ラ・フロンテーラでは,戦闘関連のシステムが大幅に強化されており,プレイの幅がさらに広がる
7月14日に掲載した「大航海時代 Online」開発者インタビュー<前編>では,大型拡張パック「〜La Frontera〜」(ラ・フロンテーラ)のアップデート内容のうち,開拓地や海賊島,ジョイントビルドシステム,論戦(カードバトル)などについての情報をお届けした。その<後編>となる本稿では,陸上戦,アパルタメント,定期船,「〜La Frontera〜」(ラ・フロンテーラ)のビジネスモデルなどに関する新情報を紹介。合わせて,ラ・フロンテーラと同じタイミングで公開となる新ワールド「Boreas」(ボレアス)についても触れている。
既存のプレイヤーだけでなく,本作に興味を持つ「新規プレイヤー候補」も,ぜひ目を通してみてほしい。
4Gamer:
ジョイントビルド造船や対人戦システムの見直しによって,海上戦闘は大きく様変わりしそうですが,陸上戦に関しても,かなりの改良が施されているようですね。これは基本的には,陸上戦に距離の概念が導入されると考えていいのでしょうか。
竹田智一氏:
コーエー ソフトウェア事業部 ソフトウェア4部 マネジャーの竹田智一氏。すべてのプレイヤーに「大航海時代 Online本来のワクワク感」を楽しんでもらえるよう,ラ・フロンテーラの開発に全力を注いでいるという
そうですね。多対多で陸上戦を行ったときに,従来よりもさらに戦術的なバトルが楽しめます。具体的には,武器アイテムに有効射程距離の属性を付与しました。剣ならば近距離,投げナイフなら中距離,銃器なら長距離といった具合に,装備する武器によって有効な立ち位置が変化するんです。
4Gamer:
なるほど。ということは,必ずしも銃器を装備して長距離攻撃をし続けるのが有効,というわけではないのですね。
竹田智一氏:
はい。近距離属性が近寄る前に長距離からの攻撃で仕留める,というようなことはできません。近距離属性と長距離属性との戦闘が発生したら,近距離の間合いでバトルスタートとなるので,近距離属性が有利になります。
4Gamer:
銃器による長距離攻撃で安定した結果を出したいなら,剣などを装備した“前衛”が必要になってくる,と。
竹田智一氏:
そのとおりです。距離属性の導入は,主に陸上でのパーティプレイを強化するためのものなんです。
4Gamer:
近距離属性,中距離属性,長距離属性には,それぞれ相性が設定されており,その「強さ」はパーティ構成や相手の距離属性によって大きく変化する
銃器の攻撃力が高いとしても,距離属性による相性があるから,パーティメンバー全員で銃器を装備すれば強い,というバランスではないんですね。
竹田智一氏:
はい。その場合,相手全員が近距離属性の武器を装備していたら,一瞬でやられてしまうかもしれません。ちなみに,ラ・フロンテーラからは,職業によって得意な武器が設定されます。商人ならば,銃器の扱いはうまいけれど,剣や槍を持って戦うのは苦手,というような感じになります。
4Gamer:
そうなると,武器の選択が非常に重要になってきますよね。戦闘中に武器を持ち替えることは可能なんですか?
竹田智一氏:
武器は,メイン武器とサブ武器をそれぞれ装備でき,戦闘中に交換が可能です。メイン武器とサブ武器の距離属性が異なっていれば,それを切り替えることで,戦闘時のフォーメーションが変更できる,というとイメージしやすいかもしれません。
4Gamer:
冒険者は陸上戦の発生する頻度が高い職業ですが,今後はパーティを組む機会が増えてきそうですね。
竹田智一氏:
冒険者はソロでも行動しやすい職業だけど,冒険中にどうしても倒さなければならない敵がいるケースなどでは,護衛が必要になるでしょうね。
渥美貴史氏:
今までは「煙玉」(陸上戦から離脱できるアイテム)を使い,陸上戦を回避する攻略法もありましたが,ラ・フロンテーラでは,クエスト上どうしても倒さなければならない敵が登場するので,やはりパーティプレイは重要になってくるといえるでしょう。
竹田智一氏:
いわゆるボス敵の存在ですね。また,陸上戦で得られるメリットを増やす予定もあるので,陸上戦の価値が若干高くなるはずです。
4Gamer:
これまでだと,陸上戦は冒険者しか楽しめないような印象があったんですが,今後はみんなで楽しめるようになりそうですね。
竹田智一氏:
まさにそうですね。先ほどの距離属性の話もあるし,性能のいい武器を生産できるようにもなるので,商人プレイヤーでも十分楽しめるはずです。敵からのドロップ品も充実するし,むしろどんどん陸上戦を楽しんでほしいですね。
4Gamer:
陸上戦の物足りなさは,以前から指摘されていたところですが,ラ・フロンテーラで大幅に改善されそうで,安心しました。しかし,通常のMMORPGのような戦闘がないにもかかわらず楽しめる作品だったのに,これで戦闘が充実しちゃったら,さらに面白さが広がっていきそうですね。
竹田智一氏:
チャプター1での陸上戦強化は,大航海時代 Onlineというゲームを完成形に近づけるための土台作りに過ぎません。プレイスタイルを広げる選択肢の一つ,という位置づけです。陸上戦に限らず,今後も積極的に,面白そうな要素をどんどん盛り込んでいって,大航海時代 Onlineを「戦闘も面白い」MMORPGに育てていきますよ。
渥美貴史氏:
戦闘中心のMMORPGが多い中,大航海時代 Onlineは戦闘以外のコンテンツで勝負してきましたからね。今後は戦闘に関わる要素も継続的に強化していき,理想の海洋冒険MMORPGといえるものを目指します。
4Gamer:
「理想の海洋冒険MMORPG」という発言がありましたが,ラ・フロンテーラで導入される“アパルタメント”も,かなり大きな意味を持つ新コンテンツですよね。
渥美貴史氏:
同じく,コーエー ソフトウェア事業部 ソフトウェア4部 マネジャーの渥美貴史氏。ラ・フロンテーラでは,βテストを少しだけ遊んだという人にも復帰の機会を提供し,大航海時代 Onlineの「今」を知ってもらいたいと語っていた
そうですね。チャプター1の時点では,「ハウジングシステム」と呼べるほどの大規模な仕様ではないのですが,きっと多くのプレイヤーに喜んでもらえると思います。
4Gamer:
アパルタメントは,すべてのプレイヤーが持てる「自分だけの部屋」ということですが,具体的にはどのような機能が備わっているんですか?
渥美貴史氏:
まず,アパルタメントの中にはクローゼットが設置されています。クローゼットにはコスチュームを収納でき,収納している間は,時間経過による耐久度の低下が発生しません。装備品は,マネキンに着させて室内にディスプレイすることもできます。また将来的には,手に入れた発見物などをディスプレイできるようにする予定です。
竹田智一氏:
発見物のディスプレイに関しては,チャプター2以降の導入になってしまうでしょうが,いずれは実装したいですね。またこれも将来的な話ですが,アパルタメントに配置するための家具類も生産できるようにしたいです。
4Gamer:
以前から,いずれは「自分だけの部屋」をコーディネートできるようなシステムを導入したいと言っていましたしね。チャプター1でそのベースとなる機能が実装されるなら,アパルタメント関連のコンテンツ拡充は,時間の問題でしょうね。
竹田智一氏:
そういったカスタマイズ性は,プレイヤーからの要望も多い部分なので,どんどん拡張していきたいところですね。
渥美貴史氏:
プレイヤーからの要望という点でいくと,副官が実際のキャラクターとして登場することにも触れたほうがいいですかね。
4Gamer:
おお,ついに副官キャラクターが登場するんですか!
渥美貴史氏:
はい。いよいよ彼らが,3Dモデルとしてゲーム中に登場します。
竹田智一氏:
アパルタメントには,「お留守番」的な感覚で,副官一人を配置できるんです。副官は複数雇えるので,アパルタメントが安息の場所になるような,お留守番用の副官を雇用してみるのも面白そうですね。
4Gamer:
それはやはり,「お帰りなさいませ,ご主人様」というシチュエーションなんでしょうか(笑)。
竹田智一氏:
そういうロールプレイを楽しむプレイヤーも,当然いるでしょうね(笑)。副官システムを利用している人は,以前から副官にお気に入りの服を着させたりしていたので,このお留守番システムも気に入ってもらえるんじゃないでしょうか。
渥美貴史氏:
もちろん,アパルタメントに友人を招待したり,逆に遊びにいったりもできるので,コミュニケーションの場としても活用してほしいですね。
4Gamer:
アパルタメントは,そのプレイヤーの本拠地に設置されるとのことですが,本拠地のどのあたりに建物があるんですか?
竹田智一氏:
本拠地の広場に面した大きな建物です。その内部に各自の部屋があるイメージですね。他人の部屋にはメニューを通じて移動できるような仕様です。
4Gamer:
ちなみに,アパルタメントの利用条件について教えてもらえますか?
竹田智一氏:
実はまだ確定していないんです。多くのプレイヤーに利用してもらいたいけれど,不動産として価値に見合った金額にしないと不自然ですし,本当に悩ましいところですね。基本的には賃貸マンションみたいなものなので,それほど厳しい条件にはならないと思います。誰でもすぐに利用できるかと問われると即答できませんが,初期の利用料として適正な設定をするつもりです。