能なPCはないけどバトルフィールドは遊びたい! という人には,まさに打って付けな作品だ。PC版をやり込んでいるという人でも,別のバトルフィールドシリーズとして楽しめるので,興味があるならぜひ一度プレイしてみてほしい。

 

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/specials/bf2_mc/002/bf2_mc_002.shtml