ラ・フロンテーラのチャプター1「Aztec」(アステカ)では,伝説の黄金郷“エルドラード”を探し求める冒険が楽しめる
「大航海時代 Online」の拡張パック「大航海時代 Online 〜La Frontera〜」(ラ・フロンテーラ)の発売時期は,2006年8月下旬ということになっているが,6月1日に行われた発表会でその概要が発表されて以来,大規模な情報公開は行われていない。
そこで4Gamerでは,同作の開発の要ともいえるコーエー渥美氏/竹田氏に,恒例(?)のロングインタビューを敢行。まずは前編として,開発の進捗状況や開拓地,海賊島,ジョイントビルドシステムや論戦(カードバトル)などの情報をお届けしよう。
4Gamer:
本日は,「大航海時代 Online」の大型拡張パック「大航海時代 Online 〜La Frontera〜」(ラ・フロンテーラ)に関する最新情報を,たっぷりと聞かせてほしいと思ってお邪魔しました。
コーエー ソフトウェア事業部 ソフトウェア4部 マネジャーの渥美貴史氏。インタビュー中,さまざまな情報を気前よく教えてくれる点はありがたいのだが,まるでリドルのような婉曲表現で我々をじらすことが多い,ミステリアスな人
渥美貴史氏:
先日の発表会では,時間が限られていましたし,紹介できる内容にも制限があったので,ラ・フロンテーラの表層的な部分しかお伝えできませんでしたからね。今回は期待していただいて結構ですよ。
竹田智一氏:
4Gamerさんでのインタビューは,もはや恒例といってもいいですからね。こちらとしても,それなりの情報を用意させてもらいました。
4Gamer:
それは期待できそうですねぇ。ではさっそくですが,「海を翔けるロマン」「手を伸ばせば,そこは新天地」というテーマ/コンセプトに基づいて,ラ・フロンテーラは開発されたそうですが,やはり最大のセールスポイントは,新大陸/新海域の追加にあると考えていいのでしょうか。
渥美貴史氏:
そうですね。新大陸/新海域の追加は,ラ・フロンテーラにおいて非常に重要で,最もウリとなる部分です。今までも定期的なアップデートで,さまざまなシステムを追加してきたのは確かですが,大型拡張パックならではの,バラエティに富んだコンテンツの導入は,既存のプレイヤーだけでなく,新規プレイヤーにも喜んでもらえると考えています。
竹田智一氏:
前回の大型アップデートが2月22日だったので,現役プレイヤーからすると,そろそろ何か新しいコンテンツがほしいな,という時期だと思うんですよね。
4Gamer:
確かに,小〜中規模のアップデートでは,ゲーム内世界に大きな変化は起こりにくいですからね。前回のインタビューでは,今後の長期計画についてお話ししてもらいましたが,拡張パックのリリースを含むアップデートは,ほぼ予定通りに進んでいるようですね。
渥美貴史氏:
はい。開発は順調に進んでいます。
新海域の開放に伴い,コスチュームが大量追加。民族衣装や礼服なども増え,キャラクターの個性がより表現しやすくなる
4Gamer:
ラ・フロンテーラは複数のチャプターから構成されていて,今夏公開予定のチャプター1「Aztec」(アステカ)では,伝説の黄金郷“エルドラード”を探し求める冒険が楽しめるということですが,これは各国に,新たなストーリーが追加されるということなんですか?
竹田智一氏:
チャプター1は「Aztec」ということで,冒険の舞台となる古代遺跡もいくつか追加されそうだ
ストーリーによって冒険へ誘導するというよりは,システムベースで目的を提示する,といった感じになります。なので,「エルドラードを探し求める冒険」というのは,いわばチャプター1の象徴というべきものですね。
4Gamer:
なるほど。では黄金郷と呼ばれる地域には,上級者でもそう簡単にはたどり着けないわけですか。
竹田智一氏:
ええ。総プレイ時間の長い上級者プレイヤーが,黄金郷の富を独占しようと思っても,まず無理でしょうね。
4Gamer:
それは,黄金郷周辺の海域に登場するNPC船が強いから,無理ということですか?
同じく,コーエー ソフトウェア事業部 ソフトウェア4部 マネジャーの竹田智一氏。まるでリドルのような婉曲表現で我々をじらす渥美氏に対し,「またそういうまどろっこしい表現しちゃって!」と突っ込みを入れてくれる,親切な人
竹田智一氏:
そういうわけではないのですが,のちほどお話しする“開拓地”などのシステムも,密接に関わってくる要素なんです。プレイヤー達が力を合わせ,開拓地をある程度発展させていかないと,黄金郷の謎は解けないようになっているんです。
4Gamer:
なるほど,そうなってくると,総プレイ時間の長い上級者プレイヤーがまっ先に黄金郷を発見し,利益を独占するといったこともなさそうですね。
渥美貴史氏:
ラ・フロンテーラはチャプター制になっていて,チャプターごとに新海域が導入されていきますが,そういった仕組みと深い関係があるのが,“勅命”システムです。発表会の時点では,4か月ごとに新チャプターを導入したいとお話ししましたが,チャプターごとに新海域が開き,その海域を舞台とした“勅命”が下され,「よーし,みんなで勅命を受けて,新海域に一番乗りするぞ!」という,ゲーム内のムーブメントというか,活気みたいなものを表現したかったんです。
4Gamer:
高レベルキャラクターを持っていれば簡単に解き明かせてしまう「謎」だったら,新海域開放直後の活気も,若干弱くなってしまいますからね。プレイヤー同士の協力が前提として用意されているなら,中級者層も一安心でしょう。
渥美貴史氏:
今までの大航海時代 Onlineのシステムだと,個人で名声を稼ぎ,入港許可証を得て,新しい海域や街に踏み込んでいくという流れが基本でした。しかしラ・フロンテーラでは,各国の王から「新大陸のほうを開拓するべし」という,国民みんなでなしとげるクエストのようなものが発生するわけです。
4Gamer:
その勅命は,所属する国家によって異なる内容なんですか?
竹田智一氏:
「新天地」を発展させるためには,国家単位での協力体制が不可欠である
細部は異なるんですが,目的は同じといえますね。どの国が新天地を最も早く開拓できるかを競い合うことになるので。
4Gamer:
なるほど,国家ごとにプレイヤーが団結して,ワールド全体で競争すると。
竹田智一氏:
そうですね。勅命の達成が所属国家の利益となり,新海域の開放にも結びついているので,かなり盛り上がると思いますよ。
4Gamer:
今までだと大海戦イベントや,特定の港への投資合戦などで「所属国家」というコミュニティが意識できましたが,ラ・フロンテーラでは,国家を意識させる要素がさらに増えるわけですね。これはやはり,コミュニティの発展を願っての新システムということになりますか?
竹田智一氏:
そういう狙いは確かにありますね。大航海時代 Onlineだと,一番大きな単位のゲーム内コミュニティが「国家」ということになります。艦隊や商会という単位は,ある意味,国家を越えられるもの。艦隊は一時的で気軽なコミュニティだし,商会は,気の合うさまざまな人が,さまざまな目的で所属しますよね。そういったことを踏まえたうえで,国家という強固なコミュニティを,より明確にアピールしていきたいなと考えています。