― プレビュー ―
ZOIDS初のオンラインゲームはいかに改善されたか? 第二次クローズドβテストレビュー
ZOIDS ONLINE WARS
Text by YOSHIHARA
2006年8月29日

※以下の記事は,2006年8月8日時点(第二次クローズドβテスト)でのゲーム内容をもとに制作しています。あらかじめご了承ください

 

 ZOIDSポータルサイト「ZOIDS UNIVERSE」(以下,ZU)と,オンラインストラテジー「ZOIDS ONLINE WARS」(以下,ZOW)の第二次クローズドβテストが,8月8日午後4時に終了した。今回は,第二次クローズドβテストと,前回の第一次クローズドβテストを比較しながら,改良ポイントを中心にゲーム内容について紹介していこう。なお現在は,第三次クローズドβテスターの募集を,8月31日(木)まで実施中。本稿をきっかけに本作を知ったという人は,今すぐご応募を。

 

 

一人でできた! シングルプレイの導入は良し

 

ZUのサイトでアバターを作成し,ZOIDSを1機以上購入することでZOWをプレイできる。ZOIDSなしではプレイ不可

 本作は,タカラトミー(旧トミー)が発売している,恐竜や古代生物をモチーフにした人気アクショントイ「ZOIDS」および,これを題材にしたアニメシリーズに基づく,ターン制のオンラインストラテジー。とはいえ生産など複雑な要素はなく,ミッションごとにユニット(ZOIDS)を配置して戦闘を行うという,コンシューマテイスト溢れる,カジュアルストラテジーとでもいったコンセプトになっている。

 そんな本作のテストも,今回が2度目。第一次クローズドβテストと比べて特筆すべきは,なんといってもシングルプレイモードの実装である。前回のテストはマルチプレイモードのみで,しかもテスターが300人と少ないにも関わらず,約5分の間に誰も来ないとMISSION選択画面まで強制的に戻されてしまうというシステムだった。
 そのため,テストプレイをしたくてもできず,いつしかプレイすることを諦めてしまったという人もいたようだ。また,プレイできたとしても,対戦相手のいた一部のマップにしか触れられなかったという人も少なくない。その点,今回はマルチプレイをする相手がいなくても,とりあえずシングルプレイでゲームの世界に触れることができたというわけだ。
 しかも,シングルプレイで敵ZOIDSを倒して経験値を得ていけば,自分のZOIDSやアバターの能力強化も可能だし,マップ全体を見渡すことで,マルチプレイに向けた作戦を練ることもできる。このあたりは,大きな進歩といっていいだろう。
 だが,こうしたシングルプレイがまともに動くようになったのは,テスト終盤に修正パッチが配布されてからのこと。それまでは,通信エラーで中断されることも多かった。さらに経験値を手に入れても,成長に反映されないというバグも見られた。第三次クローズドβテストでは,これらの問題点が開始時点からクリアされていることを切に願う。

 

シングルプレイでは,NPC側は帝国でも共和国でも5機出撃する。帝国はモルガ,共和国はゴドスが隊長機。 ゴドスもモルガも強くはないが,基本的に初期配置からあまり動かないのでこちらから向かう必要がある

 

 

Ziポイントは多い? 少ない?

 

アバターのパーツは豊富だが,30ZiPもする。それに使うくらいなら武器やZOIDSに……と思うのが人情

 今回も,ZOWのプレイに必要なZOIDSはZUにログインしてから「ショップ」でZOIDS本体を購入するシステムだった。これはZUのアバター選択画面に赤字で表示されているので,よほどのうっかりミスでもしない限り,見落とすことはないだろう。
 第二次クローズドβテストでは,アバターパーツやZOIDS本体,ZOIDSパーツの購入に必要なZiポイントは3000Ziポイント(Ziポイント:ZU内の通貨単位。以下,ZiP)が割り当てられていた。前回が基本的に1万ZiP(これ以下のテスターもいた)だったのに比べるとかなり減額されているが,これは前回の額が多すぎたという判断に基づいた設定なのかもしれない。実際,前回は「AZ120mmグランドキャノン」装備のモルガ軍団が多く,ゲームバランスが崩れかねなくなっていた。
 ただ,テスターにしてみれば,「ガイロス帝国」(以下帝国)と「ヘリック共和国」(以下共和国)のいずれもプレイしたいところ。そういう意味では,ZiPがあっという間に足りなくなってしまう人もいたようだが,ZiPを補充する手段は用意されていないのは,残念な部分であった。そういう意味では運営側も,試行錯誤の段階ということなのだろう。
 また,前回も感じたことではあるが,MYガレージでZOIDSの確認をしようとしても,どれがどの装備をしているのか,確認しにくい。一覧を出すときに,装備している武器も表示できるといいのだが……。

 

今回,MYガレージで内部パーツという要素が確認できたが,パーツ自体は実装されていなかった。次回に期待だ 第一次のときもそうだったが,デフォルトで装備されている武器をショップで売れるというのは混乱を招きそうだ

 

 

ZOIDSの種類は変化なし。されどバランスはやや改善

 

コマンド「高度」を選ぶと,シンカーは空中移動できる。共和国のダブルソーダにはなぜかなかったが……

 第二次クローズドβテストで登場したZOIDSは,第一次クローズドβテストと同じ。共和国は「ゴドス」「カノントータス」「ダブルソーダ」「ガイサック」「バリゲーター」「ゴルドス」で,帝国は「モルガ」「イグアン」「シンカー」「ゲーター」「ヘルディガンナー」「ヘルキャット」の6種類ずつ。
 今回,目立った変更点は,帝国のシンカーが「高度」コマンドで空中移動できるようになったことだろう。岩場や水辺など,陸上型では移動できない地形も移動でき,しかも空中にいる間は「空」に対応している武器からの攻撃以外は受けない。シングルではまずシンカーを先行させ,索敵しつつ相手を自軍側におびき寄せるという作戦が有効だった。もっとも,共和国側にとっては,これまで使い道のなかった対空用の武器が使えるという利点もあるので,帝国側にとって気が抜けないのも確か。
 また,これまでは「AZ120mmグランドキャノン」装備のモルガが実質最強と言われていたが,今回は共和国側のカノントータスがかなり強化されている。「大口径ビームキャノン」の攻撃力がかなり高く,カノントータスの集団に近づくのはモルガの集団に近づくのと同じくらい危険となった。帝国側としては射程の長い「ロングレンジアサルトビーム砲」のあるヘルディガンナーでアウトレンジ攻撃をかける必要があるだろう。
 ただ,「空」が改善されている中,「海」のほうは改善があまり見られず,シンカーの「ホーミング魚雷」は,水ヘクスのある「レイクコロニー」でも使いようがないことが多かった。「海」に対応している武器の具合を試すためにも,「レイクコロニー」よりも水を意識したMISSIONを用意するなどしないと,誰も使わないということになってしまいそうだ。

 

ゴルドスは対シンカー用と言える「空」用の武器が豊富。初期に前面配置して,シンカー迎撃に使う手も 帝国側でマルチプレイしたテスター達の多くは,カノントータス隊による集中射撃に泣かされた

 

 

戦闘システムも進歩。しかし索敵にはまだ改善の余地が

 

この「EP」とあるやぐらの基部がEP回復地点。ここにZOIDSが入ると,EPを回復できる。重要な地形の一つだ

 今回のMISSIONは「イセリナ山」「ガリル遺跡」「クロノス砦」「レイクコロニー」に「マウントオッサ要塞」が加わり,全部で5種類となった。マウントオッサ要塞は,移動不可能なマグマのヘックスが多く,山や岩場だらけのイセリナ山と同様,いかに相手を自分の攻撃範囲内に引き込むかが重要となっている。ちなみに,EP回復ポイントが二つあり,そこにユニットが入るとEP補給ができるので,ここを確保すればモルガやカノントータスといった,EPを大きく消費するZOIDSでの連射が楽になる。次回もこのMISSIONが加わるなら,テスターはうまく利用してほしい。
 また,前回のテストでは地形効果があるように見えたが,実際にどんな効果があるのかが表示されず,やや不親切な印象だった。その点今回は,ヘックスにカーソルを合わせると,地形の種類と地形効果がウインドウ表示されるように変更が加えられていた。ストラテジー慣れしている人にとっては,どの地形がどのような意味合いを持つかぐらい想像できるだろうが,そうでない人にとって,この表示はありがたい。
 このほか,前回は反撃システムがなく,敵のターンになったら殴られっぱなしという展開になったが,今回からは反撃するか回避するかを任意で選べるシステムも実装された。EP枯渇覚悟で反撃しまくるか,ZOIDSの回避率に賭けるかといった判断ができるようになったのは大きい。攻撃する側も,反撃を考慮しないと手痛いしっぺ返しを食らうので,考えながら攻撃をする必要が生じたわけだ。ただ,どの武器が反撃用として使われるのか,そのあたりの説明は不足しているように思えた。武器選択画面やZUで解説ページを用意してもらえると,ありがたいのだが……。

 さらに,第二次クローズドβテストで変化したものに,未確認状態の敵ZOIDSの表現もある。前回は,どれも同じシルエットで表示されていたに過ぎなかったのだが,今回は透過処理もかけられており,さらに視認しにくいものとなっている。これはおそらく,見えにくい敵を表現したかったのだろう。しかし,ZOIDSの種類が限定されていることもあり,移動範囲の表示と移動音によってどのZOIDSかを楽に判別できてしまうので,この工夫はあまり意味を成していないように思えた。相手の手の内を読みあうマルチプレイでは,敵ZOIDSの移動範囲が見えず,音も同じであったほうが,より緊張感を持って楽しめるような気がする。

 

「待機」コマンドで「回避」か「反撃」を選べる。残りEPと敵の数を考えつつ選ばなくてはならない 地形に紛れ込んだ敵ZOIDSだが,移動時にヘックスが青く表示されるので,どんなZOIDSか分かってしまう

 

 

マルチプレイに人がいない……

 

エリアオーナーになると,このように設定ができる。自分のZOIDSの陣容を確認して内容を決めよう

 マルチプレイでは,エリアオーナーによるMISSIONのレギュレーション変更ができるようになっていた。「作戦内容」「演出DEMO」「ターン数」「総出撃数」が変更できるので,少数精鋭による戦いから大規模な殲滅戦まで,自由に設定可能というわけだ。時間がない人は最小のターン数,じっくり遊びたい人は最大35ターンまでプレイできるようになっている。
 だが,シングルプレイが用意され,テスター達が一人でもゲームをプレイできるようになったためか,マルチプレイは今回も閑古鳥が鳴いていた。WebのあちこちにあるZOW関係のサイトでも,シングルプレイの感想が大半という具合だ。
 これはやはり,対戦相手を探すためのコミニュケーション機能がZUにないからだろう。ZOIDSの武器交換でZUのサイトにログインしたとき,そこに対戦相手募集の告知があれば,プレイヤーは参加しやすいだろう。
 マルチプレイとシングルプレイを比較すると,1人でもプレイできて経験値も得やすいシングルプレイに流れてしまうのは自明の理である。今のところマルチプレイの利点は「相手とチャットで交流できる」「敵ZOIDSが多い分,経験値を多く入手できる可能性がある」ぐらいしかない。ここは,「同じZOIDSを倒してもマルチプレイのほうが経験値が多い」「マルチプレイでしか入手できないアイテムがある」など,マルチプレイならではのメリットがあっても良さそうだ。

 

プレイヤー同士が了解すれば,2対1のハンデ戦もできる。だが,どうせなら対等な戦いをしたい 味方が敵を倒せば,自分が全滅しても勝利となる。ただし,経験値は敵ZOIDSを撃破しないと得られない

 

 今回のテストでは,正されるべきところはきちん正されており,そこは評価できる。前回は対戦相手が見つからず,ろくにプレイできなかったテスターも,シングルプレイでゲームを一通り体験できただろう。しかし,テスト開始の遅れや通信エラーの頻発,修正パッチの当てすぎに起因するとおぼしきクライアントプログラムの動作の重さなどは,どうしても気になってしまう。このあたりの改善と,発表会などで言及されていた助っ人や人気ZOIDSの参戦,ZUへのコミュニティ機能の実装や,チュートリアルの充実なども,次回のテストでは期待したい。

 

マルチプレイでは,ゲームだけではなくチャットもフリーズした。こうした点は,ちょっと気になる 経験値を得て成長したイグアン。戦った分だけ報われるようになったのは,素直に嬉しい どう考えても勝ち目がないとか,用事が入って遊んでられないときなどは,「GIVE UP」でゲームを終了できる

 

 

タイトル ZOIDS ONLINE WARS
開発元 翔泳社 発売元 タカラトミー
発売日 2006/11/07 価格 N/A
 
動作環境 対応OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0b以降),Penrium 4 1.3GHz以上[Pentium 4 1.7GHz以上推奨],メモリ512MB以上,グラフィックスメモリ32MB以上[64MB以上推奨],HDD空き容量:2GB[2.5GB以上推奨]

(C)1983-2006 TOMY (C)ShoPro・TV Tokyo
ZOIDS is a trademark of TOMY Company, Ltd. and used under license.

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http://www.4gamer.net/review/zoids_ol_2/zoids_ol_2.shtml