4Gamer:
それでは,国家について教えてください。第2次βテスト以降は,5か国すべての国家を選択可能になっていました。前のインタビューでは人気国/不人気国が出てしまうのではないかとの予想も出ていましたが,実際にはどうでしたか?
田中氏:
第1次βテストでは,「カセドリア連合王国」と「ゲブランド帝国」の二つから選べたのですが,最初のうちはカセドリアに人が集まっていました。王様が女の子のキャラということで,人気があったようです。でも後半は,他方のゲブランドにも人が増えてきていました。第2次βテストに入ってからは……以前のインタビューで渡辺さんが「ジイサンの国にはなかなか人が集まらないんじゃないか」と発言したせいかどうかは分かりませんが,なぜかジイサンの「エルソード王国」が人気で(笑)。
4Gamer:
ああ,やっぱりエルソードは人が多かったんですね。プレイしながら,なんか多いなぁと思っていたんです。
スクウェア・エニックス ファンタジーアース アシスタントプロデューサー
藤本哲哉氏(以下,藤本氏):
第3次βテストでは,追加募集でそれまでより多くの人が入ってきて,また第1次βテストと同じような(女性の王様の国に人が集まる)パターンに戻って,女戦士が王様の「ホルデイン王国」が一番人気でした。
スクウェア・エニックス ファンタジーアース プロジェクトアシスタント
成田正美氏:
初心者の方が多く集まっていたのか,ホルデインはなかなか勝てない国になっていましたね。
田中氏:
王様のイメージで,集まる人達のカラーが決まってくるみたいですね。戦い方なども国によって違ったみたいで。
4Gamer:
国によって,戦い方が変わってくるというのは面白いですね。国ごとに,得意な戦術といったパラメータが用意されているわけではないんですよね。
田中氏:
ええ。でも第2次βテストでは,ネツァワルがまるで“戦闘民族”という感じで,とても強かったです。このゲームは,一回の戦争の中で一度状況が見えてしまうと,そのあと逆転が難しい部分もあるんです。でも,ネツァワルにだけは,“最後に逆転できる!”みたいな雰囲気がありました。
あと,国のイメージに合わせてクラスを選んでいる人も多かったですね。エルソードにはソーサラーが多くて,カセドリアはやっぱり弓矢のスカウトが多い。そうなると,戦い方にも特徴が出てきます。どの国でどのクラスを選んでも変わらないのですが。
渡辺氏:
βテストをやってみるまで分からなかったことの一つに,「バランスというのは,そこに所属する人達のアクティブさに依存するんだなぁ」ということが挙げられます。ゲームのパラメータはいろいろ調節できますし,そうやってバランスをとっていくんですけれども,それはそれとして,やっぱりアクティブな人がいる国は断然強いんですよね。
4Gamer:
そのアクティブさとは,“積極的に戦場に出向く”,あるいは“チャットで仲間に指示を出す”ということでしょうか?
渡辺氏:
そうですね。あとは戦争の中でちゃんと役割を意識して動くとか,負けそうになっても最後まで粘るとか,そういう心構えみたいなものもあるでしょう。そういう意味では,わりとメンタル面が重要なゲームになっています。
田中氏:
ある国の国民は,負けそうになるとすぐに抜けていくけど,ネツァワルの人達は負けそうでも最後まで残って戦う,みたいな。
藤本氏:
国民が多い国=強い国というわけではないですね。
成田氏:
例えば先ほどのホルデインですが,国民に初心者が多いので,人が集まっているところになんとなく寄っていって,どんどん倒されてしまって……という,戦略性のない戦いになってしまうことが多く,なかなか勝てなかったようです。
藤本氏:
一人強いキャラクターがいたからといって,どうにかなるゲームではないですね。弱いキャラでも何人か集まって,きちっとした行動がとれると,成果につながっていきます。
渡辺氏:
オベリスクを建てに行くときも,自分が全体の中でどういうことをしているんだということを考えて働けると,俄然強くなりますよね。
藤本氏:
オベリスク破壊担当を自認する人達って,敵オベリスクが壊れそうになると,自軍のオベリスクを建てられる人を即座に呼ぶんですよ。壊した途端に,自軍のを建てられるように。
渡辺氏:
無言でこう,連係するのが結構気持ち良かったりします。
田中氏:
チャットで一言,「(召喚モンスターの)ナイトになりたい」って言うだけで,何人もの人がそのために必要なクリスタルをこっちに渡してくれたりしますよね。
藤本氏:
どうしてもアクション性が強いので,ゆっくりチャットする余裕はありませんが,次第に“何となくの意志疎通”ができるようになってきますね。ミニマップで一人だけ違う方向に向かっている人がいると,「ああこの人はオベリスク倒しに行くんだな」というのが分かったりするんで,自分も手伝いに行ってみたりとか。そういうのが,面白いですね。
4Gamer:
チャットをしながら戦うのは,結構難しいですよね。ボイスチャットの実装などは,将来的に考えていたりしませんか?
渡辺氏:
話だけなら,何度も出ていますね。そこに踏み切れない大きな理由の一つが,「どんな声が聞こえてくるのかちょっとコワイ」というか……。可愛い女の子キャラクターの声が……みたいな(笑)。ボイスチェンジャーとか使えばいいんですかね。まあ,これは冗談ですけど。
4Gamer:
技術的にはどうなんでしょう。「よし」と腰を上げればすんなり実装できそうなものなのでしょうか?
田中氏:
ボイスチェンジャーを入れたとしても,CPUにかかる負荷はそれほどでもないと思います。ただ,人数をどう切るかとか,いろいろと仕組みを作り上げる必要はありますね。100人が同時に喋ってしまったら,わけが分からなくなるでしょうし。ただ,決して不可能だとは思っていません。
成田氏:
今,あまり使われていない気がするのが,ショートカットキーを使った発言です。ちゃんと自分の行動や現在地,敵の数なんかを上手に伝える準備をしておけば,いろいろなことを伝えられるんです。もっと使ってほしいな。
藤本氏:
ゲーム的には,そういった情報伝達は,スカウトがやっているのかもしれないですね。
田中氏:
ハイドで消えていれば,ゆっくりチャットできますからね。